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一人勝手に回顧シリーズ#アルフレッド・ヒッチコック編(15)#パラダィン夫人の恋/弁護士の勇み足

未亡人のパラダィン夫人(アリダ・ヴァリ)に、夕食の準備ができた旨が告げられる。しかし、警部補がやって来て、夫のパラダィン大佐の殺害容疑で、パラダィン夫人は、連行される。
ロンドンでやり手と評判の弁護士アンソニー・キーン(グレゴリー・ペック)は、パラダィン夫人の弁護を引き受ける。
なお、パラダィン大佐は、全盲で、パラダィン夫人は、後に法廷で、大佐の目となれたことを誇りに思うと証言する。
キーンには、ゲイという妻があるが、獄中のパラダィン夫人に接見したキーンは、夫人の美貌に心打たれ、一方的に恋に落ち、夫人の無実を信じる。
弁護にのめり込むキーンに、ゲイは不満を漏らし、キーンは、弁護から降りることまで口に出すか、最後はゲイが折れ、弁護を継続する。
しかしながら、開廷前に、夫人がパラダィン家の大佐の世話人アンドレ・ラトゥールと愛人関係にあったことが知れる。
キーンは、郊外の家政婦とラトゥールがいるという屋敷を訪ねる。屋敷を案内され、庭を見たいと思ったキーンは、ラトゥールに声をかけるが、外に出ると、ラトゥールの姿がない。ところが、宿に戻ったキーンを、ラトゥールが訪ねてくる。話があると言う。そして、パラダィン夫人は、悪魔の化身だとののしる。
ロンドンに戻ったキーンは、パラダィン夫人に接見する。屋敷を見に行った、ラトゥールと話をしたと打ち明けると、何を話したか問われる。キーンは、正直に、ラトゥールが夫人を憎んでいることを伝える。憎んでいるのは、ラトゥールと関係を持ったからかと問い詰めると、夫人は、気分を害して、キーンに弁護を降りるよう、言う。キーンは、謝罪し、改めて無罪を勝ち取ると誓う。
公開の法廷が始まる。映画の後半は、主に法廷でストーリーが進行する。
パラダィン夫人は無実を主張する。
ラトゥールが、検察側の証人として呼ばれる。
ある日、大佐と夫人だけがいるシーンに呼ばれて、大佐から「こんな大事な時なのに、私から離れていくのか」と難詰されたと証言する。キーンが、尋問を始める。ラトゥールが、かつてカナダで、結婚仕立ての妻に逃げられた点をただし、ラトゥールに関係ないと反駁される。
キーンは、ラトゥールの病的な女性嫌いを立証。大佐が、生前、もう死にたいとしきりにつぶやいていたかと尋ね、大佐が遺産として、いくばくか残してくれることを認識していたか、大佐が亡くなった日に屋敷のどこにいたか、動物を毒殺したかなどと、畳み込まれて、自分は無実だと、興奮してわめく。ここで休廷。
休廷中、夫人の下を訪れたキーンは、夫人に勝手なことをした、ラトゥールを犯人にすることだけは許さないと、責められる。
再び開廷して、キーンは、ラトゥールを尋問し、夫人は、大佐に、ラトゥールの解雇を要請するしかなかったと断じると、ラトゥールは、激しく反発し、大佐の名をキーンと夫人が汚した、責任があるのは夫人と主張した。
次いで検察側の尋問で、夫人と愛人関係にあったかと問われ、それを認めた。
更に、夫人が証言台に立つ。ここでも、キーンの尋問で、ラトゥールと肉体関係があったことを認める。しかし、ラトゥールを犯人に仕立てようとする論理運びには、異議を唱え、大佐が亡くなった時のワイングラスは、自分で洗ったと証言する。
翌日の法廷では、検察側が、夫人が一方的にラトゥールに迫られていたことを立証する。そこに、ラトゥールが自殺したというニュースが届く。なお検察は、夫人がワイングラスを洗った理由を問いただし、夫人は質問には答えず、愛するラトゥールが死んだと、涙を流す。夫人は、大佐の殺害を自白した。キーンに、恨みごとを述べながら。キーンは、退廷する。
帰宅せず、知人宅にとどまるキーン。そこに、ゲイが訪ねてきて、ゲイは、キーンにずっと弁護士を続けて欲しいと声を掛ける。

後半の法廷における尋問及びその回答に連れて、真実が次第に明らかとなる。殺人の動機について、雄弁に語られる。
グレゴリー・ペックの男前の良さが際立つが、被告に惚れて、勇み足を踏む。

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