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聞く技術、聞いてもらう技術

感じたこと・思い出したこと

大学生の頃、インターン先である高校生の話を聞く機会がながくあった。その頃私はどうしたらいいのか分からなかったし、私が本人に与えてしまう影響力に対して怖くなった。聞きたい、でも聴けない。そんな時、河合隼雄の「カウンセリング入門」を読んだ。聴くということは本人の大事な引き出しを開けることだぞ。そんな簡単に開けれるもんじゃないぞ、その開けた引き出し、お前触れれるのか?と喝を入れられたように感じた。一層怖くなったけど、その怖さを持ちながら一生懸命聞いた。今思い出すと自分をしばきたくなることは沢山あったが、それでもその時聞くことできたのは聞くことを聞いてくれたSWさんやセンターで働くスタッフさん達がいてくださったからだったと思う。

聞くこと、聞いてもらうことで複雑な複数の声を自分で認識することが出来る。そして本当に聞いてほしい時に聞いてもらう人を見つけて「聞いてください」と言えるもんではないから、聞いてもらえる環境、話せる環境をつくっておく。

そして専門知と世間知の両方を持っておくということ。世間知では分からんところを専門知をお借りし、専門バカにならず世間知を交差する。今の私にとっては自分で学びながら、専門知と専門知の両方を持ち人と関わる他のスタッフの方々に相談に乗ってもらうことが必要だと思った。

また別のドクターに相談に乗ってもらう中で、グリーフケアの世界に連れてってもらった。グリーフは喪失、変化に対する反応である。変化に対する反応である。グリーフのエネルギーをため込んだり抑えるのではなく、エネルギーをそのままに表現し、解放する。

そして話してくれている本人が本来持っている力を信じること、相手は弱くないと信じることを忘れたらあかんと去年1年感じました。まだまだ専門バカにもなれてないけど、「きく」という営みに興味関心が高いんだなあと実感した時間でした。「居るのはつらいよ」もどかーんとじわじわ心の中に大事にしたいなあが広がっていったが今回もどかー-んとじわじわ広がっていきました。

本の中で心の中に残しておきたいと思ったこと

≪1なぜ聞けなくなるのか≫
・人にとって真の痛みが孤独であること、目の前の問題が変わらなくとも誰かが話を聞いてくれ、分かってくれたと思える時、人はしばしその痛みに耐えることが出来る。
話を聞く側はその時孤独になる。相手とのこれまでの関係性をしばし切り離しその人の話に耳を傾けることになるから。話を聞く人の話を聞く人が必要。孤独な挑戦を後ろで支えてくれる仲間の存在は大きい。

≪2孤立から孤独へ≫
・孤独である状態:「寂しいです」と本人が語る時。住まい・安定した生活・心を許せる友人がいる時。他者のことをとりあえず忘れていられるような、鍵のかかる個室が心の中にあるとき。話を聞くことができる。
・孤立である状態:心の中に想像上の悪しき他者がいる時。話は聞けない。

・つながりについて
メンタルヘルスの本質はなんだかんだいって「つながり」

・心・心を見ること
心は人の間を回遊しているときが自然。
心の治療はつながりを回復すること。人のつながり、自分とのつながり。
心は複数ある。小さいほうの声のかすかなうめきが徐々に聞こえるようになる。
心を見ることは、同じ人の中で複数の心が綱引きしているところを見ること。

≪3聞くことのちから 心配することのちから≫
・世間知と専門知
専門知は世間知抜きでは運用できない。専門知が世間知の限界を補い、世間知が専門知の暴走を制御する。
世間知で心の問題の多くが解決されてきた。SCの仕事の本質はクラスや家庭で行われていたケアを再起動させること。専門家は普通の人が互いにケすることを助けるために存在している。
診断名には環境を大きく変えるちからがある。診断名は個人の意志の問題から病気の問題へと物語を変えることができる。
専門知を勉強すると専門バカになり、そのうえで熱狂から醒めていくのが本当の意味で専門家になっていくために必要なプロセス。

・わかるということ
答え合わせは二人の関係性の中で行われるべきもの。
「わかる」は①知識にあてはめてパターン化して分類すること②相手がどのような世界を生きているかを分かること
まったく同じ経験はしえないにしても、自分の経験が他者の経験への想像力を広げる。
時間のちからが好転するときはその時間を他者と共有しているとき。

≪4誰が聞くのか≫
・対話を担う善き第三者の存在
「お前はいろいろあるけど、やっぱいいやつだよ」と言える友人の存在。
・「それは辛いね」聞くは現実に直接作用するわけではなく、心に作用する。それは間接的ではあるが、最終的に現実を変えていくちからになるのでは。

・「聞く」と「聞いてもらう」はぐるぐる循環する。

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