過ぎる私
息子(中1)がやたらおじぎをしている。
一回でいいところ、
三回は頭を下げている。
気になる。
一緒に買い物に行った時に気づいた。
「子は親の鏡」っていうもんなあ。
つまり私が、そうってこと?
でも、私そんなに頭下げてるか?
*
この前、お礼に伺うことがあり、
お礼だから「ありがとうございます」
と頭を下げたわけだけど。
相手の方は、私の
「ありがとうございます」に
ちょっとにやっと笑った。
ハッと気づく。
これ、息子のあの姿だ。
私ぺこぺこしているかも。
にやっと笑われたけれど、
ばかにしてないことは
なんとなく、すぐに分かった。
でも、恥ずかしいは恥ずかしい。
むかしの自分なら、
こういった自分に対して
しっかりがっかりするわけだけど。
今となっちゃ仕方ないや、
と思っている。
でも、なおそうとは思う。
気をつけようとは思う。
スマートじゃないなあ。
心の中でぶつぶつ
つぶやきながら帰る。
*
ある方のことで母と話す。
父をあげるような
のせるような話し方をするから、
隣で聞いていて疲れるのよ、と母。
「悪く思われたくないんだろうね」
と私が言う。
「あんたもそういうところあるよね」
と言われる。
「ひとに良く思われたいが強い」
つぎつぎ言われる。
むかしはカチンときたけど、
今はその通りでこざいます、と思う。
へつらうわけじゃないけれど、
そうなってしまうところが、
あるんだよなあ。
「それはさ、みじめ」
と言われる。
みじめ。
ひさしぶりに聞いた。
おかしなことをすると、
つまり心にないことをすると、
たしかに「みじめ」だ。
気をつけよう。
*
気をつけなくちゃな、
と思いながら駅に向かう。
「いいちこ」のポスターがあった。
見かけると、いつも立ち止まる。
小4まで住んでいた大分。
過ぐる日のこと。
ながめてながめて、
乗換駅でも立ち止まり、
またながめて、
帰った。