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ナイト・オン・ザ・プラネット【1991年ジム・ジャームッシュ監督作品】何て、素晴らしい仕事、タクシードライバーって!

ロスアンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの5都市のある冬の夜における並行して進行した、タクシードライバーと乗客を巡るストーリィから成るオムニバス映画。
5つの挿話が、何かで、差し連ねられるかと、勘違いしていた。タクシードライバーと乗客という設定以外に共通点はない。
1 ロサンゼルス編
 女性ドライバー、コーキー(ウィノナ・ライダー)は、空港でヴィクトリア(ジーナ・ローランズ)を拾う。ヴィクトリアは、舞台の演出家として、配役を取り仕切っている。ビバリーヒルズまでの道すがら、コーキーは、整備士になりたい夢を語る。
 目的地到着後、ヴィクトリアは、身分を明かし、コーキーを舞台に誘うが、まだ就職したばかりということを理由に断られる。
2 ニューヨーク編
 若い男が、タクシーを捕まえようとするが、ことごとく、乗車拒否される。ようやく捕まえたタクシーは、カクカク動き、男は、乗り換えるというが、タクシードライバーに、このまま乗車してほしいと懇願される。男は、承諾するが、運転は、自分が代わることとする。ブルックリンまでの道すがら、タクシードライバーは、東ドイツからの移民で、前職はサーカスの道化師だと明かす。途中、男の義姉を拾い、無事に目的地に到着する。
3 パリ編
 若い黒人ドライバーが、アフリカのどこかの国のVIP二人連れを乗せる。二人は、若者のことを揶揄するので、途中で下ろす。
 代わりに、目が不自由な女性を拾う。先天的に目が見えないとのことだが、若者の出身国や、今、どこを走っているかを正確に言い当てる。
4 ローマ編
 タクシードライバー、ジーノ(ロベルト・ベニーニ)は陽気だ。司祭風の老人を拾い、司祭でないと言い張る老人に、料金はいらないから、懺悔させてくれと懇願する。男は、自身の性の遍歴、かぼちゃや羊と交わったこと、兄嫁と関係を持ったことを告白する。
 乗客の男は、錠剤を服用しようとするが、何粒か床に撒き散らす。そのうち、男は目をむいたまま、意識を失う。
 異変を察知した、タクシードライバーは、郊外の公園のベンチに老人を置きざる。 
5 ヘルシンキ編
 タクシードライバー、ミカが、無線で、3人組の酔客を拾う。そのうちのアキという男が、前日、会社をクビになり、退職金を得たらしい。しかし、飲んで荒れ狂ったらしい、車中でも眠ったきり。
 ミカは、自分の身の上として、妻と子作りに努めたが、未熟児の娘が生まれ、3週間ほどで息を引き取ったと語り、乗客二人に同情される。
 アキの家に着き、目を覚ましたアキを見送る。

タクシードライバーを巡る五つの挿話のいずれにも心惹かれる。
今日も、世界中で、タクシーは、多様な人生を紡いでいる。


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