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ホナモンはどこにある


ホナモン、それは謎の物質である。

その物質の確かなところは、見えないことだ。

意外にこのホナモン、実態を知らない人が多い。

物体じたいがつかめないので分からないから調べようもなく、脳科学的にも心理学的にもまったく解明の糸口が見つからない。

このホナモンはまったく予測不可能である。
ホナモンにかかると、いきなりキライなタイプの人の意外な魅力を発見してしまう。
ホナモンモードに入った人の傾向として、最も分かりやすいのは、瞳の光り具合だ。瞳の中の星がひとつ増える。

だから、ホナモンの実態はわからなくても、目がキラキラしてくるとホナモンをもっているかどうかがバレてしまう。

たった3時間しかホナモンはどうやら威力を発揮しないようで、ある意味楽しんでおかないと、あっというまにその独特なホナ効果を味わえない。

しかも、メリットだらけなのだから想像するだけでも楽しくなってくる。

いつも食べているご飯もさらにおいしいし、いつもは無意識に呼吸している空気までもおいしく感じてしまう。

そして誰もが美しく見え、何より今まで気づかなかった自分の魅力に気づいてしまうのだから、ある時から誰もがホナモン効果に遭遇しないかと思うようになり、楽しみになってしまったのだ。

ある町では全員みんながホナモン効果にあふれ、即興でホナモンの歌を誰かが口ずさんだことで、いきなり合唱がはじまり、ハグしあったり、ダンスしたりして、今までの現実にもありえなかったヒーリング&エンパワーメント効果があったそうだ。

どうやらホナモン効果が1万人以上になると、宇宙の新しい叡智がひらくという学説を発表した人もいた。

そこからホナモン記念硬貨やホナモンを提唱したランチメニューが町にはあふれだした。

しかもボクの彼女は「ホナモン草」という歌で、地元の「ローカルシンガーオーディション」で入賞し、狙ってもいなかった賞金を手にしたのだ。ホナモンは予想をはるかに超えるから正直に言うと、そのことがボクには驚きで、しかも意外にうれしかった。

そのホナモン効果のあった3時間をホナモンタイムと称して話す彼女によると、ちょうどアコギを弾いていて突然閃いたらしいのだ。

もともと天然な彼女のことだからそのノリに乗って、あっという間に曲も仕上げて、しかも歌詞は「ふふふ~ん」というハミングからはじまり、ずっと「ハハ~ン」とか「シャバッチュラリラ~」などのハミングで終始する。

聴いたあとの何とも言えない爽やかでスッキリした感覚。最初にボクが聴いた時は思わず「いいね~」と拍手してしまったくらいだ。ひいき目なしに。

ひとしきりホナモンの話しで盛り上がっている時、ボクは彼女の部屋にいたのだけれど、いつも飲んでいるジャスミン茶を出してくれながら彼女は「はい、ホナモン茶」と言った。

ボクはそのお茶をみつめながら皆が笑顔になるホナモンの正体って、一体何だろう??と思った。

ホナモンマジックをかけられたお茶は格別においしかった。



#ショートショート小説

知らない言葉文字「ホナモン」   」

効果

笑顔

でつくってみました。

今回は後付けですが。書いていても面白かった。
ここにもホナモンがあるみたいな感じで。


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