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一人勝手に回顧シリーズ#アルフレッド・ヒッチコック編(21)#ダイヤルMを廻せ/完全犯罪の破綻

【映画のプロット】
▶︎マーゴの不倫
トニーとマーゴ(グレース・ケリー)の夫妻が、朝食をとっている。マーゴは、旅客船が、寄港するという記事に目を落とす。記事には、推理作家のマーク・ハリディが、乗船しているとある。
港の情景が挟み込まれた後、再び、マーゴと男性が、室内でむつみ合うシーンに変わる。いや、男性はトニーでない、マーゴは、マークと不倫をしているのであった。 
トニーは、かつてテニスプレイヤー🎾だったが、今は宮仕えの身だ。
マーゴは、マークから手紙を寄せられていたが、1通を除き、読んだら焼き捨てていた。残していた1通だが、ヴィクトリア駅で、バッグごと盗まれ、後日、バッグは出て来たが、手紙はなかった。その手紙を巡り、脅迫状が送り付けられ、50ポンド支払えば、手紙を返すという提案に乗って、50ポンドを騙し取られたことがあると、マーゴは、マークに打ち明ける。
トニーが帰宅して、マーゴは、マークを紹介する。三人で、会食、観劇の予定だったが、トニーは、レポートを明日までにまとめないといけないと言って、二人を送り出す。マークとは、翌日夜のパーティーに同席しようと約束する。
▶︎完全犯罪の計画
二人が出掛けた後、トニーは、上司でなく、"レズゲイト大尉"に、中古車の買取りの件で、電話をし、トニーの自宅に呼び込む。
レズゲイト大尉が到着すると、挨拶を交わすが、レズゲイトが、これまで面識はなかったかと尋ね、トニーは、さも今気づいたかのように、大学のテニスサークルのつながりで面識はあるが、名前は、レズゲイトでなく、スワンだったと記憶している。1か月くらい前に、ヴィクトリア駅と大学の同窓会で見掛けたと答える。
そして、大学時代にカネをくすねた疑惑があり、名前を使い分け、女性を殺害したこともあるらしきスワンに、マーゴの殺害を依頼する。
すなわち、トニーは、妻の浮気を勘づいており、脅迫状を送りつけていると告白する。離婚する前に、妻を殺害し、遺産を相続する計画だ。
報酬は1,000ポンド、手付けは100ポンド。
明日の晩、マーゴは、一人になる。アパートの階段にカギを隠すので、それで侵入し、カーテンの陰に隠れる。トニーが電話を鳴らすので、電話に出たマーゴを、後ろから絞殺せよ。窓から侵入したように偽装せよと、殺害を指示する。
渋っていたスワンも、最期は、100ポンドの札束に手を伸ばす。 
▶︎誤算
翌日夜、トニーは、マークとパーティーに出掛ける。映画を観に行くと言い張るマーゴをなだめて、溜まった新聞の切り抜きの整理で、家にいるよう言う。ハサミを裁縫箱から取り出して、トニーは、デスクに置く。また、タクシー代をせびって、マーゴの鞄に手を伸ばし、取り返そうとするマーゴの手をかいくぐって、マーゴの家のカギを抜き取る。
11時前、スワンが侵入する。マーゴは、寝ている。11時に、電話を鳴らす計画だったが、トニーの腕時計が故障し、遅れる。マーゴが、電話を取りにいき、窓に背を向けて受話器を取ると、スワンが、ストッキングで首を絞める。マーゴは抵抗し、デスクの上のハサミをつかみ、スワンの背中を刺す。スワンは事切れる。
マーゴは、トニーにとにかく早く帰ってきてと訴える。
▶︎妻を犯人に
帰宅したトニーは、犯行に使われたストッキングは、暖炉で焼き捨て、裁縫箱から取り出したストッキングを、ベランダとデスクの敷物の下に置いておく。また、マークからの手紙を、スワンの懐にねじ込む。スワンのポケットを探り、家のカギを、マーゴの鞄に戻す。
警察が捜査し、マーゴは、手紙のことを隠していたので、マーゴが、スワンに殺意を持っていたことが、推定される。
マーゴは、裁判にかけられ、死刑の判決が下る。
マークが、トニーの下を訪ね、マーゴを救うため、推理作家として推理する。
まず、スワンは、トニーが、その殺害を依頼していた。カギは、トニーが玄関近くに隠していたと証言すれば、マーゴは救われると主張するが、聞き入れられない。
▶︎トニーの逮捕 
ハバード警部がやって来る。マークは、寝室に隠れる。
警部は、最近、カネの出入りが激しい者を洗っており、トニーもその一人と言う。
トニーは、ドッグレースで勝ったものと、言い訳をする。
マークは、寝室のアタッシェケースに、1,000ポンド近いカネが詰まっているのを見つけ、アタッシェケースを手に、警部の前に現れる。トニーが真犯人との疑いを強める。
ハバード警部は、わざとカギを落とし、トニーのものでないか尋ねる。トニーは、コートのポケットを探り、自分のカギを確認し、違うと答える。
そして、警部は辞去するフリをし、マークと出ていくが、コートをトニーのものとすり替える。
トニーが、警察にマーゴの持ち物を引き取りに出掛けたのを確認して、警部とマークが、部屋に入る。
マークは、トニーが真犯人との思いを伝える。
犯行の日、スワンは、階段に隠したカギを使い、また、戻しておいた。スワンの鞄の中のカギが合わなかったことがあるが、それは、スワンのカギを間違ってすり替えたためだと、警部は見解を述べる。
トニーが帰ってくる。しばらくためらった後に、階段に隠したカギで、室内に入った。
マーゴは、釈放された。
室内に警部とマークがおり、背後にも刑事が張り付き、トニーはすべてを悟る。
【感想】
完全犯罪の計画が、少しずつ、歯車が噛み合わず、破綻までに至る経緯が、丹念に描かれている。
舞台作品を映画化したとのことであるが、長回しのカットを多用、ほぼほぼ全てのストーリーをトニーの家の"居間"で描き切ったのも特筆される。

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