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読書ノート2024(その4)

タイトル:大峯千日回峰行 修験道の荒行
著者:塩沼亮潤、板橋興宗

皆さんは、YAMAP(ヤマップ)、 YAMARECO(ヤマレコ)という登山用のアプリをご存知でしょうか。あらかじめ登山ルートを設定しておくと、登山当日にApple WatchなどのスマートウォッチやiPhoneなどのスマートフォンに地図を表示して、登山ルートを確認しながら登山することができるという代物です。さらに優れているのは、予定していたルートから外れると音声で道間違いを知らせてくれたり、予定地点の到着予定時刻を示してくれたり、登山後には実際に歩いたルートを地図に記録してくれて、SNSで共有できるというものです。

さて、今回読んだ本の著者のひとりである塩沼亮潤氏を知ったのは、YAMAP(ヤマップ)代表取締役の春山慶彦氏と塩沼亮潤氏の対談をネットで読み、塩沼亮潤氏が行った大峯千日回峰行に興味を持ったからです。インターネットで見つけた事柄を本で深掘りするのは、とても楽しいですよ。

共に宮城県出身の僧侶である塩沼亮潤氏、板橋興宗氏による対談は、塩沼氏が満行した大峯千日回峰行や四無行(九日間、飲まず、水を飲まず、眠らず、横にならずという荒行の凄まじさや、荒行をやっている時の心境や不思議な体験をわかりやすい言葉で示すもので、人間の持っている能力の凄さを知ることができました。

毎日おむすびと水だけで往復距離46キロメートル、高低差約1,400mの山歩きを4ヶ月間休むことなく続け、その後の4ヶ月間で傷んだ心身を元の状態に戻し、さらに4ヶ月間かけて次の行に備えて体力をつける、この1年間の営みを9年間続けてようやく満行できる荒行で、大峯千日回峰行を達成したのは塩沼氏を含めてたった二人だけとのことです。

塩沼氏によると、荒行を経て得たものは、自分の強さではなく人に生かされていることを知ることができたことや、生かされていることに感謝する、荒行だけではなく毎日の生活の中でも行を行うことができるとのことでした。

塩沼氏、板橋氏共に柔らかい語り口で、私たちが生きていく上で大切にしなければならない心持ちを教えてくれます。

「吾唯足るを知る」という言葉がありますが、感謝の気持ちを忘れずに生きていきたいものです。


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