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八掛について色々

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本日のお題:八掛について色々
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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■八掛について色々

今週のお題は「八掛について色々」です。小紋や紬をお仕立てするときは必ず八掛を選ばなくてはなりませんが、意外と皆さん八掛選びには頓着なく呉服店にお任せしたり簡単に選んでしまいがちなんですよね。でもこの八掛、元々は十二単の重ね着の名残などとも言われ、裏地を見せて表地との調和を楽しむという世界でも珍しい民族衣装なのです。今回はその八掛の選び方について色々お話しさせていただきます。

・どんな色が合うのか迷った時は

八掛はそれこそ何百色というような様々な色のものが作られていますので、お気に入りの着物にどんな色のものをつければいいか、とても迷いますよね。着物初心者の方だとどうしたらいいかわからず、選べないのではないでしょうか。そんな時には「その着物の中の柄に入っている色」を使うと色同士ケンカせずにうまく収まります。その着物の中に描かれている、例えば花の色、例えば葉っぱの色などを参考にするのです。そこに使われている色は地色と調和してケンカするような色は絶対に使われておりませんので、すんなりしっくり地色と馴染むのは間違いありません。迷った時にはその着物の中に入っている色を使う、これが無難です。

ただ、それはあくまでも無難というだけでやや面白みに欠けます。「襲の色目(かさねのいろめ)」というのをご存知でしょうか。詳しくは検索していただくとして、簡単にいうと昔の貴族が楽しんだ色の組み合わせです。襲の色目を詳しく解説したサイトにはいろんな色の組み合わせを紹介しているので、表地と裏地の色の組み合わせをそういったところから参考にするのもいいですね。

・カジュアルかフォーマルか

あくまでもざっくりとした話ではありますが、表地と同じ色(共色)の方がフォーマル、違う色をつけるとカジュアルっぽくなると言われております。あくまでも「どちらかといえば」という程度ですのであまり神経質になる必要はありませんので、訪問着に別色の八掛がついていたからといってカジュアル向けの訪問着(なんだそりゃ)になるわけではありません。ただ、表地と別の色をつけるとちょっとおしゃれの方にメーターが振れてしまい、おしゃれ要素が強くなる一方でフォーマル要素が少なくなるという感じです。このニュアンス、わかっていただけますでしょうか^^;

逆にいえば色無地をカジュアルっぽく着たい場合、別色の八掛をつけるとおしゃれ&カジュアルっぽい感じになります。

先ほども書きましたが、あくまでも「どちらかといえば」という程度のものですのであまり神経質にならないでくださいね。

・ぼかしと無地

八掛は大きく分けてぼかしと無地の2種類ございます。ぼかしは裾の部分だけ染めたもので、無地は全体が同じ色で染められたもの。どちらを使ってもいいのですが、表地が薄い色合いのものに濃い色の無地をつけてしまうとその色が透けてしまい、上半身と下半身で着物の色が違って見えるということがあります。そういう場合にはぼかしを使うのですが、表地が白い場合はそれでも注意が必要です。

ぼかしの八掛であっても表地の色が白に近いもので、八掛の色が濃い場合もしっかりくっきりと表に透けてしまいます。リサイクル品を扱っていると、表地が白で八掛が朱赤になっていて、裾まわりがぼんやりと赤っぽくなっているものをよく見かけるんです。ですので白など透けやすい色あいの着物の八掛はできるだけ薄い色のものをつけるように心がける方がいいかもしれません。

・どんな生地のものがいいのか

八掛の生地は大きく分けて2種類、精華のものと紬生地のものがあります。精華とはちりめんの一種で、昔よく用いられた錦紗(きんしゃ)の「縮みやすい」という点を改良した縮緬がパレス縮緬でして、そのパレス縮緬をさらに改良したものが精華パレスで、現在は精華生地=パレス生地と考えても間違いではありません。一方紬生地は表面が滑らかな大島紬のような裾さばきのいい生地を使用したものです。

一般的に紬の着物には紬の八掛をつけるとされておりますが、紬の八掛は摩擦に弱く、頻繁に着物を着る方ですと裾が擦り切れてしまうということがあるため、紬の着物にも精華のものをつける方が意外と多いです。紬に精華の八掛をつけても問題が起こったということは聞いたことがありません。

・八掛天地返し

さて、お気に入りの着物を着すぎて八掛が擦り切れてしまった場合はどうしたらいいでしょうか。八掛を新しくして仕立て代も…となるとかなりの出費になります。そんな時には八掛天地返しという技(?)があります。これは擦り切れてしまった八掛を上下逆にして擦り切れた部分を縫い代の中に入れてしまうという方法です。仕立て代はどうにもなりませんが、八掛代は節約することができます。

八掛は裏地を見せて表地との色合いを楽しむという面があるのはもちろんですが、一方で裾から八掛を少し出して表地が傷むのを避けて八掛をひっくり返せばまたもとどおりに着用できるようにしていました。昔は多くの方が和裁ができましたので裾が擦り切れてもお金をかけずにまた元どおり修理することができたんですね。これも着物の形が出来上がった時の先人の知恵と言えるのではないでしょうか。

・長襦袢を八掛の代わりに

次第に着物に慣れてくれば、だんだんと八掛にも凝りたくなってくると思います。表地と違ってちょっと隠れたおしゃれを楽しめる八掛を簡単に選んでしまうのは勿体無いですよね。そういうちょっとしたおしゃれを楽しみたい方は柄八掛なんてのはいかがでしょうか。単純な無地やぼかしと違って柄の入っている八掛です。選び方によってはうるさく感じてしまうので少しセンスが要求されますが、そういった隠れたおしゃれも着物の楽しみの一つですよね。

ただ、残念ながら柄八掛は非常に種類が少なく、扱っている店も少ないです。今はインターネットがありますので検索すれば扱っている店も簡単にヒットするとは思いますが、それでもやっぱり流通量が少ないので選ぶのに苦労するかもしれません。

そんな時には長襦袢の生地を八掛に使ってみてはいかがでしょうか。八掛と比べると長襦袢は色柄が豊富ですのでたくさんの中から選ぶことができると思います。八掛は1丈(約4m)必要なので単衣用の長襦袢で2枚分、胴抜袖無双用の通常の長襦袢で3枚分取れるはずです。仲のいい着物友達とシェアしてお揃いの八掛なんてのも楽しいですよね。

さてさて、ざっと思いつくままに書きましたが、八掛は裏地ながらもしっかりと主張する隠れた主役みたいなもの。表地はもちろんしっかりと選ばれるとは思いますが、八掛も少し気にかけるようになれば、もうあなたは着物上級者かもしれません。知らんけど(おい)。

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