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第7回空色杯 投稿作品 「熱気球」

世は飛行船時代
今僕は熱気球の大会に出てる
どれだけ精密に着陸地点
に降りられるか競うのだ
方向転換の方法は熱気球には無い
まー上下の操舵の他は風だより

アナログの電子管のTVで
皆観てる
盛り上がってる
皆賭けてるのだ
スターもいる
例えば僕
優勝確率50%
賭け自体が
僕が強すぎて
成り立たないこともある位だ

今日も神に愛されてる
優勝だ
これから祝宴を開く
なんか近くに
地味な恰好の人がいて
何かと思えば
スカプラリオ(修道女とかの服)
を着た修道女が居る
興味にそそられて
側に寄せると
「昨日、貴方の為に祈りました。」
「今日、明日の貴方の為に祈ります。」
何?
祈りが無いと
俺は死ぬの?
過大な自信を持って
いたので
ぶっきらぼうに

あれ?
神どころか俺って、
お前の祈りが無いと
死ぬの?
と、聞くと、
「私は神の思し召しに従うだけです。」
「貴方の事が特に現われるだけです。」
「私自身はどうなるか解りません。」
「アーメン」

神に逆らうのはちょっと怖いから
祝宴に無理やり連れて行く
サバトとか不調子者とか
罵倒されたが
近くに供えた

最上級のワインを
がぶがぶ飲みながら
ちょっとだけ
たんこぶの修道女に
ワインは飲んでもいいんだろ
と問いかける
神の血だろ
「では、一口だけ」
飲むとひっくり返ってしまった

俺は仕方無いなと思いながら
長椅子に寝かす
下心は有ったが

今はアーメンだ

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