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一人勝手に回顧シリーズ#アルフレッド・ヒッチコック編(22)#裏窓/覗き見の楽しみ


【映画のプロット】
▶︎あと1週間
アメリカ🇺🇸、ニューヨーク🗽州のダウンタウン。L.B.ジェフリーズ(ジェームズ・スチュワート)は、雑誌のカメラマン。カーレース会場で、コースに立ち入ってスクープ写真をものにした代償で、左脚がギプスに収まっている。完治まであと1週間。夏のある日、汗をかきつつ、目が覚める。ジェフの暇つぶしは、中庭を挟んだ隣のアパートの住人をウォッチすること。今日のように、クーラーが普及していない中、隣人らは、窓を開け放ち、思い思いに暮らしている。部屋の中で、ウォーミングする女性ダンサー、ひとりぼっちの高齢の婦人、新婚ほやほやのカップルは、カーテンを下ろしていちゃいちゃ、暑いので、ベランダで寝る夫婦、作曲家の男、サラリーマンの妻は、病気で寝たきり。
朝になり、看護師の初老の女性ステラが、身の回りの世話にやって来る。恋人のリザ(グレース・ケリー)と早く結婚するよう言うが、ジェフは、踏み切れない。華麗なモデルの世界で成功したリザには、時に寝ず、食わずのスクープカメラマンの生活に耐えられないと思っている。
その日の夜、リザは、ホテルのデリバリーを伴って、やって来る。リザは、雑誌を離れて、独立することを提案するが、ジェフは、上記のような生活は、君には送れまいと制止する。
リザに問われるまま、ジェフは、隣のアパートの住人について語る。ジェフは、勝手にあだ名を付けている。ひとりぼっちで、誰か向かいにいるかのような演技をひとしきりした後、机に突っ伏して泣くのは、ミス・ロンリーハート、太った女性は、ミス・グラマー、夜な夜な男性をはべらす人気の女性は、女王蜂。ほかに、ピアノを弾く作曲家の男性、いつも元気な女性ダンサー、上層階からカゴで、犬をあげ下ろす夫人。2階の夫婦は、妻はベッドに寝たきり、いつも喧嘩をしていて、初老の夫は、装飾品の行商をしているらしく、ジェフは、サラリーマンと呼んでいる。
ステラやリザは、覗き見をたしなめるが、ジェフは、やめられない。時に、双眼鏡や望遠レンズを手にするようになる。
▶︎疑念
ある日、ジェフがうたた寝から目が覚めると、雨が降り出している。ベランダで寝る夫婦は、慌てて、布団を取り込んでいる。
そして、雨の中、サラリーマンが、トランクを持って外出し、また帰ってくるのを認める。雨は夜通し、降り止まないが、その日、サラリーマンは、3回外出した。
翌朝、ジェフは、サラリーマンの妻がいないのに気がつく。双眼鏡で覗くと、サラリーマンは、ノコギリと肉切り包丁を片付けている。
その夜、ジェフを訪れたリザに、ジェフは、サラリーマンが、妻を殺し、バラバラに切断したのではないかとの推理を語る。リザは、笑って受け流すが、サラリーマンが帰宅し、ロープで大きなトランクを梱包している。それまで、覗きに批判的だったリザは、途端に話に飛びつき、一から事情を話すよう、ジェフに言う。そして、動けないジェフに代わって調査をすることとし、まず、サラリーマンの名前を調べる。
ラーズ・ソーワルドが名前と知れる。
ジェフは、友人の刑事ドイルを呼び出し、事情を説明する。ドイルは、殺人の可能性は低いとしながらも、調査はしてみると言い、アパートの管理人と住人からの聞き取りで、妻は、田舎に帰ったとの情報を得る。
ジェフは、サラリーマンの家宅捜索をと言うが、ジェフが疑惑を感じるというだけでは、捜査令状は出ないと一蹴される。妻から、家に到着したとの絵葉書も届いており、ジェフは、勘が外れたかと落胆する。
それでも観察を続けると、ラーズは、クリーニングの箱を持って帰り、旅立ちの荷造りをしている模様。ラーズは、長距離電話をしながら、妻のバッグを漁る。結婚指輪ほかの宝飾品💍を取り出し、机の上に並べる。リザは、女が旅に出るとき、宝飾品を持っていかないのはおかしいと主張する。
ドイル刑事は、駅とトランクを調べたが、夫人が受け取ったとの調査結果を伝える。
翌日、隣のアパートで悲鳴が上がる。住人が、一斉に中庭を覗く中、首を折られた犬の死体が、カゴで上げられていく。一人、ラーズのみは、部屋の中にとどまっている。
ジェフは、1週間前に撮った写真と比較して、ラーズの花壇の花の背丈が縮んでいるのに気づき、ラーズが何かを埋めたと推理する。
▶︎行動
ジェフは、"彼女に何をした"とメモをしたため、リザに、ラーズの家の玄関扉に差し込まさせる。ラーズは、すぐに気づき、文面を読み、差出人を探す。リザは、間一髪、難を逃れる。
更に、ジェフは、証拠を得ようと、ステラとリザに協力してもらう。ラーズに電話をかけ、ホテルに呼び出す。その間に、花壇を掘り返すというものだ。
果たして、花壇を掘り返したが、何も出てこない。すると、リザは、非常階段でラーズの部屋に侵入し、結婚指輪を見つけ、身につける。そこに、ラーズが帰って来て、ジェフは、警察に、女性が男に乱暴されていると通報するが、リザは、ラーズに捕まり、駆けつけた警察に、不法侵入で逮捕される。ジェフは、ステラと保釈金をかき集める。
▶︎絶対絶命
そして、リザの素振りから、ジェフに気づいたラーズが、ジェフの部屋に押し込んでくる。
ジェフは、ドイル刑事に電話し、助けを求め、詰め寄ってくるラーズに、フラッシュを焚いて、目をくらますが、ついに捕まり、窓から放り投げられる。警察が押し入り、ラーズは捕まるが、ジェフは、落ちて、右脚も骨折する。
平穏な日常が戻った朝、ジェフは眠り、向かいのダンサーには、恋人が兵役を終え、帰ってきた模様。
そして、リザは、"ヒマラヤを越えて"という本に飽きて、ファッション誌に目を通している。
【感想】
これまで、舞台のようなシーンが固定された作品(ロープ、ダイヤルMを廻せ)を手掛けたヒッチコックだが、今回は、一人の脚が不自由なカメラマンの視点を中心に映画を撮った。
とは言え、隣のアパートの住人の生活は多様で、目を飽きさせることがない。
身体の自由を損なった者が、迫り来る脅威に対峙するハラハラ感が堪らない。

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