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一人勝手に回顧シリーズ#ポール・バーホーヴェン編(3)#ショーガール/問題作か?

【映画のプロット】
▶︎ベガスへ
ダンサーを夢見るノエミ(エリザベス・バークレー)は、ヒッチハイクで、ラスベガスを目指す。挑戦的な目つき、口元が卑猥だ。
青いピックアップトラックが止まる。リーゼントの若い男が、乗れよと声をかける。"もっと近くに座れよ"と言う男に、ノエミは、飛出しナイフをチラつかす。
車は、ラスベガスに入る。男の叔父が働くという"リビエラ"の前に止まる。
男は、叔父に仕事を頼んでみるから、荷物は置いておけと言う。二人は、カジノに入り、男が10ドルを渡し、遊んで待っておけと、言う。 
ノエミは、スロットで大勝ちする。しかし、その後は、すっからかんに。男が戻らないので、騙されたと気付く。駐車場には車はなく、ノエミは、隣の車を叩き、吐く。隣の車の持ち主のラスタヘアの女モリーが、最初、怒るが、気持ちここにないノエミを見て、同情する。
モリーは、ノエミとファストフードをつつき、仕事が見つかるまで、一緒に暮らすことを提案する。
6週間が経ち、ノエミは、モリーのトレーラーハウスで暮らす。その日、モリーは、ノエミを職場に誘う。
職場は、ダンスショーのマネージャーで、楽屋に、露出度の高い派手な衣装をまとったダンサーたちが。
ノエミは、客席で、ショーを楽しむ。
火山のセットが、噴煙を上げ、クリスタル・コナーズ(ジーナ・ガーション)が火口から現れる。女たちは、トップレスになり、クリスタルを讃えて踊る。
ショーが終わって、クリスタルの記者会見が開かれる。楽屋に戻ったクリスタルに、モリーは呼ばれ、ノエミも付いていく。
クリスタルは、モリーにブラトップの調整を頼み、ダンサーと紹介されたノエミに、どこで踊っているのか聞く。"チーター"との答えに、クリスタルは、"ろくでもない"と切って捨て、ノエミは、"何を偉そうに"と、暴言を吐く。
一人先を行くノエミに、モリーは、"なんてことをしてくれた"と詰め寄り、ノエミは、非礼を詫びる。しかし、仕事には行きたくないと言う。
モリーは、二人でディスコに行く。
激しく踊るノエミに、💃店の用心棒が目をつける。ノエミに接近して、一緒に踊るが、ノエミのダンスにダメ出しする。ノエミは、男の股間を蹴り上げ、倒れかかった男と小競り合いとなり、乱闘が始まる。ノエミは、警察に突き出され、一晩、留置された後、保釈される。
"チーター"の楽屋。女たちは、あけすけに話す。マネージャーアルに、新入りのホープが紹介される。
クリスタルが、恋人ザック(カイル・マクラクラン)を伴い、日本人の接待で訪れる。
太ったおばさんの巨乳ショーの後、ヘザー(=ノエミ)がステージに立つ。トップレスとなり、ポールダンス。クリスタルに気付き、視線を送る。ポールをなめるかのような淫らな動き。あちこちのポールで、ダンスが始まり、ヘザーは、ステージを降りる。
ホールを歩いて回るヘザーに、クリスタルが、"プライベートダンス"を注文する。女相手では、サービスしないと断るヘザーに、アルが500ドルで話をまとめる。
3人は奥に入り、ザックにヘザーが踊って見せ、クリスタルは、離れたところで観察する。
ヘザーは、トップレスとなり、やがて全裸となり、ザックを挑発する。ザックの顔の前に、性器をさらし、腰を激しく動かす。ザックに、苦悶の表情が浮かぶ。
ノエミが、トレーラーハウスで寝ていると、扉を叩く音がする。開けると、ディスコをクビになった用心棒が立っている。昨日は、"チーター"で一部始終を見ていた。ノエミの昨夜の"プライベートダンス“は、ファックだと言い、二度とするなと忠告する。ノエミは、拒絶し、男も二度と来ないと言う。
モリーは、学校で"A"を取ったと、報告し、二人は喜ぶ。ノエミは、ショーウィンドウで目にした黒いワンピースを買う。
"チーター"で、ホープと二人、全裸でポールダンスをする。フロアに降りると、男が声をかけ、"コーラスラインに空きがあるから、オーディションを受けろ"と誘う。
ノエミは、モリーに、興奮しながらオーディションの件を伝える。
▶︎"女神"
オーディションには、20名弱のダンサーが集う。振付の"トニー''によって、並んだダンサーの何人かが弾かれる。クリスタルが、様子を見に来る。ひとしきり踊った後、ノエミほか3名に絞られる。3人は、トップレスとなり、トニーは、ノエミに"乳首を立たせろ"と言う。氷を突き出され、ノエミは、拒絶して、逃げる。
楽屋で呆然としているノエミの前に、クリスタルが現れる。
"あなたの差金か"とクリスタルは、問われて、否定もしない。"たぶん、あなたかあなたの踊りが好きだから"。ノエミは、"あなたは嫌い"と言うが、クリスタルは、動じない。
傷心のノエミが、出て来ると、ポーターになった元用心棒ジェームズが、声をかけて来る。"ショーダンスなんてストリップと一緒"。仕事をしないのをなじられ、ジェームズは、上役に悪態をつき、クビになる。二人は、食事をとりに行く。
ジェームズのオープンカーに乗って、ノエミは、ハンバーガー🍔を頬張る。車は、ジェームズの家に着く。ジェームズは、ノエミを家に上げ、ダンスを指導する。ノエミは、飲み込みが早い。ジェームズが、椅子に座り、ノエミが絡む。二人の感情が高まるが、ノエミは、生理中と断る。ノエミは、タクシー🚕を拾って帰る。
ノエミが帰ると、モリーが、トニーから電話があったと言う。トニーにかけると、オーディションに受かったとのことだった。
ノエミは、"チーター"の楽屋で、荷物を引き揚げる。マネージャーに、スターダストの"女神"に出ると告げ、"二度と戻らない"と、宣言する。
ノエミは、ジェームズの家に行き、"女神"に出ると報告するが、ジェームズは、神妙な面持ちだ。中を覗くと、裸の女がいる。 
ノエミは、ジェームズに別れを告げる。
ジェームズに女が寄り添うが、女はホープだった。
ノエミは、トニーの下へ行き、入団の手続きを済ませた後、レッスンに臨む。夜は、早速、ステージに上がる。クリスタルのバックを務める。
幕間の楽屋に、ザックから花束が、届いている。
ステージを終えて、外に出ると、またジェームズが寄ってくる。"女にだらしないが、本気で踊ってほしい振付がある"と。"カネのためではないが、スケベ心はあるナンバーだ"と。ノエミは、興味を示さない。
ザックが、車で乗り付け、ノエミは、花束💐の礼を言う。
人がはけたステージで、ノエミは、クリスタルと落ち合い、レストランへ行く。
クリスタルは、ノエミに、"私もあなたも、娼婦''と言うが、ノエミは、"私とあなたは違う"と言う。
二人は、ステージに戻り、クリスタルが、ダンスのレッスンをする。クリスタルは、ノエミの衣装をはぎ取り、ノエミの乳房があらわになる。クリスタルは、"あなたは娼婦"と言うが、ノエミは、怒って、席を立つ。
"女神"の楽屋で、子連れのダンサーの子どもが、うろうろ、何事かを母親に尋ねるので、黒人のダンサーが、子どもを叱りつける。女の子は、母親の腕の中で泣く。
ノエミは、興行主から、撮影会の仕事を、あっ旋される。ダンスを踊り、客と撮影して、一日1,000ドル。クリスタルの推薦らしい。
撮影会当日。ニッキーとノエミは、ヨットの上で踊り、パンフレットにサインする。この仕事をくれた男が、バンコクの上得意を連れて現れ、ディナーの後、4人で過ごそうと持ちかける。にやける上得意に、ノエミは、拒絶の意思を示し、その場を去る。
その足で、ノエミは、楽屋に行き、ザックに、話があると言う。
ザックは、撮影会の話を聞き、話を持ち掛けたフィルを呼びつける。そして、ノエミに謝罪させる。ノエミが去った後、ザックはフィルに電話する。ザックが、一芝居打たせたのだった。
ショーのリハーサルで、男性ダンサーに掲げられた女性ダンサーが、ビー玉を撒く。ほかのダンサーが、足を取られ、黒人のダンサーは、落ちて、膝を骨折する。
"母親が会いに来ている"と伝えられたノエミが、面会場所に行ってみると、太っちょのヘンリエッタとアルが来ている。
ヘンリエッタは、相変わらずの毒舌で笑わし、アルは、“ステージを見た。すごくいい"と言う。アルは、達者でと言って、去る。
ノエミは、ザックに送ろうかと言われて、一旦は、"モリーが"と言うが、ザックのフェラーリに乗る。
行き先を聞かれたノエミは、"あなたの家"と答える。
ザックの家。開放的なリビング。ノエミは、プールがあるテラスに出る。ザックが、イルミネーションを点灯する。裸になったノエミは、プールに飛び込み、ザックも後を追う。二人は水中で、抱き合い、セックスする。
朝、送っていくと言うザックを断って、ノエミは、タクシーで帰る。"代役のオーディションが、正午にあるが、受けるか?"と言われる。
ザックは、また会いたいと、執心している。
正午のオーディションには、3名が参加。揃って踊る。ザックは、ノエミを推す。ザックは、ノエミの身辺を洗わせている模様。"ノエミと寝たの?"と問うクリスタルに、ザックは、"嫉妬で狂いそうか、図星か"と言う。
二人は帰され、ノエミは、一人で踊る。
ノエミの楽屋に、クリスタルが現れる。"オーディションのために、ザックと寝たのか?"と聞く。"昔のあなたもそうだったの?"二人は対立する。そこへザックが、オーディションに受かったと、告げに来る。
しかし、ほかのダンサーは、喜ぶどころか、よそよそしい態度をとる。ジェームズの"プライベートダンス"のチラシが、目に入る。
ノエミは、クリスタルに、"オーディションのことは、今朝まで知らなかった"と説明する。
クリスタルは、ネイルを見せ、あなたの方が綺麗と言う。"いつかやってあげる"と言うノエミに、"私の歳では、娼婦みたいのは似合わない"と言う。
ノエミは、建物の屋上で、ハンバーガー🍔を頬張る。
ノエミは、ジェームズのステージを観に行く。椅子を3脚置いて、ジェームズと3人の女性ダンサーが踊る。立ちっぱなしの客からはブーイング👎。ダンスは打ち切られる。
フロアに降りたジェームズに、ノエミは、声をかける。ジェームズは、ホープが妊娠したので、結婚すると報告する。ダンスも諦め、ホープのつてで、雑貨屋で働くと言う。ノエミは、別れを告げる。
ノエミが楽屋に入る。ミラーに貼り付けられたメッセージを読むと、"あなたに代役は与えられません"とある。クリスタルが、微笑みながら、様子を見ている。ノエミは、ザックにねじ込むが、クリスタルが代理人を立ててきたので、やむを得ないと言う。
楽屋に戻ると、クリスタルが、ノエミのテーブルに腰をかけ、他のダンサーと談笑している。
ボンデージ風の衣装をまとい、工場の風景をバックに、バイクも走り回るハードな舞台。クリスタルは、上からロープをつかみ、降りて来る。クリスタルとノエミは、ペアになり踊るが、踊りを装いながら、蹴りを入れたりする。早変わりのため、ダンサーが、小走りに楽屋に向かう。クリスタルが、何者かに突かれて、階段を転がり落ちる。クリスタルは、救急車🚑で、運ばれて行く。
小屋主ら、興行サイドは会議を持つ。"スターダスト"の火は消さず、著名スターの名も上がるが、ギャラが高いと一蹴される。ザックが、賭けてみるべきだと言い、ノエミを推す。
ノエミが主役のステージは、好評を博す。記者会見でも、ノエミは、絶賛される。
▶︎彼方へ
ノエミをもてはやすパーティーが、開かれる。しかし、モリーは、仏頂面をしている。ノエミに、"押したでしょ"と、疑われている。
パーティーの主役は、ノエミ。世界一の美女の王冠を👑授与される。しばらくすると、花火が打ち上がり、"ノエミ・マローン 『女王』"の明かりが灯る。
モリーも、パーティーにやって来た。
大スターのアンドリュー・カーヴァーが登場する。モリーを連れて、ノエミは、アンドリューを出迎える。"ファンだ"と伝えると、ショーを見ていたというアンドリューは、"いいケツだ。今度、電話を"と耳打ちする。モリーも自己紹介し、アンドリューと二人で消える。
参加者がダンスをしている頃、アンドリューは、モリーを部屋に連れ込む。男二人がいて、アンドリューの指示で、後ろ手に体を押さえ、暴行する。
ザックとノエミが、パーティーを抜け出そうとしたとき、暴行されたモリーが、目の前に倒れる。
モリーは、病院で処置を受ける。鼻が折れ、膣が裂傷。入院が必要。ノエミとザックが、見守る。
廊下で、フィルが、ザックに書類を渡している。"警察はまだ?"と問うノエミに、ザックは、"呼んでないからだ"と答える。警察に通報しようとするノエミに、"止めるんだ、ポリー"と呼び掛ける。
ザックは、言う。"父親は、妻を殺して自殺。里親の元から消えて、幾度となく売春で逮捕。その他、武器を使用した暴行、薬物所持。本名ポリー・コステロ"。
ザックは、"クリスタルも君か"と問う。"アンドリューは、大スターだ。モリーには、ブティックを開くカネをやる。""君は娼婦じゃない。『スターダスト』の看板になってくれ。"そして、いくらだと尋ねると、"50ドル、時には100ドル"というノエミに、ザックは、"安い。君のファックは素晴らしい"と言う。ノエミは、ザックの顔に、ツバを吐きかけて去る。
ノエミは、うなされるモリーのベッド🛌のそばで、何かを思う。
ノエミは、黒地に金粉をまぶしたようなネイルに、入念に化粧する。
ノエミは、アンドリューに電話して、部屋に出向く。部屋の外には、用心棒が二人。"待っていたぞ"と迎えられる。
半裸のアンドリューが、ソファ🛋横たわる。
ノエミは、上を取る。乳首にルージュが引かれている。乳首に吸い付くアンドリューは、下も取れと言う。
ノエミは、下を取るフリをして、ナイフを取り出し、アンドリューの首元に這わせる。ノエミは、アンドリューを殴り、蹴りつける。"このゲス野郎"。
ノエミは、病院を訪ね、薬で眠るモリーに、アンドリューを"死ぬほど、蹴り付けてきた"と報告する。
また、クリスタルを病室に見舞う。クリスタルは、ノエミが突き落としたと分かっていた、"私も若いとき、同じことをしたから。""もう引き際と分かっていたから"と、サバサバと語る。クリスタルが、キスを求め、二人は濃厚なキスをする。ノエミは、クリスタルが、被せてくれた帽子をもらい、別れを告げる。
ノエミは、またヒッチハイクをする。ラスベガスに来たときと同じ、青いピックアップトラックが止まる。サングラス🕶を外すと、相手も分かった様子。ノエミは、スーツケースを返してよと言う。
道路側に、"ノエミ・マローン"の看板が立っている。
【感想】
年間最低映画賞受賞作品であるが、本当に"最低な映画"が選ばれようはずもなく、一種の宣伝文句なのだろう。
セクシーなショービジネスの裏側、小便臭い、じめじめした世界を親しく感じる。
出て来る男どもは、欲望を発散する。青いピックアップトラックの男、ザック、アル、フィル、ジェームズ、アンドリュー。女たちは、したたかに生きるが、時にモリーのような被害者も出る。ノエミは、過去の汚れた一生を後悔しながら、前に歩き出す。

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