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小さな願い

使い古された言葉だが「映え」とはなんだろうか?
素敵なものを素敵に撮ること。
然るべき対象を見つけ、適切な方法で撮影をする。純粋に技術の問題だ。つまり「映え」を見つけることは、少し訓練すれば難しいことではない。
そして「映え」は日々消費されていく。これは悪いことではない。現代のSNSの速度に特化した表現形態であるからだ。

しかし私の写真の特徴は、粛々と一つの対象に向き合い続ける中で発見される美しさにあると思う。
彼女の魅力は既に多くの人が認めている。なぜなら彼女は「映える」被写体だからだ。しかし私は敢えてそれを再生産することはしない。
一箇所に立ち止まり、彼女と時間をかけて関係を作り、その中で見えてくる姿を写し取りたい。そして私が彼女に対して抱いている情念(恋慕、畏れ、敬意)を含めて表現したい。
「映え」からするととても効率の悪い方法かもしれないが、彼女とならその悪効率も愛おしく思う。

今後、彼女とずっと一緒にいることはできないだろう。やがて私達はゆっくりとすれ違い、そして離れていくだろう。
それでもいいと思う。その時までは彼女を撮り続けよう。
いつか終わってしまうのだとしても、その時までは彼女を永遠に撮り続けたい。
これが私の小さな願いだ。

20231208 伏見さくら

まっ茶
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場所 ANTIQUE STUDIO NAGOYA

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