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深呼吸

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体力が落ちていて悲しい。
本当に自分の体なのかと疑う。階段を登っただけで息が切れるなんてここ数年なかった。

何もしたくなかったが、思い切って外に出た。家にいるよりかは有意義に過ごせる。冷たい空気を吸って吐き出すだけでも、何でもいい。やることがあって良かった。

この季節の東山動植物園が好きだ。
人間より動物の方が多い。ボートに乗ったが池が貸し切りだった。

植物園の温室が特に良い。湿度があって苦しくなる。外に出た時気持ちがいい。温室の中から透明なガラス越しに外を見る。水滴がついているので曇ってぼんやりとしか見えない。私は目が悪いので、普段からあまりよく見えていないのだけれど、この見え方に近い気がする。曇ったガラス越しなら太陽もきれいに見えた。

帰って、布団に寝転がる。さっきまでは生き生きと歩けていた自分が嘘だったかのようだ。体が布団に馴染み沈んで動かなくなる。

いつか気持ちが晴れるのだろうか。晴れなくてもいい。もうなんでもいい。一日が無事に終わればなんだって幸せだと思える

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不要になった物を捨てる。要らなくなんか無い、と泣く。いつかは捨てなければいけない。要らない物なんて無い。でももう使うことも無い。

グループ展に呼んでもらった。写真の展示をしようと思い、写真のセレクトをしている。手放した物がたくさん写っていた。

もう一度だけ会える、でも一切の記憶が無くなる。もう二度会えない、でも記憶は無くならない。どちらが幸せだろうか。何だって差し出せる。何も失いたく無い。大切なものは隠しておきたい。誰にも見つからないように居たい。遠くに行ってしまいたい。何もしたく無い。

たくさんの矛盾と嘘を抱えながらあたたかいだけの布団で眠る。

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カメラが不調なので買い換えた。新しい機材が嬉しくて、いつもよりたくさん撮った。

昨日撮影したお嬢さんが休憩中にじゃがりこを食べていて、離れたところにいても気持ちの良い音が聞こえてきた。お菓子を買って食べることはほとんど無いのだけれど、買ってみた。
じゃがりこを食べながら難しいことを考えることは出来ない。頭全体にじゃかじゃかと音が響き、考え事もどうでも良くなった。

2/4

京都へ。
仕事で行くことばかりで、観光をするのは久しぶり。お寺で鈴虫を見た。お坊さんの話がためになったことを差し引いても、びっくりして泣きたくなるくらいの鈴虫がいた。
でも道端に猫がいたので良かった。少し撫でた。

京都っぽいものも食べる。
お嬢さんの体にマジックペンで「正」の字を書いたりもする。

2/6

好きな女の子の家族写真を撮る。記念日に立ち合わせてもらえるなんて、私は幸せだ。
テンションと集中力があがり気合いが入っていることがわかる。
何年後かに見返して「なんか、この日楽しかったね」と話してもらえるといい。

ドライブにも連れて行ってもらう。パフェを食べる女の子を見て、なんか、頑張ろうと思った。

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