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映画「100日間生きたワニ」を観てきた

一昨年の年末から春にかけて、「100日後に死ぬ」と言う結末が決まった上でただ淡々と1日1日をさほど大きな起伏もなく消化していく伝説のTwitter漫画「100日後に死ぬワニ」を原作とした映画を観に行ってきました。

いやまあ、散々「見る虚無」「見る5億年ボタン」とか言われてたらきになるじゃないですか!

何せキャスト、スタッフが異常に豪華なんですよ。後々のキャリアに明らかに悪影響でそうな案件にこの蒼々たるメンバーが揃うなんて!

ネタバレの極力ない感想

ぶっちゃけ、すごかったです。やー、シンエヴァなんて目じゃないですね、あんな京成に対する新京成みたいな発想のタイトルに我らが100ワニ様に叶うわけないじゃないですか。

後半に登場するカエル以外、基本的にキャラクターに感情の起伏が見られません。ヒドく全体が淡々としています。敢えて何も起伏が起きないように計算されているんだと思います。よくあるカミナリバックみたいなアニメ的な表現を全く使わず、きくちゆうきの絵世界をまるで実写映画のように切り取っています。カメラワークもクソもありません。そう、アニメ作品のように見えるのですが、この映画は実は実写映画なのです。

絵もBGMも基本的にほのぼのしてるし、役者の演技も(カエル以外は)淡々としているので、正直個々のキャラクターが何を考え、何を思ってるのかがわかりません。ただ、ひたすら、何かを匂わせています。ただただ、この世界の異物であるカエルの存在とカエルの無神経さに少しずつヘイトが積もっていってることだけが伝わります。

恐らく、ほのぼの脱力アニメとして企画されているので、ぱっと見は判らないのですが、これは恐らくサイコサスペンスだと思います。そう、死んだのはワニだけということにされているのです……

カエルは一体何なのか

後半突如現れるカエル。ただただウザいのですけど、ある種の情緒不安定さを感じさせます。何だか、無理矢理な陽キャを演じているのです。まあ、観ててイライラするはするのですけど、イライラするのは恐らく言い知れぬ不安感があるからでしょうね。あの無茶な陽キャはカエルの本来のキャラではないのです。カエルは何かを隠しているのです。

ネズミはカエルからカエルの壊れたバイクの修理を依頼されてるわけですが、そのバイクには秘密があり、ネズミは修理の最中に気づきます。それが何かは映画では明確に描かれては居ませんが、恐らくワニの死と密接に関係するものだと思います。

恐らく我々は本来用意された結末とは別のものを見せられている

カエルが何故この街にやってきたのかを吐露しながら涙するシーンがあるのですが、ネズミは何を考えたのか、ワニとの思い出の山奥へカエルを連れ出します。

そこでネズミとカエルは共に泣き合い、よくわからん友情が生まれる……というのが劇場で流された流れなのですが、「え? なんで?」と言うくらい話の繋がってなさを感じます。

恐らくネズミはカエルに「カエルがワニの死に何か関係しているのか」を問いただし、回答の如何ではカエルを始末するつもりだったのでは?と思います。何かを察してしまったネズミがカエルのバイクに何の仕掛けも施さないと考えるのは無理筋かと思います。幸い、カーブの多い山道なのでバイク事故に見せかけて、、、と言うのも容易です。

恐らくカエルはワニの古い親友であり、そしてワニを殺した張本人なのでは?と言うことです。

このあとの流れとしては、ネズミがカエルを始末し、現場にイツメンを呼び出し、カエルのバイクと肉塊の処理を手伝わせ共犯とし、秘密の遵守を強要します。4人はワニのこともネズミのことも忘れたように幸せに暮らし、やがてモグラとイヌが結婚することになります。結婚式の最後にブーケトスをセンパイが受け取るのですが、これは予め計画されており、そのブーケにはこんな手紙が入っているのです。

「ネズミに怯える生活は終わりにして幸せになりたい。ワニもきっとそれを望んでいる」

ただ、こんな流れは怖すぎるので偉い人によって差し替えを要求されたんじゃないかな?と思います。

結論

正直、慌てて観に行って貴重な約60分と1,900円をムダにすることはないかな?と思います。それより面白い映画は他にもやってますし。アマプラに落ちてきてから家でスルメ囓ってビールでも飲みながら観るのが良いと思います。

ただ、まあ劇場でどうしても観たいチャレンジャーは上述の僕が観た幻覚を頭の片隅に起きつつ、すべてのシーンを疑いながら観ると意外と面白いかも知れません。

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