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バードコールで鳥と遊ぶ

歩きながら目をあげて見ると、道ばたの幾本かの木に無数の小鳥がとまっていた。で、フランシスコはふしぎに思い、同志に「この道で待っていてくれ。わたしはわが姉妹の小鳥たちに説教してくるから」と言って、野原に行き、地上にいる小鳥たちに説教を始めた。すると木の上にいた小鳥たちも彼の所へ飛んで来て、みないっしょにフランシスコの説教のすむまで、おとなしくじっとしていて、それからもかれが祝福を与えるまで飛び去らなかった。フランシスコの説教の内容は、次ぎのようであった。「わたしの姉妹小鳥たちよ、みなさんは造り主である神に、たいそう恩を受けています。それは神がみなさんに二重三重の着物を着せ、その上どこへでも飛んで行ける自由を与えてくださったからです。みなさんは蒔くことも刈ることもないのに神はみなさんを養って、水を飲むには川や泉を、隠れる所に山や谷を、巣を造るには高い木々を与えてくださいました。みなさんは縫うこともつむぐことも知らないのに、神はみなさんにも子びなたちにも、着物を着せます。このようにいろいろな恵みをみなさんに与えている所を見ると、造り主はみなさんを非常に愛しているに違いありません。」鳥たちはみな、こう言うフランシスコのことばに応じて、さっそくくちばしを開き、首をのばし、つばさをひろげ、うやうやしく地上に頭をたれた。そして身ぶりと歌とで、聖なる父のことばが大きな喜びになったことを示そうとした。それでフランシスコは鳥たちとともに、造り主を熱心に賛美した。
「聖フランシスコの小さき花」第15章 光明社訳

16世紀イタリアのカトリックの聖人フランシスコの有名な「小鳥たちへの説教」の逸話です。こんなふうに鳥を集めることができたら楽しいでしょうね。

バードコールというアイテムがあります。丸いネジを筒状に切った木の枝に穴を開けてねじ込みます。何回かねじ込んでネジを木の穴になじませて、なじんでくるといい音が出るようになります。両手を水平にしてネジを強くまわしたり、力をぬいてゆっくりまわしたりすると、「ツンツン」とか「ピヨピヨ」という音がします。自作するほかに、アマゾンなどで「バードコール」で検索すると、きれいに作られた既製品が売っています。ネジをまわした時の音もはるかに素晴らしい鳥のさえずりに聞こえます。

森林公園などにでかけて、はじめは木陰など見通しの悪い場所で音を出してみます。それから間隔をあけながら2、3音出して10秒ほど待ちます。これを鳥の反応があるまで繰り返します。鳥の反応がない場合は場所を変えます。そして、どこかで鳥のさえずりが聞こえて来たら、さえずりの音にできるだけ合わせた音を出します。そのようにしながら鳥が鳴いた数秒後にバードコールを鳴らす→鳥が鳴く→バードコールというように、鳴き合いをしているうちに、鳥が近づいて来ます。宿り木のない広場や派手な服装、大きなジェスチャーをすると鳥は近づいてきません。

あなたはどうしてバードコールの音を聞くと鳥がやってくるかわかりますか?
仲間の鳥が来たと思って喜んでいるのでしょうか。そうではなくて、自分のテリトリー(縄張り)に他の鳥が来たと思い、様子を見に来たり、追い払おうと攻撃をしかけたりするためです。バードコールはこの鳥の習性を使った道具です。静かに鳴らし、鳥が寄ってきたら、鳴らすのを止めるようにしましょう。

それで、大事なお願いですが、鳥たちが子育てをする時期は大変神経質になっています。そういう時にバードコールを鳴らすと巣を作らなくなったり、卵を温めなくなったりします。繁殖期(3月下旬頃)から営巣期(5月下旬頃)はバードコールを鳴らさないようにしてください。


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