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「1. FC Köln 所属 平野優花選手」インタビュー記事 インタビュー日2019年10月26日

こんにちは。4本目の投稿にして初めてのインタビュー記事になります。しかも初回からプロの選手にお話を伺うことができました。現在女子ブンデスリーガ1部の1. FC Kölnに所属している平野優花選手です。今回インタビューの話を持ちかけたところ、快く受けて下さいました。僕程度の発信力では本当にもったいない程、充実した内容になっているので是非じっくり読んでみて下さい!


話の入り

・最近始めた車の運転はどうですか?
「すごく快適です。こっちに来てやっとお金にも余裕が出てきたので。もう移動は基本的に車です」

・自分の性格について教えて下さい。
「根は負けず嫌いです。でも割と良くも悪くも適当かなって感じです(笑)フワフワしてるって言われます(笑)」

サッカーについて

・ケルンへの移籍を決めた理由は何ですか?
「ケルンに来たのは本当にたまたまなんですよ。元々はフランス、スペイン、スウェーデン、オーストラリアなど、知り合いのつてを使って連絡を取ってもらっていたんですけど、中々連絡が返ってこなくて。たまたまその話を12月の中旬頃にチームメイトにしたら、ドイツになら代理人いるよってことになって、じゃあドイツでいっかって感じで決まりました。元々レバークーゼン、エッセン、ボルシア・メンヒェングラートバッハにも練習参加するって話だったんですけど、なぜかこっちに来たらケルンになってて、1月中旬にこっちに来たのでそもそも日数が少ないってのもあって結局ケルンで2週間くらい練習して決まった感じです。『ケルンに来たかったから来た』みたいな理由をみんな求めてると思うんですけど、そういうのじゃないんですよね(笑)」

・海外移籍については日本にいた頃からどう思っていましたか?     
「チームメイトに外国人が二人いたんですよ。カナダ人と台湾人。その人ともめっちゃ仲良くて、そのぐらいのときから生活とかも含めて楽しそうだなって思って。自分は世代別とかでも代表に選ばれたことなくて、それでも海外の強さとかを身をもって感じたいというのもあったので。もちろん日本にいたほうが見てもらえる機会が多いってのもありますし、なでしこリーグでもやってたので。でも今の現状選ばれてないし、去年の3月に代表の一個手前のようなナデチャレというのがあったんですけど、それにも選ばれてないので、まだまだだなって思って海外行こうかなって感じです。で、たまたま7年間ノジマステラを率いてた監督が辞めるタイミングで、その人めっちゃいい監督で、そういう色々なタイミングが重なって、自分も海外行こうかなって思いました」

・一部昇格のときの気持ちを教えて下さい。
「自分が高校を卒業して、1年目が2部で2位で入れ替え戦だったんですよ。結局アウェーゴール数差で負けてしまって昇格できなくての2年目での優勝だったので、多分あれは今までの人生で一番嬉しかったんじゃないかな。強いて言うなら元監督の菅野さんがいるときに1部でも優勝したかったってのはありますね。ケルンでの1部昇格のときは、もちろん嬉しかったけど、3位っていう中途半端な順位じゃないですか。優勝したわけでもないけどでも昇格決まってって感じで。来たタイミングも途中からだったので、言ったらまだチームにあまり思入れがないみたいな感じですね」

・日本で4年間とドイツでもうすぐ1年経ちますが、サッカー自体の違いはどう感じますか?
「ドイツは基本縦に早い。回してても最後はロングパスとか。日本だとフォワードが受けに来てってなるけど、ドイツだと縦とか裏のスペースを要求される。それを出さないとめっちゃ怒られるときもあります。いい意味で、こっちの人は言いたいことを何でも言うけど、言いすぎじゃん?って思うこともあります。自分はまだそんなにドイツ語できないので言われたら流してます(笑)。逆に言いたいときは日本語で一人で文句言ってます(笑)。日本の強みは細かいパスでパンパン抜けていく感じとかかな。でも思うんですけど、世界も今まではフィジカルだったけど、日本がW杯で優勝したときから、みんな研究し始めて、フィジカルにプラスでビルドアップとかも付いてきたので、日本はこれから何かしら進化しないと、前みたいに優勝はできないんじゃないかと思います」

・それは実際にこっちでそういうチームを体感している?
「ヴォルフスブルクとかはすごいなって思いました。ケルンは2部だと自分たちが主導権を握って行く試合が多かったけど、今シーズンは自分たちより上のレベルのチームが多いので、そもそも守備の時間が多いってのもあるし、相手のプレッシャーが早ければもう前に蹴るしかできなくなるって感じです」

・では、サッカーを取り巻く環境はどうですか?例えば、サポーターとか、グラウンドの設備だとか。
「こっちの方がサッカーできる場所は多いなと思います。あと最初びっくりしたのは、ラインエネルギースタジアムの近くに住んでいたとき、なんか外で人がいっぱい歩いてるなって思ったらその日がFCケルンの試合ってことが分かって、地元民みんなで行く感じはすごいなって思いました」

・男子のFCケルンのサポーターはすごいですけど、女子はどうですか?
「男子はあんなに多いのになんで女子には少ないんだろうとは思います。結局試合のときも1000人弱くらい、多くても1200人くらいで、その辺は日本の女子チームともそんなに変わらないですね」

・ドイツへ来てから感じる自分の変化はありますか?
「元々日本にいたときはサイドバックだったんですけど、こっちに来てボランチとかトップ下とかサイドハーフとか色々やってるんですよ(笑)。むしろサイドバックやってないくらいなんですけど。日本にいたときも密かにゴールを狙ってる感じだったんですよ。こっち来てからは、みんなに言われるのもそうですけど、結局結果を残さないと使ってもらえないのでシュートの意識は前より強くなりました」

・サッカー以外での変化は感じますか?
「日本にいた頃は3時間しか働かない正社員だったんですよ。9時半から13時までとか。で、15時から練習して夜はフリーだったんです。今は12時から17時とかでバイトして19時から練習、電車で通ってたときは家に着くのも22時とかだったので、最初はその生活は身体的にきつかったです。そもそも夜の練習に慣れてないっていうのもあるし、バイトからの練習っていうのは大変だった。でも今ではもう慣れました」

・男子と比べると海外挑戦しに来る選手は少ないと思いますが、その実態や現状をどう思いますか?
「そもそも女子だけの代理人がいないってのが1つで、自分の前にケルンのツヴァイテ(セカンドチーム)でやってた人がいて、その人の妹にこの前会って、女子だけの代理人やろうかなって話してたんですけど。結局自分の代理人も男子の方をやりながらの人なんですよ。だからその人が誰かから聞いてって感じで、間に何人も入ってやっとどっかに決まるみたいな。だから女子だけの代理人、、、まぁお金にならないからしょうがないっちゃしょうがないんですけどね。それか留学会社に頼るしかなくなっちゃう。アーヘン(3部チーム)に行ってる子とかは留学会社らしいです」

・じゃあ日本からこっちに来たいってなったら、探し方が難しいですね。
「知り合いに聞いてコネを探すか、監督のコネとか。それかこっちに来てる選手に連絡とって代理人と繋げてもらうかって感じ。女子は特にそういう感じだと思います」

・その現状がある一方で、日本からは海外に行きたいという選手の数はどうですか?
「徐々に増えてきていると思います。多分オリンピックが終わったら、なでしこ1部とかの選手も海外に来るっていう噂は聞いてます。そうなると逆に大卒の選手とかは1部から来る選手よりも立場的に弱くなってしまうので、ブンデス2部と3部とかってなっちゃうっていうのもあります。難しいですね」

・海外挑戦したい選手やもっと若い選手に伝えたいことや今こっちにいるからこそ言えることはありますか?
「失敗してもいいから、来たいと思っているなら絶対に来た方がいいと思います。無理だったら日本に帰ればいいだけだしっていう感じじゃないですか実際」

・こっちで失敗しても何の傷にもならないですよね
「そうなんですよ本当に。だからとりあえず来た方がいいなって思います。まぁでも性格の問題とかもありますよね」

・今後の目標を教えて下さい。
「とりあえず6月まで契約はしてもらっているので残留は必ずしなきゃいけないなと思います。個人的に言ったらやっぱ、今年1部でやってどれだけ自分がやれるかってのもそうだし、結果残してもっと上の順位とかのチームから声かかれば嬉しいかなと思います」

・では、もう少し先を見た目標などありますか?
「今のところは色んな国に行きたいなと思っていて、フランスかスウェーデンか。あとはスペインもいいんですけど、日本人多いからなーって思ってて、イタリアもいいなって思ってたんですけどビザ取るのに90万かかるって聞いたのでちょっと却下して(笑)。オーストラリアとかも行ってみたいしブラジルとかも行ってみたいなって思います。まぁ5、6年くらいは海外でやってまた日本に戻ってかなーって思ってるんですけど。元ノジマステラの監督が、ふじざくらって分かりますか?山梨県に今年からできたチームなんですけど、そこがもう少し上のリーグ、2部とかに来たらそこで1回2年とか、その監督がいる間に1度帰ってまた海外行ってもいいのかなって。またその菅野さんのもとでやりたいっていうのがあるので」

・その菅野さんについてもう少し聞かせてもらってもいいですか?どこがそんなに魅力的なんでしょう?
「この前日本に帰ったときにふじざくらの練習行ったんですよ。やっぱり菅野さんの作るチームだなって。ファミリー感というか、みんなすごく楽しそうにサッカーやってて。走るんですよ。めっちゃ走るんですけど、それでも行きたいと思えるところ。嫌だけど(笑)。それでもやっぱまた一緒にやりたいなって思える。長年やってると嫌になってきますけどね(笑)」

・日本代表への想いはありますか?
「最近はあまり考えていないですけど、高卒で入るときとかはやっぱ考えていましたし、まぁでも徐々に現実を見始めるじゃないですけど。でもこうやって自分もドイツに来て、少しでも見てくれたらいいなってのは思います。

・実際今回の代表に猶本さん(ブンデスリーガ 1部のフライブルク所属)が呼ばれましたよね。
「猶本さんが選ばれて、ちゃんと監督から見られてるのかなとは思いましたけど」

・明日(27日)のフライブルクとの試合について、日本人対決ということもありますが意気込みをお願いします。
「最近勝てていないし、今も10位に落ちてしまってるので、やっぱ残留のために勝ちにいきたい。そのためにシュート狙っていきたいと思いますし、やれることやれればなって感じです」

・あまり日本人対決ということは意識しない?
「向こうが自分のこと知ってるかも分からないので(笑)。こっちは知ってますけど(笑)」

日常生活について

・1週間の流れを簡単に教えて下さい。
「月曜から金曜はほぼ毎日バイトがあります。大体4、5時間で、夜に練習です。月曜はリカバリーで火曜は最初筋トレ組と走り組の2つに分かれて、交代したら最後みんなで筋トレして終わり。水曜は完全にオフ。木曜と金曜は1時間半くらい紅白戦とかシュート練習とかします。そこら辺は多分あんま日本と変わらない練習をして土曜は9時から1時間くらい調整をして日曜の試合に臨みます」

・日本とドイツの生活、文化の違い
「遊ぶところがない(笑)。こっちの人って基本カフェとか散歩したりとか、ライン川沿いで寝っ転がって喋ったりじゃないですか。でもそれつまらないじゃないですか(笑)。日本に住んでたときは神奈川だったので、江ノ島も行きますし、静岡も山梨も長野もすぐじゃないですか。それと比べるとこっちないじゃないですか。電車は高いし。なので基本働いてます」

・何もしない時間が好きじゃないんですね(笑)
「家にずっといるってのが好きじゃないです。だったら働いてた方がいいですね(笑)。でも車が手に入ったのでもうベルギーとかオランダとかいつでも行けます。デュッセルドルフに中学の頃一緒にやってた子がいるのでよく一緒に出かけてます」

・今のオフの過ごし方を教えて下さい。
「月1では友達と出かけています。この間もオランダ のアウトレットへ行きました。水曜は夜からバイトなので、昼くらいからどっか行ってちょっとプラプラしてって感じです」

・Twitterやブログで発信する意義は何ですか?
「元々日本にいた頃は全くやっていなくて、自分は中途半端な形でドイツに来たんですよ。ステラにはまだ退団とか移籍は出さずに1月にもうドイツに来ちゃって、決まらなかったらまた日本に帰って夏までやるつもりだったんですよ。で、結局決まっちゃったんで、帰らずにもうそのままドイツにいたので。やっぱりサポーターとかには申し訳ないなって思ったので、Twitterをやろっかって思いました。noteは元FCケルンでやってた人の妹に『発信力あるんだからもっとやった方がいいよ』って言われて、日本でもサポーターで見てくれている人は多いし、女子サッカー界も盛り上げようと頑張っているから、少しでもドイツのこととか発信して力になればなって思って。反応を結構頂くので言葉とか気をつけなきゃなって思いますけど、でもありのままを伝えられたらなって思います。いつまで続くかなって感じですけど(笑)」

・最後に自分から売り込んでおきたいというか、言っておきたいことはありますか?(笑)
「でも左サイドバックをやりたいっていうのはすごい今でもあります。自分のプレースタイルを確立してから海外に出ようって思ってて、自分の中で去年それが1年通してちゃんと試合に出れたし、サイドバックとしてもそれなりに形になったかなって思ってこっちに来たんですけど、まさかのサイドバックじゃないっていう(笑)」

インタビュー内容は以上になります。本当に親切に一つ一つ答えて下さったので、興味深いことばかりでした。インタビュー中にどんな質問が即興できても、自分なりの考えや意見をしっかりと答える平野選手の姿を見て、さすがはプロの選手だなと感心するばかりでした。もちろんこの記事が平野選手を応援している方々に届いてくれたら大変嬉しいことですし、読んでくださった方からの反応を頂けると僕自身もとても嬉しいです。おそらく前日にインタビューをして試合を観戦できるのは、今回においては僕だけの贅沢なので、明日の試合もとても楽しみです。平野選手、今回はご協力頂き本当にありがとうございました!下に平野選手のTwitterとnoteのアカウントを貼ってあるので、是非ご覧ください!

今回も読んで下さりありがとうございました!

Twitter @fb_hrnyk
note https://note.mu/yukahirano06

Tschüs👋

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