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読書ノート2024(その9)

タイトル:自由研究には向かない殺人
著者:ホリー・ジャクソン

昨夜、幼馴染くんと70年代にヒットした洋楽を聴きながらチャットをしました。
全部とまではいかないものの、9割くらいの曲は聴いたことのある曲ばかりで、その曲にまつわる四方山話をしているうちに、ふとある光景が頭に浮かび、ある曲が頭に流れてきました。
頭に浮かんだ光景は、焼き肉の匂いが溢れているT駅から高校までの通学路沿いにあるA小学校の塀で、流れてきた曲は風の「ほおづえを突く女」でした。
大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されていると言われているように、感受性の高かった頃に聴いた音楽や体験したことは、その人の人生の中心軸になるのかもしれませんね。

さて、今回読んだ本は前回読んだ「処刑台広場の女」と同じイギリスを舞台にしているのですが、「処刑台広場の女」の頃から90年すぎた21世紀のイギリスの小さな街に暮らす女子高校生が取り組んだ自由研究がテーマとなっています。
5年前に小さな街で起きた女子高校生の失踪と、その女子高校生を殺したと疑われて自殺した男子高校生にまつわる事件について、その男子高校生と親しかった主人公が男子高校生の無実を解き明かすために、自由研究と称して関係者にインタビューしたり、独自に調査を進めていくうちに、主人公も犯罪に巻き込まれていくという話です。
インターネットやSNSが人々の生活に与える影響や、今なお残る偏見や差別、犯罪に巻き込まれた人の苦しみや悲しみなど重いテーマも取り扱いながらも、21世紀のイギリスの高校生活やティーンエイジャーを中心とした家族の光景、友達との友情などの明るさをバックグラウンドとして物語が進んでいきます。
終盤に解き明かされる事件の真実とその背景、さらに全て解き明かされたと思われた時に出てきたもう一人の犯人、ミステリー小説としても秀逸な作品です。

この小説に出てきたティーンエイジャーたちにとって、これらの事件や主人公がとった行動が、彼ら彼女たちの人生において忘れられない光景や音となっていくのでしょう。

ちなみに、昨夜幼馴染くんと聴いた最後の曲は、早くして逝去した天才音楽家大瀧詠一がプロデュースしたイエローサブマリン音頭でした。


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