出会いは一期一会というけれど

なぜ、私たちは居酒屋、立ち飲み、スナックに行くのか。

長~く生きていると、日常では関わらないような人たちと出会って来ました。面白い人や話はほぼ夜の街、お店でした。「へぇ~そうなんや」とか「ウソやろ、マジか!」というこっちの考え方や価値観とまったく違う話(これがメチャおもろい)から、「そうや、そうや!俺もそう思うわ」と思わずハグ(しないけど)したくなるような話まで、ほんま世の中、いろんな人がいるなぁ、思いもよらない経験をして今のこの人がいるんや、と今も勉強させてもらっている私です。
一期一会で出会う人も多いけど、何度も出会い、そのたびに毎回面白い話が聞ける人も少なくありません。そう言う場所は、居酒屋、立ち飲み、スナックです。
ところで、
「スナック研究序説ー日本の夜の公共圏」というスナックについての本邦初の学術研究と銘打った書籍が2017年に発刊されています。大学の教授連中がそれぞれの専門領域でスナックを記述し語っている本です。この本にはスナックの民俗学的情報を集めている玉袋筋太郎氏が入っていないのは片手落ち、仏作って魂入れずやなぁと思うわけですが、この本のタイトルにもあるように、スナックは確かに夜の「公共圏」「公共の場」ですね。「公共」ですがそれぞれの場ーお店には「Master of Ceremonies 」的なママや店主がおられ、お店の「公共圏」での振る舞い方や決まり(とてもゆるいけど)を仕切っています。なので場ーお店ごとの振る舞い方や決まりに同意し楽しむお客が通うわけです(嫌なら来なくていいし)。お客同士が振る舞い方や決まり(強くは意識してないけど)の中で会話やカラオケを楽しんでいる、まさに公共圏(振る舞い方や決まりに暗黙のうちに同意した人たちの)です。

スイス人に教えてもらった飲み屋さんに良く行くワケ

ときどきミナミ(裏難波かな)の立ち飲み屋さんで外国の方と出会うことがあります。日本で仕事している欧米(なぜかスイス人の方の割合が多い)と話しているとき、「何で立ち飲み屋とか居酒屋が好きなの?」と聞いてみたら、「日本の飲み屋さんには社会的な階層が持ち込まれない」でした。なるほど!そうなんや!と深く納得しました。飲み屋で「俺は社長や」「金は30年ほど働かんでええくらい持っとる」とか、ちょっと下品なことを言う人はあまりいないですね(たまにいるけど)。
社会的な階層を纏うことなく、その場の雰囲気や会話を楽しむ。ある種のアジールかなとも思うけど、それが欧米の方がたには面白く、心地いいのでしょう。
そんな話をしているとき、茶道のことを思っていました。
千利休が様式を完成させた茶道も、社会的な階層を持ち込まない作法と茶室の仕組みを作ってますもんね、にじり口とか。

てなことを思い出しつつ、備忘録みたいなものも含めて書いてみようと思ったわけでございます。

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