見出し画像

凱旋門賞大特集【出走馬全頭評価】


皆様こんにちは。
タイガーマスクGです。


いよいよ今週末に迫った世界最高峰の大一番・凱旋門賞。
今年は日本からスルーセブンシーズ1頭のみの参戦ではありますが、同馬参戦のお陰で日本での馬券発売も決定し、例年に引き続いて戦前から大いに盛り上がっております。



今回はそんな凱旋門賞をより楽しむべく【凱旋門賞大特集】と題して出走全頭の紹介をはじめ様々なレース情報や見解を私なりに書き綴って参ります。


ぜひ最後までお読みいただき、馬券購入だけでなくレースを楽しむ上においても各々お役立て頂けますと幸いです。宜しくお願い致しますm(__)m




なお、凱旋門賞が行われるパリロンシャン競馬場のコースの特徴に関しましては、昨年の凱旋門賞特集記事でもご紹介させて頂きましたため今回は割愛いたします(※以下にリンクを貼っておきます)。
昨年も出走していた馬はそちらでも紹介しておりますので昨年度の記事もぜひご覧いただきご参考になさって下さると幸いです。







出走馬全頭紹介


※スルーセブンシーズは「日本馬について」で後ほど詳しくご紹介しますのでここでは割愛いたします。



①シスファハン

ゲート番:⓭ 騎手:L.ディロジール

主に2400m超の長丁場を主戦場としており、一昨年には地元・ドイツでダービーを制覇。
前々走のベルリン大賞では勝ち馬・シムカミルを追い詰めての2着と一線級相手にもあと一歩の競馬を見せているが、世界最高峰の一戦でいきなりの頂点獲りとなると少々厳しいかもしれない。
タフさが持ち味のため、馬場が極端に悪化するなどといった特殊条件になれば一考か。




②ハヤザーク

ゲート番:❹ 騎手:G.モッセ

地元フランス調教馬として着実に実績を重ねている4歳馬。ただ、G2戦でさえ未だ勝ち鞍がない現状を考えると今回の超一流メンバー相手ではさすがに荷が重い印象か。

今回はペースメーカーや確固たる逃げ馬が不在のメンバー構成であるため、もしかするとこの馬が先手を奪う可能性も考えられる
前めで運んでしぶとさを発揮し、地の利も活かしてどこまで。




③オネスト

ゲート番:❾ 騎手:M.ギュイヨン

昨年の同レースに出走(10着)し、次走にはルメール騎手でジャパンカップにも挑戦した地元フランス調教馬。
今年に入ってからはイスパーン賞を出走取消、その後の2戦も4着、7着と成績が振るっておらず、かつての力を見せることができていない。前々走のジャックルマロワ賞は適性外の距離だったため概ね納得の敗戦ではあるが、前走の愛チャンピオンSは前年2着の舞台でもあり敗因が掴めない現状。

昨年の記事でも書かせて頂いた通り、本来はタフさが持ち味でもともと派手さの少ないタイプ。実力はここでも十分勝ち負けできるだけのものを持っているため復活が待たれる一頭。




④シムカミル

ゲート番:⓯ 騎手:A.プーシャン

オネスト同様、昨年のジャパンカップに挑戦したフランス調教馬が、今年はG1ホースとなって凱旋門賞に参戦。

ドウデュースが出走した昨年のニエル賞では猛追する2着馬を並ばせず勝利、G1制覇を果たした前走のベルリン大賞は長くいい脚を使って押し切り勝ちと、レース内容を見ても分かる通りのしぶといタイプ。3走前のガネー賞でも持ち前のしぶとさでベイブリッジとの2着争いを制しており、しぶとさを活かせる条件・展開になれば浮上してきても不思議はない。




⑤ベイブリッジ

ゲート番:❻ 騎手:R.キングスコート

シャフリヤールが参戦した昨年のプリンスオブウェールズSで1番人気に支持され2着。その後、バーイードの引退レースとして注目を集めた英チャンピオンSでジャイアントキリングを果たし、待望のG1初制覇を飾った実力馬。

今シーズンはG1レースであと一歩の競馬が続いているが、前哨戦のAW戦(セプテンバーS)をひと叩きし盤石の態勢で今回の大一番に参戦。昨秋見せた番狂わせを再び起こす可能性は大いに有り得る。




⑥ウエストオーバー

ゲート番:❶ 騎手:R.ホーンビー

直前の豪雨による道悪馬場に泣いて6着と敗れた昨年のリベンジに燃える一頭。
その昨年は道悪馬場が大きな敗因であることは間違いないものの、それ以前にキングジョージで終始折り合いを欠いて惨敗した事や、凱旋門賞のレース数日前まで鞍上が確定していなかった事など、大一番への挑戦にあたってチグハグな部分が多かったのも事実。

今年はしっかり立て直してサンクルー大賞でのG1勝利をはじめ4戦オール連対。さらには昨年、直前に騎乗が決まったR.ホーンビー騎手が今年は正式な主戦としてタッグを組んでおり、今回ももちろん騎乗予定。昨年の鬱憤を晴らす態勢はしっかり整った。




⑦フクム

ゲート番:⓮ 騎手:J.クローリー

昨年のコロネーションCで強敵相手に4馬身差の圧勝劇を披露し、その後は故障により約1年近くの戦線離脱。今春に復帰してからはブリガディアジェラードSでデザートクラウン(昨年の英ダービー馬)を、キングジョージで先述のウエストオーバーをそれぞれ撃破し、完全復活を果たした実力馬。
かつては「バーイードの兄」として取り上げられることが多かった同馬だが、自らの力で実績を重ねて遂には凱旋門賞に人気馬として挑戦するまでに登り詰めた。

とにかくタフさが持ち味の馬で、現欧州のトップ戦線でもそのタフさは抜きん出たもの。当然、今回のメンバーでスタミナ比べになればこの馬の右に出る者はいないと見てよい。
道悪馬場もお手のもので、馬場適性が問われやすい凱旋門賞の舞台となれば自ずと中心視せざるを得ないだろう。




⑧プラスデュキャルゼル

ゲート番:⓫ 騎手:M.バルザローナ

昨年、凱旋門賞同日の牝馬限定戦・オペラ賞を10番人気という低評価ながら勝利したG1馬。
そのオペラ賞の勝ちっぷりはとても人気薄とは思えぬ鮮やかなもので、後方追走から直線一気の末脚で現欧州トップ牝馬・ナシュワを差し切るという強い内容。
その実力が本物であることを証明するように今年に入ってからも目下重賞連勝中で、前哨戦のフォワ賞では牡馬をも退けて勝利している。

牝馬らしい切れ味と欧州馬らしいタフさを兼ね備えているのがこの馬の最大の特徴で、これまでの戦績が示すように渋った馬場は走り慣れた舞台。そんな馬場でもラストはしっかり脚を使えるのがこの馬の強みで、ややピッチ気味の走法からもその特徴が窺える。




⑩フリーウインド

ゲート番:❸ 騎手:L.デットーリ

こちらは同じ牝馬でもしぶとさや勝負根性がウリの5歳牝馬。
一昨年から2度の長期休養を経て重賞4連勝を果たした実力馬で、その後は連敗が続いているもののいつG1を取ってもおかしくない位置にいるのは間違いないだろう。

何と言っても今回は、鞍上のデットーリ騎手が現役最後の凱旋門賞として同馬に跨る点に注目が集まっている。
実力的には超一線級相手となるとやや厳しい印象を受けるが、鞍上の手腕でそれをカバーできるレベルにはある。




⑪ミスターハリウッド

ゲート番:❿ 騎手:B.ムルザバエフ

地元ドイツを主戦場に近走はG1でも続けて2着と好走している3歳の成長株。
実績だけを見ると今回のメンバーでは明らかに一枚落ちてしまうが、前走のバーデン大賞でザグレイ(ドバイSC・3着、サンクルー大賞・2着)と叩き合いを演じたレース内容から一線級とも対等に戦える実力があることは窺える。

この馬もやはりタフさが身上のタイプで、特に道悪馬場には滅法強いドイツ調教馬らしい特性を持っている。極悪馬場にでもなろうものなら浮上してきて不思議ない存在。




⑫フィードザフレーム

ゲート番:❷ 騎手:C.スミヨン

地元フランス調教馬の3歳馬で、凱旋門賞が行われるパリロンシャン競馬場では4戦3勝(2着1回)という素晴らしい成績を誇っている。
仏ダービーでは後ほどご紹介するエースインパクト(凱旋門賞・前売り1番人気)にあっさり抜かされての4着と完敗を喫するも、続くパリ大賞では豪快に外から差し切って見事に巻き返し。

この馬は走りの体幹にブレがない素晴らしいフォームの持ち主で、渋った馬場でもそのフォームが崩れない欧州馬の成功例とも言える見た目。
仏ダービーの内容や前走(ニエル賞)の敗戦から今回そこまで高い評価は受けないと予想されるが、頂点を獲る資質は十分に備えている。




⑬エースインパクト

ゲート番:❽ 騎手:C.デムーロ

前述の通り、当レースで前売り1番人気の支持を集めている今年のフランスダービー馬。
その仏ダービーの勝ちっぷりがとにかく圧巻で、戦前はデビュー3連勝ながら決して高い評価ではなくレースも逃げた1番人気のビッグロックに向いた流れの中、後方2番手から直線だけでそれらを一気に抜き去り3馬身半差の完勝。この強烈なパフォーマンスで評価を一気に上げ、前売り1番人気へと急浮上した。

重心の低いフォームに跳びの大きな走法でまさに『素質の塊』と言える素晴らしいフットワークの持ち主
他陣営も皆、口を揃えて「エースインパクトは怪物の可能性がある」と話しており、初の2400m・パリロンシャン競馬場でも今まで通りのパフォーマンスを見せるようなら、いよいよ名馬への道のりを辿ることとなるだろう。




⑭ファンタスティックムーン

ゲート番:⓬ 騎手:R.ピーヒュレク

先述のフィードザフレームを前哨戦のニエル賞で負かしたのがこの馬。今回は追加登録料を払い、満を持しての参戦となる。

この馬はハッキリと分かるほどのピッチ走法で“キレ”を兼ね備えたドイツ調教馬。陣営が「好天を願う」と良馬場を希望しているのも頷ける一方、当然のように道悪馬場も苦にしないタイプ。
もともと予定していなかった一戦に参戦するという点は気がかりだが、豊富な特徴を思えば無視できない存在。




⑮コンティニュアス

ゲート番:❼ 騎手:R.ムーア

ハーツクライ産駒として日本でも大いに注目を集めており、ここへ来てパフォーマンスも一気に上がっている成長株。
春の仏ダービーではエースインパクトに大きく離された8着と惨敗するも短期間で大きな成長を遂げ、ついには前走の英セントレジャーでG1制覇。

この馬もフットワークがとにかく素晴らしく、ハーツクライ産駒の定石通りに成長していけば間違いなく欧州トップホースへと登り詰めることができる素質を持っている。
ファンタスティックムーンと同様、追加登録料を払っての参戦となる今回は中1週というローテーションを全く不安視していない陣営の自信の表れと見てよいだろう。





レースのポイント


今回は幾つかポイントがある中、最も気になる点として挙げたいのが「逃げ馬不在」という点。
これは例年通りと言えば例年通りで、昨年はタイトルホルダーやステイフーリッシュといった実力のある(≒ペースメーカーではない)先行馬が日本から参戦していたことで戦前の展開予想がハッキリとしており、昨年の方が異例であったのは事実。

今年はその逃げ馬もいなければペースメーカーと呼ばれる存在もおらず、②ハヤザークの紹介時にも述べたように同馬が先手を奪うことになるかもしれないといった戦前の予想。
ただしこれも不確定要素が多いため、当日ゲートが開いてみないと分からないところであります。


他のジョッキーが奇を衒って先手を奪う可能性も十分に考えられますが、少なからず前売り上位人気に支持されている有力どころは「溜めたい」という意識を持って挑むことが予想されるだけに、欧州競馬らしいスローの団子状態で前半はレースが流れると考えていてよいでしょう。



もう一点のポイントは圧倒的な存在が現状不在という点で、裏を返すとどの馬もほぼ均等にチャンスが存在している状況だということ。
この場合、どの陣営も色気を持ってレースに挑むことは間違いなく、先ほど述べたように奇を衒った策を打ってくるジョッキーがいて何ら不思議はありません。

ただし、欧州競馬は基本的に道中の動きがほとんどないためスタート後に決まった隊列のまま最後の直線へ向くことが大半であります。
これはコースのアップダウンが激しいため道中で動いてしまうとあまりにもロスが大きいということが要因のひとつとして挙げられ、その分スタート後のポジション取りや直線での進路取りが特に重要となってきます(※あくまでも一因です)。


戦前は混戦ムードでも「結果的に一頭だけ抜けていた」といった結末になる可能性も十分に考えられますので、未来のスーパーホースを見つけ出すという視点でレース予想をしてもよいかもしれません。





日本馬・スルーセブンシーズについて


ここからは日本馬・スルーセブンシーズについての特徴や見解などを個人的視点から述べて参ります。


実力や実績は日本の競馬ファン誰しもがご存知かと思います。直近ではイクイノックスにクビ差まで迫った宝塚記念の激走が話題の中心になっておりますが、この馬の最大の特徴はやはり小回りコース適性がズバ抜けているという所でしょう。

この馬の小回り適性を支える要因として『掻き込みの鋭いフットワーク』が大きな要素だと個人的に考えており、軽快かつ俊敏な脚さばきはまるで“四輪駆動”のよう。このフットワークこそが小回りコースに必要なギアチェンジの速さに繋がっているのだと捉えています。


小回りコースに高い適性がある要因として最も取り上げられがちなのが「立ち回りの巧さ」かと思いますが、この馬に関しては特段立ち回りが巧いわけではなく、むしろ出足の鈍さなどを考えると小回りが向くとは到底思えません。
元来は小回りコースが不向きなタイプなのでしょうが、それを四輪駆動のような掻き込みの鋭いフットワークが支えているというのが私の考えるこの馬の特性でございます。


この特性は小回りコースのみならず道悪馬場においても大きな武器になってくる要素であり、欧州馬の多くはこのような掻き込みの強いフットワークを持っているため道悪に滅法強いというのが持論でもあります。

日本調教馬は当然のごとく日本の高速馬場にフィットするよう馬づくりがなされており、加えて牝馬となるとより一層「軽さ」にシフトしたタイプが多いため、スルーセブンシーズ自身も極悪馬場となるとさすがに厳しいかと思います。
しかしながら、この馬が持つ特徴を考えると通常の道悪馬場は問題なくこなせるだろうと予測できるため「パリロンシャン・良馬場」であればフィットする可能性は十分にあるでしょう。

あとは力関係だけだと思いますのでレースでの健闘を祈りたいところであります。





まとめ


今年は欧州のトップホースが相次いで回避したことにより例年以上に大混戦必至のメンバー構成となりましたが、5戦5勝の超新星・エースインパクトや遅咲きのフクム、昨年のリベンジに燃えるウエストオーバー等々、魅力あるメンバーが顔を揃える形となりました。

先にも述べたように「結果的に一頭だけ抜けていた」という結末も十分に考えられるため、各々が勝ってほしいと思う馬や強いと感じる馬を素直に応援するのが一番良いのではないかと思います。
私自身も日本馬・スルーセブンシーズの応援はもちろんしつつ、海外馬にも好きな馬が何頭かいるためそちらの応援も並行してレースを楽しみたいと考えております。


また、馬場についても今年は道悪馬場が向きそうな馬が複数頭いることから当日の馬場状態は十分に注視しておく必要があるでしょう。

現時点では雨予報もなく昨年のような極悪馬場になることはまずないと考えてよいでしょうが、各馬の特性と馬場状態をしっかりふまえてレース予想・馬券購入を行って頂けたらと思います。






以上、凱旋門賞大特集でございました。


毎年のことではございますが、同日に日本ではスプリンターズSも開催されるためレース予想の時間をしっかり取れない方もいらっしゃるかと思います。

当noteではあまり予想に直結するような内容の記事を載せることはありませんが、私自身が競走馬一頭一頭の分析をするのが好きな性分なのでその発信が皆様のお役に少しでも立つようでございましたら大変幸いでございます。



大変長くなってしましましたが、貴重なお時間の中、最後までお読み頂きましてありがとうございました🙇‍♂️






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?