過ぎる私

息子(中1)がやたらおじぎをしている。
一回でいいところ、
三回は頭を下げている。

気になる。

一緒に買い物に行った時に気づいた。
「子は親の鏡」っていうもんなあ。
つまり私が、そうってこと?
でも、私そんなに頭下げてるか?

この前、お礼に伺うことがあり、
お礼だから「ありがとうございます」
と頭を下げたわけだけど。

相手の方は、私の
「ありがとうございます」に
ちょっとにやっと笑った。
ハッと気づく。
これ、息子のあの姿だ。
私ぺこぺこしているかも。

にやっと笑われたけれど、
ばかにしてないことは
なんとなく、すぐに分かった。
でも、恥ずかしいは恥ずかしい。
むかしの自分なら、
こういった自分に対して
しっかりがっかりするわけだけど。
今となっちゃ仕方ないや、
と思っている。

でも、なおそうとは思う。
気をつけようとは思う。

スマートじゃないなあ。
心の中でぶつぶつ
つぶやきながら帰る。



ある方のことで母と話す。
父をあげるような
のせるような話し方をするから、
隣で聞いていて疲れるのよ、と母。

「悪く思われたくないんだろうね」
と私が言う。
「あんたもそういうところあるよね」
と言われる。
「ひとに良く思われたいが強い」
つぎつぎ言われる。

むかしはカチンときたけど、
今はその通りでこざいます、と思う。

へつらうわけじゃないけれど、
そうなってしまうところが、
あるんだよなあ。

「それはさ、みじめ」

と言われる。

みじめ。
ひさしぶりに聞いた。

おかしなことをすると、
つまり心にないことをすると、
たしかに「みじめ」だ。

気をつけよう。



気をつけなくちゃな、
と思いながら駅に向かう。

「いいちこ」のポスターがあった。
見かけると、いつも立ち止まる。
小4まで住んでいた大分。


過ぐる日のこと。

ながめてながめて、
乗換駅でも立ち止まり、
またながめて、
帰った。