見出し画像

一人勝手に回顧シリーズ#マーティン・スコセッシ編(20)#ミーン・ストリート/スコセッシの原点

【映画のプロット】
▶︎チャーリー&ジョニー
"教会で、罪は贖えない。我々は、街や家庭で、罪を贖う。それ以外は、まやかしだ。"
チャーリー(ハーベイ・カイテル)が目覚める。鏡を覗き、また横になる。
♪あなたを一目見て 私は感じたの
 あなたこそ 私の求める人だと
 愛の言葉を聞かせて 後悔はさせないわ 
 皆んなが羨むカップルになれるわ
チャーリーと友人たちを映した8mm映像
♪会ったあの日から忘れられないの
 あなたを永遠に愛し続けるわ
 だからお願い 愛しいあなた
 私の熱い思いに 応えてほしいの
NYリトル・イタリー地区
アートのような電飾。街に繰り出した人の波。
便器に腰掛け、注射を射つ男。
"何している。俺の店だぜ。"
男を押しやる。
"さっさと消えやがれ。"
"何度言えば、分かる。ヤクなんか、売って。"
客の男につかみかかる。
"売ってねえ。"
"お前も、役に立たねえ。何とかしろ。"

荷役作業に立ち会うチャーリー(ハーベイ・カイテル)
"早くしろよ。"
車の後部座席に座る。
"今度は何だ?"
"ドイツ製のレンズをがっぽりだ。最高級品だぜ。"
"駄目だ。"
"なぜだ。望遠レンズで、品質は保証付きだぜ。これは、日本製だ。レンズ用のアダプターだ。お前は、アダプターを買い込んだ。"
"畜生。"

ジョニー(ロバート・デ・ニーロ)が、ポストに包みを投函する。ポストが爆発する。

チャーリーは、教会の祭壇に向かう。
"私は、あなたの恩恵に値しない人間です。"
"恩恵に値しません。"
"OK. 僕は、今、教会で懺悔して来た。司祭は、例によって、祈りを10回唱えろと言った。彼は、また来週も、同じ事を言うだろう。10回唱えりゃ、罪が許されるのか。くだらない祈りは、言葉に過ぎない。僕は、それだけでは納得できない。自分の過ちは、きちんと償いたい。だから、僕は、自分に刑罰を課す。どう思う?刑罰とは、地獄の苦しみを味わう事だ。マッチで火傷する百万倍の苦痛。それも永劫に。軽々しく扱っては、ならぬ問題だ。地獄の苦しみには、2つ種類がある。肉体的な苦痛と精神的な魂の苦悩だ。耐え難いのは、魂の苦悩だ。"
♪僕は死にたい もう一度
 君の愛が欲しい もう一度
チャーリーは、バーに入る。
♪君を怒らせた僕が愚かだった
 だが 二度と苦しみは与えない
 お願いだ 僕の胸へ戻っておくれ
 お願いだ 僕の胸へ戻っておくれ
 前にも一度 君は去って行った
 僕らの仲は 終わったと言って
ステージに上がり、ヌードダンサーと踊る。
♪僕の手を振り切り 去って行った
チャーリーは、仲間とテーブルに着く。
"よせ、チャーリー。刑罰だよ。"
"馬鹿な奴だ。"
"こんなの軽いよ。"
"見れば見るほど、いい女だ。"
"どうだ。ふるいつきたくなる。だが、黒人だ。誰が見たって、分かる。だが、それ以外に、違いはない。Well is it? "
男が、タバコのカートンを置く。
"マルボロか。"
"格安だぜ。文句言うな。来週は、いいブツが入る。お前が吸わんのなら、誰かに売れよ。"
"貰っとくよ。"
"ジョニーは?"
"No. 来る筈だ。"
"奴は、あてにならん。あいつは、俺を避けている。お前からも借りを払えと、言ってくれ。"
"誰も、お前の借りを踏み倒したり、するもんか。"
"心配なんだよ。保証人は、お前だが。お前から金を取り立てる積もりはない。借りを作ったのは、奴だ。"
"そのとおりだ。俺から、話しておくよ。"
"奴には、皆、泣かされている。"
"心配するな。"
諍いが起きる。
"座れ。落ち着け。"
"チャーリー。なぜだ?なぜ、あんないかれた鼻つまみ野郎と付き合う?"
"大きなお世話だ。俺は、奴と気が合う。根は、いい奴だ。"
"そうだな。"
"じゃ、またな。"
女連れのジョニーが現れる。
"コートを預けなよ。"
"済まないね。これを頼むよ。"
ズボンを脱いで渡す。
"パンツも脱ごうか。"
"現れたぜ。"
"色っぽいパンティだ。"
"主よ。あなたは、望みを与えてくださった。刑罰が、あそこに来ました。あなたには、逆らえない。従うだけだ。"
チャーリーらに合流する。
"ジョニー。"
"2人の美しいご婦人を紹介しよう。親友のチャーリーと店主のトニー。こちらの名は。"
"サラだ。サラ・クライン。君の名は、何だっけ?"
"ヘザー・ワイントローブ。"
"ビレッジで会った。"
"ボヘミアンか。カフェにいたんだ。"
"何を飲む?"
"テキーラを。あるか?"
"ないね。"
"ないらしい。ほかの飲み物を作らせる。俺とチャーリーには、J&Bだ。"
"これは何だ?何に見える?どこで手に入れた?答えろよ。これだ。"
"これか?"
"ちょっと来い。"
"俺に、恥をかかすのか?レディの前で。"
"これは、とんだ失礼を。ミスター・チベロ。顔をお貸しいただけますか?"
"この俺に、顔を貸せと言うのかね。"
"そのとおり。お先へ。"
"そちらから。"
"どうぞ、そちらから。来いよ。"
"トニー。レディに飲み物を。すぐに済むよ。トニー。さらわれないように、見張っててくれよ。"
2人は、奥で話をする。
"何だ?"
"よく平気でいられるな。マイケルに付け回されたよ。借りは、どうした?"
"借りって、先週の分か。払ったぜ。払っていないと、奴が言っているのか?"
"払ったのか。"
"Yeah paid. "
"先週か。"
"Yeah. 火曜日に。Yeah."
"聞いて来る。奴は、表にいる。"
"店のか?聞けよ。"
"ここに呼んで来よう。"
"まあ待て。"
"What?"
"思い違いだ。先週の火曜の分か。"
"そうだよ。今週の前の火曜だ。"
"思い違いだ。先々週と間違えた。"
"なぜ、嘘をつく。約束は、守れよ。"
"色々あって、借金どころじゃないんだ。先週、金を作ったら、帰る途中で、ジミーに出会った。700ドルの借りが、4か月溜まっている。仕方ないから、払った。お袋に、いくらか金をやったら、 残りは25ドル。ところが、今日、散々な目に遭った。カードで、700ドルほど、勝っていた。ジョイ・クラムスの賭場だ。別名ジョイ・スカラだ。"
"同じ男だ。"
"Yeah. 兎に角、俺に親が回って来て、700ドル近く勝ち続けた。そこへ、どこかの餓鬼が入って来て、『手入れだ。』と叫んだ。俺は、金をかっさらった。『他人の金は、後で返せばいい。』。ところが、建物の中で、迷っちまった。どっちへ行っても、出られない。仕方なく、賭場に戻った。だが、手入れは、嘘だった。餓鬼の出鱈目だった。ぶっ殺してやりたがったぜ。ゲーム再開。途端に、400ドルすった。1,300ドル借りがあるフランキーが来ていた。奴は、俺を追い回していて、金を取り立てようと、待ち構えていた。俺が負け出すと、奴は、俺の肩を叩いた。『ツキが落ちたな。全部スる前に、金を貰おう。』俺は、もう少しやらせてくれと頼んだ。だが、奴は、聞こうとしない。結局、俺は、奴に200ドル払ってパアだ。こんな話を、グダグダ聞きたくないだろ。かいつまんで話すよ。俺は、町へ出て、新しいシャツとタイを買った。"
"マイケルに知れたら、どうなる?人に借金したまま、自分は買い物か。"
"奴の借りは、来週、返すよ。"
"分かるもんか。いくら持ってる?"
"さあね。40ドルかな。40ドル。それで全部だ。"
"来週まで、俺が預かっておく。"
"何だよ。"
"40ドルと少しあるな。"
"誓うよ。次の給料日には、小切手をそのままお前に渡す。110ドルそっくりだ。だから、今は、その金で、女と寝よう。そのために、カフェで拾って来た。2人ともチョロいぜ。俺は、ヘザーにするぜ。いいタマだ。"
"取っとけ。"
"後5ドル。いいだろ。"
"どっちの女だ。"
"これじゃ、飯も食えん。"
"今週は、それで暮らすんだ。どっちだ。"
"俺は、ヘザーを頂くぜ。俺の好みだ。"
"左側の女か。"
"お前と俺のどっちの左側だ?"
"同じ側だろ。"
"どっちでもいいだろ。"
"Hey girls. ビジネスの話があってね。"
"トニー。勘定は、つけといてくれ。頼むよ。恩に着るぜ。"
"どのツケだね。"
"どれでもいい。バランスよく、振り分けてくれ。"
"バランスね。"
"しかし、美人揃いだ。"
"ジョニー。奢れよ。"
"やあ、マイケル。"
"何を飲む?熊の小便でもどうだい。"
"トニー。ダブルだ。"
"捜したぜ。"
"お前の言いたい事は、分かっている。火曜の給料日まで、待ってくれ。お袋とキリストに誓うよ。"
"分かった。それを忘れるな。面倒は、御免だ。"
"面倒など、起こるものか。飲めよ。"
"女王に。"
"クイーンに、タマがありゃ、キングだ。"

チャーリーは、レストランで、1人待つ。
"来ていたのか。今日は、1人か。"
"景気はどうだ?オスカー。"
"地下の冷凍庫が、故障しちまって。悪いが、今週の支払いは、待って貰えないか。"
"それは、叔父に言ってくれ。"
"いざとなりゃ、家をくれてやるよ。"
"店より、現ナマの方がありがたいね。"
"どっちに転んでも、損はないだろ。この店を、明け渡してやるよ。相棒は夜逃げしたし、未練はないよ。"
"グロッピの行方は?"
"知るか。奴の女房だって、知らないんだ。" 
食器が、割れる音がする。
"派手にやってくれ。"
街に、鼓笛隊のパレード。
チャーリーは、雑貨屋で食事を取る。
"やあ、叔父さん。"
"昨夜は、どこへ行っていた?"
"発砲騒ぎに巻き込まれちまった。"
"嘘をつくな。"
"違ったかな。混乱して。"
"そのようだ。それで?"
"オスカーだよ。店の景気が悪くて、払いができないと言っている。グロッピは、行方不明だ。どうする?"
"景気が悪いというのは、本当だ。"
"どうすれば?"
"手を出さずに、見ていろよ。レストラン商売に、興味があるか?"
"面白そうだ。"

男の2人づれ。
"トイレットペーパーを都合するぜ。"
"トイレットペーパー?要らんね。"
"手に入る。"
"さばけない。"
"軍隊用だぜ。PXの品物だ。"
"また横流しか。"
"格安だぜ。"
"この国の軍隊も、甘いよ。"
"癇癪玉あるかい?"
"何だと?"
"癇癪玉だ。"
"禁制品だぜ。"
"中華街でも品切れだ。"
"あそこのブツは、悪い。"
"40ドルある。"
"それを早く言えよ。40ドルなら。"
"ブツを見て、決めるよ。"
"品質は最高だ。"
"メリーランド製だよ。分かるか?ブツは、保証付きという事だ。"
"ついて来いよ。"
"花火は?"
"ミニ爆弾も?缶花火も?爆竹も?女も?"
"ふざけるな。呆れた餓鬼だ。"
2人は、トニーらの車に乗り込む。
"いい車だ。"
"高級車だ。"
"買い得の車だったよ。"
車は走り出す。
"祭りを見に来たのか?"
"あの角で降りて、待ってな。"
"一緒に。"
"No. ブツのある場所は、秘密でね。それが、この商売だ。30分で戻る。"
2人は、降りようとする。
"待て。待て。金が先だ。"
"小切手だよ。"
"小切手だと?お前ら、よそ者か。"
"リバーデール。"
"ここじゃ、取引は、現金と決まっている。現ナマは、ないのか。"
紙幣を渡す。
"OK. あそこで大人しく待っていな。"
"小切手とは、恐れ入ったぜ。"
"いくらだ。"
"分からん。勘定してみよう。"
"しっかり数えろ。"
"...15。畜生。してやられた。20ドルしかない。5ドル取っとけ。"
"車を降りるか?"
"いいから取れよ。"
"映画でも観ようぜ。"
"お前が払え。"
"車を止めろ。"
"マイケル。"
"チャーリー。乗れよ。早く乗れ。"
"じゃ、明日。"
"どうした?"
"餓鬼をカモった。"
"いくらだ。"
"20ドル。"
"よし、映画を観ようぜ。"
"お前が奢れ。"
映画を観る。
"しっかり楽しめ。俺の金だ。"
"いやらしいな。やめろよ。"
"映画を観てるんだぞ。"
"支配人はどこだ。呼んでくれ。"
"いいとも、呼べよ。"
"オカマ野郎め。"

朝のリトル・イタリー。
ジョニー、チャーリーらは、車で走る。
"街が静かだと、気分もよくなる。祭りの間は、人が多くて、通りも歩けやしない。いいか、俺に話をさせろよ。"
"いつもそれだ。"
"俺が、ジミーに頼まれた。"
"金額は?"
"200ドル。"
"見ろよ。しょぼくれやがって。"
ホームレスが、車の窓を拭く。
"泣けてくるぜ。"
"場所は?"
"玉突き場だ。"
"ソロモン通りか。"
"キング通りの店だ。"
"どこだか分からん。"
"そこを右折だ。青信号を待て。"
"これも、ジミーのためだ。"
"ジョニー。静かにしろよ。"
車を出す。
"奴らの扱いは、心得ている。"
"すげえな。"
"口を出すな。"
"黙っているよ。"
3人は、車を降りる。
"どこだ?"
"ジミーだ。"
"チャーリー。"
"俺は、235に賭けた。祖父様の番号だ。"
"いくら?"
"黙っていろ。"
"ジョイは、どこだ?"
"奥だよ。"
"祖父様が死んで、葬儀屋の番地が、235だった。"
"Hey ジョイ。"
"これは、これは。聖人のお出ましだ。"
"ふざけるなよ。"
"トーティも、来ている。"
"トーティ。元気か。"
"勝ったな。"
"ムシィだ。ムシィ。久しぶりだ。相変わらず、いい男だな。"
"チョークに、玉突き棒。"
"タマは?俺のは、張り切っている。"
"元気か。"
"All right."
"贅肉が落ちたな。"
"俺に用か?"
"金曜に、ここでサリーと勝負した。"
"知らんね。サリーなんて、知らんよ。"
"ジミーは、俺たちの身内だ。甘く見るなよ。"
"いい身内を持っているな。そうだ。思い出したよ。"
"調子のいい野郎だ。"
"黙れよ。"
"金曜は、客が多くて、つい間違えた。"
"分かりゃいいんだ。間違いは、誰にでもある。"
"飲もうぜ。皆んなで飲もう。来いよ。"
"俺は、ビールだ。"
"スコッチもあるぜ。"
"喉が渇いた。"
"変わった帽子だな。"
"いいだろ。25ドルだ。いい靴を履いているな。"
"2ドルの靴だ。"
"やかましい音楽だ。"
"レディのお好みだぜ。"
"レディ?あいつらが?"
"おい。調子に乗るなよ。"
"俺の地だよ。"
"黙れよ。"
"命令するのか。"
"分かった。金を返すのは、やめだ。"
"皆んなで、飲むんだろ?"
"気が変わった。ここにいる阿保のせいだ。"
"俺が?"
"阿保は、御免だ。"
"俺が、阿保なのか。"
"聞いたか。"
"阿保だとよ。"
"阿保って何だ。"
"酷いぜ。"
"俺が?"
殴る。つかみ合いが始まる。
"もういいだろ。"
警察が、やって来る。チャーリーらは、ボディチェックされる。
"帽子を返せよ。女房に電話する。"
"これは?"
"爪ヤスリだ。"
"ナイフだ。"
"違うよ。"
"デイビス。恥をかかせるなよ。長い付き合いだろ。ここにいるのは、俺の友達だ。これは、いとこのチャーリーだ。"
"ほんとか。住まいは?"
"イーストサイド。"
"これは、ナイフだ。"
"ヤスリだ。楊枝も付いている。"
"デイビス。話を聞いてくれ。"
"どう説明する?"
"危険はない。"
"なぜ、ナイフを持ち歩いている?"
"落ち着けよ。"
"そうはいかんぞ。"
"車代を出すよ。それでいい。住まいは?"
"ニュージャージー。"
"相棒は?"
"フィラデルフィア。"
紙幣を渡す。
"恩に着るよ。"
"行くぜ。Com'on. いいか。2度と騒ぎを起こすなよ。怪我をするぜ。"
"口直しに、一杯やろうぜ。"
"ふざけやがって。"
"あれが、お巡りだよ。"
"金は払うよ。まるで、押し込みだな。"
"人聞きが悪いぜ。乾杯しよう。"
"飲んで、水に流そう。"
"持ってけ。"
紙幣を出す。
"数える事は、ないだろ。"
"数えろよ。"
ジョニーが、口を挟む。
"おい、いい加減にしろ。"
"俺に、手を出すな。"
殴りかかる。
"舐めんなよ。"
また、揉み合う。チャーリーらは、退散する。
"クソ喰らえ。2度とツラ見せるな。ただでは済まさんぞ。"
"おい、見ろよ。男前になった。"
"見せたいものがある。こっちだ。"

"ベイビー。体を楽にして。"
抱き合う男女。
"ジョージ。ここで何している?"
"女がいるんだよ。"
"出て行けよ。女たらしが。ドアを閉めろ。"
"OK. こいつの手当ての前に、これを。見てくれ。"
布を取ると、檻に入った豹が現れる。
"でかいな。"
"驚いたな。まったく、本物の豹だぜ。"
"どこで手に入れた?肉を食うのか。"
"飼っている事は、秘密だぜ。俺しか、そばに寄せ付けない。見てろよ。"
"引っ掻かれるぜ。"
トニーは、檻に入る。
"トニー。正気か。"
"何でもないよ。パパだよ。"
"気をつけろ。"
"ほんとは、虎を飼いたかった。"
豹を抱きしめ、体を撫でる。
"よし。いい子だね。噛むんじゃないよ。"

バーカウンターで、悶える男。
ビリヤードを始める。
"お前は、人の話を、信じ過ぎる。そこが好かれている。"
"いい気なもんだ。司祭の話を、覚えているか?若いカップルに、車を貸してやった司祭の話だ。その2人は、まだ婚約中で、寝るのを我慢していた。だが、ドライブするうち、その気になって、道路の脇に、車を止めた。そこへ、トラックが衝突。即死だ。"
ジョニーは、大笑いする。
"ほんとか。驚いたな。"
"先を聞けよ。チャーリーは、本気にした。だが、俺は、2年も前に、それと同じ話を聞いていた。別の司祭が、俺に、同じ話を聞かせた。"
"つまり、その話は、嘘だ。"
"こいつには、大きなショックだった。分かっていない証拠さ。世の中は、そういうもんだ。"
"話をこじつけるのは、よせ。"
チャーリーが言う。
"お前は、何とも思わないのか?司祭が、嘘を吐くなんて。"
"俺は、教会なんか、真っ平だ。"
"司祭も、ただの人間さ。"
"そう思うのが、間違いだよ。分かってないな。"
"いいか。少しは、俺を見習うんだ。そうすりゃ、救われる。"
チャーリーは、黙って球を突く。
"閉店だよ。"
"ジョイに、用がある。"
"掛けてな。"
悶えていた男が、起き上がる。
"トイレに行きたい。"
"行けよ。手伝いが要るのか。"
"手伝ってやれよ。"
"ジョージ。どうした?手のかかる野郎だ。壊すなよ。"
"この店は、陰気だな。"
"同感だな。"
"俺の店なら、ごろつきは閉め出す。感じのいい店になる。"
"くだらん。"
"虎を飼いたいって阿保は、誰だ?"
"やめとけ。虎の話なんかどうでもいい。神輿を上げようぜ。"
"誰が、引き留めている?"
"店を閉めて、何か食いに行こう。"
"閉めるから、出て行けよ。"
"トイレに、1人いるぜ。"
"見ろよ。お前そっくりだ。"
"どこがだ。この阿保が。トニー。ひと勝負どうだ?"
"No. "
"いくら賭ける?"
"引っ込め。"
"Com'on. "
"借りも返さないのに、勝負する気か?呆れるぜ。少しは、まともになれ。"
ジョニーは、タバコを投げ付ける。
"やめとけ。お前ら、友だちだろ。"
"どうかしているぜ。"
"こいつだ。クズ扱いして。"
"よせったら。"
"やれよ。派手に殴り合え。"
"行こうぜ。"
"大人気ないぜ。"
"悪かったよ。"
"俺もだ。トニー。"
"ひと勝負どうだ?"
"誰か、どうだ?"
ほかの客に、声を掛ける。
"マイケル。お前は、断らないよな。"
"No."
"断るのか。頼まんよ。どうだ。"
無視される。
席を立った男は、トイレの壁に寄りかかるジョージを見る。束ねた髪をほどき、拳銃で撃つ。
ジョージが、首を締め、フロアに現れる。
"銃を奪え。"
また撃つが、ジョージはなおつかみかかる。
"逃げろ。明かりを消せ。"
2人は、店を出て、ジョージは、突き倒される。
パトカーのサイレン。
"走るな。"
チャーリーたちは、裏口から逃げる。
"走るな。"
"ジョージ。車はどこだ。"
"乗せてくれよ。運転手。"
"黙れよ。俺たちも、頼もう。"
"急げ。ずらかるんだ。"
"乗せろよ。"
"あっちへ行け。来るなよ。"
男2人が、無理矢理乗り込む。
"濡れちまうよ。"
"どうした?"
"そっちへ詰めろ。じっとしていろ。"
"俺に、触るなよ。"
"サミー。やめろよ。"
"しょうのない野郎だ。"
"大人しくさせろ。お前のダチが。"
"ふざけるな。"
"撃たれた奴は、凄かったな。酒の力で、持ち堪えた。"
"静かにしろ。"
"聞いたか。静かにしろ。"
"あんた。頼もしいわ。"
"何だよ。オカマを放り出せ。"
"乗っちまったんだ。仕方ないだろ。"
"あら、イカしているわ。Wah beautiful. "
"静かにしろ。"
"いいでしょ。"
"やめろよ。"
"何さ、私の勝手でしょ。降ろしてよ。"
"お兄さん。お相手させて。"
オカマは、身を乗り出し、通りに声を掛ける。
"降りろ。"
"何さ。酷いわ。分かったわよ。待って。"
マイケル以外、皆、降りる。
"マイケル。助かったよ。"
"待ってよ。ねえ、ご一緒に。"
突き飛ばす。
"ちょっと。何すんのさ。"
チャーリーとジョニー。
"この銃を見ろよ。警官が、足首に隠している銃だ。"
"あれで、頭を殴りつけられた事がある。"
"あの時は、酷かった。"
"よく言うよ。お前を逃すために、俺が殴られてやった。"
"トロいんだよ。逃げないからだ。"
"助けてやった俺が、トロいのか?"
殴り合う真似をする。
"よせよ。手が痛い。何だ。"
ジョニーが、車の影に隠れる。
"ジョイだ。借りがある。"
"違うよ。"
"奴だ。どこだ。"
"行ったよ。"
"ほんとか?"
"大丈夫だ。"
"確かか?"
"来いよ。もう、行っちまった。"
2人は、ゴミ入れの蓋を取り、叩き合う。ゴミをぶち撒ける。
"俺の家へ来いよ。"
"お袋は?"
"留守だよ。婆さんが病気で、看病に行っている。帽子を損した。"
チャーリーが、捨てられたパンを漁る。
"婆さんは、死ぬのか?"
"悲しいか?"
"俺の婆さんだぜ。"
"だから、何だ?"
"だから、何だとは、何だ?死なせたくない。お前は、黙っていてくれ。"
チャーリーの家に上がる。
"チャーリー。食い物が、ないぜ。"
"ないと、言っただろ。"
"空っぽだ。何か食わなきゃ。いい事がある。隣から、かすめて来よう。窓から忍び込める。"
"よせよ。テレサを驚かせたいのか?"
"面白いぜ。彼女は、驚くと、発作を起こす。"
"馬鹿な事を言うな。だから、嫌われる。大人になれ。よその家は、玄関から入るんだ。"
"分かったよ。寝よう。"
"それに、朝の6時だぜ。"
チャーリーは、紙幣を取り出す。
"お祈りは、したか?ついでに、子守唄を頼むぜ。"
チャーリーは、テレサの家を覗く。
"テレサ。夕べ、僕らの夢を見た。僕らは、大きなベッドで、抱き合っていた。やがて、僕は達したが、ほと走り出たのは血で、血は、辺り一面に飛び散った。君にも、僕にも、あちこちに。"
ベッドインする2人。
"嫌な夢だわ。"
"面白くないのかい。"
"ちっとも。Do you like me?"
"I like you."
"I love you."
"僕は、違う。"
"どうだか。"
"どうでもいいだろ。愛してないから、君と付き合える。"
"Because?"
"割り切って、付き合える。"
"Because?"
"Sex 用だ。待てよ。冗談だよ。冗談だってば。"
テレサは、ベッドを出る。
"そんなとこで、外から丸見えだ。こっちへ来いよ。窓から、飛び降りるのか?"
"見ないで。見ないでよ。"
"本気か。"
"そうよ。見ないで。"
手で顔を覆い、指の間から盗み見る。
"ずるいわ。見たのね。"
"目隠ししていたろ。"
またベッドで戯れ合う。
"こいつめ。さあどうだ。降参するか。"
"参った。"
2人は、部屋を出る。
"君に、見せたかった。そいつは、トイレへ入って、銃をぶっ放した。肝っ玉が、凍り付いたぜ。"
"相手が、マリオの悪口を言ったから、それで、殺したの?"
"そいつを殺したら、マリオに取り入れると、思ったらしい。頭が、弱いんだ。昨夜は、ジョニーが、君の家へ忍び込むとこだった。"
"相変わらずね。"
"何をするんだ。やめろよ。奴にも、俺たちの事は、秘密だぜ。"
"分かっているわよ。誰にも、知られたくないのね。"
"どうした。怒ったのか。俺を殺すのか。やってくれ。"
"部屋の掃除を頼むわ。"
"順番ですよ。"
"急いで。怠けているのよ。"
"手厳しいな。その口を塞ごう。"

リトルイタリーの祝祭日。チャーリーは、街を歩く。
"調子はどうだ?"
"Very good."
"叔父さんは?"
"客が来ている。今日のラッキーナンバーは、463だぜ。"
"Yeah. Thanks."
叔父たちの会話。
"息子は、マリオの名誉を守るため、奴を殺した。ファミリーの名誉のためだ。"
チャーリーは、トイレで盗み聞く。
"笑わせるんじゃない。酔って、正気のない奴を殺しておいて。何が名誉だ。"
"息子にやましい所はない。"
"ただでさえ、争い事が多いんだ。お前の息子は、勝手な真似をした。マイアミへ送って、ほとぼりが覚めたら、処置を考えてやろう。"

チャーリーとテレサ。波打ち際を歩く。
"太陽は、嫌いだ。海も、浜辺も、太陽も、皆んな嫌いだ。草も、木も、日光も、我慢できない。"
"じゃ、好きなものは?"
"あさりのスパゲッティ、山、アッシジの聖フランチェスコ、チキンのニンニク焼き、ジョン・ウェイン。"
"都会に、山はないわ。"
"ビルがある。君が好きだ。"
"ここが、好きよ。ねえ、山の手のあのアパートを借りるわ。そう、決めたの。"
"急だな。"
"親と一緒に住むのは、もううんざり。"
"分かるよ。"
"家を出たいの。"
"何を待っている?"
"あなたよ。"
"無理言うな。俺は、下町でやる事がある。離れられない。"
"怖いの?"
"何を言っている。越したきゃ、越せばいい。好きなようにしろよ。俺は、街を出られない。"
"冷たいのね。"
"今の俺には、友達が大切だ。"
"ジョニーみたいな?"
"彼だけじゃない。"
"良かった。彼は、イカれているわ。よく彼と、付き合っているわね。"
"よせよ。君のいとこだろ。"
"恥さらしだわ。"
"酷いな。俺が助けなけりゃ、誰が彼を助ける?人は、助け合って生きて行くんだ。"
"自分が先よ。"
"そこが、間違っている。聖フランシスを、見習うんだ。"
"待ってよ。聖フランシスは、ギャンブラーじゃないわ。"
"俺も違うぜ。"

バーのチャーリー。
"ダイアン。"
"ダイアン。君に話したい事がある。今日は、真面目な話だ。聞いてくれ。君は、素晴らしいダンサーだ。ほんとだよ。最高だ。"
"I know."
"実は、近い内に、店を持とうと思っている。高級な店だ。ナイトクラブ風のレストランにしたい。是非、君に働いて貰いたい。"
"Dance?"
"違うよ。ホステスをして貰う。"
"ホステス?"
"客を迎えて、テーブルに案内する役目だ。どうだ。後で、ゆっくり相談しよう。"
"中華料理店で?"
"いいとも。"

チャーリーたちは、タクシーに乗る。
"どこだね?"
"まだだ。ゆっくり行ってくれ。"
"止めて。いや、やめよう。悪いが、乗った場所に、戻ってくれ。"
"All right."
"今、こんな事をしている場合か?ヤバいぜ。"

レストランに、チャーリーの叔父がやって来る。
"元気か。"
"これは、ようこそ。"
客たちと、次々と挨拶を交わす叔父を、チャーリーは、見ている。
叔父とチャーリーが、合流する。
"マリオ。"
3人で、テーブルを囲む。
"話がある。"
給仕が加わる。
"何だ?"
"グロッピの事だ。"
"知っている。後で話そう。"
"分かった。食事を出して、いいかね。"
"いいとも。"
"政治家は、皆、同じだ。奴らは、脅しを武器に、悪どい手を使って、都合のいい時だけ、我々に協力を求める。そんな事は、ずっと前から、分かっている。波止場の監視官も、同じ穴のムジナだ。我々の甘い汁を吸っている。20年前、お前の親父にも、同じ事を言ったよ。相変わらず、ジョニーと仲がいいな。ジョニーの名付け親は、この私だ。だが、あの青年は、些か、おかしい。お前が、彼の力になろうとしているのは、分かるが、やり過ぎては、いかん。お前に相応しい友人を選べ。それを忘れては、いかん。彼のいとこで、お前の隣に住んでいる娘がいたな。"
"テレサ。"
"彼女も、病気だ。"
"てんかんの発作ですよ。"
"だから、病気なのだ。彼女の両親が、相談に来た。アパートに住みたいと、言っているそうだ。相談を受けた以上、ほっとく訳にもいかん。それとなく、目を配っていてくれ。"
"チャーリー。店を見たら、どうだ。"
"何回も来て、よく知っているよ。"
"もう一度、見て来い。お前の店になるんだ。"
チャーリーは、席を立つ。
厨房。
"おい、気をつけろ。"
"チャーリー。元気か?"
コンロの火に、手をかざす。
"平気だ。"

チャーリーは、自室の窓から、呼ぶ。
"テレサ。来いよ。階下に、降りて来てくれ。"
"何なの。"
"今夜は、付き合えない。"
"それだけ?じゃ、金曜日に。"
"それが、金曜日も都合が悪い。"
"どうして?"
"当分、会えない。"
"どういう事?WHY?"
"君とジョニーがいると、困る。"
"困るって?"
中年の婦人が、窓から、怒鳴る。
"済みません。"
"なぜなの。"
"声を張り上げるな。引っ叩くぞ。話を聞いてくれ。叔父が、君らと付き合うなと、言っている。"
"私の事が、バレたの?"
"No."
"ジョニーの借金?"
"どっちも、バレやしないよ。彼は、ジョニーを誤解している。"
"Anser me."
"何をだ?"
"私を、そんな風に見ているの?"
"違う。君と別れるなんて、言っていない。"
"じゃ、何が怖いの?愛しているのよ。"
"言っちゃいけない。"
"愛しているって?"
"もう、行きましょう。"
"いいよ。分かってくれ。レストランを持てば、すべて上手く行く。"

楽隊が、食堂で演奏する。
"どこへ行っていた?"
叔父が、チャーリーに尋ねる。
"その辺だよ。"
"グロッピの事を、聞いたか?グロッピは、店を捨てて、母親に会いに行った。彼は、TVを見ていた母親のそばに行って、『許してくれ』と言った。そして、隣室へ行って、銃を口に撃ち込んだ。だが、あいつは、元々、どうかしていた。"
仲間がやって来る。
"どうした?"
"すぐ行く。"
"礼儀を知らん奴だ。"
"外で、待っていてくれ。"
"何の用だ?"
"さあ、何かな。"
外でたむろする連中。
"おい、気を付けろ。"
"チャーリー。もう我慢できんよ。ジョニーの事じゃ、俺は、辛抱を重ねて来た。無駄だよ。あいつは、もうどうにもならん。仕事先に電話したら、顔も見せてないとさ。"
"ほんとか。"
"Yeah. 俺の貸しは、どうなる?"
"あれだけ言ったのに。何て奴だ。今夜のパーティーで話そう。今夜こそ、分からせる。"
"分かったよ。俺だって、気を遣っているんだ。お前が、叔父さんといれば、遠慮してやっている。"
"謝るよ。内輪の話が、あった。ほかに、約束がある。パーティーで会おう。"
"OK."
"マイケル。感謝しているよ。"
チャーリーは、パーティー向けに身支度を整える。
バーを借り切ったパーティー。
"インテリだぜ。大学を出て、教師になる。2回ほどデートした。"
"見せろよ。"
写真を渡す。
"教師になる。"
"見た顔だぜ。橋の下で、黒人にキスしていた。"
"馬鹿言うな。"
"黒人だよ。間違いない。"
"キスを?"
"キスしていた。唇と唇だ。"
"Sure?"
"気の毒に。"
チャーリーが、やって来る。
"俺が、罪人を救ってやるぜ。"
"J&Bを頼む。"
"君らに、神と聖霊の恵みを。"
"あんたは、ユダヤの王かね。"
"なぜ、そんな事尋ねる?"
"どうだ。"
"万人の王さ。"
"ジェリー。懐かしいな。ベトナムで戦った勇士に、戦争映画の見過ぎで、自ら軍隊に志願して、勲章を貰って帰還した。受け取ってくれ。"
畳んだ国旗を渡す。
"皆んな、飲んで。"
"シャツを作れよ。"
"飲み明かそうぜ。"
"見てろよ。"
チャーリーが、カウンターのグラスを、ビリヤードのキューで突く。その他、おふざけする。
"マイケル。音楽をかけろ。懐メロを頼む。"
酔い潰れたチャーリーを、マイケルが起こす。
"ジョニーは、どこだ?"
"来るぜ。"
"どこにもいないぜ。案の定だ。"
"来るさ。きっと来る。俺が、20ドル払おう。"
"20ドル?ふざけた事を言うな。貸しは、3,000だ。"
"3,000?仲間に、そんな高利をつけるのか?酷いぜ。"
"親じゃない。"
"なぜ、早く言わなかった?"
"こっちは、商売だぜ。"
"いいか。3,000なんて、作れる訳がない。"
"こうしよう。1,800だ。いい線だ。"
"2,000で、手を打とう。"
"お前は、話が分かる。"
"これ以上、俺を舐めたら、奴の脚をへし折ってやる。"
"マイケル。凄むなよ。"
"お前も、馬鹿な奴だ。"
"うるさいぞ。"
"事実だろ。"
"そういうお前は、どうだ。"
"文句あるのか。今度の給料日まで待つ。奴が、すっぽかしたら、奴の脚をへし折る。分かったな。"
"分かったよ。神の恵みを。"
"くだらん取引は、これまでにしよう。"
"さえない顔色だぜ。"
"うるさい。"
帰還兵が、突然、暴れ出す。
"ジェリー。"
周囲が、宥める。
逃れた女とチャーリーは、店の事務室で、2人切り。
"踊ろう。"
"いい曲だろ。"
疲れた女を寝かす。
"チャーリー。客だぜ。"
"テレサ。"
"ジョニーが、ビルの屋上にいるのよ。銃を持っているわ。"
"分かった。君は、ここで待て。"
"私も行くわ。お願いよ。"
"ここで、待つんだ。"
"テレサ。座れよ。何を飲む?"
"要らないわ。要らないってば。セブン&セブンを。"

"チャーリー。こっちだ。奴は、屋上だ。"
"ジョニー。俺だよ。"
階下から、呼び掛ける。
"狙いは、エンパイア・ステート・ビルだ。"
"馬鹿はよせ。俺だよ。"
銃を撃つ。
"何を持っている?"
"38口径だよ。"
"本物かい?"
"俺が、引きずり降ろしてやる。"
チャーリーは、階段を上がる。
ジョニーは、銃を撃つ。
"御免よ、奥さん。手元が狂った。"
"馬鹿もん。何している?"
"脅してやったのさ。"
"銃をよこせ。"
"洗濯物を狙ったんだ。"
"どういう気だ?テレサも心配している。"
"俺は、人に向けて、撃っちゃいないぜ。テレサがなんだ。うるさい女は、大嫌いだ。"
"何て奴だ。"
"ビビるなよ。"
"打ちまくるぜ。"
"撃ちまくって、街中を起こしてやる。"
"やめろって。それよこせ。"
ジョニーは、花火を投げる。2人は、現場から逃げる。
"ここがいい。"
廃ビルの扉を開く。
"蹴るなよ。"
"入れ。"
墓場に出る。
"昔、ここで遊んだな。"
"それより、先週は、どうした?なぜ、仕事をサボった?苦労して、働き口を探したのに。"
"腕が痛くて、働けるかよ。"
"腕だと。出鱈目を言うな。"
"ほんとだよ。それに、荷揚げ作業は、好きじゃない。"
"贅沢言うな。"
"分からん奴だな。"
"でかい口叩くなよ。荷揚げをやった事があるのか?俺に命令して、自分は、遊んでいる。"
"俺は、2,000ドルも借金を抱えてないぜ。話をつけて、2,000にした。明日、仕事をサボったら、腕をへし折るぞ。"
"チャーリー。悪かったよ。お前の事を、有り難いと思っている。だから、怒らないで聞いてくれ。"
"何かアイデアが?聞きたいね。"
"お前の叔父さんだ。''
"冗談はよしてくれ。俺を破滅させたいのか。一言でも、彼に言ってみろ。許さんぞ。"
"分かったよ。ちょっと考えただけだ。"
"とんでもない奴だ。いいな、給料日になったら、トニーの店へ行って、マイケルに挨拶するんだ。いいな、きっとだぞ。"
室内のパーティーの様子を眺める。
"ジョニー。行こう。"
"もう行くのか。"

朝。
"ショーティ。"
"チャーリー。用か。"
"スカしているじゃないか。"
"マイケルに用だろ。約束を覚えているだろうな。"
"今夜だろう。"
"今夜、またすっぽかしたら、奴を引っ捕まえて、2台の車で、体を2つに引き裂いてやる。"
"必ず行く。"
"忘れるなよ。"
"俺を脅す気かよ。"

マイケルが、テレサを追う。
"おい、待てよ。"
"何の用?"
"いとこのジョニーに、伝えてくれ。"
"なぜ、私に?"
"居所が分からん。"
"私だって。"
"頼むぜ。"
"出て行って。"
テレサの腕を引っ張る。
"何をするのよ。"
"まったく。"
"それも、拾ったら、どう?"
"気の強い女だ。"
"出て行って。"
"奴に、待っていると伝えてくれ。"
パレードが、夜の町を練り歩く。
テレサの家。
"奴は、出て行ったきりか?"
"2人だけの秘密よ。"
"チャーリー。私は、もう行かなきゃ。マイケルが、彼を探していたわ。あれは、何なの?"
"何でもない。"
"何なの。何て言ったの?"
"ほっといてくれ。"
夜の街を、誰かに追われるように歩くジョニー。男につかみかかり、引きずり倒す。
チャーリーとテレサ。
"チャーリー。どう思うの?私たち2人のアパートよ。2人で、一緒に暮らせるわ。"
"アパートの話は、もうやめてくれ。今は、君のいとこの事で、頭が一杯なんだ。"
祭りの喧騒。背を向けて、歩くジョニー。ビルの屋上に上り、屋上伝いに歩く。
チャーリーとテレサ。
"悪かった。だが、分かってくれ。"
"いいのよ。男同士で、楽しめばいいわ。"
"誰が、楽しんでいる。"
窓から、ジョニーが入る。
"どこにいた?今まで、どこにいた?"
"うるさい。"
"そのとおり、お前はうるさい。"
"ふざけている場合か。どういう気だ。"
"カリカリするな。"
"1時間半も待たせて。マイケルだよ。忘れたのか?テレサは、心配で、気が変になるところだった。"
"そうかい。それは、悪かったな。それで、日取りはいつだ。結婚するんだろ。"
"ふざけるな。"
"俺は、トロいんだ。お前が、そう言った。お前がいなきゃ、何をするか分からない。どうした?テレサが、どうかしちまったぜ。どうした?チャーリーは、いい奴だ。皆んなに好かれている。"
"もういい。"
"帰るわ。"
"待てよ。テレサ。"
"どうした。俺が、来たからって、帰ることない。"
"ジョニー。この事は、誰にも漏らすなよ。"
"何の事だ。"
"惚けるな。"
"お前と彼女の事か?誰にも、言いやしないよ。叔父さんにも、言わない。"
"分かっているな。待てよ。"
"叔父さんには、黙っているよ。ところで、テレサの事で、一つ気になっている。ベッドでも、失神するのか。"
チャーリーは、ジョニーの顔をはたく。
"詰まり、彼女はどうなる?"
またはたく。
"何だよ。もう一度、俺を殴ってみろ。叔父さんに、言ってやる。"
2人は、つかみ合いになる。テレサが、チャーリーを制止する。
"目を潰してやる。頭に来たぞ。"
テレサが、発作を起こし、倒れる。
"どうしたらいい。ジョニー。"
"俺が、知るもんか。"
"出て行ってくれ。"
"テレサ。"
アパートの住人がやって来る。
"どうすりゃいい。発作だ。"
テレサを老婦人に任せて、チャーリーは、ジョニーを捕まえる。
"何だよ。俺が、何をした?お前なんか、嫌いだ。知るもんか。"
"よせよ。もういい。"
"馬鹿にして。"
"今夜は、身を隠していろ。返す金は、いくらある?"
"ないよ。8ドル。それっ切りだ。"
"ここに、22ドルある。これを持って行けよ。30ドルにして、マイケルに返せ。後で、食事でもしよう。取れよ。グズグズするな。どうした。機嫌を直せ。"
"30ドルが、何になる。叔父さんに頼んでくれ。"
"駄目と言ったら、駄目だ。痛むか。行こう。"
バーに入る。
"遅かったな。マイケルは、じき戻って来る。"
"飲めよ。"
チャーリーが、酒に火を着ける。
"やめろよ。"
"どこへ?"
"トイレだよ。"
"落ち着くんだ。焦る事は、ない。"
"No."
女性客が、声を上げる。
"あれは?"
"ユダヤ人だ。"
"なぜ分かる?"
"見りゃ分かる。"
"そうかな。"
"毎晩、違う男を、咥え込んでいる。"
"I love you. 君を修道院の庭で、見かけて、あの日から、思い続けている。"
"来いよ。"
男が、声を掛ける。
"さっさと消えてよ。"
"ご婦人は、帰りたくないとさ。"
"横から、口を出すな。"
"嫌がっている。"
"いいわよ。帰るわ。"
"俺が、帰さない。腕ずくで、奪い取ったらどうだ。やってみろ。"
"待ちな。またいつか会おうぜ。"
マイケルが、戻る。
"マイケル。"
"どうした。ジョニー。遅いじゃないか。1時間待ったぜ。"
"悪かった。ちょっと用事があって。少しだが、金を持って来たぜ。"
"30ドルだ。今日は、それしかない。"
"足りないぜ。"
"待っている間に、皆んなに酒を奢った。ツケで、飲めないんだ。"
"たかが30ドルでも、俺は我慢する。チャーリーの顔でな。だが、これは10ドルだ。"
紙幣を丸めて、ジョニーに投げ返す。
"マイケル。10ドルじゃ、不足だって言うのか。これは、紙切れか。マイケル。笑わせるじゃないか。俺は、あらゆる奴から、金を狩りまくって、今は、誰も金を貸してくれない。となると、残るのは、お前だ。金を借りて、踏み倒せるほど、おめでたい奴は。お前しかいない。分かったか。お前は、ど阿保だ。自分でも、笑っているぜ。お前は、ど阿呆だ。ついでに言ってやろう。お前みたいなウジ虫は、とっととくたばっちまえ。"
マイケルが、カウンターを乗り越え、つかみかかる。ジョニーは、銃を取り出す。
"こっちには、これがある。お前なんか、イチコロだ。どうした。怖気づいたのか。"
"口だけは、一人前だな。"
"口だけかどうか、見せてやるぜ。かかって来い。"
マイケルは、店を出て行く。
"どうした。腰抜け野郎。"
銃が取り上げられる。
"馬鹿もん。そんな物をどうする気だ。"
チャーリーが、激昂する。
"殺してやる。いい加減にしろ。何て奴だ。"
"どうする。"
"弾丸は、入っていない。"
"どうする。"
"逃げろよ。ヤバい。"
"銃を始末してくれ。車を借りるぜ。この辺りにいると、ヤバい。"
"車より、映画館がいい。気を付けろ。Do you  understand?"
"Maybe."
"満足だろ。"
チャーリーは、車のエンジンをかけるら。ジョニーは、車の周りを踊りながら巡る。
"乗れよ。乗れったら。"
車を出す。2人は、映画を観る。
『この人殺し。』
チャーリーは、電話をかける。
"テレサ。Yeah. 悪かった。謝るよ。困っている。"
"今夜は、何なの?"
"ちょっとしたトラブルだ。暫く、街を出る。少し、金を借りたい。"
"行き先は?"
"湖だ。"
"私も行く。"
"来るな。"
"嫌よ。私も行くわ。"
"テレサ。時間がない。"
テレサも同行する。
"話して。"
"チャーリー。叔父さんに頼もう。"
"No."
"何なの?"
"何でもないよ。"
"ずらかるのか?"
"That's right."
"何て顔だ。ついてないぜ。だが、何とかするぞ。"
"独り言を言っている。"
ブルックリン方面
"ラジオを。"
"ガンガン鳴らせよ。気分直しに騒ごうぜ。"
"ブルックリンかい?"
"ボリュームを上げろよ。"
"道は、分かっているの?"
"どこへ行く。知らない所は、御免だぜ。"
"道合っているの?"
"合っているよ。任せとけ。"
"気を付けろよ。どうかしたのか?信号が見えんのか。赤信号だろ。"
"構うもんか。テレサ。少し黙れよ。"
ほかの車が追い抜きざま、幅寄せする。
"乱暴な野郎だ。"
マイケルたちが追い付いた。
"やっちまえ。"
ジョニーが撃たれる。なお、銃弾が放たれる。
"伏せろ。"
ジョニーは、窓から首を出す。
"ジョニー。"
マイケルたちの車が、道を外れ、止まる。
"ジョニー。伏せろ。"
車は、急制動し、ビルにぶつかり、止まる。
マイケルたちは、去って行く。
チャーリーたちは、よろよろ、車から出る。
叔父さんは、映画の車から負傷した女が、引き摺り出されるシーンを見ている。
駆け付けたパトカーに、チャーリーたちは、保護される。
楽隊の演奏とカンツォーネ。
"神のお恵みを。"


以上、書きかけ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?