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一人勝手に回顧シリーズ#フランシス・F.コッポラ編(5)#ランブルフィッシュ/荒ぶる青春

【映画のプロット】
▶︎ラスティ
手書きの標識"The Motor-Cycle Boy Rejons."
煉瓦の壁に"バイク・ボーイの縄張り" 
ベニーのビリヤード店。
"ラスティ・ジェームズ(マット・ディロン)、ビブが、探してるぜ。"
"隠れちゃいない。"
"殺すと、ほざいている。"
"弱い犬は、吠えるさ。"
"悪いな。ついてないんだ。ラスティ。そのうち、負けてやるぜ。"
" Sit down. "
"始まったな。さかりのついた猿だ。"
"口に気をつけろ。チョコ・ミルクを。どこで、殺そうってんだ。"
"ペットショップの裏の駅構内に、来いとさ。10時に。"
"さあ、飲みな。"
"奴は、1人かな?"
"まさか。"
"敵が団体なら、こっちもだ。"
"皆で行くと、ヤバいよ。面と向かえば、カッカして、組同士の..."
"だが、1人で行きゃ、ズタズタだぞ。"
"乱暴な口を聞くな。静かに話すんだ。"
"行かなきゃいいさ。"
"スティーブは、行くさ。そうだろ?スティーブ、sit down. 組同士の喧嘩は、何年もなかった。"
"怖いのか?臆病な鶏だ。"
"こいつは。"
"勝手だよ。"
ラスティは、相手の手を、力一杯握る。
"来なくたって、いいぞ。"
"行くさ。だが、バイク・ボーイが、喧嘩はよせと。"
"兄貴は、2か月も、行方不明だ。"
"だが、帰って来たら。喧嘩が、知れたら。"
"今いない兄貴の話は、もう沢山だ。帰るとは、限らない。その兄貴を、ボケーっと待つのか、お笑いだ。お前らが、来なくても、ビフは、ぶっ叩く。"
"俺達だって行くさ。だが、喧嘩は、2人でやれ。"
"B・Jは?"
"やるさ。"
"下りろ。"
"ベニー、ごめんよ。"
4人は、待ち合わせ場所に向かう。
"喧嘩はいいよな。昔は、よくやってた。ヤクで組がぶっ潰れる前はだ。兄貴に聞けよ。かっこよかったぜ。" 
"まだ、ガキだったくせに。"
"馬鹿言え。あの頃は、もう11だ。パッカー組の予備軍に入って、毎週、喧嘩してた。"
"病院通いしながら、震えているよりマシさ。"
"兎に角行くぜ。"
"だが、出入りにゃならない。ビフと2人だけでやれ、俺達は、見物する。客がすくなくちゃ気の毒だ。"
下校する女学生達。
"ちょっと待ってくれ。話したい子がいる。パティ。"
"あんた誰?"
"君が夢見るラスティ。"
"うなされる夢ね。What are you dning? ラスティ。"
"今夜、遊びに行く。"
"ダメよ。" 
ラスティは、パティ(ダイアン・レイン)の手を取り、スクールバスの陰で、キスする。
"夜は、母が留守なの。" 
"だから?"
"叱られるわ、男の子だと。"
"引っ込め。"
"初めて聞いた。"
" Have'nt seen you, longtime. " 
"忙しかった。" 
"らしいわね。"
"行ったら、歓迎してくれるだろ?"   
パティは、バスに乗り込む。
"どうかしら?"
" Hey, cragy about me. "
" I am? "
"喧嘩をセットしておいて、女の子とデートか。"
"歩けよ。"
"もし、遅れたりすると、狙われるのは、俺達だ。"
"別れよう。9月半に向こうで会おう。じゃあな。"
スティーブとラスティ。
" What the matter with me? "
" You've got the cigarette? "
"吸わないよ。"
"そうだな。忘れてた。"
" What's wrong? "
"疲れているだけだ。"
"兄貴がいないからか?"
"その話は、するな。スティーブ。2度とだ。What's this? "
スティーブは、メモをとる。
"癖なんだ。"
"やめろ。"
日が暮れ、ビルに灯がともる。ラスティは、パティの家を訪ねる。
" Hi, ラスティ。"
" Hi, ドナ。姉さんは?"
"いるわ。でも、私もよ。"
"母さんは?"
" No. 姉さんだけよ。後で、会ってね。パティ、スティーブhere. "
"やあ、恋人。"
"今夜は、ダメと言った筈よ。"
" What, what, what? "
"今まで、何してたの?"
"俺が何を?何て事ない。なんだかんだで、時間を潰してた。"
"女の子と?"
"馬鹿言うな。女なんか、関係ない。"
"いつも一緒よ。"
ドナが、口を挟む。
"消えろ。"
"話を聞きたいの。"
ラスティは、中に迎え入れられる。
"このおマセ、裏切り者。"
"違うわ。"
3人は、ソファに、並んで座る。
" Have you been? "
"ドナ。"
"ドナったら。"
"分かったわ。"
ドナは、席を立つ。
"よし、行け。"
2人は、キスする。
"まあ。教育に悪いわよ。''
"ドナ、すぐ部屋に。"
"レポートに、書こうかしら。絵入りで。"
"さあ、早く。"
" Have fun. "
"本当に、会いたかった。"
2人は、ソファの上で、抱き合う。
9時半過ぎ。
スモーキー(ニコラス・ケイジ)とB.J.らは、街角で待っている。
パティは、TVのドラマを見やる。
"ラスティ。ラスティ、Wake up. "
" うるさいな。What time is it? 夜か、昼か?"
"夜よ。眠るなんて。10時15分前。"
"いけねえ、10時にビフとやるんだ。"
冷蔵庫を開けて、ビールを飲む。  
"ママが、気付くわ。"
"飲めよ。"
飲みかけの缶を、パティに渡す。
"どうしたんだ?元気を出せよ。"
"喧嘩は止めると。"
"今度が、最後だ。"
"聞き飽きたわ。なぜ、兄さんの真似を。"
"だって、cool だ。"
"ウォームの方が。"
"だけど、兄貴は、smart. "
" You, smart. 口下手なだけ。"
" Yeah? I love you. でも、行かないと。OK? "
2人は、玄関で抱き合って、ラスティは、出て行く。
" See you later. "
" Be careful. I love you. "
ラスティは、スモーキーらと落ち合う。
"遅かったな。帰るとこだ。"
"一言多いぞ。"
" Let's go. "
"人数は?ビフと同じくらい欲しい。"
"見るだけの筈だ。"
"やあ、皆んな。"
"遅いじゃないか。"
" Where were you? "
"パティのとこだ。"
"まあ、いいがね。だが、スティーブは?まだ、来ないぜ。"
"奴とは、長い付き合いだ。"
"ここらで、考え直すんだな。"
"行こう。"
仲間が集結する。
"スティーブは?"
" Maybe late. "
一行は、地下の通路を進む。野良猫。がさがさするホームレス。
"数は、これで、全部だな。"
"いるぜ。"
スティーブが、木の柱を抱えて、待っている。
列車が通り、相手の一団が、並行して歩いている。
"ラスティは?"
"ここだ。"
"覚悟しとけ。"
ビフが、吠える。
"ハイになっている。"
"ヤク中め。"
ビフは、サングラスを外す。
"何を、クズ野郎。
"どうした?かかって来い。メタメタにしてやる。"
"焦るな。"
" Com'on. かかって来い。"
"刻むぞ。"
ビフは、ナイフを取り出す。2人の決闘が始まる。
ラスティは、天井のパイプを掴み、ビフを蹴る。滑車にぶら下がり、中央に戻る。
"ビフのクソ野郎。"
木の柱で、ビフを叩き、ナイフを飛ばす。窓に、叩きつけ、ガラスが割れる。倒れたビフの襟首をつかみ、殴り続ける。周囲でも、小競り合いが、起きる。
そこへ、バイクが、乗りつけられる。一堂、動きを止める。ラスティは、ビフを罵る。
"ゴミ袋。"
モーター・サイクルボーイ(ミッキー・ローク)が、つぶやく。
"どうした?縄張り争いか?"
"やっと帰って来たね。"
"協定は?"
"行くぞ。"
ビフが、板で、ラスティの腹を裂く。
"死んじまえ。ラスティ・ジェームズ。"
モーターサイクル・ボーイは、アクセルをふかし、ビフをバイクで、はねる。
"静かに。"
"じっとしてれば、大丈夫。動くな。"
モーターサイクル・ボーイは、ラスティを抱き抱え、介抱する。
"怒ってる?"
" Don't talk. 任せとけ。"
ビフも仲間に助けられて、運ばれる。
警官に、モーターサイクル・ボーイは、歩み寄る。ラスティとスティーブも、歩み寄る。
"スティーブ、遅かったな。早く、家に帰れ。友達は、選ばんとな。なぜ、舞い戻った?"
" Maybe あんたの面を見たかったのさ。"
ラスティは、スティーブに支えられながら、帰って行く。
"今度が、運のツキかも知れんぞ。" 
▶︎サイクルボーイ
ラスティは、自宅のベッドに、寝かされる。 
"そっと、寝かせろ。血だらけだ。体中だ。"
"そのまま、動かすな。"
" What donna you do? Do something. "
"親父は?"
"外だ。"
" Why don't you help him? "
モーターサイクル・ボーイは、台所で、バーボンを見つける。
" Take a look. "
"さあ、これを飲め。"
" A lot of blood. "
モーターサイクル・ボーイは、傷口に、バーボンをかける。
"染みる。"
" What are you doing? 酷いぜ。"
"医者に診せよう。"
"大丈夫だ。"
"触ると、化膿する。Don't touch. "
" All right. Relax. "
"化膿したら、削るさ。どこへ?"
"カリフォルニアだ。静かに、寝てろ。"
"いい所か?"
" What do you think about Californea? "
"映画みたいなんだろうな。ブロンドの女に、Beach boys, palm trees. ''
" The Oceans は、どうだった?"
"海ヘは、行ってない。カリフォルニアは、広いんだ。"
"そうなのか。海岸ばかりと思っていた。"
" Don't talk so mutch. "
"おい、もうやめろ。"
スティーブの手を払う。
"血が、止まった。"
モーターサイクル・ボーイを評する声。
" He is different. 日焼けのせいかな?カリフォルニアは、日が強いのさ。だろ? 聞いていない。時々、ああなるのさ。色も見えない。21なのに、老けてる。もう年だな。年より老けて見えるんだ。25かそこらに。思うんだけどな、俺も年をとれば、兄貴みたいになるぜ。No way. どうして?訳は、簡単。サイクルボーイは、何を考えているか、分からない。だが、君は、みえみえだ。"
学校の授業。
"ラスティ、聞いてろ。"
壁際の本棚の上に、女が寝そべる。女は、上着のボタンを取り、下着が露わとなる。ラスティは、夢にうなされる。目が開くと、サイクルボーイが、ローソクの明かりで、本を読んでいる。本に挟んだ、幼い頃の兄弟の写真を見る。
"心配してた。もう帰らないかと。"
"ホームシックさ。"
2人の父親(デニス・ホッパー)が、酒瓶抱えて、寝ている。
ラスティは、旋盤を回して働く。棚の上に、下着姿のパティが、寝そべる。ラスティは、目を合わせて、微笑む。
ドナ。
"話せませんと書かされたの。"
母の車から、荷物を運び入れる。
"だって、ソフィアが..."
パティが出て来る。車から、ラスティが、下りる。
"何してるの?ママのタバコなのに。"
"私が、娘の頃は、よく男といい所に。"
" Mother. "
" Hurry up. "
"じゃあ、俺も連れて行く。"
"無理する事ないわ。"
" No,no,no,no. マトカ町の音楽会へ行こう。済んだら、どこか静かな所で、休むんだ。"
"でも、入場料が、大変よ。"
" No,no. 金ならどうにかする。君は、支度だけして、待ってろ。7時か8時に迎えに来るよ。"
2人は、キスする。
"おいで。"
"じゃあ、今夜。"
ラスティは、家に帰る。外付けの階段で、カサンドラとでくわす。
" Hi. "
"どけよ。何してる?"
"可愛い坊や。"
"何の用だ。帰った途端に押しかけて来て。"
"なぜ、そう私を嫌うの?友達になりたいのに。"
"代用教員なんて、虫が好かない。What is this? 同じ本、読んだって、意味がない。You don't know. 兄貴の事なんか、分かってないんだ。"
" I know. "
"大勢の中の1人だ。もう相手にされないよ。"
"じゃあ、嫌われてるのね。終わりね。"
カサンドラは、気を失いかける。
"何だよ。打ったな。ヘロインを。ヤクは嫌いだ。組を潰したからな。俺の彼女が打ったら、腕を折る。"
"腕だけ?彼が、折ってくれたら、嬉しいわ。中毒じゃないの。落ち込んだので、気晴らしに。もう帰って来ないと思ったから。でも、帰ったわ。私のために。"
" No,no,no. You wrong. 帰った理由は、別にあるんだ。"
ラスティは、家に入る。
サイクルボーイが、話しかける。
"可哀想に。体も心も、傷だらけのようだぞ。"
"何か食べようぜ。"
" Why? "
"何だ?"
" Why? 何だじゃなく、なぜ。"
"うるせえな。"
" Why? うるせいじゃなく、Why? Talk to me why. "
"Why・why? "
"なぜ、いつも悩んでいる?"
"分かるもんか。そんな事。"
父親が、酔っ払って帰って来る。
犬に話しかける。
"やい。いたな。"
ドアを開ける。
"お揃いだな。"
"少し、金ないかな?"
"随分、久しぶりだ。"
"昨夜、いたぜ。"
"気が付かなかった。"
"金が要るんだ。"
"やられたのか?"
"ゆうべの喧嘩で。"
"そうか。2人とも変わってる。"
" Right. 親父も、弁護士で、生活保護だ、right? "
金をいくらか渡す。
"弁護士崩れか。旅は、どこへ。"
"カリフォルニア。"
" How was California? "
"面白かったさ。本当に行った。話しようか。" 
サイクルボーイは、酒瓶を取り上げ、中身を捨てる。父親は、瓶を取り返そうと、もみ合いになる。
“こら、やめろ。No more. お袋に似ている。ラスティ、これからは、もっと体を大事にしろ。"
"カサンドラが、ヤク中じゃないとさ。"
"信じるよ。カサンドラを信じないと、後が怖い。"
"トロイは、信じて敗れた。You know me? ギリシャに。"
"ギリシャなんか、関係ないだろう。くそ、ギリシャなんか。I don't care. "
"ジェームズ、頼みがある。ここへ。少しは、口を慎もう。"
" Fuck you というのは、冗談さ。"

ベニーの独白。
"時間ってのは、おかしなもんさ。若い時に、あり余っているのは、時間だけ。だから、2、3年のらくらしても、どおって事ない。平気。だが、年をとると、残りは?35回の夏だ。すぐだ。35回の夏なんて。"

車で、乗りつけた一団の男女は、空き家に忍ぶ。
"スモーキー、さすがだぜ。"
"やっと、見直したか。"
"待ち切れない。"
"男は、どこ?"
スモーキーは、棚から、酒瓶を取り、ラッパ飲みする。絡み合う男女。

ラスティは、学校に遅刻する。
事務職員に話しかける。
"また二日酔い?"
"病気だよ。ほらね。遅刻の許可証頼む。"
"その前に、校長先生が。"
"そうなの。何の話かな?"
"直接、聞いて。"
"また現れたな。"
"娘さんですか?凄くキュートだ。"
"月曜から、隣の高校へ行け。今週一杯は、停学だ。"  
"いいぜ。停学なんて平気だ。友達がいるから、来てやってた。でなきゃ、誰がこんなボロ高校に。こっちから、やめらあ。"
ラスティは、バス停で、パティを待つ。パティは、無視して通り過ぎる。ドナが、ほっぺたにキスする。
"カンカンよ。"
" Hey. どうした?パティ。どうしたんだ?何、カリカリしてんだ。"
" All right. 聞いたのよ。パーティーの事。湖のね。マーシャも行ったから、全部。"
"あんなの何でもないさ。"
" Please. その後、その子は、元気?黒い髪のブスよ。"
"関係ないと言ったろ。機嫌直せよ。"
"最低よ。ほかの子と、寝るなんて。"
"妹に聞こえる。君しか。Com'on. "
"あんたなんか、大嫌いよ。汚らわしいわ。"
"ようし、勝手にしろ。Fuckyou. してないのに。"
"嘘よ。"
"もう、会わないわ。"
"よし、こっちもだ。Bitch. "

"これよりモーター・サイクルボーイの縄張り"
ラスティは、雑貨屋に入る。
"兄貴。何してんだ?タバコあるかい?"
" Yeah. "
"今夜は、パッと遊ばないか。橋向こうの盛り場に出てさ。いいだろ?それ、何だ?"
"俺の写真が出てる。"
"こりゃいいや。記事も付いてるの?"
"いや、旅行中に、写真だけ撮られた。"
"いや、いい写真だよ。早速、皆に見せよう。"
"やめとけ、誰にも言わない方がいい。街中の評判になる。"
" All right. "
"『笛吹き男』になりたくないんだ。近所の変わり者ぐらいの方が、気楽さ。"
"『笛吹き男』の事は、知ってる。皆んな、ついてくるんだろ。もう一度やったら。面白いぜ。"
"じゃあ、聞くが、『笛吹き男』って何だ?"
"兄貴が言ったのに。でも、そいつの話なら、知ってるよ。笛を持ってて、皆が後を付いて行く。"
"笛の音でな。"
"映画で見た。"
"笛を吹くと、川まで付いて行って、皆、飛び込むんだ。"
"だから、兄貴がやれば、probably そうなる。"
"だが、人に付いて来させるには、行く先がないとな。"
サイクルボーイは、店を出て行く。
サイクルボーイは、警官の方へ行く。ラスティが、追う。
"警棒で、殴る気か?"
"彼は、なぜ戻った?"
"暮らしてるからさ。誰だって、暮らす所が、必要だ。"
"だが、場違いだ。"
"家があるんだぜ。分かるか?"
"ははは、サイクルボーイとはな。"
"それが、どうした?"
"彼を知っているのか?"
"なぜ、兄貴がそんなに、憎い?"
"彼の虚像を、ガキどもが、崇めるからさ。ヒーローみたいに。"
"じゃあ、あんたは?あんたの英雄は、あんたなのか?行こうぜ。来いよ。"
空を雲が飛ぶ。1日が終わり、ラスティとサイクルボーイとスティーブは、橋の上にいる。
"この川が好きだね。いい川だけど。"
"海に注いでいる。"
"要らないったら。"
" Take a drink. "
"酷い味だ。"
"気持ちが良くなる。"
"帰る前に、ガムを。よく飲むな。親父さん譲りか。"
"そんなに飲んでないぜ。"
"うちじゃ、親父に知れたら、大変だ。"
夏の縁日。屋台が出て、人々は、音楽に合わせて、ステップを踏む。
"見ろよ。綺麗だ。ボールを。"
ラスティとスティーブは、瓶に玉を投げ入れるゲームに興じる。
♪夢の最中で
 誰かが呼んだ 私の名
カサンドラが、サイクルボーイに近づく。
"また一緒に行ける?"
"今度は、ダメだ。"
"嫌いだよ。"
"でも、楽しかったわ。"
"そうだったな。"
2人は、踊る。 
"ヤク中だ。あんな女、どこがいいのかな?ダメな女さ。行こうぜ。"
"痺れるよ。"
"行こうったら。よう、兄貴。来い。"
サイクルボーイは、一人で、すたすた行く。二人も、付きしたがう。
3人は、雑踏の中を歩く。
"色が綺麗だ。うちの近所とは、大違い。どういう風に見える?"
"耳も遠いみたいだけど、ここの感じは?"
"音を低くした白黒TVみたいだ。"
"赤と緑と茶が、見えないんだろ。"
"昔は、色が見えた気がするよ。ずっと昔だ。子どもだった5つの頃。"
"俺は、いつ大人になる。"
"無理だろ。向こうで、お袋に会った。"
" She is alive? カリフォルニアで?"
ラスティは、不満そうに、通りのベンチに腰掛ける。
"お袋を見たのは、TVだ。バーに腰掛けて、ぼんやりと画面を。アカデミー賞の授賞式で、その客席にお袋がいた。それで、行ってみる気になった。"
”まだ生きてるなんて。"
"会って分かった。なぜ、お袋似だと、親父が言うのか。"
"俺も似てる?"
"映画の制作者と暮らしていた。少なくとも、あの時はな。"
"会ったら、喜んだか。"
"ああ、手を叩いて、喜んだよ。一緒に暮らせとよ。カリフォルニアは、おかしな所だ。ここと比べて。"
"そんなに面白い所なのか?例えば。"
"California is like ヘロインでいかれちまった美女みたいだ。ハイになって、世界一だと思っている。ヤクで死ぬ事も知らずに。"
壊れた消火栓で、涼をとる人々。
"俺は、ここが、ほんとに気に入ったよ。灯や大勢の人を見ると、ホッとする。どうしてかは、知らないが。1人が嫌なんだ。ほんとだぜ、1人だと息が詰まる気がする。苦しくて、我慢できないんだ。"
"お前が2つで、俺が6つの時、お袋は、家を出た。俺だけ連れてだ。そして、親父は、3日ぶっ通しで、飲み続けた。初めてだそうだ。あんなに酔ったのは。"
"離れてろ。Go ahead."
"デートしない?"
"話の続きを。"
"だから、初めて酔ったと。お前を、3日間、ほうりっぱなしでだ。しかも、その家は、今と違って、広かった。そして、結局は、俺もすぐ捨てられて、飲んでた親父の元に届けられ、家に連れ戻されたんだ。それで、お前は、1人でいるのが、怖いんだと思う。"
"なぜ、黙ってた?"
"話しても、意味ないだろ。"
3人は、雑踏をかき分け、歩く。
"ほら、見ろ。"
"邪魔だ。"
"このデブ、どけ。"
ラスティは、男を突き倒す。
"何をする。やめろ。"
"うるせい、がたがた言うな。"
"乱暴はやめろ。"
"頭に来てるんだ。黙ってろ。お袋に会ったのに、今まで、何も言わないなんて。俺だったら、話してる。Right? それが、兄弟ってもんだ。"
" What you talk about? "
ビリヤード場。客で、賑わう。サイクルボーイは、玉を突き、ラスティとスティーブは、休む。 
"大した野郎だよ。"
"俺も、今にあんな風になる。"
"そりゃ、無理さ。"
"どうして分かる。今になれるさ。"
"なれっこない。彼は、プリンスさ。You know. "
"そうさ、でも、俺だって、時間をかければ。Give a time. "
"彼は、島流しになった王子さ。You know I mean? "
"何でも、一流だね。"
演奏が始まり、黒人達は、踊る。3人は、椅子に休んでいる。
"出ようぜ。行こう。起きろ。眠るなんて。"
ラスティは、トランペットに、バイクのマフラー音を聞く。
"兄貴は?どこ行った?"
2人は、店を出る。
"王子様は?バイクを盗んで、ドライブかな。"
"横丁は、やばいぜ。"
"急いでいる。"
"なんだか怖いよ。"
"俺は、怖くない。気味悪いだけだ。暗いし、誰もいないからな。"
" It's a same thing. "
"なぜ、ささやく。"
"ささやいてない。ただ。"
2人の前の金網の柵が閉じられ、2人は、物取りの挟み撃ちに遭う。
"もう、ダメだ。" 
"金あるか?"
"出してもやられる。"
" Sure. That's it. "
レンチを持った黒人が、震えながら答える。
"白と黒の共同作戦だ。"
"金なんかないぜ。通してくれ。頼むよ。いざこざは嫌いだ。逃げろ。"
スティーブは、転び、ラスティは、レンチで頭を叩かれる。ラスティは、頭から血を流し、気を失う。物取りは、ラスティのポケットを探る。
"ラスティ・ジェームズ。"
ラスティの魂は、ラスティの姿をして、宙に浮く。物取りの現場から、エントランスで泣くパティとドナの元へ行く。
"パティ、好きなのは、ほんとに君だけだ。"
ベニーの店。
"ラスティ・ジェームズに乾杯を。全くいい奴だぜ。"
ラスティの魂は、肉体に戻る。現場では、スティーブが、いたぶられている。
"ラスティ、助けて。"
ラスティは、目覚め、そこに、サイクルボーイも現れる。サイクルボーイは、2人を一瞬にして、倒す。 
3人は、橋の下で、一夜を過ごす。
"ラスティ・ジェームズ、Just alive? "
"分からない。"
" Ah stomack. "
"俺達を、殴った奴らは?"
"やっつけたさ。1人はめためた。もう1人は逃げた。"
"さすが兄貴。"
"やったね。"
"今度は、病院行けよ。"
"出入りがあった頃は。"
"その話はよせ。"
"毎日、誰かが病院へ。"
" I say shut up. 組の話なんか、くだらないよ。いきがってただけだ。命懸けで。"
"お前は、何も。"
" Don't tell me. "
"いいや。"
"言えよ。どうなんだ?"
"くだらなかった。"
" You see? You see. Did you hear? "
"何かあった筈だ。だから、リーダーに。"
"最初は、面白かったさ。だが、すぐに退屈になった。皆は、俺が喧嘩を終わらせたと思っているが、本当は違う。皆も、嫌気がさしていたんだ。それで、ヤクを..."
"最初だけだとしても、面白い筈ないさ。"
"これは、個人的な話だ。ほとんどの者は、楽しむ余裕がなかった。青くなってたよ。恐怖を、勇気と錯覚して。"
"でも、良かったよ。"
"だから、馬鹿なんだ。Fuck you. "
"侠気と言うのかな?弟には、それが、あり過ぎる。"
"不思議だよ。よく、銃で、頭を打ち抜かれなかった。"
"皆が、敬意を表したんだろう。俺のいかれぷりに。"
サイクルボーイは、ラスティのそばに行く。
" We go home. "
"元気を出せ。組なら、また出来る。ヤクが、下火になれば。人は、群れるもんだ。組も作れる。生きていれば。"
サイクルボーイは、ラスティに肩を貸して、立ち上がらせる。
ベニーのビリヤード。ラスティは、大人しく座っている。
"変だぞ。黙って、座ってるなんて。正気と、どう見分ける。特別にはない。要は、何人がそう思うかだ。"
ラスティは、冷たい飲み物を顔に浴びて、おどける。
"何て、暑いんだ。"
"彼女が来たぜ。めかしてだ。"
パティは、ラスティから少し離れて座る。
"会いに?"
" No. "
" You look nice. Very beautiful. "
パティが、微笑んだかと思うと、スモーキーが、現れる。パティの隣に座る。
"贈り物がある。"
" For me? "
"5つの時の写真だ。ハンサムだったろう?"
" Thank you. "
"何か用かい?"
" Why? "
" Can I help you? "
" Now step outside. "
"喧嘩はダメだ。"
"そうは、言ってない。出て、話を。"
"見てみろ、やめとけ。その体で、喧嘩は無理だ。"
"相手にとって不足だ。"
"だから、喧嘩だなんて、言ってない。言ったか?ただ、外へ出て、話すんだ。対でな。分かったか?"
" All right. "
スモーキーは、外へ出る。
"スモーキー、湖の小屋に行った夜の事だ。女の子達と。狙いは、パティだったのか?俺が、怪我しているうちには、横取りもできるしな。こっちを見ろ。そうか?"
"そうさ、それは、考えたよ。"
"夢にも思わなかったぜ。"
" I know. ラスティ・ジェームズ、組はあっても、リーダーは、俺だ。君は、副かな。兄貴の七光りだけで、皆を引っ張っていけないよ。頭がないとな。出入りがあっても、君にゃ、誰もついていかない。死なすからだ。死にたい奴は、いない。"
"確かに、命は、惜しいよな。パティが、好きなのかよ。そうか。"
" Yeah, 君の彼女でなくても、好きだ。"
"譲るよ。"
"自惚れるな。ほらよ。"
ラスティとB.J.。
"気を付けろよ。パターソンが、彼に目を光らせている。"
" Yeah, 奴には、俺もパクられて、週末2日を少年院で。"
"俺達を目の敵に。腕のいい警官だが、彼だけは、まだ1度も。"
"兄貴は、捕まりっこないさ。絶対に。"
"妬いてるのさ。彼の評判を。"
"兄貴は?"
"ペットショップ。"
"何をしている?"
"魚を見てたよ。"
"魚をだと。魚なんか見て、どうする気なんだろう?"
ペットショップ。
ラスティは、店に入る。サイクルボーイは、水槽を覗いている。
"何してるんだ。Hey. どうしたんだい?大丈夫か?"
サイクルボーイは、ベタの水槽を覗く。ベタは、鮮やかな赤と青。
"なぜ、分けてるんだ?"
"ベタというramble fishだから。一緒にすると、殺し合う。"
"魚でも、買うのかね?"
" No. 共食いもする。タイ産の闘魚なんだ。見てろ、水槽のガラスに、鏡を当てると、自分の姿を殺そうとする。"
"凄いね。"
" Try. そこのを。真ん中。もっと向こう。そうだ。川でもそうかな?"
"もう、店を閉めるよ。Boys. 断っとくが、金はないぞ。"
"まだ、見てる。色が凄いね。"
" Colors. "
" Colors, cool. "
"見えなくて、残念だよ。"
"見えると、いいのに。"
警官が、現れる。
"なぜ、急に、魚を見に来た?"
"ずっといる。"
"来て見たら。"
" You are crazy. Really crazy. 前から分かっていた。"
"この魚達の世界は、川だ。川に戻して、広くなれば、争わないと思う。"
"お前を、何とか牢に。"
"魚を、何とか川に。"
夜の街。サイクルボーイは、ペットショップの向かいの歩道に、柱にもたれ、腰を下ろす。ショップの店主が、店を閉める。サイクルボーイは、夜の街を、ゆっくり歩み、ラスティは、離れてついていく。サイクルボーイは、立ち止まる。
" Why you foller me? "
" Worry about you. だって、兄貴が、何だか変だから。親父いるかな?"
2人は、酒場に入る。
" Hey, Dad. "
" Hey. Hey. またお揃いだな。"
"聞く事があるんだ。"
" Yes. "
"母さんは、どこか、crazy なのか?"
" She's OK。だが、どうしてそう思ったんだ?"
"不意に家出したろ。"
"それは、ラスティ・ジェームズ、人は、時に世間の常識と、別の考えをするが、だからと言って、crazy とは、限らない。つまり、知覚がいくら過敏でも、crazy とは、断定できんのだ。However, sometimes その知覚が、人をおかしくする事がある。"
"もっと簡単な言葉で。難しくて、半分も分からない。ねえ、そうだろ?"
" Your mother is not crazy. 兄さんにも、同じく事が、言える。 Miss cast. 彼は間違った時代に生まれた。川の反対岸で。その気になれば、どんな事でもできるのに。したい事がないのだ。何一つ。"
" OK. "
"当然、俺にも責任はあるが、今では、出遅れだ。お母さんの事もな。"
ラスティは、サイクルボーイの隣に座る。
"なれるかな?俺も年をとれば、兄さんみたいに。"
"ならんように、祈れ。可哀想に。Poor boy. 置くぞ。"
父親は、店を出て行く。後から、2人も店を出る。
"今夜は、派手に行こうぜ。酒に、女に、パーティーと。落ち込んでるのか?待ってたって、waist of the time. だが、何を?そいつが分かりゃ。"
"乗れ。"
" We don't. "
" Com'on. "
"どうする?"
"ドライブする。一緒に。"
" Crazy. "
2人は、バイクを走らす。バイクは、ペットショップの前に止まる。
"こんな所へ、止めるな。魚なら、心配ないぞ。兄貴。Com'on. 魚は、元気だよ。Where are you going? よう、金が要るのか?少しならあるぜ。考えろ。ここは、昼間、入り浸ってた。町中の者に、見られてるよ。聞けったら。"
サイクルボーイは、店の裏口をこじ開ける。
"皆、起きる。どうする気だ。"
鳥籠から、鳥を放つ。
"お前こそ、仔犬みたいだぞ。まとわりついて。"
"金なら、なんとかするよ。出ようぜ。"
" I don't need money. それより、お前の頼みは?"
"俺を見てくれ。ギリシャの話なんかするな。親父もそうだ。2人で俺を馬鹿扱い。だが、違うぜ。兄貴と一緒なら、この町をしきれる。"
サイクルボーイは、動物を放し続ける。
"聞いてないのかよ。話している時は、見てくれ。ここだ。見てくれ。"
"見てるだろ?すぐ出ようぜ。一緒に。"
"する事がある。"
" Com'on. "
"いい兄貴になりたかった。だが、どうにもならん。自分でもな。いいか、俺は、魚を川に戻す。その後で、お前に頼みだ。大事だから、よく聞け。"
" OK. Very attentional. "
"俺のバイクに乗って、町を出ろ。そして、海まで突っ走るんだ。川に沿って、下るんだ。海に出るまで。"
"兄貴も一緒か?"
" No. "
"やめてくれ、頼むよ。"
サイクルボーイは、水槽を抱えて、外に出る。サイレンが鳴り響く。パトカーが到着し、銃声がする。サイクルボーイは、撃たれて死んだ。ラスティは、ベタを拾い上げ、川に逃す。らあは、警官に捕まる。
"よし来い。両手を車に。"
ラスティの顔が、パトカーのウインドウに、色を伴い現れる。ラスティは、殴り、ガラスを割る。
"署に行くんだ。"
"離せ。弟だから、大目に見る。根は絶った。"
ラスティは、立ち去る。
仲間が、サイクルボーイを悼む。
"バイク・ボーイ。写真なんか撮るな。"
"何なの?"
"触るな。離れろ。撃つ事は、なかったぞ。"
"誰なの?"
"バイク・ボーイだよ。"
"ほかには?"
"1人だけだ。"
"検死前には。"
"友達です。"
"同じ事だ。離れているように。"
"ラスティが、心配よ。"
"ほっとけ。"
"彼は、どこ?"
父親は、酒を飲み、狼狽える。
"撃ち殺すとは、酷い事をするなあ。"
壁に、バイク・ボーイの縄張りの文字。バイクの影が、通り過ぎる。
ラスティは、海に届く。
【感想】
モノクロ作品。闘魚などに、部分的に色が着く。
サイクル・ボーイは、腕っ節の強さで、名を上げるが、ここ2か月ほど失踪している。本作では、サイクル・ボーイは、ラスティの決闘現場に不意に現れる。喧嘩の強さはそのままだが、穏やかに、ボソボソしゃべる。サイクル・ボーイの振る舞いは、何か変だが、闘魚(ランブルフィッシュ)を川に放つ事に執着し、深夜のペットショップに忍び、ペットをケースから放つ。闘魚を川に放そうとした時、駆け付けた警官に撃たれて、果てる。彼の心境の変化は、なにゆえだったか、観る者に委ねる。そのほか、ラスティの仲間、父親、近所の女など、曰くありげであるが、映画は、説明しない。サイクル・ボーイは、自らを川、ないしは大海に放ちたかったのか。映画は、見えないものをありありと、提示する。佳作。

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