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さよならの夢

6/5
桐野夏生さんの本ばかりを読んでいる。
自分が持っている穴を気づかせてくれる。清廉潔白に生きようと頑張っても、穴があることには変わりはない。それを認めず無いものとして生きるのは嫌だ。お前の穴はこんなに暗く深く汚いものなのだ。直球を投げてくれる桐野夏生さんは優しい。
穴を埋めようとは思わない。自分の暗く汚いところも愛したい。

お嬢さんに教えてもらった今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」も読んだ。何度も読んでいると言っていた。お嬢さんのことを少しだけ知れたようで嬉しかった。

昔からの知り合いに会う。シュッと引き締まって若返って見えた。20代の頃に戻ったようにも見えた。
若返った知り合いを見て、私も20代の心持ちを思い出していた。

6/6


カメラを持ってうろつく。ふと見た鏡に写った自分の目がギラついていた。
朝起きて布団の中でまばたきをくり返していた時間がとても昔のことに思える。

友人たちが私のことをカメラマンとして紹介してくれて、胸が熱くなる。なんか、頑張ろうと思った。

6/7


まっ茶さんと静岡へ。
二週間会っていないと久しぶりに感じる。

写真バトルに参加させてもらう。
他のカメラマンさんとモデルさんの撮影風景を見ることができて、天狗になっている自分にはいい薬になる。

とうもろこしアイスを食べた。
とうもろこしの粒を半分ほど地面に落としてしまった。でもまっ茶さんと一日過ごすことが出来たので、些細なことはなんでも良かった。




6/8

大好きな古民家で美しいお嬢さんを撮影。
店舗の撮影もする。ライティングを変えてみる余裕も出てきた。

6/9


女の子と東山動植物園へ。
街中にあるのに植物園の静けさは異様だ。特に今日は人が少なかった。薄曇りだからだろうか、動物も覇気がなく、皆だらんとしていた。

散歩しながら話すのが好きだ。
言葉を交わす以上に人のことを知れる気がする。どんなものに心を動かされるのか、その時に何と言うのか、それとも言わないのか。同じものを前にしているのに全く違う箇所に気づいたり、興味を持てなかったり。
些細な情報を得て仲良くなる過程が楽しい。

6/10
女王様の毒艶会 in 名古屋にて、永遠嬢様と緊縛ショー。
永遠さんとのショーは毎回最高に楽しくて幸せな時間だ。今回は感情の揺れが大きく、その分終わった後の余韻も素晴らしかった。

舞台の上で合わさった永遠さんの眼差しが強く、眩しかった。こんな目で見てもらえるなんて私は幸せだと思いながら泣いた。

同じ舞台に立っているけれど、永遠さんがどこか遠くに行ってしまうような気がした。現実ではそんな事は無いとわかっているのに寂しくなった。
舞台の上で起こることは全て夢幻だが、夢だとしても悲しかった。

6/11
雨の日なので家から出ないで作業をする。一週間分のあれやこれやを済ます。
圧倒的晴天支持、反雨派だが、家から出ないのであれば雨も歓迎している。外の雑音が雨音で中和され、窓から入っている光もぼんやりと薄暗くて落ち着く。

米粉を買ったのでクレープを焼く。
米粉を買う時怖くなった。ちゃんとしたご飯を作って食べるとか、料理を楽しむといった、いわゆる普通の生活を送ることのプレッシャーを感じる。
そんな恐ろしい想いとは裏腹にクレープはしっとりして卵の味が濃く、贅沢な食べ物だった。

6/15


寂しいことを意図的に思い出す遊びをする。思い通りに寂しくなり、めそめそして過ごした。

6/17
想縄会へ。
愛情をたくさんもらい、安心したのかとても寝つきが良かった。

6/18

仕事の一区切り着いたのでお祝いのお蕎麦を食べる。猫のいるお蕎麦屋さんだった。

暑くてバテたので覚王山でかき氷。

もう一興欲しくなり、久しぶりの河童の茶の間へ。

髪も切り、夏仕様へ。首の後ろを風が通って気持ちがいい。

6/18〜22

6/23
久しぶりの撮影がない日。二週間ぶりに生活が落ち着く。
毎日のように撮影出来るなんて本当に有難い。

平日の昼間なので隣人たちは仕事に出掛けているだろうと思い、のびのびと鼻歌をうたっていたら隣室から洗濯機を回す音が聞こえた。恥ずかしくなる。

6/24


着物を着てうろついたり、お菓子を撒いたりする。古いワインを飲んで軽く酔っ払ったりもする。

6/25
待ちに待ったイケメンパラダイスの日。
私の天使が出演するので歓声をあげに行く。

また、ほとんど初めてステージの写真を撮る。カメラマンの先輩たちにアドバイスを貰いながら撮影した。イベントの撮影はこんなに大変なのかと初めて知る。いつも当たり前のようにステージの写真を受け取っていたけれど、改めて感謝をした。
チップをたくさん渡したい夢が叶った。演者さんに感想を伝えながらチップを渡すのは、なんというか、リフレッシュできる。感情とお礼を一緒に伝えることが出来るなんて素晴らしい。

出演しているだけではわからないことをたくさん知れた。
こんなに楽しい日があって良かった。永遠嬢様がひらいてくれたおかげだと思った。

6/26
一番大切な、自分の柔らかい部分は誰にも渡せない。線引きが難しい時もある。この人になら、と思うこともあるけれど、たいていやめてしまう。

影の部分を見せるのは怖く無いのに、光の当たる所と影の境目は見せたく無い。曖昧で自分でもよくわかっていないものを差し出すのは恐ろしい。

明日からはカメラを持ってうろつきまわる日々に戻る。
離婚して引っ越しをしてから半年、意図的に暇を作らないようにしている。少しでも立ち止まり休息をとると、二度と立ち上がれなくなりそうだ。

体は疲労しているが、目は相変わらずギラついている。自分が何を、どんな感情を持てば満足するのかわからなくなってきた。
過ぎたこともこれから起こることもどうしようもない。今目の前にあるもの、湧いている気持ちに向き合っていきたい。


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