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一人勝手に回顧シリーズ#マーティン・スコセッシ編(4)#キング・オブ・コメディ/野心あるコメディアン 

【映画のプロット】
▶︎ルパート・パプキン
"皆さん。ジェリー・ラングフォード・ショーです。ゲストは、トニー・ランドール。リチャード・ドレイファス、ロドニー・デンジャーフィールド、Dr. ジョイス・ブラザース。演奏は、ルー・ブラウン・オーケストラ。Say hello to ジェリー。"
ジェリーが、ステージに現れる。
"こんばんは。客席の皆さん。ようこそ。皆さん、ルー・ブラウンと彼の楽団です。エド。How do you, tonight? 眠るなよ。"  
ルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)は、ジェリーの番組を制作するスタジオに向かう。番組が終わる。
"サイン帳を貰うよ。"
パプキンも、スタジオ前の雑踏に加わる。
"このサインは、ミア・ファーローだ。"
"この混雑じゃ、無理だな。"
"ルパート。"
"リチャード・ハリスとバーブラを交換しないか?"
"アラン・アルダはどうだ。"
"サインなんか、興味ない。"
"かっこつけないでよ。"
"お前らとは、違うんだよ。ほっといてくれ。"
扉が開いて、警護に先導され、ジェリーが、出て来る。車に乗り込む。車に忍んでいた女が、ジェリーに抱きつく。
"ジェリー。私よ。愛しているわ。"
ジェリーは、外に逃れる。パプキンが、車に近寄り、中の女を覗く。
"押さないでくれ。押すな。"
中の女は、若い。ウインドウに両手を突く。中の女に、警備が、飛びかかり、パプキンは、大声を上げる。
"皆。下がって。ラングフォードさんを押し潰す気か?"
女性ファンたちが、ジェリーにすがる。 
"私の手紙、読んだ?"
中の女が、引きずり出される。代わりにジェリーが、乗り込み、人波からジェリーを庇っていたパプキンも、車に乗り込む。 
"突然で、済みません。是非、あなたのアドバイスを。すぐ降ります。話を聞いてください。"
"君は、勝手に人の車に乗るのか?"
"命懸けで、あなたを守ったんです。怪我も。"
" Go ahead. "
車は、パプキンも乗せて、走り出す。ジェリーは、怪我の手当用に、ハンカチを渡す。
"頭文字だ。" 
" Yes. "
" My name is ルパート・パプキン。初耳でしょうが、僕には、大切な名前です。"
パプキンは、思うように言葉が出ず、腕をせわしなく動かす。
"落ち着いて、話したまえ。"
"僕は、何度も、楽屋口に通いました。僕は、これでもnature of comedianがあります。うんざりでしょうが、本物の才能です。保証します。でなければ、こんな真似はしません。才能があれば、芽が出ている筈だ。いい質問です。訳をご説明します。チャンスの到来を、待っていたんです。あなたは、病気のジャック・パーの代役で、チャンスを得た。あれを見て、僕は、決心しました。僕も、コメディアンになろう。以来、あなたの番組を見て、あなたの余裕ある語り口を勉強しました。例えば、ジョークのpunch line。さらっと構えがない。僕の話、分かるでしょ?"
"構えたpunch lineは、punch lineにならない。"
" Exactly 僕が、感心するのは、そこです。僕は、学び、心の準備が出来ました。今、ここに座っている。これが、僕のbig chanceかも知れない。What do you think? "
"名前は?"
"パプキン。"
"芸能界は、crazy business だが、世間並みのルールがある。この世界でも、経験がものを言う。月並みな言い方だが、皆、下積みからスタートする。"
" Yes I am a bottm. "
"それでいい。"
"そう言っても。"
" TVの前の観客は、我々の芸を、簡単なものと思っている。息を吸うのと、同じだと。実際は、何年もかけて、築き上げた芸だ。"
"それで、問題があるんです。僕は、34歳で。だから、あなたに芸を聞いて貰って、あなたのご意見を。"
"こうしよう。私の事務所に電話を。"
" Yes all right. "
"秘書のキャシー・ロングが、時間をアレンジする。"
"この会話を、夢見ていました。"
"夢のとおりかね?"
" Yeah. "
"君は、本物だ。少々内気だが、克服すればいい。"
車は、目的地に着き、パプキンを降ろす。
"頑張りたまえ。"
"感謝します。会えて、本当によかった。ジェリー。侘しい懐ですが、そのうち食事でも一緒に。"
"スケジュールの都合がつけば、いつか。"
" OK. OK. Thanks. ジェリー。僕のpride&joyの写真です。"
取り出したカードには、ドレッシングのprideと洗剤のjoyのイラストが描かれている。
" That's good. "
" Take you. 使えるネタです。必要ないかな。ジェリー。真面目な話、昼飯を奢りますよ。" 
" Call my office. "
" OK. ジェリー。You are prince. "
パプキンは、自宅に入るジェリーを見送る。手には、血の付いたハンカチ。

"昼食を付き合ってくれて、感謝しているよ。忙しい体なのに。"
パプキンとジェリーは、一緒に昼食をとる。
"それが友達だよ。"
"君も疲れているようだ。"
" I know.  The show. 視聴率を横目に、同じ顔のゲストに同じ質問。I can't enjoy anymore. "
" That's worst. " 
"頼むよ。もう一度、考えてくれ。"
"またその話か。勘弁してくれよ。"
"考えるだけだ。いいだろ?"
"考えているよ。昼も夜も、考えている。"

"僕は、昼飯に招かれた。君の魂胆は、分かっている。否応なく、押し付ける気だ。Right? "

"6週間、番組を代わってくれ。6週間だ。"

"それだけは、勘弁してくれ。6週間も番組を持つなんて、冗談じゃない。無茶を言うにも、程がある。Impossible. Impossible. 分かるだろ。"
"夜中に、何をしているの。"
" It's impossible. 僕を泣かせたいのか。"

"代役は、君しかいない。just 6週間だ。"
"パプキンさん。サインを。"
" Yeah. What's your name? "
"ドロレス。" 
"僕の親父の名だ。偉大な才能の理解者ドロレスへ。" 
" Thanks mr. "

"ルパート。誰と話しているの。"
" Mam. Please 黙って、ほっといて。"

昼食に同席している絵描きが、2人の似顔絵を見せる。
"よく描けているが、一つ、気に食わない。君の方が、でかい。"
" Give me a answer. "

"分かったよ。6週間代われば、いいんだろ。You are happy now? "

" Tough man. "
"それが、芸能人だ。" 
2人は笑う。

パプキンは、一人で、大声を上げて笑う。母親が、心配そうに見ている。

ジェリーは、豪華なマンションに帰宅した。TVの映画に、目をやる。一人で、食事をとる。電話が鳴る。 
" Hello. "
" Hello. マーシャよ。私の手紙を読んだ?車の座席に、手紙を置いたのよ。引きずり降ろされる前よ。あの男たち、やり方が荒っぽいわ。"
" How did you get the number? "
" Don't be anger. "
"この番号をどこで?"
女が何か言うが、電話を切る。

ある夜。パプキンは、バーに入り、カウンターに陣取る。 
"元気か?リタ。"
"どなた?"
"思い出せよ。"
"ルパート、ルパート・パプキンね。"
" Right. ささやかなプレゼントだ。"
1輪のバラを渡す。
"思い出したわ。相変わらずロマンチストね。"
バラを、一輪刺しにいける。
"花にもアスピリンを。"
"最近は、何を?"
"相変わらず、美しいな。"
"これでも、昔は、チアリーダー。"
" You know 僕は、美人コンテストで、君に投票したんだぜ。今だから白状できる。"
"お互いに、大人になったのよ。"
"若い時は、言いたい事が言えずに、15年経って、やっと口に出せる。その時は、もう遅い。人生って、皮肉だよ。"
" I guess. "
"ここで、幸せかい?"
"ほかにいい所でも?"
" Maybe. "
"どこに?"
"今夜の予定は?"
"今夜の予定?"
" Yeah. 何がおかしい?"
"デートを申し込むのに、15年かかるの?"
パプキンは、笑う。 
" Really. "
2人は、レストランで向かい合う。
"済みません。お代わりを。" 
"君のfavorite movie starは?"
"なぜ?some kind of game? 私の性格占いでも?"
" Tell me.  Everybody has a favorite movie star. "
"言わないと、ここを出られないのね。マリリン・モンロー。"
"待って。"
冊子をめくる。
"タレント登録帖?"
モンローのサインを見せる。
"『荒馬と女』の宣伝に来た時のサインだ。彼女の最後の映画だ。大女優ではないが、喜劇の才能は、本物だった。美しい女は、悲劇的な死を遂げる。だから、君が心配だ。"
リタは、サイン帖をめくる。
"バート・レイノルズ、メル・ブルックス。彼は、笑わせる。抜群だよ。シド・シーザー。僕のひいきの一人だ。ウディ・アレン。彼は、友達だ。"
"でしょうね。"
"本当だよ。アーニー・コヴァックス。素晴らしいコメディアンだった。惜しい役者だった。"
"売ると、金になるわ。"
" Oh yeah. 特に、これは貴重だ。"
パプキンは、ページをめくる。
" What's this? "
"当てて。"
"みみずのサイン?"
"大スターほど読みにくい。"
"言えてるわ。誰なの?" 
" R is a first letter. "
"誰なの?I'm tired. "
"ヒントだ。"
パプキンは、流し目の顔を作る。
"レッドフォード。"
" No. No. ルパート・パプキン。ルパート・パプキン。"
リタが凍りつく。
"驚いたか?" 
千切って、渡す。 
"贈り物だ。Take care that. 数週間で、価値が出る。"
"あなたは、変わってないわ。"
"数時間前、誰と話をしたと思う?Guess. " 
"精神科医?"
"やられたな。No. ラングフォードだよ。あのラングフォードが、僕の後押しをしてくれる。まだ秘密だが、僕が、new king of comedy だ。笑う事ないだろう。代償を払えば、何でも可能だ。考えられぬ事が、起きる世の中だ。彼の番組に出られる。全国ネットの番組だぜ。昔は、一生かかったのに、一夜で有名人。トップに躍り出て、自分のショーを持つ。ルパート・パプキン・ショー。その先は、ハリウッドだ。マリブの別荘、NYのペントハウス。てっぺんから、下を見下ろして、叫ぶ。ざまみろ、俺は、やったぜ。Com'on. What do you say? "
"素敵よ。そうなるように、祈るわ。明日、仕事があるから、失礼するわ。"
"なぜだ?今の生活から、逃げたいんだろ。キングには、クイーン。君は、僕のクイーンだ。"
リタを、タクシーで、家まで送る。
"いい所に、住んでいるね。"
"上着をありがとう。上がって、コーヒーでも。"
"やめとくよ。そんな下心は、ない。"
"何が目的なの?"
" What? "
" What do you want? "
"僕の目的?まだ分からないのかい?I love you. 君の生活を、変えてあげたい。手始めに、ジェリーと3人で、食事でもしないか。いい考えがある。週末に、彼の別荘に行こう。"
"私なんか。"
"何を言う。ジェリーは、very nice guy. 心配するな。自分を低く見ては、いけない。You are wonderful person. さあ、行って、寝るといい。ゆっくり休めよ。OK? "
" OK. "
" Good night. すぐ寝るんだよ。"

" Hi. ライザ。元気そうだ。ジェリー。立たないで、そのまま。" 
ライザとジェリーの書き割りに挟まれて、パプキンは、一人で喋る。
"公演ツアーから、戻った時の君は、なぜか、格別に美しい。若返って見える。そう思いませんか?皆さん。"
拍手する。
"君も元気そうだ。ジェリー。ひがむ事はない。"
パプキンは、大声で笑う。
"君には、負けるよ。冗談が、上手い。I love. I love. You are wonderful. 君のいない世は、闇だ。"
"ルパート。早くしないと、バスに遅れるよ。"
"聞いたか?行かないと、バスに遅れる。ジェリー。Take care yourself. Baby リオでの成功を。"

"ダニエル・ローラン映画社"
" Good morning. ルパート。"
" What time is it? "
"10Oclock. "
"10Oclock. 電話を借りていいかな。"
"市内でしょうね。手短に頼むわよ。"
" Hello. ジェリー・ラングフォードを。こちらは、パプキン。Thank you. ジェリーは、いるかい?パプキンだ。Please. ルパート・パプキン。Yes. 僕の名を言えば、すぐ分かる。分かった。こっちも、ミーティングの最中だ。お世話様。また後で。"
"あのジェリー?"
" See you. "

タイムズ・スクエア。
"ジェリーを頼む。パプキンだ。ルパート・パプキンだ。ジェリーを。スペルが分からない?P-U-P-K-I-N. 間違えないでくれよ。ジェリーにそう言えば、すぐ分かる。I see. I see. 僕は、後1時間半、オフィスにいる。Nunber is J L521. "
ルパートの後ろに、電話空き待ちの行列が出来る。
"電話が、かかって来る。待ってくれ。"
"全部、故障だ。電話をかけたいんだよ。おい、待て。俺が、先だ。"
電話待ちが去り、パプキンは、電話がかかって来るのを待つ。
パプキンは、ジェリーのオフィスを訪ねる。
"ジェリーを。"
" Your name please. "
"ルパート・パプキン。"
"ルパート?"
"パプキン。P-U-P-K-I-N. 間違えないで、くれたまえ。"
"パンプキンという方が、ラングフォードさんに。"
"秘書は、面会のお約束がないと言っています。面会のお約束がないと。"
"正式の約束は、していない。電話しろと言われて、寄ってみた。電話したんだが、話し中で、通じなかった。"
"秘書に、ご用件をお話しください。"
受話器を渡される。
" Hello. Yes. 夕べ、ジェリーから、出演を頼まれた。Yes. No sure. "
電話を切る。
"待てと。"  
パプキンは、受付の前で待つ。天井を、しげしげと見る。受付も、天井を見上げる。
" Is that cork? "
" I don't know. 何か落ちて来ます?"
" No. 模様を眺めていた。cork は、音を吸収する。ここは、静かだ。"
" Receiption 戻るのは、1時間後よ。外で、ミーティングよ。" 
"ピプキンさん?"
女性職員が、やって来る。
"パプキン。" 
" Sorry. キャシー・ロングです。"
" You are? "
"トマスの助手です。プロデューサーの。"
"ジェリーと、番組出演の話をして、連絡するように、言われました。"
"あなたの専門は?"
" Stand up comicです。"
"出演先は?"
"今は、新しいネタの仕込みを。"
"出演先が、決まったら、連絡を。担当者を見にやらせて、検討します。"
"ジェリーの話と違う。まだ芸は、見せていない。"
"テープでも?"
"勿論、いつでも用意します。すぐ届けますよ。ネタを盗まないでくださいよ。"
"これでいい。See you again. お世話様。"
オフィスを出たパプキンに、先日、ジェリーの車に潜んでいた女が、声をかける。
"ルパート。ジェリーは、車の中で、私の事、話した?"
"話したのは、俺の事だ。話す訳がない。あんな真似をする女だ。"
"何よ。偉そうに。"
"破廉恥もいいとこだ。"
"破廉恥?よくそんな事が、言えるわね。私が車にいたから、あんたは、彼と話せたのよ。"
"ここは、彼のビルの真ん前だ。君といるところを見られたくない。チャンスがふいになる。君の顔は、2度と見たくない。"
"酷いわ。彼に渡して。"
"お断りだよ。渡したきゃ、自分で渡せばいい。"
"意地悪言わないで。"
"君は、彼と個人的に親しいと自慢していただろ。"
"今までの恩を仇で返すの?"
"何だと?君が俺に何をした?"
"毎晩、喫茶店で、コーヒーを奢ったわ。"
"馬鹿言え。自分で払った。"
"一度も、払っていないわ。"
"金で買えないものは、どうだ。楽屋口の場所を、君に譲ってやった。俺が、8時間立って、確保した場所だ。君は、すぐ彼のそばに、行けた。ジェリーのレコードも、君にやった。家賃も払えないのに、ただで、譲った。俺の家はウサギ小屋。君の家は、豪邸。呆れた女だ。"
"分かったわ。お金を払うわ。退屈なjokeを、我慢して聞いてやったのに。900ドルあるわ。これを彼に渡して。"
"分かった。これが、最後だ。" 
"渡してよ。渡さなかったら、バレるのよ。ジェリーを、追っかけて確かめるわ。Remenber that. 何見てんの。阿保面並べて。"
パプキンは、家に帰り、プレゼン用のテープを、吹き込む。
"まず、Miss ロングに感謝します。このテープを彼に、渡してください。ジェリー。あなたの厚意に、心から感謝します。一度、大スターの座に就くと、下積みの者を、無視しがちです。挫折を味わい、心が歪んでいるスターたちです。あなたは、大スターだが、人間味を失っていない。話し出すと、キリがありません。では、ルパート・パプキンのすべてを。あなたの時間を取らぬよう、工夫しました。introです。目を閉じてください。午後6時、あなたは、舞台の袖にいる。ルー・ブラウン・オーケストラのテーマ音楽。ジェリー・ラングフォード・ショーです。ゲストは、リチャード・プライアー、ベン・ギャザラ、キャロル・バーネット、そして、TV登場初のcomedianルパート・パプキン、new king of comedy. "
"ルパート、何しているの?Com'on. 真夜中だよ。静かに。困った子だよ。"
" Ma---m. "
" Take it easy. 音を下げて。"
"録音の最中なんだよ。"
"いいから、音を下げて。"
" Now, あなたのmonologueがあって、僕の出番が来たら、こう紹介する。新しいking of comedyに、温かいご声援の拍手を。ルパート・パプキン。Good evening ladies&gentlemen. My name is Pupkin. ニュージャージー州クリフトン産の芋。同郷の人は、いるかな?"
笑う観衆の書き割りの前で喋る。観衆は、笑い続け、大袈裟な身振りを交え、パプキンは喋り続ける。

ジェリーのオフィス。
" Mrピプキン。"
"パプキンです。"
" How are you. 例のテープを。"
" Right here. "
"聞かせていただいて、連絡しますわ。"
" Thank you very much. ジェリーの暇な時に。Thank you いつです?"
"明日、私に電話を。"
"tomorrow? "
" Tomorrow otherwise Monday. "
" Monday. 待ちます。今日、暇が出来るかも知れません。"
"無駄ですわ。早くても、明日でないと。"
" That's really all right. 無駄では、ありません。僕には、重要な事です。"
"多分、月曜日になるわ。"
" Monday? 待ちます。僕は、構いません。"
"明日、お電話を。結果を知らせます。"
" Tomorrow? What time tomorrow? "
"4-30. "
"4-30?I'll be here. Thank you. "
" You are wellcome. "
"彼によろしく。Good bye. " 
ジェリー。
"人間は、一生に一度、天才になれる。君の場合は、一度ではない。天分が溢れている。君は、天才だ。こいつがそれを証明している。その才能から、逃れる事は、できない。私は、君の才能の秘密を知りたい。君の芸を、盗む積もりは、ないんだよ。どうやって、技術を磨き上げたのか。How do you it? "
"僕は、自分の人生を見つめて、嫌な事、腹の立つ事を、笑い飛ばします。それだけです。出だしが、少し弱かったかな。"
"何を言う。あのパンチは、大したものだ。完璧だ。"
"ある男が、こう言った。Listen me. Listen to me. 名文句だ。俺が、その場でいただいたよ。壊れていないものを、いじくるな。君がうらやましい。I hate you. 君の芸は、純粋だ。独自のユーモアがある。"
パプキンの首をつかみ、激しく揺さぶる。
"見事だ。本当だ。君に、嘘はつけない。"
今度は、パプキンの顔をこねくり回す。どうだ。this weekend, 別荘に、泊まりに来ないか。色々、話し合って、勉強したい。客が来るが、構わんだろう。"
" It sounds grace. 伺います。"
" Wonderful. "
" Bring somebody? "
" Young lady? "
" Very special young lady. "
" Ofcourse. I like to meet. "

タクシードライバーが、声を掛ける。
"ジェリーじゃないか。本物か?"
"裸になろうか?"
"番組を見ているぜ。出演したい。"  
"おととい、来てくれ。"
建築工事現場で、作業員たちが、歓声を上げる。
"待って。信じられない人よ。"
"ジェリーね。切らないで。サインお願いできます?" 
" Yeah. "
"あなたって、最高。この国の誇りよ。この電話で、私の甥に一言。入院しているの。"
" I'm sorry. "
"何さ。ガンになるが、いいわ。" 
車に潜んでいた女が、ジェリーを追う。ジェリーも気付き、後ろを振り返り、走り出す。ジェリーは、オフィスに逃げ込む。パプキンが、ビルに入って行く。
" Hi, how are you? "
" Not bad. "
" Good. I'm fine. "
" Can I help you? "
"ジェリーに面会を。"
" You are..."
"ルパート・パプキン。"
" Mrポトキンです。That's right OK. すぐ来ます。" 
" Who's that? "
" Missロングよ。"
" Oh. ジェリーに会いたい。"
"彼女に話して。"
" OK. ここで待つ。"
TVの中のジェリー。
"今夜は、ゲストのルパートのために、この番組で、初めての趣向を、お目にかけます。ミステリー・ゲストの登場です。どうぞ。"
初老の眼鏡を掛けた男が入場する。
"これが、ミステリー・ゲスト?"
" This is a mystery guest. "
"待てよ。当ててみる。"
"お忘れかね?ジョージ・キャップだ。"
" Hi school principle. Oh how are you? 高校で、落第点を取ったのは、この人のせいだ。"
"成績が悪かった。"
" Thank you. "
"今は、治安判事で、結婚式が専門だ。"
ウェディングマーチが流れる。
"ジェリー、何の真似だ。"
"驚くのは、まだ早い。皆さん。King&queen of comedy の結婚式です。"
出演者同士ハグする。ピアノが演奏され、花嫁姿のリタが入場する。
"ルパートが、クリフトン高校に在学した当時、校長の私はおろか、教師も生徒も、今日ある彼を、想像だにしませんでした。我々は、浅はかで、君は、正しかった。そこで、我々は、今夜、全国民の前で、謝罪の意を表したいと思う。君に対して行った事を、許して貰いたい。我々は、全員、心から、君に感謝する。君は、我々の人生に、意義を与えてくれた。リタ、ルパート。君らに、末長い幸せを。君らの未来に栄えあらん事を。婚礼の儀式を行う前に、CMを。"

"パプキンさん。"
" How are you? "
" Fine. "
" Good. "
"あなたのテープ、拝聴しました。ずばり言って、光るものをお持ちです。いい才能をお持ちなので、正直に言います。"
"お願いします。正直に。"
"もう少し、勉強を。時期を待つのです。いいjokeもあり、パンチの弱いjokeもあります。"
"つまり、感心できない訳だ。"
" That's right. "
" Good. Good. すぐ直します。そういうご忠告は、助かる。"
"間の取り方も、文句ありません。"
" Thank you. "
"後は、勉強を続けて、生のお客の前に、立ってみる事です。クラブもある事ですし、出演の時は、連絡を。うちの者を、見にやらせます。"
" Thanks. "
" Bye bye. "
" Missロング。I ask a question. "
" Yes. "
"彼の意見ですか?"
"彼は、部下を信用しています。" 
"失礼な言い方ですが、僕は、あなたの判断を信用しません。"
"そう思われても、結論は、変わりませんわ。"
"僕は、そう思いません。"
"何とでも、ご自由に。忙しいので、失礼します。"
"ジェリーの帰りは?"
"彼は、夜まで、戻りません。いいですか。結論は、先ほどのとおりです。仕事が取れたら、必ず拝見します。All right? Bye. "
" Good bye. "
パプキンは、また受付の前に座る。
"まだほかに面会を?"
" No. It's all right. 待つよ。待ちすぎて、相手の名を、忘れてしまったよ。"
"外でお待ちを。ここは、待合所ではありません。"
" I understand. " 
警備担当がやって来る。
"出て行かないのよ。"
" Who's name? "
"パンプキン。"
" Hi. "
" Hi. " 
"ラングフォード社の警備主任だ。外へ出て、話そう。君のか?" 
" Yes. I'm waiting ジェリー。"
"外で話そう。"
"彼と約束がある。"
"話は、外で聞くよ。それを持って。この会社の規程を説明しよう。OK? 会社には、色々規程がある。業務を、スムースに回転させるためだ。Right? まあ、私の話を聞きなさい。OK? 規則を守らないと、業務に支障が生じる。分かるね?"
"パッファーさん。" 
"お先に。調べたが、あんたは、面会の約束を取っていない。社則によれば、我が社に籍を置く社員と、業務上の取引を行う者だけが、社屋に入る事を許される。"
"出て行けと言うんだな。"
パプキンは、表の木陰で、休む。サンドイッチを食う。
" Well 渡してくれた?"
例の女。
" What? "
"私の手紙よ。"
"彼は、外出している。OK? "
"頼みがいのない人ね。もういいわ。ほかの人に頼むわ。"
"外出中だぜ。"
"戻るのを見たわ。"
" Oh. "
"ジェリーよ。事務所にいるわ。" 
"そんな筈はない。外出中だと言っている。"
"信じたの?お人好しね。何も、分かっちゃいないんだから。"
"いるのか?" 
"そうよ。行ってみたら?粘らなきゃ、駄目よ。"
ジェリーは、またオフィスに乗り込む。
"ジェリーに会いたい。" 
" I'm sorry. He is not in. "
"彼は、戻っている。連絡を。" 
" I'm sorry. He is not in. " 
"クビにしてやる。いいな。"
" You, too. "
パプキンは、勝手にオフィスに入り込む。
ジェリーの部屋に入る。ジェリーは、いない。 
"そこで、何しているの?Mrパプキン。"
パプキンは、構わず、ほかを探す。
"警備員。"
パプキンは、警備員に追われる。 
"いたぞ。"
"腕を押さえろ。外へ連れ出せ。"
"ジェリー。ジェリー。"
"無駄だよ。"
"後悔するぞ。弁護士が連絡する。"
"いつでもどうぞ。"
"ジェリーに報告するぞ。"
"俺から、伝えとくよ。"
"よく聞けよ。今度、顔を見せたら、警察を呼ぶぞ。"
" Thank you. Thank you very much. "
女が、すかさず尋ねる。
"手紙は、どうなったの?"
"渡すよ。"
"表に放り出されて?"
"放り出された?変な事を言うなよ。表に、送ってくれたんだ。もう一つ聞かせてやる。週末、別荘に招かれた。"
"連れてって。"

パプキンとリタは、電車で別荘に向かう。
"私、どう?" 
" You are wonderful. "
"これは?" 
"まあ、いいだろう。素敵だ。カツラは、必要ない。"
"私に、似合わない?"
" No. You look wonderful. "
タクシーは、別荘に到着する。
" Hello. "
" Hellw 君がジャノーだね。"
" Yes. "
"ルパート・パプキンとリタだ。ご主人に。"
"お約束で?" 
"約束はない。飛び込みの客だよ。部屋は、別々でいい。" 
"主人は、留守です。"
"ゴルフだろう。"
" Yes. "
"100を切れるかな。" 
"出直してください。"
"待っているよ。"
"主人は、留守です。"
"いいんだよ。待たせて貰うよ。いい家だ。" 
"食事の席は、一人よ。" 
"リッチだ。"
管理人は、ジェリーに電話する。
"旦那様。申し訳ありません。実は、2人連れのお客様がお見えで、名前は、パンプキンとか。お知り合いで?"
"彼と時間の約束を?"
"しなかった。僕らが、一番乗りだ。"
"執事は、驚いていたわ。" 
"ジェリーは、忙しい。伝え忘れたんだ。"
" Really? さすがね。"
管理人。
"ゴルフの事も知っています。週末を過ごす気です。Yes. 早くお戻りを。家中の物をいじっています。私の心臓がもちません。"
"ジェリーと一日道化師に選ばれた子ども。番組でのレイ・チャールズ。"
パプキンは、飾られた写真を指差す。
"有名な写真だ。12歳の彼。番組に、昔の知り合いが、送って来た。ジェリーは、大喜び。皆に、見せて回った。" 
"静か過ぎるわ。お葬式みたい。"
"そいつは、まずいよ。人の家で、勝手が良過ぎる。" 
"踊りましょうよ。"
"馬鹿言うなよ。"
"踊るぐらいいいでしょ。"
"彼が、戻る。彼が戻ったら、何と思う。"
"あんたの友達でしょ。"
2人はダンスする。管理人が、見ている。
"家の中を見たいわ。"
リタは、階段を上がる。
"リタ。行くのはよせ。リタ。よせったら。あいつらが、見ている。勝手な真似は、よせ。" 
ジェリーが戻る。
"何をグズグスしている。何分待たす気だ。奴らは?"
"何なら、警察に、すぐ電話を。"
"ジェリー。Hi ジェリー。2階を見せて貰ったよ。リタ。ご存知のジェリー。リタを紹介するよ。早く来いよ。何か飲もう。ここは、暑い。冷たい飲み物でも。ジェリー。勝手に悪かったが、リタには、初めての経験だ。これも、有名税の一つだな。ゴルフは?100を切ったかい?"
"留守だと、言ったんです。"
"そのとおり。いい連中だ。時刻表を調べて、早い電車で来た。テープはここだ。いつでも始められる。ほかの連中は?"
"誰の事だ。" 
"また冗談を。ほかの客だよ。実は、腹が減った。"
"逮捕されたいのか。"
"聞いたか。勿論、僕らは、場違いな人間だ。上手い事を言う。さすがだ。逮捕か。上手いjokeだ。友達を、週末に招待して、留置場に送り込んだ。いいね。最高だよ。"
パプキンは、高らかに笑う。
" What's matter? まず、これを片付けよう。"
"ここへは?"
"玄関から入った。当たり前だ。"
" How did you get here? "
"怒っているのか。テープを置いて、失礼するよ。日が悪かった。昼頃戻って来よう。"
"君は、頭がどうかしている。" 
"ジェリー。言っておこう。リタに、そんな口は利かせない。たぶん冗談だろう。そういう男だ。"
"出て行けと言われているのよ。"
"違うよ。ジェリー。違うと言ってくれ。"
"タクシーを。タクシーが来る。乗って、帰りたまえ。"
"誰か、外出を?"
" You are. "
リタは、小さな置物を、バッグに入れる。
"怒らせたのなら、謝る。僕が、未熟者のせいだ。テープを聞くのは、30分。午後は、寛げるよ。"
"この家から、出て行け。今すぐだ。お分かりか?"
" I understand. あんたは、疲れている。テープを置いていく。感想を聞きたい。"
"彼は、出て行けと言っているのよ。"
"そうは、言っていない。"
"済みません。私は、関係ないんです。あなたを知っていると言うので、つい信じて。こんな赤恥をかくなんて。"
"リタ。リタ。余計な事を。彼女は、酒場の女だ。"
" OK. Com'on. Com'on. "
"済みません。" 
"早く出て行け。"
"テープを聞くぐらい、いいだろ。たかが、15分だ。" 
"私には、私の生活がある。OK? "
"僕のは?" 
" That's not my responsibilty. "
"電話をしろと。"
"追い払う口実だよ。"
"口実?そうか分かった。"
"そう言わなきゃ、付き纏われる。"
"間違ったよ。"
"ヒットラーもな。"
"これが、有名人の正体だ。よく分かった。"
"幻滅か? Right. "
"騙された。"
"これが、私だ。"
"よく分かった。"
"さっさと帰ってくれ。Good luck. "
"最後に、もう一言。お陰で、勉強したよ。You know that. 俺は、もう誰にも頼らない。You&anybody. "
" Right. "
"もう一つ言っておく。俺は、あんたの50倍努力して、50倍有名になる。"
"イカれたファンも50倍だ。"
" That's right. Com'on リタ。Good bye. ジェリー。" 
"ドアをロックしろ。"
"お見事です。"
" Thank you. "

パプキンは、女の運転する車に乗り、拳銃をもてあそぶ。
"本物かみたい。"
"そこが、狙いだ。"
"彼か?" 
" No. 彼に似過ぎているわ。本物は、違うのよ。" 
"随分、待たせるわね。まだなの?彼よ。"
"彼だ。ゆっくり。"
" OK. "
"このままゆっくり。"
車は、ジェリーを付ける。
"レーンを変えろ。信号がある。大勢歩いているな。よりによって、人ごみを。"
"一人になりたくないのよ。"
"なぜだ。教えて貰おうじゃないか。"
"つっかからないでよ。"
"君は、彼の事を知っている。教えてくれ。学びたい。"
" All right. 人ごみを歩くと、安全に思えるのよ。"
"それだけか。さすがだ。止めろ。"
パプキンは、ジェリーの前に回り、拳銃を向ける。
"乗るんだ。さあ、早く。"
" What are you doing? "
" Hi ジェリー。"
車を出す。
ジェリーに目隠しをして、座らせる。
"彼女は、拳銃を構えている。手荒な真似は、したくない。計画どおりに行けば、12時半には、ここを出られる。遅くとも1時15分だ。プロデューサーに電話しろ。"
"誰に?"
"バート・トマスだよ。電話はここだ。彼を呼び出して、教えるとおりの事を話せ。OK? 言われたとおりにしないと、面倒な事になる。外すぞ。明るくなるから、その積もりで。"
ジェリーの持ち物を点検する。バー状の飴。
"あんたのか?"
" Yeah. "
"一つ貰うよ。君は?"
"後にするわ。今は、手が離せないのよ。"
" Do you want one? "
" No. "
"一つ貰うよ。これも緊張をほぐす一つの手だ。こういう状況でも、友情を分かち合う穏やかな瞬間がある。"
パプキンが、文字の書かれた紙を、腹の位置に構える。
" I have a gun. "
"さあ、行くぞ。Get off the phone. 本気だぞ。"
ジェリーは、電話をかける。
"バートを。ラングフォードだ。"
" What happend? "
"切った。"
"かけ直せ。なぜ切る。"
"悪戯電話だと思っている。"
"そいつは、皮肉だ。あんたまで、そんな扱いを受ける。俺は、毎度、そういう目に遭って来た。自業自得だな。"
"オードリー。ジェリーだ。バートを。Quickly. "
"マティノ。おふざけは、やめて。Good bye. "
"よく聞け。私だよ。バートにつなげ。これは、悪戯じゃない。"
"ラングフォードさんです。"
"こっちから、かけ直すと言え。"
"声帯模写のマティノだ。"
"伝えるんだ。ぐずぐずするな。" 
"どうしても話したいと言っています。"
" OK. "
電話を取る。
"マティノ。"
"バート。ジェリーだ。Deep trouble. Pay the best attention. "
"聞いてるよ。何だと?Wait a minute. Ask a question. カメラマンのあだ名は?"
"彼のあだ名は、ヘレン・ケラーだ。好きな模様は、格子縞。" 
" ヘレン・ケラー。一体、何の話だ?"
"悪戯電話対策だよ。本物の私かどうか、合言葉で確かめる。答えられなければ、偽物だ。"
" I understand. "
"バート。Listen carefully. I HAVE A GUN AT MY HEAD. IF A MAN WHO IDENTIFIES HIMSELF AS THE KING. " 
" card upside down. "
" IS NOT ALLOWED TO BE THE FIRST GUEST ON "
" blanc card. 待ってくれ。キュー・カードを読んでいる。" 
" TONIGHT' S SHOW YOU'LL NEVER SEE ME. もう一度。ALIVE AGAIN. 文法は、間違っているが、意味は分かる筈だ。"
"よく分かった。いいか。馬鹿な真似をするなよ。"
"私は、大丈夫だ。要求どおりに頼む。"
電話を切る。
"5時に、彼に、電話してくれ。言うとおりにする。"
"偉いぞ。よくやった。"

"ちょっと、回ってみて。"
"よく似合うわ。後は、袖を付ければ、出来上がり。" 
女が、編みかけの赤いセーターを、ジェリーに合わす。
" What do you think? "
"とてもいいわ。"
"サイズも思ったとおりだったわ。色も最高。カジュアルな感じよ。この感じがいいのよ。いつも堅すぎるわ。"
"もういいだろ。似合って良かった。本当だよ。よく似合う。"
"赤を選んで良かったわ。彼に、ぴったり合うわ。"
"脱がせろ。"
" What? "
"時間だ。"
"このまま着せといて、いいでしょ。"
"脱がせるんだよ。"
バート。
"会議中は、分かっている。こっちは、急用だ。早くしないと、押しかけるぞ。もういい。そっちへ行く。"
ジェリー。
"なぜ、テープを聞かなかった?"
"人が、苦労して仕上げたのに。数分も割けないのか。"
"それが、原因か。今から、事務所に行って聞こう。"
"そんな手に乗るものか。俺は、馬鹿じゃない。"
"私を誘拐したんだ。君は、利口だよ。"
"ジェリー。一つ言っておこう。友情は、一方通行じゃない。Do you know that? あんたは、冷たい。"
"いつまでこうしているの。何とかしてよ。喋ってないで、何とかして。"
"君だって、セーターを。"
"あの時間は、1分よ。"
"彼に、話がある。"
"あり過ぎよ。いい加減にして。少し、黙っていて。手が痺れて来たわ。いい加減にして。喋り続けているわ。ここは、私の家よ。ジェリーは、私のお客よ。分かっているの?服を着替えて、番組に出るんでしょ?誰のお陰だと、思っているの。"
"俺は、セーターの話を聞いてやったぜ。袖付け、色、俺が、何か言ったか?"
"あれは、ジェリーに編んだのよ。"
"この計画を考えたのは、俺だぜ。なぜ、テープを聞かなかった?"
"あの番組を持ってみれば、分かる。ストレスの連続だ。正常な頭を保てなくなる。多分、君の言うとおり。私が悪かった。君にapologize. 私も、ただの人間だ。悩みを持つ弱い人間だ。番組への責任、ファンの群れ、無能なスタッフ。彼らの無能ぶりを考えると、明日が心配になる。毎日を薔薇色にするためのやまのような不安。そういう生活が、楽しいと思うかね。それでもなお、私を責めるなら、素直に、謝ろう。君が許すなら、握手して、今日の事は、忘れよう。君は、重罪に問われるとこだが、告訴しない。"
"出鱈目言うな。"
"本当だ。皆には、冗談だったと言うよ。私が、そう言えば、皆は信じる。君のテープを聞いて。"
"そのまま。座っているのよ。" 
"聞いたか。"
"銃が怖くて、友達づらしているのよ。口先だけよ。"
"そうなのか。"
"自分から、罠に飛び込むの?"
"そうなのか。"
"私を信じてくれ。私が命令すれば、皆は、黙って従う。逮捕はさせない。本当だ。名誉にかけて、誓う。嘘だと思うなら、このままでいい。信じるなら、自由にしてくれ。"
"誓っている。"
"それで?"
"それで?"
"それだけだ。名誉にかけて誓う。それで不足か。"
" I'm sorry ジェリー。"
粘着テープで、椅子に縛り付ける。
トニー。
"録画終わって、そいつが吐かなかったら?11時半が来たら、そのまま放映するのか。"
"兎に角、録画して、後で消せばいい。録画から、手がかりが得られるかも。無論、放送はさせない。"
''馬鹿な。ジェリーが、殺されるぞ。"
"興奮しないで、話を聞いてくれ。7時に録画撮り。11時半の放映までに、態度を決める。その間の猶予は、4時間。何とかラングフォード氏を救出する。"
"私は、君らを告訴する。君ら全員を告訴する。"
"弁護士だよ。"
"私を知らんのか。私は、弁護士だ。"
"誰を告訴する気だ?"
"君だよ。君を告訴する。"
"事態は、深刻だ。冷静に話そう。理性を失うと、悪い結果が生じる。"
"誘拐事件だぞ。この世で、最も愚劣な犯罪だ。誘拐に、弁護の余地はない。精神錯乱、出来心、そんな理由が、成り立つか。誘拐するのは、大馬鹿者。君らも大馬鹿者だ。"
パプキンは、身なりを整える。
"ジェリー。俺は、出掛ける。12時半には、自由になれる。くつろいでいてくれ。いいな。Bye. "
トニーたち。
"犯人は、営利誘拐犯か、テロリストか。"
"テロリスト?What means terrorist? "
" TVで、暗号文を読み上げて、全国の仲間が、50人の人間を殺す。"
"馬鹿な。いいか、兎に角、その男を録画して、内容に問題なければ、そのまま放映する。議論するまでもない。トーク・ショーの10分より、人間の命の方が、大事だ。"
パプキン。
"電話局です。"
" Hello. How are you, today. トマス氏へ、料金受信人払いの長距離です。" 
"トマスさん。長距離電話です。"
"話を引き伸ばして。"
" Who is this? "
"キングの代理の者だ。"
" Aha. 約束の時間どおりだ。"
"勿論。我々は、punctual. 手短に話したい。"
"その前に、ジェリーの声を聞きたい。"
"彼は、いない。逆探知は、無駄だよ。今のは、機械をセットした音だ。"
"待つよ。確かめたいのだ。彼が、無事かどうか。"
"彼の持ち物を持って行く。それで、満足して貰おう。"
"だが、何の打合せもせず、番組に出られては。"
"バート。そう呼ぶよ。内容なら、心配ない。どこからも文句は出ない。" 
"放送には、倫理規程がある。マスコミに漏らすなよ。観客は、足止めする。今夜、番組が、全国に流れたら、家に帰す。ではよろしく、後は、そっちに任せる。Thank you very much. Nice to see you. "
"そっちの手に乗るもんか。"
マーシャの家。監禁されるジェリー。蝋燭を沢山ともして、食事の準備。
"今夜は、思い切り、向こう見ずな事をしたいわ。あなたに話したい事が、山ほどあるのよ。これどう?クリスタルよ。あなたのために、買ったの。いいデザインよ。あなたが、気に入らなければ、こうするわ。"
グラスを床に落とす。
"昼間、よく思うのよ。例えば、お風呂に入って、こう考えるの。ジェリーも、お風呂に入っているかしら。どうか、おぼれませんように。あなたの事が、絶えず心配なの。色々、空想するわ。あなたのゴルフに付いて行くの。今度は、パターで打つ?それともアイアン?私、ゴルフは駄目。一度、パパとしたけどね。I love you. 両親にも言わない言葉よ。両親も、私に言った事は、ないわ。I
 love you. ワインいかが。No ok. 私も要らないわ。私が、欲しいのは、あなたよ。テーブルの上で、どう?寝室に行くのは、月並み過ぎるわ。テーブルを片付けるのよ。驚いた?私だって、初めての経験よ。男性を、食事に招いた事もないのよ。今夜は、そうしたいの。ダンスして、レコードをかけ、I'll be black. 最高でしょ。できれば、ティナ・ターナーになりたいわ。部屋中を踊り回るの。"
ジェリーの番組を見に、押しかける人々。
"本日の司会 トニー・ランドール"
"作家のクラレンス・マケイブだ。家内と、田舎から出て来た両親。" 
"お名前を調べます。"
"今夜のゲストだ。"
"見当たりませんが。"
"Mの所に、ある筈だ。"
"見ましたが、ありません。"
"変だな。Missロングから、聞いていないのか。彼女から、私の本の事を?6時10分前だ。化粧する時間がなくなる。" 
"今夜は、特に、入場者のチェックが、厳重でして。著書は、『絶滅するシベリア虎』。Missロングに電話を。"
"それは、できません。リストにない方は、入場できません。それが、ここの規則です。"
"彼女に話す。"
勝手に、中へ入って行く。警備員と揉める。それを横目に、パプキンは、スタジオに入る。会場に、徐々に観衆が入る。
"クラレンス・マケイブ。"
"私だ。"
"本名か?"
"言うならば、私の名だが、本名ではない。ペンネームだ。私は、作家だ。『絶滅するシベリア虎』の著者だ。ソ連に2年、中国に2年住んだ。"
"ソ連と中国へ?"
"共産党員だと言うのか?"
パプキンが、スタジオを覗く。
" Hello. I'm king. "
" What? "
" King. "
"陛下。"
" King. "
" Oh yes. お部屋はあちらです。玉座を準備いたしました。紋章も。"
"責任者は?" 
"ディング氏。とんがった鼻の男だ。"
" Missロング。パプキンです。お元気ですか。"
" Mrパプキン。ここで何を?"
" I'm the king. お分かりですね。Mrトマスは?"
マーシャ。
テーブルの料理を、手で払う。マーシャは、愛の歌を歌う。ジェリーの膝に、腰を下ろす。
パプキン。
" FBIのゲリティ部長だ。What's your name? "
"ルパート・パプキン。"
"本名を。"
"パプキン。本名です。"
"ジェリーの居所を聞かせて貰おう。"
"あんたは?" 
"私の助手だ。こっちは、市警察のバーク刑事。"
"番組の担当者を。"
"その前に、ジェリーの居所を。"
"担当者が先だ。"
"居所を教えたら、会わせてやる。"
"ジェリーは、死んだよ。"
"トマスを。"
"私がトマスだ。"
" Yes. 初めまして。"
"電話は、君かね。"
" Yes. あなたは、ジェリーとも話をした。ジェリーのハンカチです。僕の血です。ご心配なく。"
"これは?"
"僕の紹介文句です。このとおりに紹介を。" 
"登場する時の文句か?" 
" Yes it is. "
"君の台本は、あるかね?"
"暗記しているので、ありません。"
"台本をチェックしたい。猥褻な文句があると、抗議が殺到する。"
"大丈夫です。その心配は、無用です。I garanty. "
"観客は、11時半までここに。"
"彼の要求どおりに頼む。" 
"かけて。言い渡しておく。この瞬間から、君には黙秘権がある。Understand? 君の発言は、法廷で、不利な証言となり得る。Do you understand? "
" I understand. "
"君は、ジェリーを誘拐したのか?"
"しました。僕が誘拐を。"
"所在を知っているのか。"
" Yes I do. "
"案内してくれるか。" 
"断る。"
"君に言っておこう。君は、法の下に、逮捕された。"
"では、僕は、メイクを。"
"メイクか。メイクをしてやれ。"
"紫色にしてやろう。"
"時間がない。"
"悲しいお知らせです。"
"これは、何だ。"
"そのとおりに、読め。"
"台本作家は、局の手で、銃殺刑に処せられました。笑えるか?つまらんネタだ。" 
"悪い事は、言わんよ。そのとおりに、頼む。"
"ディレクターは?"
"ティッシュを取れ。"
"カードは、早くめくってくれよ。"
マーシャ。
"今夜は、ハメを外すわ。馬鹿騒ぎをするのよ。楽しむわ。精神科医を驚かせてやる。君は、ハメを外せない性格だ。君は、自制心を持っている。今夜は、思いっきり騒ぐわ。思い切った事をするのよ。最高だわ。楽しいわ。本当よ。私は、楽しみに生きる女よ。楽しいわ。こんな気持ちは、生まれて初めて。アメリカ人の大好きなお楽しみを見せるわ。"
マーシャは、服を脱ぐ。
"皆さん、ジェリー・ラングフォードショーです。今夜の司会は、トニー・ランドール、ゲストは、シェリー・ウィンタース、トニー・ベネット。演奏は、ルー・ブラウン・オーケストラ。Say hello to トニー。"
"皆さん。こんばんわ。悲しいお知らせです。実は、今朝、私の台本作家が、銃殺刑に処せられました。したがって、私のお喋りは、ありません。そう喜ばれては、困る。その代わり、変わった趣向を用意しました。未来のカードを。新星です。芸能界は、明日の風も分からぬ世界。人気を決定するのは、皆さまがた。しかし、今夜、ご紹介する最初のゲストは、世間を騒がせる事、必至の才能の持ち主。ご紹介します。The newest king of
comedy. ルパート・パプキン。"
"皆さん。こんばんわ。私の名は、ルパート・パプキン。"
マーシャとジェリー。
"キスさせて。"
"マーシャ。テープを切ってくれ。テープを切れ。"
パプキンは、拍手に送られ、控えに戻る。
"なぜ、こんな事をしたのか、説明してくれ。"
"何時だ。" 
"11時5分前。"
"出掛ける時間だ。ジェリーが、気の毒な事になるぜ。行けば、分かる。"
"何が分かるのかね。どこへ行く。"
"約束だ。ある所へ行って。"
"何の約束だ。"
"そういう約束だ。ある所へ行って、ある事を済ませば、ジェリーを無事に返す。"
"分かってないな。君は、逮捕されている。彼の居所を吐かせる。"
"無理だね。"
" I understand. "
マーシャとジェリー。
マーシャが、テープを剥がす。
"大急ぎで、剥がすわね。"
"助かるよ。マーシャ。"
" You are right? "
" Fine. "
パプキンは、刑事らとマーシャの家に戻る。
"あんたたちが、一緒に入るとまずい。ここで、待っててくれ。一人で入る。"
"逃げたら、撃つぞ。"
"分かっている。I promis. 俺と関係ないふりをしてくれ。"
マーシャは、ジェリーの手の拘束を取る。ジェリーが、銃に手を延ばし、マーシャを撃つが、モデルガンと知れる。ジェリーは、マーシャに近寄り、マーシャは後ずさる。
"ジェリー。待って。"
ジェリーは、ビンタを食らわし、逃げる。
"ジェリー。待って。"
マーシャは、下着姿で追い掛ける。
パプキンは、リタのバーに入る。
"何の用なの?"
パプキンは、カウンターに上がり、TVのチャンネルを変える。
"何をする。見ているんだぞ。"
"皆さん。ジェリー・ラングフォード・ショーです。"
" Just a minite. Just a minite. "
"何するの。" 
"友達か。"
"迷惑な友達よ。"
"心配するな。面倒は、かけない。"
"最初のゲストは、世間を騒がせる事、必至の才能の持ち主。ご紹介します。newest king of comedy. ルパート・パプキン。"
" Good evening, ladies&gentlemen. Let'me introduse myself. My name is ルパート・パプキン。ニュージャージー州クリフトン産の芋。同郷の人は、いるかな?いなくて良かった。両親は、貧乏で、僕に子ども時代を買えなかった。貧乏だが、どん底生活では、なかった。どん底になると、隣町に追放される。両親は、僕を育てかけたが、途中で、嫌になった。欠陥品として、病院に突っ返した。それでも、お袋のお陰で、何とか育った。もし、母親が生き返ったら、Hey mam まださまよっているの?君らに、お袋を見せたかった。金髪、美人、インテリ、アルコール依存症。一緒に牛乳を飲んだ。お袋のは、酒入り。スピード違反で、捕まった。場所は、ガレージの中。血液検査では、血液の割合2%。僕とお袋は、よく冗談を言い合った。お袋は、笑い転げ、いつも吐いた。掃除するのは、親父じゃない。親父は、角の酒屋で、吐いていた。僕は、吐くのが、大人のしるしだと思っていた。よその子は、こっそり隠れタバコ。僕は、こっそり指を喉の奥に。一生懸命練習したが、上手く行かない。親父にみつかって、どやされて、思い切り、腹を蹴飛ばされた。親父の新しい靴の上に、どばあっ。やったぞ。やっと大人になれた。親父が、僕に注意を払ったのは、この時だけ。後は、妹のローズを相手に、公園で野球。その練習のせいで、妹のローズは、たくましい男に、成長した。僕は、スポーツが苦手。友達に殴られるのが、唯一の運動。殴られるのは、毎週火曜日。学校の時間割に、組み入れられた。僕を殴ったら、1点貰える。僕を殴ろない弱虫には、こう言った。さっさと殴れよ。卒業できないぞ。全身骨折で卒業した小学生は、僕が初めてだ。子どもの頃から、僕が興味を持ったのは、芸能界。トップを狙った。つまり、サイン集め。Wondering why ジェリー is without tonight? 彼は、縛られていて、来れない。僕が、縛った。嘘ではない。芸能界に入るための手段だ。ジェリーを誘拐した。ジェリーは、今、椅子に縛られている。笑って貰って、I appreciate. 出た甲斐が、あった。君らは、僕がイカれていると思うだろう。でも、どん底で終わるより、一夜のking となりたい。Thank you. "
ジェリーは、街頭のTVで、大袈裟な身振りで訴えるパプキンを見る。パプキンは、バーのTVのチャンネルを切り替える。
"楽しんだか?見てくれた皆に、1杯奢るよ。釣りは、君に。"
"ジェリーの所へ。"
"有名になっても、君を忘れないよ。必ず連絡するよ。" 
パプキンは、刑事らに連れて行かれる。
"あいつ、TVに出ていた男だ。Same guy. "
"この野郎。あのジョークは、何だ?あれを書いた奴を探し出して、一緒にしょっぴきたいよ。"
"書いたのは、俺だ。俺は、よく書けていると思う。"
"本当なら、一つ、忠告しよう。判事の前に出たら、覚悟するんだな。まあ、見てろよ。"
"前代未聞のデビューです。ルパート・パプキンというコメディアンが。ルパート・パプキンの名は、一夜にして、全米に知れ渡りました。局の推定によれば、番組名を見た人の数は、8,700万人。"
"誘拐犯であるking of comedyに、本日、懲役6年の判決が下りました。ラングフォードを誘拐し、事件から1年後の本日、パプキンは、記者団と会見し、ジェリーは友人で、恩人だ。彼は、刑務所で、自伝を書き綴り、某出版社が、100万ドルを超える金額で、出版権を入手。" 
"彼は、2年9か月目の本日、仮出所。数100人のファンが、群がって、37歳の彼を、出迎えました。ベストセラーを続ける彼の自伝は、来秋、映画化が決定。"
"服役中に、芸を磨いた彼は、各方面からの出演交渉を選択し、芸能界に復帰するそうです。"
" Now ladies&gentlemen 待ちに待った話題の人が、登場します。お待たせしました。TV界の輝ける新スターが、戻って来ました。伝説的な名声を誇るKing of comedy. Ladies&gentlemen ルパート・パプキンです。ルパート・パプキンに拍手を。ルパート・パプキンです。Ladies&gentlemen. "
歓声は、終わらない。
【感想】
サーカスの道化師やコメディアンは、何か哀しい。パプキンの芸風は、あまり明らかにされないが、TV出演の際には、自虐ネタを披露する。自分を貶めて、切り売りするコメディアンは、物哀しくメンタルも危機に瀕しよう。パプキンは、変わり者だ。何を考えているのか、分からない。彼の妄想するジェリーが、自分の代役になってほしいと懇願するシーンが、挟み込まれる。パプキンは、TVに出演して、有名になるために、ひたすらジェリーを利用しようとする。己が、逮捕・投獄されることと引き換えに、夢が叶う。

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