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白の長襦袢は全長襦袢を駆逐する

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本日のお題:白の長襦袢は全長襦袢を駆逐する
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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今日は毎月28日の仕入れの日で定休日ですので昨日から本日昼12時までにいただいたご注文は明日発送させていただきます。恐れ入りますが到着まで今しばらくの間お待ちくださいませ。

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■白の長襦袢は全長襦袢を駆逐する

今週のお題は「白の長襦袢は全長襦袢を駆逐する」です。長襦袢は長着ほどではありませんが、意外といろんな色柄がありまして、着物上級者にとっては隠れたオシャレのできるアイテムですよね。特にちょっと変わった色柄の長襦袢はリサイクルで入荷してきてもすぐに売れてしまう人気アイテムなんでして、私も面白い柄を見つけると多少仕入れ値が高くても頑張って仕入れてしまいます。今日はそんな長襦袢のお話です。

みなさん、白の長襦袢はどんな着物に合わせてお使いになりますか?夏用の絽や紗の生地はカジュアルでもフォーマルでもオールマイティに合わせてお使いいただけますよね。では胴抜袖無双(袷の長襦袢も含む)の長襦袢はどんな着物に合わせてお召しになりますでしょうか。

私は白の長襦袢は留袖と黒紋付用(喪服)と業界の先輩に教えられてきました。五つ紋付の着物にのみ合わせて着用するフォーマル用という認識であり、小紋や訪問着などには使わないと考えておりました。でも最近、小紋や訪問着などにも合わせるという方がSNS等で散見するようになりまして、少しずつ時代が変わってきているのと実感しております。

私の認識ではあくまでも白の長襦袢は五つ紋付きの着物に合わせるフォーマル用であり、小紋には使わない、ではなくて「使えない」でした。小紋や訪問着には定番の薄ピンクのぼかしやその他もっとオシャレな長襦袢があるのでわざわざ愛想もクソもない白地を選ぶ必要はないとは思いますが「使わない」ではなく「使ってはいけない」と思っておりました。

小紋の下に白の長襦袢を着ると、例えばTシャツにネクタイをしているような、カジュアルとフォーマルがちぐはぐになっているような感じ…なんて言ったら余計わかりにくいですね笑。

着物は帯や長襦袢、帯〆や帯揚げなどすべて格を合わせることが基本です。ただ、その「格」もそのアイテムによってカジュアルからフォーマルまで幅広く使えたり、フォーマルだけだったりカジュアルだけだったりなど、その判断に多少の慣れは必要で特にSNS等ではしばしば議論の対象になったりということがございます。今回の長襦袢もそういった事例の一つであり「本来フォーマル用だったけれどカジュアルにも使えるのか否か」という話なんですよ。

先に謝っておきますが、今回のお題に結論はありません。私自身はこの業界に入って着物のしきたりやドレスコード等を教えてもらったときに白の袷(胴抜袖無双含む)長襦袢は留袖や黒紋付(喪服)専用と教えられてきたので、今でも心の中では頑固に「白の長襦袢はフォーマル用」と思ってますよ。鳥類のインプリンティングではありませんが、一番初めに教えられた価値観はなかなか抜けないものです笑。ですのでその古い価値観を刷り込まれた頭で訪問着はもちろん小紋でも普通に白の長襦袢を合わせているSNS等の写真を見て「あれ?」と思うんですよ。

もともとカジュアルでは何を着ても誰に迷惑をかけるわけでもないですから何を着てもいいじゃーん!という考えの私ですので、本人が良ければ普段着に留袖を着ようが別に構わないと思ってます。洋服で言えば普段着にイブニングドレスを着るような感じで違和感はアリアリではありますが、別に本人が気に入ってるのであれば誰に迷惑をかけるわけでもなし、好きにすればいいと思います。ですので本来フォーマルである白の長襦袢をカジュアルダウンして小紋に合わせても特に問題はないと思いますが「本来フォーマル用である白の長襦袢をカジュアルダウンして着ているのではなく、一般的なピンクの長襦袢と同じように着られる、なんならカジュアルにもフォーマルにもどちらにでも着られるオールマイティな長襦袢」と認識されつつあるようで、私の認識とはちょっと違うなぁ、と思うのです。

こういう言い方をすると私が正しくて世間が間違っていると思ってると思われそうなので念のために書いておきますが、私が正しいなんてことは全く思っておらず、むしろ私の認識が古くて世間の認識の変化についていけていないと考えた方が正しいでしょう。

昔はみなさん着物をたくさんお持ちで、それに比例して長襦袢も何枚もお持ちでした。しかし生活様式の変化bにより着物生活から洋服生活になり、人生の節目イベント等でも着物を着用することが少なくなり、次第にお持ちの枚数も少なくなってきました。当然長襦袢の枚数も少なくなりますので、できればいろんな着物に兼用で着用して節約したいというのはごく当然の欲求ですよね。そもそも長着に隠れてほとんど見えないものですし。

私を含め、古い人間は白の長襦袢は留袖や黒紋付専用と思ってる方は多いと思いますが、おそらくこれから10年、20年と時間が経過すれば白の長襦袢は全ての着物に使えると認識されるようになるのではないか、と思っております。呉服店は初めて長襦袢を買うお客様に「白の長襦袢は小紋から留袖、黒紋付(喪服)まで何でも使える」と言って勧め、白が長襦袢の主流となり、そして従来の薄ピンクぼかしや薄グリーンなどの小紋や訪問着にしか使えない長襦袢は姿を消さないまでも、どちらかというと少数派になるのではないか、なんて思いますがいかがでしょうか。

「昔は長襦袢はもっとおしゃれで色のついたのがいっぱいあったんやで」なんて言われる日もそれほど遠い未来ではないかもしれません。現在でも長着のように柄がたくさん入った小紋や紬などカジュアル着物専用のおしゃれな長襦袢はほとんど作られなくなって、訪問着や紬、小紋など何にでも使いやすいピンクぼかしが多くなっています。その「何にでも使いやすい」がさらに発展して一番何にでも使える白の長襦袢が台頭してくるだけの話です。

そもそも夏用は白の長襦袢がオールマイティに使えるんですから、それが袷にも適用されるようになってもそれほど違和感はないのではないでしょうか。これをお読みの読者の皆さんの認識はいかがですか?袷の白長襦袢は何にでも使える便利な長襦袢でしょうか。それとも留袖や黒紋付など五つ紋の着物専用のフォーマル用でしょうか。

このように服飾文化は社会生活、生活様式の変化によって絶え間なく進化していくというのは従来よりこのメルマガで何度も申し上げている通りです。止まっているように見える様々な着物の着方のルールも注意深くみていると少しずつ進化しておりますので注意して観察してみてくださいね。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
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