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びっくり花束

※虫が苦手な方は要注意。

洗い物をしながら
カウンターの花を見る。
この前、花屋で380円で買った。
ひとつずつ選んで花束にした。

オレンジのガーベラ。
後ろ姿の産毛。
紫のこれは確かアスターで、
菊みたいだ。
このぽんとしたのは
「丹丁アリウム」
と書いてあった。

…やはり花屋の花っていうのは
よくできている。

友だちが散歩ルートの途中に
花を売ってるところがある、
と教えてくれたことがあった。

友だちが言ってるところと
同じか分からないけれど、
ある日の散歩で、発見した。
花と野菜を売ってる無人直売所。
はためく旗。
野菜も花も100円。
えー、花も100円!
のぞいてみる。

あの時はアジサイが見事な季節で。
三種類のアジサイが
もりもりと花束になっていた。
アナベルとカシワバアジサイの白。
それとふつうのアジサイの
青、ピンク。
これで100円だなんて。

おばあさんが庭で育てている花を
花束にしてくれているらしい。
買ってみることにした。
100円玉をチャリンと瓶に入れて、
花束を自転車のカゴに入れた。



信号待ち。
アジサイをながめる。
ん?
アジサイの葉になにかついている。
なにかのたまご?のようだ。
それをめくった時に、
ギョッとした。

あれは多分、カメムシの
生まれたての子どもたち。
赤い柄の子たち。
集団でじっとしている。
いやいや、これは。
この葉っぱは、持って帰れない。
そのうち動き出すんだよね。
どうするかドキドキちょっと悩んで、
その葉だけを、ちぎって
茂みにおかせてもらった。


動揺しながら、
家に帰り、花瓶にいける。

輪ゴムをはずす。

ダンゴムシ二匹猛ダッシュ。
いや、びっくり。
すかさず、小さいムカデが
てってけーと登場。

呆然とする。

これはもう、新聞紙に
くるませてもらった。

アジサイはしっかり
楽しませてもらったけれど、
ながめるたび、思い出した。

おばあさんの花束は、
そのまんまの花束だった。



皿を洗いながら花をながめ、
おばあさんの花束を思い出す。
おかしくなる。

全然こりてなくて。
今の花が終わったら、
ちょっとのぞきに行ってみるか、
と思っている。

しっかりと、覚悟はして。



「花束」と言うたび、思い出す曲。
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」主題歌。
大好きな朝ドラだった。