11/23  競争力CA「「政府開発援助(ODA)の是非について」

テーマ
「政府開発援助(ODA)の是非」
記事
国際協力とは「国際社会全体の平和と安定、発展のために、開発途上国・地域の人々を支援すること」である。国家間や民間で幅広く行われており、現地におもむかなくてもさまざまな形で国際協力に参加することが可能となっている。また、政府によって行われる国際協力のことを政府開発援助(ODA)と呼び、外務省はOECD(経済協力開発機構)のDAC(開発援助委員会)が作成する援助受取国・地域のリストに掲載された開発途上国・地域に対し、経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的として公的機関によって供与される贈与および条件の緩やかな貸付等のことであると定義している。これらは日本の国際的立場などから重要な政策であると考えられるが、一方で内政に多くの問題を抱えている状態で国際支援を行う余裕があるのかといった声もある。
そこで今回は政府開発援助(ODA)の是非について議論を行いたい。
立論者は反対の立場から議論を行うので皆さんは賛成の立場から議論を行なってください。
【前提条件】
今回は日本におけるODAの是非とします。

意見・論点
1. 内政に注力した方が良い
→2023年度のODA予算額は5709億円と非常に高い数値となっている。それほどの費用を投入するのであれば、国債の返還や国民の賃上げ等に予算を回すべきではないのか。また、ODAの予算は一般会計費から支出されるのであり、国民の税金が元になっているのであれば国民に還元すべきではないのか。

Q.予算額はそこまで問題視する必要はない
A.1997年から1998年は金融破綻が起きた年
Q政府の中でも予算の優先順位をつけて金額を抑えている
A.ODAによってメリットを感じられないのであれば予算をもっと抑えるべき
Q.国益によるメリットがうまく伝わっていない
A.援助額を減らすべき

2.国益の必須要件化
→岸田政権が、途上国を支援する政府開発援助(ODA)の指針「開発協力大綱」を8年ぶりに改定し、ODAを外交の重要なツールであると位置付け、日本の国益のために戦略的に活用することを発表した。これは本来の国際的なODAの定義である「開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること」ということに反すると考えられる。また、ODAには無償のものと有償のものがあり、有償であった場合、被援助国が返済に追われ苦しめられているという現状もある。これは本当の意味での支援ではないと考える。

Q.国益が裏にあったとしても途上国に還元できていれば問題はない、無償の方が多い、有償でも優遇があるので偽善でもやった方がよい
A.不正があるかもしれない、
Q.国益は目に見えるものではない
A.安全保障の観点からODAをすることで国の安全を守っている

3.援助効果の低下
→白井(2005)によると援助額が多くなればなるほど経済成長に及ぼすプラスの効果が低下することも述べられている。この原因として援助国が自国の国益のために援助した場合受益国の資本の累積に使用すると限らないため必ずしも経済成長につながらないと述べられている。また、他の文献においても「タイド援助」(援助受入国に対し、給与国が行うプロジェクトに対する資材や役務等の調達を限定、要求する援助形式。この場合、大半を日本企業が請け負うようになるため自国の利益になりうる。)の問題等が挙げられるため支援の必要性は受益国にとっても少ないとされる。


予想される反論・再反論
1. 長期的な国益のために有効である
東日本大震災をはじめとする多くの機会に、日本は途上国を含め世界163の国・地域から支援を受け、被援助国という立場にも立っている。そのため日本は他国と持ちつ持たれつの関係性を保ってきた。そのことからも、国際関係の中で他国から信頼を得るということは非常に重要なことである。また、感染症や地球温暖化に関しても国際協力を行わないと日本にも影響が出る可能性があり、その他支援においても日本が優遇されるということの可能性があるため支援を続けることが必要。
→上述したように国益重視になることは国際的なODAの定義と反する。また、日本は援助額が世界3位であり、国政がままならない現状でそこまでの支援は必要でないと考える。また、そこまでの確約されたリターンがあるとも限らない。また、環境問題等の観点では支援した国が経済発展することにより環境汚染が広がるといったデータもある。それではODAの理念の1つである「環境保全」という観点に反してしまい、結果的には日本に影響するとも考えられる。

Q日本の立場から、ODAの目的に沿っている
A.日本が国益のためという目的を作ってしまうと元々の目的から反してしまう、すなわち国益とは戦争にならないため、侵害されないためなど日本の平和に繋がる

Q.ODA以外で途上国を支援する方法は
A.現地に出向き支援を行うとか金銭的以外に物的支援を行う

2. 主要国としての責務
外務省によると「極度の貧困等の人道的問題、環境等の地球規模の問題、あるいは平和の構築、民主化、人権の保障等の問題に対して、その国力にふさわしい貢献を行っていくことは、世界の一員である日本として、特に主要先進国である日本としての責務です」と述べられている。また戦後復興を可能にしたのは国際的な援助があってのことでそれを忘れてはいけない。
→日本はすでに大国と呼ぶことはできないのではないか。国力の低下が予期される中でその責務は本当に果たさなければならないのか疑問が残る。(その責務はもう果たしたのではないか)また、日本が戦後復興を可能にしたのは確かに世界銀行からの融資があったからであるが、それは融資であり返済が終わったのは1990年。それまで日本は返済に追われてきた。

Q.国力の低下の定義は
A.経済力
Q.援助額3位のため経済力が低下しているとは言えない
A.日本はGDPが低下しており経済力の低下が明らか
Q.日本が経済力が低下した時逆に支援してもらえる
A.長期的に見た時にはそう 毎年支援する必要があるのか疑問 長期的な国益を重視するのであれば支援が確約しているわけではない、内政の安定など違う視点から見るべき
Q.支援額を決めてから予算を決めている、他の利用目的にも予算を当てている、すでに契約しているので外交関係に影響が出る
A.本当かどうかわからない、支援は必須条件ではない

【先生からのコメント】
世の中に定数ある意見の代弁であり良い議論である
国民の税金は感情論、そもそも無駄である
この問題に税金という話が出た時は税金は無駄遣いであることを把握してから議論するべき
大国ではないとはいうものの日本には責務がある
人権が尊重されるためには豊かに生まれたからこそ他の国を助けるべき
撤退すると他の国が穴埋めする、それが国益にメリットになるかはわからない
日本は財政赤字と庶民に金が行き渡らないだけで財力はある


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?