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一人勝手に回顧シリーズ#アルフレッド・ヒッチコック編(7)#レベッカ/死者の呪い

ヒッチコック渡米後の第一作である。

ヴァン・ホッパー夫人の付き人として、モンテカルロのホテルにやって来たヒロイン(ジョーン・フォンテイン)は、イギリス人🇬🇧の富豪マキシム(ローレンス・オリヴィエ)と出会う。二人は、毎日、ドライブに出掛ける仲になる。マキシムは、1年前にヨットの事故で、前妻レベッカを亡くしている。
ヴァン・ホッパー夫人の従兄弟が結婚することになり、夫人はアメリカに帰る準備をするようヒロインに命じる。ヒロインは、マキシムに別れを告げるが、マキシムは、それなら結婚をしようと、プロポーズする。そして、二人は結婚し、マキシムのイギリス🇬🇧の大邸宅"マンダレイ"に落ち着く。
多くの使用人を抱えるが、とりわけかつてのレベッカ付きの使用人で、邸宅を取り仕切るダンヴァース夫人は、表情も冷たく、なかなか受け入れてくれない。邸宅の西半分は、レベッカが使っていたとのことで、今は、ほぼ使われていない。レベッカゆかりの品に、ヒロインが興味を示すと、マキシムや使用人らはこわばる。
次第にヒロインは、レベッカの影に、追い詰められていき、とうとう、ダンヴァース夫人が言うままに、邸宅の窓から身を投じようとするが、難破船が見つかったことを知らせる花火で、正気に返る。レベッカのヨットが見つかったのである。
ヒロインは、マキシムを探して、浜辺まで行く。あきらめて帰った邸宅に、マキシムがいる。マキシムは、レベッカの影が、二人を引き裂くと弱音を吐く。今回、レベッカの死体が見つかったことから、昨年、打ち上げられ、葬ったのは、まったくの別人で、検視でウソを吐いたと言う。マキシムは、レベッカを別の場所で殺し、ヨットに死体を運び込んだのだ。マキシムのレベッカに対する愛を感じながら、ヒロインのマキシムを慕う気持ちは強まるが、マキシムは、レベッカを愛していなかったと断じる。すなわち、レベッカは、美貌であるものの、愛や優しさはなく、品性も欠けた。マキシムは、レベッカに仲の良い夫婦を演じるよう、取引を持ち掛けられ、レベッカは、良い妻を演じながら、ロンドンで遊び、仲間を連れて帰った。従兄弟のファベルとは、密通していた。ある夜、遊んで、一人で帰ってきたレベッカは、よそでつくった子どもの母親を演じて見せる、どう、殺したいかと、マキシムを挑発し、マキシムは、レベッカを殴り、転倒させ、レベッカは、死んだ。そして、ヨットに死体を乗せ、水栓を抜いたと告白した。
警察が動く。マキシムは、昨年は、溺死体を見間違えたと弁明する。
公開の尋問で、船は転覆したのでなく、沈められたと証言され、マキシムは、レベッカに自殺する理由があったかと問われ、ないと答え、夫婦関係は良好だったかと聞かれ、答える必要がないとキレる。傍聴していたヒロインは、気を失う。
傍聴の昼休み、マキシムらが、車中で昼食を取っていると、ファベルがやって来る。証拠(レベッカからの手紙)を隠すからと、カネをせびる。マキシムは、ファベルを酒場の個室に誘い、警察署長を呼び、ファベルに語らせる。ファベルは、他殺と主張する。ヒロインもダンヴァース夫人もやって来る。そして、事件当日に、レベッカがかかっていた医師は、誰かとダンヴァース夫人は尋ねられる。
ダンヴァース夫人の証言に基づき、警察、ファベル、マキシムらは、ベーカー医師を訪ねる。
レベッカは、ダンヴァースの名前をかたって、長らくベーカー医師にかかっていたことが知れる。そして、レベッカは、ガンを患っており、手術も不可で、自殺する動機はあったとの証言を引き出す。尋問は、実質的に終了した。

マキシムは、車を飛ばして、マンダレイに向かう。到着すると、マンダレイが燃えている。ダンヴァース夫人が火を放ち、自らの命を絶ったのだ。
ヒロインは、無事避難し、マキシムの疑いが晴れたことを喜ぶ。

亡くなったというレベッカの姿は、画面に1分たりとも現れない。それでいて、まったくの非道の女として語られるレベッカが、登場人物すべてを縛るのである。

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