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一人勝手に回顧シリーズ#マーティン・スコセッシ編(6)#最後の誘惑/神の冒涜か

【映画のプロット】
"神への到達を目指したキリストは、極めて人間的なものと超人的なものの両面を持っていた。キリストのこの2元性は、以前から尽きぬ謎であった。若い頃から、私の悩み、また喜びと悲しみは、精神と肉体の間の飽く事のない苛烈な闘いから、生まれて来た。私の魂は、その二つの力が衝突する戦場である。ニコス・カザンスキ キリストの最後の誘惑より"
"この映画は、聖書の福音書に基づくものではなく、この永遠なる魂の葛藤をフィクションとして、探究しようというものである。"
▶︎キリスト
大地に横たわる聖人。キリスト(ウィレム・デフォー)である。
"またあの感覚だ。優しく、温かい。その後に、苦痛が。鋭い爪が、皮膚の下を上って来て、目に届く直前、激しく肉をえぐる。そして、思い出す。最初は、3か月、断食をして、寝る前に、自らを鞭打った。効果は、あった。だが、痛みはまた戻った。そして、声が、私の名を呼んだ。Jususと。"
キリストは、自分のサイズに合わせた十字架を組む。
"誰だ。なぜ、私を尾ける。"
男が、現れる。
"行くぞ。十字架はもういい。行こう。どうした。聞こえないのか?"
"救世主は、来ない。"
"どういう事だ。誰が、そんな事を?"
男は、十字架を壊す。唾を吐く。
"恥を知れ。ローマ人に命じられて、十字架作りか。それに従っている。同じユダヤ人を殺すのか。卑怯者。どうやって、罪を償う。"
"命で償うよ。ユダ。ほかには何もない。"
" Look me. 命で償うとは、どういう事だ。"
"私にも、分からないのだよ。ユダ。"
"十字架を運ぶのか?"
" Yes. "
"よせ。"
ユダは、キリストを叩く。
"俺が、許さないぞ。"
"邪魔しないでくれ。"
"どういう事だ。説明してくれ。"
"闘っている。"
"誰と?"
"分からないが、闘っている。"
"違うね。俺は、闘い、you collaborate. "
ローマ人との闘い。ローマ人は、剣を振るう。ユダヤ人が、奇襲する。ローマ人の首を捻る。
広場に、鎖て繋がれたユダヤ人が、引き連れられて来る。住人が見守る。キリストは、突起が付いたベルトを下腹に巻く。材木を両肩で担ぎ、ローマ人の後を歩む。住人が、石を投げる。捕らえられた男が呼び掛ける。
"聞け。イスラエルの民よ。君らは、神の子だ。神が、君らを見ているぞ。"
"裏切り者。"
"何するの。やめて。"
石を拾った男の腕を、女がつかむ。
"私の息子よ。"
マリアである。キリストは、黙々と歩む。金属のアクセサリーを身にまとった女が現れる。キリストに近寄り、唾を吐き掛ける。
"神は、我々を見ておられるぞ。闘え。Fight. "
繋がれた男は、ローマの兵士に突き倒される。
"我々に力を。"
キリストは、丘に着き、材木を下ろし、十字架を組む。マリアが近寄る。
"一緒においで。"
"裸体をさらすこの男は、ローマ軍に逆らい、人々を扇動して、革命を説いて回った。民の中から、救世主が現れ、ローマを倒すと説いた。殺人罪、背信行為、略奪等の罪により、死刑を宣告された。ローマとローマの神々は、彼を有罪とみなす。"
男が、十字架に括り付けられる。
"我々の心が、我々の盾。神は我々の心、神は我々の心。神は、お見捨てにならない。"
両手に、楔が打ち込まれる。男が叫びを上げる。
十字架が、建てられる。足にも楔が打ち込まれる。
キリストは、住居の土間で、もだえる。
"神は、私を愛しておられる。だが、この苦しみには、耐えられない。聞こえて来る声。いっそ、神に憎まれたいと、十字架作りを始めた。私を選ばないでくれ。救世主は、皆、十字架に。"

マリアとキリスト。
"神の声?悪魔ではないの?"
"もう何も分からない。"
"悪魔なら、悪魔払いを。"
"神なら?神は、追い払えない。"
キリストは、湖のほとりを歩く。
"誰だ?あなたですか。"
神の存在を感じ、振り返る。また歩き始めるが、頭に痛みを感じ、倒れて、のたうち回る。
"マグダラ。"
キリストは、繁華な市場に至る。
"神よ。こんな所へお導きくださって感謝します。この男は、神の使いか。私の案内をしてくれている。"
キリストは、売春婦の家に入り、順番を待つ一団の男たちに加わる。奥では、売春婦が喘いでいる。ゲームをする男。物売りの女。売春婦のベッドの前には、木の枝に止まるカメレオン。
男たちは、思いを遂げ、キリストだけが残る。売春婦に近づく。
"誰なの?誰?何しているの?"
"私を許してくれ。多くの過ちを犯した。砂漠に行くが、その前に許しを。私を許してくれ。"
" I see. 1日中、そこで待っていて、許してくれと、私に頭を下げる。Forgive me? そうは行かないわ。簡単に許せると思う?さっさと出て行って。"
"マリア。ここを見るがいい。神は、ここから君を救ってくださる。"
"神は、私から、あなたを奪った。I hate both of you. "
"私を責めるのはよい。神を責めるな。憎むなど。"
"誰のせいかしら?"
"だから、ここへ来た。私を許してほしい。借りは、払う。I know. 私が、一番、悔いるのは、君の事だ。"
" Go away. "
"マリア。Do you remember? "
"何を覚えていると言うの?何も変わらない。そうでしょ?私の魂を救う?私の魂は、ここよ。分かっているでしょ?結局、ほかの男たちと同じだわ。哀れな男。I hate you. さあ、私の体よ。救って。"
キリストの手を取る。
"救って。"
キリストは、手を抜き、離れる。
"それでも男なの?Don't look at me. 男になる勇気もないのね。Don't look at me. お母さんと私にすがり、今度は、神にすがる。砂漠に隠れたいなら、行ってよ。見たくもないわ。"
キリストの顔に触れる。
"子どもの頃を覚えている?私が、あなたに抱いていたあの優しい気持ち。私が求めたのは、あなただけ。"
"私は、何を求めたと思う?"
" Please stay. 淫売の部屋で寝るのは、嫌?手で触れないわ。童貞で砂漠へ。"
"済まないが、行くよ。"

▶︎荒野の試練
荒野を歩くキリスト。掘立て小屋の集落を見る。老人に、小屋の中に案内される。
" Welcome. "
"こんな夜中に祈りを?"
"葬式でね。僧院の主が、亡くなった。"
"私も祈りを?"
"疲れているだろ。眠りなさい。l know who you are. "
キリストは、横になる。

老人の遺体に、集まった男たちは、キスする。
"昨夜、私を案内してくれた男だ。"
" Last night? 昨夜、死んだのに。"
遺体は、包帯で巻かれ、砂漠に埋められる。
"魂は、天国に召された。肉体の仕事は、終わった。太陽と月の下を歩き、砂と石の上を歩き、罪を犯し、悩み苦しみ、天国を望んだ。今、彼の亡骸を神の手へ。Fresh は、最早、無用のもの。溶け去るのみ。"
"翼が見えて、天使が訪れ、精霊が現れ、君を丁重にもてなした。何か意味が。"
"特別な意味などないさ。私の務めは、神に仕える事だけだ。That's all. 神は、満足なさる。"
"神の声を聞くなんて。君は、祝福されている。僕を見るがいい。神の声を聞こうと、この身を神に捧げている。Sometimes 彼を感じる気はするが。だが、君は、神に手を取られ、ここへ来た。"
"神の望みを知るのが、祝福?神の望みは、私を突き落とす事だ。神には、私が犯した罪が、見えないのかな。"
"皆、同じさ。"
" No. No. 私の罪は深い。私は、嘘つきで偽善者だ。小心で、真実を語る勇気を持った事がない。女を見ると、欲望を感じ、恥じて目を逸らす。私の恥じる気持ちが、マグダラを破滅させた。私は、盗まず、殺さない。本心からでなく、怖いからだ。あらゆるものに逆らってやりたい。神にさえ。I'm afraid. 私の父と母は、誰か。私の神は誰か。恐怖だよ。私の心は、恐怖で一杯だ。"
"悪魔が多ければ、改悛の機会も多い。"
"私の中には悪魔が。お前は、ダビデ王の息子ではないぞと。お前は、人間でなく人類の子。神の子であるだけでなく、神自身だ。まだ何か尋ねたいか。"

黒いヘビが、穴から這い出る。小屋の中のキリストは、後ろに下がる。
"すべては、神から遣わされ、二重の意味を持っている。"
" Jesus. 愛しいJesus よ。あなたを許すわ。"
" Leave me. "
"消えた。"
"もう十分だろう?"
"いいや。まだここへ。" 
"今、神に祝福されて、君は清められた。ヘビは、君の中から出たのだ。町へ戻って、人々に、君の心を語るが良い。"
"誰に?" 
"耳を貸す者に。"
"何を話す。"
"口を開けばいい。人々に愛を?"
"哀れみを感じるだけだ。"
"それでいい。"
深更。キリストは、小屋の外へ出る。男が、襟をつかみ、キリストを小屋の壁に叩きつける。
"命令だ。殺す。"
" Go ahead. 今夜、私は清められた。もう神とは、闘えない。さあ、喉をかき切るがいい。"
男は、刃物をキリストの首に立てるが、実行できない。
"あんたは、一体、何者だ?"
"君の望みは、私の望み。それが、神のご意思だ。"
"喉を差し出す事も?神の声は、あんただけに聞こえる。俺も聞きたいね。"
"私が教えるよ。"
"失神の発作、声、ビジョン、神秘の力。秘密を知りたい。君の秘密を?"
"憐れみだ。"
" Pity for yourself? "
"人間に対して。"
"敵に対しても?"
"すべてに憐れみを感じる。Donkey、Grass、Sparrow. "
"蟻にも憐れみを?"
" Yes. 皆、神の一部だ。小さな蟻の黒く光るその目。そこに私は、神の顔を見る。"
"死が怖くないのか?"
"なぜ怖い。死は、閉じるのでなく、先に向かって開く扉だ。"
"今、殺さなかったら?"
"人々に話す。"
"何を?"
"口を開けば、神が話をなさる。"
"君の使命は、刺客でなくて、私に従う事かも知れぬ。"

ユダは、キリストと行動を共にする。
"あんたを理解するまで、付いて行く事にしよう。わずかでも、道から外れたら、あんたを殺す。"
マグダラが髪をつかまれ、引きづられる。マグダラが、折檻を受けている。
"石を投げろ。"
キリストが、駆け寄る。 
"おい、そこをどけ。"
"手を出すな。怪我するぞ。"
"そこをどけ。"
"こんな事は、いけない。"
"いけない?俺たちは、やりたいんだよ。"
" Why? "
"うるさい。"
"この女は、淫売で、ユダヤ人だ。安息の日にも、客を取っている。モーゼの掟を破っている。"
キリストは、両手に石を持つ。
"掟を破った事のない者は?この中にいるか?1人でもいたら、進み出るがいい。これを投げるがよい。"
壮年の男が、前に出る。
"やましい事は、何もない。"
" Good. 大きい石がいい。"
マリアが男の足にすがる。
" Be careful ゼベダイ。神は見てるぞ。君が雇い人をだまし、あの後家と何をしたか?"
"ユディットよ。"
"その女だ。神が、君の手を麻痺させても、いいのか。"
キリストは、深く黙考する。
キリストは、マリアを立たせ、肩を抱いて歩む。
"神は、奇跡を示される。私の言葉が間違っていたら?正しかったら?"
マリアを高台の上に座らせる。 
"もっとそばへ。近くへ。私たちは、家族だよ。声の届く所へ。君らに、話をしたい。"
"誰なの?" 
"ナザレのイエスよ。"
"あんな村。聖書でも、けなされている。"
" I'm sorry. 話を分かって貰うために、例え話を。農夫が畑を耕していて、種が地上に落ち、鳥が食べてしまった。ある種は、石に落ち、枯れてしまった。だが、ある種は、ある種は、肥沃な土地に落ちて、一国を養える小麦を実らせた。Can you hear me? "
"聞こえているよ。"
"その農夫は、この私だ。"
"2の2倍は4さ。気が変だ。"
" Father. 教えてください。あなたが農夫で、我々が石なら。種は、何です?種は、何です?" 
" Love. 愛し合う心だ。"
"言うのは、簡単だが、別世界の事だ。説教は、飢えを癒やしてからだ。"
"神は、怒っておられた。だが、今は違う。以前は、猛禽のように、私の頭に、爪を立てた。だが、ある朝、私に現れて、そよ風のように、爽やかに言われた"立て"と。私は、立った。"
"地獄に落ちろ。"
"子供のお伽噺だわ。"
"何の役にも立たない。" 
"君らは、正義に飢えている。"
"パンにも。"
"パンにも。公平に、敬意をもって扱われる事にも飢えている。正義に飢えている者こそ。神の祝福を受ける。二度と、パンに飢えることはない。真に尊いものを得る。愛だ。人を愛し、慰め、善を行う勇気を持つ。そして、死を悲しみ、喪に服す者は、祝福される。神は、その人々を慰めてくれる。弱き者、また虐げられている者も、祝福される。平和を作る者、慈悲深い者、病人、貧しい者。天国は、その人たちのものだ。笑うのか?今、笑っている者は、やがて泣くだろう。今、満腹の者は、やがて飢え、金持ちは、富を失う。"
"金持ちを殺せ。"
人々は、散って行く。
"待て、私が『死』と言ったか?『愛』だ。愛を持て。"
"帰ろう。" 
"残ります。父上。"
"仕事を手伝え。ヨハネ。"
"私も残ります。father "
2人とも早く来い。
"私もお伴を。" 
マリアが申し出る。 
"君は、ここに。時を待て。皆に、私の話を。"
キリストは、マリアのサンダルを脱がせ、足を拭いてやる。
キリストたちの野営。川のほとりで。漁をして、魚を獲る。
"ヤコブ、アンデレ。"
キリストを慕う人の群れは、徐々に大きくなる。 
夜。
"入れてくれ。"
"ヤコブ。"
"ペテロに場所を。"
"無理だよ。" 
"火のそばに。"
"寒いのは、皆、同じだ。"
"黙れ。"
ユダが、キリストに声を掛ける。
"先生。Can I talk to you? あいつら、皆、いい人間だが、弱い。あんな奴らを、どこで?愛する者のためなら、俺は、命を捨てるが、憎い者は殺す。愛していても、間違いを犯したら、殺す。Do you hear me? 分かるか?" 
" Yes. I understand. "
"頬を打たれたら、もう一方の頬を出す?それは、天使か犬だ。俺は、自由な人間だ。頬は、出さない。"
"君も私も、目的は同じだ。" 
" You do? あんたもイスラエルの自由を?"
"私が求めるのは、魂の自由だ。"
"そこが、納得できない。2つは、同じ事ではない。体を自由にした後に、魂の自由がある。家は、屋根でなく、土台から建てる。"
" A foudation is the soul. "
"土台は、体だ。そこが、出発点だ。"
"魂を変えねば、何も変わらない。ローマ人が、別の征服者になるだけだ。勝利を得ても、体内の毒は、残る。それを断つ事が、必要だ。"
"どうやって?"
" Love. "
"誰だ?"
"アンデレだ。声がしたので。"
"何でもない。ユダと話をしている。"
"困った奴だ。"
"俺は、高僧の刺客だ。" 
"なぜ殺さない。" 
"待つ事にした。" 
"何を。"
"あんたは、国を統一するあの人かも知れない。だから、殺さない。"
"私が、Messiah だと、どうして分かる。私は、マグダラに、石を投げる者を、殺したかった。だが、口を開いたら、love という言葉が、勝手に飛び出した。I don't understand. "
"俺たちに、尋ねても無駄だ。"
"ユダヤの洗礼者ヨハネの所へ。Messiahの訪れが近いと言っている。彼が答えを。"
"ユダ。I'm afraid. Stay with me. " 
キリストは、夜中に目覚め、りんごを齧る。種を、地面に蒔く。すると、りんごの木が、実をつけて現れる。

歌を歌い、軽く体を揺する男女の集団。
"見よ。私は、悪の力を呼び起こし、お前らの妻を、隣人に与える。隣人は、太陽の下で、お前らの妻を抱くだろう。お前らは、聞く事を、少しも理解しない。その目で見ても、理解せず、鈍い頭は、働こうとしない。耳は聞こえず、目は何も見えない。耳も目も、付いているだけだ。来たれ。さらば、癒されるであろう。神の言葉を聞け。"
集団の中に進み、高まる音声、激しさを加える踊りに、キリストらは、呆気にとられる。
"神の声を聞け。"
" Messiah かな。"
"いいや。"
"私は、新月の角を折り、この世に闇をもたらす。お前らの笑いを、涙に変えてやる。"
"彼の目に入る所へ。"
キリスト一行は、ゆっくり進む。
"あの背中。私は、彼に会っている。どこで?夢で見たのか。そう。夢の中だ。夢では、白い衣をまとっていた。"
"お前らは、死肉と木の燃えさしの臭いがする。男は、皆、刀で切り殺され、女は、衣服をはがされ、地面に伏す。"
" Who are you? "
"分からないか?" 
" Who are you? "
"預言の言葉を?イザヤは、何と?"
"彼は言った。主の道を整えよと。君が、主なのか?"
"それを尋ねたい。"
"なぜ、ここへ。"
"洗礼を受けたい。"
"恐れ多い事を。あなたが、主なら、私に洗礼を。"
"私に洗礼を。"
キリストは、上着を脱ぎ、川の中に膝まずく。

夜の野営。楽隊は、火を囲み、音楽を奏で、歌を歌う。
集団のリーダーとキリスト。
"愛。その意味は?蜜のように甘く、血にもなる。愛は犠牲だ。行動を求める。"
" Love is enough. "
" No. No. 周囲を見ろ。疫病、戦争、腐敗、偽りの預言、偶像崇拝、拝金主義。くだらん世の中だ。腐った木は、斧で切り倒すほかない。"
"私が木こりなら、切り、火なら焼く。私の心には、love しかない。"
"私にも、心はある。だが、不正は愛せない。愛せぬものとは、闘う。"
" Anger? "
" Yes. "
" Anger? 兄弟同士なのに?" 
"神の道は、愛だけと思うか?死海の底に、何がある。ソドムとゴモラが沈んでいる。あれも神の道だ。主が来たる日には、木から、血が吹き出し、壁の石が、命を持ち、家人を打ち殺す。That day is here. 神の斧を、あなたに渡そう。"
"間違った答えだ。"
"正しい答えは?"
" I don't know. " 
"私を信じないなら、誰を信じる?"
" God. "
"イスラエルの神は、砂漠の神。神の声を聞きたいなら、砂漠へ行け。" 
"イドゥミアへ行く。Thank you. "
2人は、口付けする。
" Be careful. 砂漠は、神だけではないぞ。" 
一人、砂漠を行くキリスト。地面に、円を描く。円の中心に座る。コブラが現れる。
"気の毒な方。孤独に泣いておられる。だから、私が。" 
"私は、呼んでないぞ。お前は、誰だ。"
"あなたの霊よ。"
"私の霊?" 
" Yeah. 孤独を恐れているわ。アダムのように。彼に呼ばれて、あばら骨を取り、私は、女を創った。"
"私を騙すのか?"
"騙す?女を愛し、家庭を持つのが、騙す事なの?なぜ、世界を救おうなどと?自分の罪だけで、十分では。世界を救うなんて、思い上がりよ。救うのは、世界ではないわ。Save yourself. Find love. "
"愛はある。"
" Look 私の目を。私の胸を見て。見覚えがある?うなずいて。ベッドに行きましょう。私のJesus. 
イエス。" 
ヘビは、砲撃で吹き飛ぶ。キリストは、嗚咽を上げる。
"10日経つと、空腹感は消えた。"
ライオンがやって来る。
" Welcome Jesus. Congratuations. 女と家庭の詰まらぬ誘惑は、もう過ぎ去った。"
" Who are you? "
" Recognize me? 君だ。君の心だ。君の貪欲な心だ。うわべは謙虚。本当は、世界を狙っている。"
"この世の王国など。天国の王国で、十分だ。"
" You are liar. 十字架を作りながら、権力を夢見ただろう。絶対権力を。口では、神のためなどと。今なら、地球上、どの国でも、望むままだ。いくつでも。ローマでも。"
" Liar. その舌を抜いてやる。出鱈目だ。その舌を抜いてやる。" 
ライオンが消える。 
火柱が上がる。
"天使長よ。下がれ。この目が眩む。"
" Jesus. 私を待っていたのだろう?お前が、まだ少年の頃、泣いて言った。僕を神にして、神よ、僕を神にして、と。"
"私は、子どもだった。"
" You are  God. 洗礼者は見抜いていた。認めるがいい。You are his son. 神のたった1人の息子だ。私の所へ来るがいい。生と死の世界を支配し、生を与え、生を奪う。審判の座に着け。私の隣に座るのだ。我々は、絶大な力を握れる。"
"悪魔だな。" 
火柱の跡に、実をつけたりんごの木が生える。キリストは、1個もぎ、齧る。赤い汁が、垂れる。
"また会おう。"
キリストの肩に、身をやつした男が、手を置く。
" Don't be afraid. 君が、その人だ。私の仕事は終わった。安らかに死ねる。神は、君に立てと、言っておられる。神の日が訪れた。その斧を取れ。人々に説くのだ。"
キリストは、りんごの木に、斧を振るう。
夜が明け、砂漠から、戻る。家事をする女たちの前に現れる。
" What do you want? "
"ガリラヤから来た旅の者だ。I'm tired. " 
"美味かった。Small wine please. マリア。マルタ。あなたがたに祝福を。見ず知らずの者に、温かく迎え、食事を与えてくれた。私の心には、神が宿っている。"
" Go on. " 
"喋り過ぎた。沈黙した方がいい。"
"もっと話して。" 
"奥さんは?" 
" No. "
"砂漠を1人でさまようなんて。家庭を持ち、人間らしい暮らしを。"
"そうしたいと思うのだが、できないのだ。"
"神は、砂漠になどいないわ。ここにいるのよ。聖書にも、断食や祈りより、子供を増やせと。"
"マリア。お客様に言い過ぎよ。"
"思い当たるでしょ?"
"手伝って。揶揄うのは、悪いわ。"
"揶揄う?"
"洗礼者ヨハネを忘れたの?"
"彼が、何か?"
"ヘロデ王に殺されたのよ。知らないの?女にせがまれて、王は、彼の首をはねたのよ。エルサレムの王宮で。"

▶︎ユダの裏切り
川べりで野営するキリストの信者たち。
"洗礼を受けた者は、死罪だ。"
"受けたのが悪い。"
"そういう自分だって、受けたろ?ガリラヤに帰りたい。" 
"あの海、大漁が続いているそうだ。"
"俺は、羊を思い出す。どうなった事やら。"
"ガリラヤへ戻ろう。"
"先生を待たねば。" 
"俺たちが、待っているのに、消えて1か月だ。大切な時に。"  
"そのとおりだ。"
"ガリラヤへ戻ろう。"
"何を言い出す?洗礼者の言葉を?イエスよ。私は死ぬ。砂漠を出て、人々の所へ戻れ。"
"本当に言ったのか?"
"皆が。"
"証拠が?"
"兎に角、重要な言葉だ。"
" Why? "
" Becourse 人々は、それを信じている。先生が、本当に、その人なら?"
"その人?"
"その人だよ。"
" Messiar だと言うのか?"
"洗礼者が言ったのか?"
"怪しいもんだ。"
"神の国は、近付いている。"
"俺たちは、今までの仕事を続ければ、いいんだよ。"
"ヨルダン川に、天から下ったエリヤもいる。"
" Waiting here. We are waiting here. "
ユダが、一喝する。
"ガリラヤへは戻らず、ここで待っていよう。"
"それでこそペテロ。君の意志は、いつも巌のように、堅固だ。Nobody changed your mind. そうだろ?" 
キリストが帰還する。
" Master. "
"先生。ヨハネが、先生の足音を聞きつけて、お待ちしていました。"
"洗礼を?"
" Yes. "
"洗礼者ヨハネは、水で洗礼を。私は、火で洗礼しよう。"
"ヨハネがそうしろと。私は、君らを誘いたい。"
" Celebration? "
" No. 祝宴ではない。君らを闘いに誘っているのだ。"
キリストは、腹から臓物を取り出す。
"私の心臓だ。取るがいい。神は、我々の中にある。悪魔は、我々の周囲に、満ち満ちている。我々の斧を、悪魔の喉に、振り下ろす。彼らと闘うのだ。彼らは、病人の中、金持ちの中、寺院の中にもいる。見せてやろう。"
"羊を持つ者は、分け与えてしまえ。家族を持つ者は、捨てるのだ。"
地下から、赤い水が湧く。
"愛を信じていたが、今は、これを信じる。私に従うか?"
"神よ。"
キリストの足にキスする。
翌日。
"今日と明日、私は、人々から、悪魔を払い、3日目に、私は、全うされる。"
一行の前に、地面にうがたれた穴から、半裸の男たちが、出て来る。キリストは、まとわりつく彼らを払う。
"悪魔よ、去れ。悪魔よ、去れ。去れ。"
彼らに、洗礼を行う。 
"モーゼよ、エリヤよ、イザヤよ。私の口と唇に触れ給え。"
洗礼を受けた男は、目覚め、キリストの体にキスする。
"寺院に行き、高僧に見せるのだ。"
" Look イエスが治した。"
"目が、見えるようになった。"
吊るされた山羊の肉を捌く。貴人が、御輿に担がれて、入場する。女も子供も、声を上げ、踊る。婚礼の宴。
"婚礼の場に、汚れた女は、遠慮して貰おう。"
"私の客だよ。"
"私が説明しよう。"
キリストが、前に出る。
"天国を例えるなら、婚礼に似ている。神が花婿で、人の魂が花嫁だ。式場は天国で、誰もが招待される。それほど広いのだ。"
"断る。Thits is against law. "
"それは、心に背く法だよ。"
構わず、会場に入る。
"離れろ。"

"この指環が、神聖な誓いを果たす。モーゼとイスラエルの法に、栄えを。"

"いとこが困っている。祝宴が4日続き、ワインが足りない。"
"あれは?"
"水だよ。"
"ワインだ。" 
" No. No. 水だよ。"
" It's ワイン。"
" Water. "
"確かめるがいい。さあ。"
"ワインだ。"
キリストは、カップを掲げる。キリストは、踊りの和に加わる。
キリストたちは、宴会から帰る人々に呼び掛ける。
" Brothers 友よ、聞いてくれ。預言者が預言し、神が語ったのが、私の事だ。神は、私に秘密を打ち明けた。私を待っていたのだろう?よい知らせを伝えに、急いでやって来た。神の国が、訪れる。"
"奇跡を起こせるって?見せてくれたら、信じよう。"
" Meesiah が、奇跡そのものだ。私を受け入れるか?私は、今あるものを、全て打ち壊し、作り変える。Something new. God. 神の国を創る。パンは、貧しい者へ。所有する事に意味が?金銀は朽ち、君らの心を腐らせてしまう。All of you 洪水と火災が起こり、すべて滅びる。新しい方舟が、その火を乗り切る。その鍵を持ち、扉を開くのは、私だ。方舟に乗る者は、私が選ぶ。君らナザレの兄弟を、最初に招待しよう。躊躇して、命を無駄にするな。Come with me. "
"マリアの息子が、神の使い?"
"十字架を作ってな。家族を呼べ。頭が変だぞ。"
"何がおかしい。すべてが、灰になるのだぞ。私と一緒に、エルサレムへ。"
"男は、結婚しないと、ああなる。性液が頭を冒す。"
男が、キリストに石を投げ付ける。
" Go home. お前は、悪魔だ。"
"家は、ここだ。"
"殺せ。妖術使いだ。"
"すべての小石に触れる事ができたら、皆、私に従うだろうに。私とエルサレムへ。エルサレムは、落ちかけている。信じてくれ。"

"見るがいい。目が見えず、体が不自由だ。我々の軍隊だ。"
"あんな連中が?"
"彼らと、新しいエルサレムを築くのだ。"
"息子よ。私と一緒に、家へ帰って。"
"あなたは?" 
"母親よ。"
"母親など。家族はいない。私の父親は、天国にいる。"
"何て事を。"
" Who are you? 真剣に伺うのです。Who are you? "
女は、泣き崩れる。
"マリア。見なかったの?彼の背後に、大勢の天使がいるのを見たわ。"
"天使が?"
"大勢よ。"
"天使なんて、要らないわ。"
頭から、すっぽり布を被り、奇妙な音を立てる一団。
"いつ埋葬を?"
"3日前です。"
"岩をどけて。"
異臭が、鼻を打つ。キリストは、穴の中に、気を送る。
"ラザロ。ラザロ。預言者の名にかけて、エレミヤと父の名にかけて、そして、聖なる神の名にかけて、立ち戻れ。I call you here. ラザロ。ラザロ。"
穴の中から、手が伸びる。手をつかみ、ラザロを外に出す。ラザロとキリストは、抱き合う。
"神よ。神よ。お力を。"
一行は、町の市場に至る。ローマ国王の銅像。排水路を、赤い水が流れる。
"祈りの場が。"
"貨幣を換金して、寺院の税を。"
" I know. 今日の換金は?"
"まあ、まあってとこだな。"
"儲けは?"
"まあね。"
キリストは、換金商のお膳を、壁に叩きつける。ほかの商人のお膳を踏みつける。商品をぶち撒ける。市場は、騒然となる。
"ここは、神の家だ。神に祈る場所だ。商いの場ではない。"
"ナザレ人よ、何をする?どういう事だ。"
"神が、宮殿を建てろと。神が、動物の生贄や献金を求めたか?"
"ローマのコインには、異教の神が彫られている。汚れた金を、神に?異教の金は、ユダヤの金に換金せよとの法律だ。"
"そんな法など。私が、新しい法と希望を与える。"
"神が、古い法律を捨てるとでも?"
" No. 神が、新しい物を与えてくださるのだ。"
"物を壊すのが、新しい法か?お前などが。"
"古い法は終わり、新しい法が始まるのだ。"
"尊大な。"
" You should go. "
"言っておく。私は、神なのだ。"
"神への冒涜だ。"
"知らないのか?私は、冒涜の聖人だ。平和でなく、剣を持って来たのだ。"
"今に殺されるぞ。"
"私が殺される。では、言おう。この寺院は、3日のうちに、全て、破壊される。ひとかけの石も残らない。神は、お前らだけのものと思うのか?神の不滅の魂は、この世のすべての人のものだ。神は、万人のもの。イスラエルの神ではない。"
人々が、ざわざわする。キリストたちは、追われる。
"魔術で治療を。"
"金持ちにしてくれ。"
"俺に奇跡を。足を治してくれ。"
"神は、憎しみに満ちた者を、お助けにならぬ。"
"治すまで、ここを出さんぞ。"
"お前らは、神を脅すのか。"
"ユダ。お前は、彼を殺す命令を受けた筈だ。彼に従っているのか?"
"そうとも。"
"ローマに刃向かう筈だろ。ユダヤ人同士を戦わせるのか。''
" You don't understand. "
"ラザロ。"
男たちが、取り囲む。
"気分は?"
" I like light. "
"死の気分は?生と死、どちらがいい?"
"意外だった。両方とも同じだ。"
"手を。"
手を取った男は、一方の手の剣で、ラザロの腹を刺す。
"殺した理由は、分かる。彼が死ねば、あなたの奇跡の証拠は、消える。彼らに都合がいい。"
"彼らの所へ?"
"あなたに従います。"
"お前は、強い男だ。私の友達の中で、一番強い。兄弟ユダよ。話しておこう。神からの恐ろしい秘密だ。エルサレムに来た訳を?"
"革命が狙いでしょう?"
"昨夜、イザヤが現れた。彼の預言を読んだ。It said. 彼は、人の過ちを背負い、神に背く人のために傷つき、それでも口を閉ざしていた。唾され、拒否されても、生け贄の羊のように、逆らう事をしなかった。"
"どういう事です?"
"私は羊だ。じき死ぬ運命なのだ。"
" Die? Messiar では?"
"そうだよ。"
" Messiar が、死ぬ筈はない。"
"私も、最初は理解できなかった。"
"毎日、言う事が変わる。最初はlove、次は斧、今度は死ぬだと?なぜだ。"
"神は、少しずつしか、語ってくださらないのだ。だが、やっと分かった。私には、いつもつきまとっていた。不思議な声、足音、そして、いつもある影が。The cross. 自ら十字架につけられて死ぬのだ。寺院へ戻ろう。"
"十字架で、死んだ後は?"
"生者と死者を裁きに戻る。"
"信じられない。" 
"信じるのだ。"

キリストたちは、寺院へ戻る。
"本当にやる気かな?"
"今日は、祈るために寺院へ行くのではない。3日のうちに、寺院を破壊すると。" 
"本当に?"
"え?" 
"本当に?"
"でなきゃ、殺されるまでだ。"
"新しい政府を作ったら、思いのままだぞ。"
"羊を手放してしまったから、新しい羊が欲しい。"
"羊飼いを雇って、世話をさせる。"
"俺は、寺院で祈りたい。心ゆくまで祈る。ローマの旗やローマ兵のいない寺院でね。"
"そのほかに何を?"
"先生に従うよ。はりつけ以外はね。"
"意気地なしさ。その訳を?"
"はりつけにされた2日後の姿を?目玉は、カラスにつつかれて、なくなる。足は、野良犬が食いちぎる。"
"よせよ。"
"決心がつかないなら、今のうちに帰るがいい。"
"俺は、平気だ。"
"先生。皆と、色々、話し合ったのですが、伺いたいのです。エルサレムに着いたら、天使の出迎えが?先生。"
キリストは、無言で、肩を組む。また寺院へ至る。変わらぬ賑わい。
"ユダヤの王だ。ユダヤの王だ。"
キリストは、熱狂的に迎えられる。キリストは、驢馬に乗り、進む。
"ユダヤの王イエスを、皆で讃えよう。"
キリストたちは、屋台を次々と、破壊する。
"神よ。あなたの御心に添っている事を。力の残っているここで、命をお召しください。"
"私は、世界に火を放つためにやって来た。預言者ヨハネは、神の訪れが近いと、警告した。その警告は、遅過ぎた。神は、ここにいる。私が神だ。私は、すべての者に、洗礼を施す。With fire. "
聴衆は、雄叫びを上げる。武装した兵士たちが、群衆を取り囲む。
"さあ、先生に続こう。"
反応がない。
"彼らは、待っています。"
"命令を。"
"私も待っています。十字架でなく、今、ここで死を。"
"早く。殺されますよ。"
"死にたいので?"
"語り掛ける時です。早く、彼らに言葉を。Do it."
キリストの両手の平から、血が噴き出す。
"ユダ。助けてくれ。私のそばから、離れないでくれ。"
キリストは、ユダに支えられながら、来た道を引き返す。兵士が、制圧を始める。
キリストは、人混みを離れ、寺院の地下通路の奥に休む。
"ほかの道があれば。だが、これしかないのだ。私は、十字架で死ぬ。"
"死なせません。"
"ほかに道は、ないのだ。神と人間を一体にするためには、私が死ぬほかないのだ。私は、罪を贖う生け贄だ。君がそこに導く。"
" No. I can't. "
"君の約束は?私が、革命の道から、一歩でも外れたら、私を殺すと言ったよ。"
" Yes. "
"私は、その道を外れた。"
"ええ。" 
"約束どおり、私を殺すのだ。"
"神の意志なら、神に頼め。"
"君を通して、神がなさるのだ。寺兵が、私を捜し、捕らえようとしている。彼らに、私は、ゲッセマネにいると言うのだ。私は、死ぬのだよ。だが、3日後に、I come back in victory. 見捨てるな。私に、力を与えてくれ。"
"あなたは、師を裏切れるか?"
" No. だから、神は、私に易しい仕事を。十字架だよ。"
ユダは、目を覆い、泣く。
雷が鳴る。
"ほかの弟子には?"
"今夜、話す。"
夜の祝祭。人々は、楽器に合わせ、掛け声を発する。沐浴をする人々。羊の血が、捧げられる。キリストたちは、屋内で、夕食の席を囲む。
" Listen to me. このパンを、皆で分けるのだ。これは、私の体だ。"
パンが、手から手にわたる。
"このワインも、杯を回せ。これは、私の血だ。こうして、remember me. "
最後にパンに、ワインを垂らす。ユダは出て行く。
"どこへ行く?"
"止めるな。All of you 話す事がある。"
キリストを追う者たち。
"ここで、待て。"
キリストが、現れ、地面に座る、
"天なる父よ。地なる父よ。目に見えるあなたの世界は、美しい。だが、目に見えないあなたの世界も美しい。分かりません、どっちがより美しいのか。"
砂を、手で掬う。
"これも、私の体。一緒に召してください。父なる神よ。お力を。私は、あなたに従った。私を選んでくれと、お願いした事はありません。あなたの奇跡は、前にもある。モーゼの前に、紅海を開き、ノアを救われた。エリヤは、炎の車で、天国へ。なのに、私には、十字架につけと。もう一度、お尋ねします。どうしても死を?ほかに道は、ないのですか?あなたの差し出す杯でも、飲めません。お願いです。杯を引っ込めてください。父よ。お願いします。父よ。"
弟子が、杯を差し出す。
"これが、お答えですか?"
弟子は、杯に一口、口を付け、キリストに渡す。
"分かりました。"
"力をお与えください。"
キリストは、杯をあおる。
追っ手が、眠っている。
"1時間も待てずに、居眠りを?Sorry. "
男たちが、起きる。
"もういい。手遅れだ。"
ユダが、兵士を連れて、現れる。
"お迎えに。"
キリストにキスし、抱きしめる。弟子が、兵の耳を削ぐ。
"よせ。早まった事をするな。"
キリストは、耳を拾い、元の耳に戻す。
"私を連れてゆけ。I'm ready. "
▶︎ゴルゴダの丘
キリストは、ローマ領主の前に、引き出される。
"お前が、ユダヤの王か?"
"王ではない。"
"ナザレのイエスだろ?"
" Yes I am. "
"王で、Meesiar と呼ばれている。奇跡を起こすそうだが、良い魔術か、悪い魔術か?私にも、見せてもらえぬかな。お前の手品とやらを。"
"私は、仕込まれた動物でも、魔術師でもない。"
"残念だな。ユダヤの政治家に過ぎぬ訳か。だが、お前は、高僧どもより、危険な男だ。返事をしろ。何か言ってみろ。All right. 民衆に、どんな話を?"
"民衆に?"
" Yes. "
"預言者ダニエルが、幻覚を。黄金の頭と銀の肩を持った彫像だ。腹は青銅、脚は鉄。だが、足は土。石を投げたら、土の足は崩れ、彫像は倒れた。"
"それで?" 
"石を投げたのは、神だ。私は石。ローマは。"
"ローマは、彫像。"
" Yes. "
"お前の言う王国が、ローマに取って代わるのか。その場所は?"
"私の王国か。それは、この地上のものではない。"
"なるほど。君は、人の暮らしでなく、人々の考えを変えたい訳だ。"
"殺し合いでなく、愛が、この世を変えてくれる。"
"どっちにせよ、ローマには危険だ。世の中の秩序にも。愛も、殺し合いも同じだ。我々は、世の中が変わる事を、望まないのだ。この先は、分かっているな。ゴルゴダの丘が、待っている。3,000の髑髏が、転がっているよ。"
"警備兵。"
"あそこの髑髏の数を数えると、教訓になるよ。いや、無駄だろうな。"
キリストは、兵士3人がかりで、なぶられ、ムチ打たれる。イバラの冠を被せられる。頭から、血が滴る。キリストは、やつれた姿を晒される。抗議の群衆が、押し寄せる。
"あんた、あいつと一緒にいただろ?"
"人違いだよ。誰か、ほかの奴だ。"
"いや、確かにお前だ。"
"何を言う。言いがかりだ。"
"弟子の1人だ。とっ捕まえろ。"
キリストは、十字架の横棒を、両肩に担ぎ、歩む。あざける人。下を向く者。
ゴルゴダの丘に着く。既に磔刑に処せられた骸。髑髏が、転がる。
"止まれ。"
十字架が組まれる。
"母上。マグダラ。どこにいる。母上。お許しを。悪い息子でした。"
女の方に、歩み寄るが、連れ戻される。十字架に結えられ、楔を打ち込まれる。
"父よ。私をお守りください。"
女は、嗚咽を漏らす。十字架が、建てられる。ほかの磔刑者が、悲鳴を上げる。確かにマリアもマグダラも見ている。
"父よ。彼らをお許しください。"
丘に風が吹き、砂埃が上がる。
"父よ。なぜ、私をお見捨てになるのですか?"
音が消える。
少女が見上げている。
" Who are you? "
"あなたを守る天使よ。神は、慈悲の神。懲罰の神ではないわ。神は言われた。行って、彼を救え。彼は、もう十分に苦しんだと。アブラハムは、息子を生け贄に。でも、ナイフを下ろす瞬間、神が止めた。そういう神が、自分の息子を殺すと思う?あなたを試されただけよ。神は、あなたの血など。夢で死を見させ、人生を全うさせてやろうと。" 
"あの苦痛は?本物だった。"
"もう終わりよ。十分に耐えたわ。"
少女が、荊冠を外す。楔を抜き、穿たれた穴に、口付けする。キリストは、十字架にいない。少女の手を取り、丘を降りる。
"私は、生け贄では?"
"いいえ。もういいのよ。"
"私は、meesiar では?"
"いいえ。そうではないわ。"
"あの人々は?"
"振り返らないで。前を見て、人生を歩むのよ。"
"弟子たちは?"
"皆、ran away. "
"ここが、私の説いた神の世界なのか?"
" This is the earth. "
"前と違っている。"
"あなたが変わって、本当の美が見えるのよ。地と心の調和がある神の世界よ。信じられないでしょうけど、私たち天使も、地上の人を羨ましいと思うわ。"
▶︎マグダラとの日々
2人は、山の上から、緑の山々、大地を眺める。白い装束をまとった一団が、山裾を歩いている。
" What's that? "
"結婚式よ。"
"誰が結婚を?"
" You are. " 
オリーブの葉の冠をいただいたマグダラが、キリストに歩み寄る。
"どうした?なぜ、泣いている。" 
"神よ。感謝します。あなたが戻った。"
マグダラは、キリストに抱きつく。
厩。
少女は、外で待つ。マグダラは、キリストの身体を拭く。マグダラは、キリストにキスし、2人は互いを求める。
"子どもを。私たちの子どもを。"
まぐわう2人の傍に、天使が控える。マグダラは、子どもを宿す。
マグダラは、木の実をむく。突然、扉が開き、すぐさま閉じる。厩に、光が差し込み、マグダラは、微笑む。
キリストは、マグダラに額づき、泣く。
"マグダラ。"
" Where are you going? "
天使が尋ねる。キリストを斧を持ち、出て行く。
"誰を殺すの?神を?神を殺すの?やめて。もう何をしても、無駄よ。God killed her. 神が、彼女を..."
キリストは、叫び、斧を何度も地面に振り下ろす。
"彼女は、幸せのうちに死んで、永遠の命を得たわ。愛する人の死も、目にする事がない。私は、神が彼女を殺すのを、見ていたのよ。"
"間違っている。殺すなんて、神は、間違っている。"
"神は、あなたを生かしたのよ。彼女の命を召した事は、不満なの?神を信じて。この世界に、女は、1人しかいないのよ。多くの顔を持った女よ。一つが死ぬと、一つが生まれる。マグダラは死んでも、ラザロの妹マリアは、生きている。彼女は、違う顔のマグダラよ。彼女の胎内には、あなたの息子が宿っているわ。Come with me. "
町の石造りの門。
" Messiar は、こうして来るのよ。世代を超え、男と女が愛し合い、息子が、また息子を生む。そして、彼が来る。"
" I understand. "
"マリア。Look. "
黒衣のマリアとマグダラが、洗濯物を干している。
"先生、本当に、あなたなの?"
"本当に、生きておられるわ。" 
" Come in. "
天使に呼び掛ける。
" Here. " 
"一つだけ言わせて。マグダラは、残念だったわ。これからは、離れずにあなたを守ります。あなたが、迷わぬように。"
" Come inside. そのお友達も、食事を。"
キリストは、膝の上で、マグダラと手を重ね、抱擁する。

子どもが遊ぶ。キリストは、木を削る。天使が尋ねる。 
"私にご満足?何か不満は?"
"ないよ。考えると、恥ずかしい。"
"何が?"
"多くの過ちを犯した。神に、多くの間違った願いを。"
キリストは、壁にもたれ、休む。マグダラがやって来る。
"マリアは?" 
"夕方まで、戻らないわ。Come inside. ここは、暑いわ。Inside. "
"この世の女は、1人よ。行って。"
キリストは、腰を上げる。

子どもも成長し、新しい息子も生まれる。キリストたちは、町を行く。
"弟を見ていろ。神に感謝して、食べるんだよ。すぐ、戻る。"
"彼の話を。"
"この私も、罪人だ。嘘をつき、盗みを働き、賭け事をして、淫売を買い、人を虐げ、拷問して、殺した。そう。殺した。"
男が、演台に立ち、訴える。
"モーゼの掟を破った者を、嬉々として、殺した。それを楽しみ、得意満面だった。それが、神の意志に適う事で、なすべき事と思っていた。私は、高僧に、ダマスカスの粛清を命じられた。ダマスカスに近づいた時、一条の白い光が、稲妻のように、私を打った。目のくらむ光だ。そして、私は、一つの声を聞いた。サウロ。お前は、なぜ、私を迫害する。なぜ、私に逆らう。私は、尋ねた。誰だ。その声は、答えた。I'm Jesus. 彼は、私の目を開いてくれた。私は、赤子のように、粛清すべき町に導かれ、神の遣わしたアナニヤが、私の肩に手を置き、目を開くと、洗礼を受けていて、パウロになった。私は、ナザレのイエスの事を、君らに伝えたい。彼は、マリアの子でなく、神の子だ。彼女は、virginで、天使ガブリエルが、彼女の胎内に、神の種を入れ、イエスが生まれた。そして、彼は、我々の罪を、贖ってくれたのだ。彼は、拷問され、磔にされた。だが、その3日後、彼は、死者の中から、立ち、天に昇った。死を征服されたのだ。神に栄えを。その意味が分かるか?彼は、死に勝ったのだ。我々の罪は、すべて許された。そして、今、神の世界は、すべての人に開かれたのだ。"
"君は、甦ったナザレのイエスを見たのかい?君のその目で?"
" No. だが、光に打たれて、声を聞いた。"
"嘘だ。"
"弟子も見た。弟子が隠れていた屋根裏に、現れた。"
"嘘だ。そんな話は、嘘だ。"  
" Wait a minute. あんたと話がしたい。"
"私は、磔など知らない普通の男だ。"
"やめて。"
"なぜ、嘘を?"
"あんたは?"
"マリアとヨセフの息子で、神を説いた男だ。ピラトに捕らわれたが、神が救ってくださった。"
"違うね。"
"私に起こった事を、私が知らないと言うのか。今は、平凡な男だ。仕事と子ども。人間として、初めて人生を楽しんでいる。出鱈目を触れて回るのは、よしてくれ。" 
"待てよ。それで、満足か?ここにいる人々を見ろ。彼らの顔を見ろ。不幸と苦労が、刻まれている。彼らのすがる希望は、Jesus だけだ。あんたが、誰だろうと、Jesus は、世を救ってくださる。"
"嘘で、世が救えるもんか。"
"私は、人々の信仰から、真実を作った。世のためなら、あんたを十字架に掛け、何度も甦らせるよ。"
"私が、皆に、真実を話すぞ。"
"いいとも、話すが良い。誰が信じる?今更、取り消せるものか。かえって殺されるよ。"
"馬鹿な。"
" How do you know? 人々は、神を欲しているのだ。神は、彼らを幸福にする。死ぬ事すら、幸せだと思わせる事ができる。すべてChristのため。ナザレのJesus Christのため。神の子で、messihr. あんたのためには、誰も死なないよ。会えて良かった。これで、頭から消せる。私のJesusは、もっと偉大な人だ。ありがとう。会えて良かった。"
キリストは、家族の元に戻り、子どもを抱き上げる。
"いつまでも、一緒に。I'm happy. " 

年老いたキリスト。
"これは、私とマリアが、一緒に植えた葡萄だ。"
"皆、過去のものに。"
"お前も、私から去って行くのか?"
"皆、先へ進むのよ。あなたは、年老いた。いい人生だったわ。私にも、あなたにも。"
悲鳴がする。
"家の中へ。殺されるわ。エルサレム中が、燃えている。ローマ人に殺されるわ。"
黒煙が上がり、人々が、逃げ惑う。
キリストが横たわる。マリアと天使たちが、見守る。弟子たちが、入って来る。
"どけ。呼ばれたのだ。"
キリストは、目を見開く。
"神が、あなたの所へ行けと。死の床にあると。"
"ペテロ。お前か。見違えたよ。変わったな。"
"老いたのです。" 
"老いたか。老いても分かる。老いても、お前は、分かるよ。ナタナエル。羊を持たぬお前は、最高の羊飼いだった。"
"お久しぶりです。"
"お前は?その傷は?顔に傷が。誰かね。ヨハネ。"
"先生。ローマ人に拷問されたのです。あなたの事を、話し伝えようと。しかし、エルサレムは燃え、契約の箱も、寺院から盗まれました。"
"あなたの預言どおり、寺院は破壊を。"
"聖櫃は?"
"誰か外にいる。用心を。まだ怒っている。ユダ。"
"ユダ。入れ。Do you hear me? 君に会いたかった。"
"彼は、口を聞きません。"
"エルサレムで、闘っていたのです。彼の手は、血で汚れています。"
"ユダ。先生が話し掛けている。"
"裏切り者。"
"あんたの場所は、神が定めた十字架の上だ。あんたは、死を恐れて、逃げ出し、普通の暮らしに、身を隠した。我々は、務めを果たした。臆病者め。"
"先生に何て事を。"
"こいつが?"
"分かっておらぬ。"
"分かってない?先生。哀れな人だ。あんたに会った日を呪う。世界は、手中にあった。あんたは、私に何と?私を、腕に抱いて、言った。私を裏切って、私を十字架に掛けてくれ。私は、蘇り、世界を救うだろう。私は、生け贄の羊だ。死は扉だ。兄弟ユダよ、恐れずに扉の向こうへ。I love you so much. だから、裏切った。なのに、あんたは、ここで、what are you doing? この女や子どもたちは、何だ。神と人間は、違う筈だ。なぜ十字架を逃げた。"
"傷から血が流れている。これ以上、責めるな。"
"新しい秩序になるべき人が、国を滅ぼした。"
"お前は、分かっていない。天使が現れたのだ。神が、私を救うため、天使を。"
"天使だと。どこに?あれか?"
少女を指差す。炎。
"悪魔だよ。"
炎から声が。
"また会うと、言ったろ。"
"ただの人間で死ぬのか?あんたは、父なる神に背いた。生け贄も救いも、あるものか。"
キリストは、ベッドから降り、全身を使って這う。
"もう諦めろ。"
悪魔の声。
"お前は、こういう生き方を選んだのだ。もう終わりだ。お前の人生は、終わったのだ。人間として、死ぬのだ。"
キリストは、外に這い出る。町には、火が放たれ、人々が逃げ惑う。
"父よ。聞いてください。聞こえますか。身勝手で、不幸な息子の声を、お聞きください。あなたに呼ばれた時、私は、傲慢にも逆らい、息子になる事を拒否した。お許しください。努力が、足りなかったのです。父よ、あなたの手を、お与えください。人々を救いたいのです。今一度、あなたの胸に。私をあなたの息子として、迎えてください。その代わり、喜んで十字架に着き、蘇ります。私をMeesiar にしてください。"
十字架上のキリスト。
"これで、成就されました。"
"成就されました。"


以上、書きかけ

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