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ガード加工についてあれこれ

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本日のお題:ガード加工についてあれこれ
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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■ガード加工についてあれこれ

今週のお題は「ガード加工についてあれこれ」です。ガード加工については今まで何度もテーマにしているのですが、最近特に読者が増えてきておりますので改めて詳しくお話ししたいと思っております。

ガード加工とは簡単にいうと着物についた汚れを弾く加工です。雨が傘に当たるとポロポロと水玉になって転がり落ちる、あの加工です(厳密には傘についている撥水加工とは違うようですが)。

ガード加工の中で一番有名なのはやはりパールトーン加工でしょう。私の知っている限りでは確か着物のガード加工の中では一番歴史が古く創業90周年を超えていたと思います。ここでパールトーン社のサイトを見てみると元々は海軍から海水の湿気による金モールや海兵服の酸化防止のために開発されたもののようです。

創業当時はインターネットはありませんので呉服店やユーザーに知ってもらうのに大変な苦労をしたようで、全国の呉服店に醤油とパールトーン加工済みの布を持っていって目の前で醤油をぶっかけ、ポロポロ落ちる様子を見てもらうというデモンストレーションをしたというのは有名な話です。また京都の祇園祭の鉾の重要文化財級の緞帳にも加工されていることでも知られています。

さて、ではこのガード加工というのはどういうものかというと、フッ素ガードらしいです。私もこの辺はあまり詳しいことを教えてもらえないので「らしいです」という表現になってしまいます汗。フッ素というのはすぐ頭に思い浮かぶのは歯に塗布して虫歯になりにくくするというものですよね。このフッ素という物質は非常に安定した分子構造(?)をしているため、異物と結合することなくポロポロと弾いてしまうということらしいです(*)。

*なんてことを書くと超理系女子の友人がツッコミを入れてくるのが予想できますが、まあその辺は文系のおっさんが適当なことを書いているとでも聞き流してくださいな。わはは。

というわけで前置きはこの辺で、ガード加工の注意点を箇条書きでお話ししていきます。

・汚れを弾く

これは前置きでガッツリお話しさせていただいたガード加工の一番の特徴ですよね。絹の着物は家庭での水洗いはできませんのでジュースなどがこぼれてしまった時にポロポロと弾いてシミにならないというのは大きなメリットです。たとえ気をつけていたとしても氷の入ったコップの周りについた水滴がぽとりと落ちてしまうこともありますよね。そんな時にもガード加工さえしていれば全く心配なくシミになることなくポロポロと落ちていきます。

・でも汚れに万能というわけではありません

先ほどジュースやコップの周りの水滴などはポロポロと落ちてシミにならないと書きましたが、それではケチャップやマヨネーズなど、粘着性の高い汚れはいかがでしょうか。これは残念ながらポロポロと落ちるというわけには行かず、着物にぺちゃっとついてしまいます。ただし、糸に染み込むまではいきませんので綺麗なタオルでトントンとたたくように応急処置でとってください。

また、着物で一番汚れやすい衿山部分等も要注意です。ちょっと下を向いた時に衿山にファンデーションがついてしまうことは多々ありますが、こういった擦り込むような汚れについてはガード加工はほぼ無力と思っていただいていいと思います。少し汚れのつき方が少なくなるといったことはあるかもしれませんが、目に見えて変化があるというほどではないと思います。

ではガード加工は全く意味がないかというとそうではありません。

ガード加工の会社は粘着性の汚れやファンデーションの汚れ等はどうしてもついてしまうものというのはわかっておりますので、多くの加工会社では自社のガード加工をした着物については染み抜き代金が格安、もしくは無料というサービスをしております。ちなみに当店で扱っております「しあわせガード」では10年間染み抜きが無料になります。

今までガード加工済みの着物のお手入れを何百枚、何千枚としてきた私から言わせていただきますと、着物の汚れの半数以上は衿山のファンデーション汚れですので半数以上の汚れには染み抜きサービスのないガード加工はあまり意味がないと言わざるを得ません。ほとんどのガード加工には無料染み抜きサービスがついているのですが、なかにはついていないものもございますので加工する時にはしっかりと確認してくださいね。

・熱いお湯にも要注意

ガード加工の天敵といえば、実は熱いお湯だったりします。私自身は試したことはありませんし、もしかすると今ではかなり改善されているかもしれませんが熱いお湯をかけると一気に効果がなくなってしまうとされています。熱いコーヒーなどは要注意です。

・本当に通気性や風合いは損なわないのか

どの加工会社のサイトにも通気性や風合いはかわりません、と記載されておりますが実際のところは変わります。といっても普通の方ですとほぼわからない程度の変化でして、何百枚、何千枚と着物を縫ってきた和裁士さん、自分の指先の感覚で着物を織り上げる職人さんでようやく感じ取れるような変化のようです。当然私もわかりません笑。

今まで何度か和裁士さんに「これ、ガード加工してるのかな、ちょっと固かったね」と言われたり、お召しを織る職人さんも「ガード加工をした着物はヌルヌルする」というようなことをおっしゃってました。

・結局のところどうしたらいいの?

結局のところどうしたらいいのか、迷いますよね。せっかくの風合いの良い絹の着物を購入したのならその着心地まですべて楽しみたいので素人にはわからないレベルと言われても、風合いが落ちると言われたらなんとなく二の足を踏んでしまうのはわかります。しかしその一方で着物を着て食事をする時にいちいち汚れを気にせずに食事に集中したいし、自分は気をつけても隣の人がこぼしたりなんていうこともありますのでそういうことを考えると(染み抜き格安保証がついているガード加工の)染み抜き代が必要なくなるというのは非常に魅力的。

私なら、例えば重要無形文化財クラスの結城紬や芭蕉布、宮古上布などの希少織物でしたら、私にわからないレベルであっても風合いが落ちる、または変化するというのであれば加工はしたくありません。一方、名の通った織物ではない普通の着物でしたら気楽に着るために加工をする、というところでしょうか。やはり汚れを気にすることなく気軽に着たいので。

本当は、ガード加工をしなくても染み抜き無料サービス(もしくは格安)で染み抜きをしてくれる染み抜き保険のようなサービスがあれば一番良いんですけど、意外とこのサービスをやっている会社がないんですよね。どこかの会社でやってもらえません?

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022

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