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びっくり花束
※虫が苦手な方は要注意。
洗い物をしながら
カウンターの花を見る。
この前、花屋で380円で買った。
ひとつずつ選んで花束にした。
オレンジのガーベラ。
後ろ姿の産毛。
紫のこれは確かアスターで、
菊みたいだ。
このぽんとしたのは
「丹丁アリウム」
と書いてあった。
…やはり花屋の花っていうのは
よくできている。
*
友だちが散歩ルートの途中に
花を売ってるところがある、
と教えてくれたことがあった。
友だちが言ってるところと
同じか分からないけれど、
ある日の散歩で、発見した。
花と野菜を売ってる無人直売所。
はためく旗。
野菜も花も100円。
えー、花も100円!
のぞいてみる。
あの時はアジサイが見事な季節で。
三種類のアジサイが
もりもりと花束になっていた。
アナベルとカシワバアジサイの白。
それとふつうのアジサイの
青、ピンク。
これで100円だなんて。
おばあさんが庭で育てている花を
花束にしてくれているらしい。
買ってみることにした。
100円玉をチャリンと瓶に入れて、
花束を自転車のカゴに入れた。
*
信号待ち。
アジサイをながめる。
ん?
アジサイの葉になにかついている。
なにかのたまご?のようだ。
それをめくった時に、
ギョッとした。
あれは多分、カメムシの
生まれたての子どもたち。
赤い柄の子たち。
集団でじっとしている。
いやいや、これは。
この葉っぱは、持って帰れない。
そのうち動き出すんだよね。
どうするかドキドキちょっと悩んで、
その葉だけを、ちぎって
茂みにおかせてもらった。
動揺しながら、
家に帰り、花瓶にいける。
輪ゴムをはずす。
ダンゴムシ二匹猛ダッシュ。
いや、びっくり。
すかさず、小さいムカデが
てってけーと登場。
呆然とする。
これはもう、新聞紙に
くるませてもらった。
アジサイはしっかり
楽しませてもらったけれど、
ながめるたび、思い出した。
おばあさんの花束は、
そのまんまの花束だった。
*
皿を洗いながら花をながめ、
おばあさんの花束を思い出す。
おかしくなる。
全然こりてなくて。
今の花が終わったら、
ちょっとのぞきに行ってみるか、
と思っている。
しっかりと、覚悟はして。
「花束」と言うたび、思い出す曲。
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」主題歌。
大好きな朝ドラだった。