見出し画像

名古屋グランパスのチーム名由来は間違っているけど、愛しているぜって話

誕生してから30年が過ぎたJ1リーグ。すべてのクラブがそれぞれの地域や文化を反映したユニークなチーム名を持っています。そのなかでも異彩を放っているのが「名古屋グランパス」です。
 
グランパスとは英語の”Grampus”。シャチやイルカの1種を意味する単語です。名古屋のシンボルである「金鯱」(しゃちほこ)に由来したチーム名だとクラブ公式ウェブサイトにあります。

「尾張名古屋は城でもつ」と言われます。その名古屋城は別名「金鯱城」。それほどまでに、本丸の屋根上で金色に輝く1対の金鯱(しゃちほこ)は有名であり、名古屋人の誇りでもあります。地域密着型のプロスポーツを標榜するJ1リーグのチームに相応しい命名だと言えるでしょう。

しかし、このチーム名は厳密には間違っています。少なくとも誤訳を含んでいます。なぜなら、名古屋城に鎮座する「しゃちほこ」のしゃち(鯱)は海を泳ぐシャチではないのです。頭は龍または虎で、胴が魚の姿をした、想像上の動物なのです。元々は宋時代の中国から伝わったもので、日本では戦国時代に各地で城の守り神として使われるようになりました。名古屋城のそれは単にもっとも有名な例に過ぎません。

 

つまり、名古屋城にはシャチは飾られていません。その英訳である「グランパス」を、名古屋を本拠地とするチームの名称に使用することは、本来なら意味をなさないのです。
 
ちなみに筆者は子どもの頃に名古屋に住んでいました。すっかりご無沙汰していますが、今でも懐かしい土地です。名古屋グランパスも中日ドラゴンズも応援しています。多少、チーム名が言語的に間違っていようと、「そんな細きゃあこと、どうでもいいがね」と古い友人たちには言われるかもしれませんし、それが名古屋のよいところです。

いっそのこと、「名古屋シャチホッカーズ」とか「名古屋ヤットカメーズ」に変えたらどうでしょう?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?