自由を求める男の話
自由になりたい。 それだけなんだ。
なぜ、強いられているんだ。生きることを強いられている。
死に対する恐怖は自制心として機能する。人間は、生まれた時から強制されているんだ。生きることを。
だから、僕は自由を求めているのかもしれない。相対性だろうか。 しなければならないほど、したくなくなってしまうんだ。
一体いつになれば自由を手に入れる事ができるのだろう。 何をすれば、どういった道を歩けばそこにたどり着けるのだろう。考えてもわからない。行動しても、一向に見えてこない。それでも自由を求め歩き続ける。こういう人生なのかもしれない。 生まれた時から決まっていて、僕は自由を見つけられない人間なのかもしれない。
男は、老いるまで歩みを止めなかった。地に足をつけることは一切なく、座ることもなかった。ただ、自由のため歩くことを決してやめることがなかった。
あぁ。 そうか。 自由は、私には大きすぎる。 自由は、私にはもったいない代物だったのか。
気づいてしまった。 それは、人間には到達できない場所にあるということを。
自由、それは神だった。 男は、全知全能のことを、自由と呼んでいたことに気がついた。 そして、気がつくには少し遅すぎた。