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浴衣でどこまでお出かけできる?

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本日のお題:浴衣でどこまでお出かけできる?
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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■浴衣でどこまでお出かけできる?

今週のお題は「浴衣でどこまでお出かけできる?」です。ちょっと以前にX(旧ツイッター)でこの話題で盛り上がりましたのでメルマガでも取り上げてみました。この話題が出ると「夏だなぁ」と思うぐらい定番の話題でして、毎年のように議論されているネタですね。こうして話題になるということはそれだけ浴衣を着たいという方が多いということだと勝手に解釈して嬉しく思っております笑。

浴衣でどこまでお出かけできるかをお話しする前にまずは浴衣の成り立ちからお話しいたします。何度もこのメルマガで読んでるよ!という方もそう言わずに少しだけ付き合ってくださいな。

お話は平安時代まで遡ります。当時のお風呂は蒸し風呂のようなもので衣服を着用して入浴いたしました。そのときに着用していたものが麻で織られた湯帷子(ゆかたびら)と言うものでした。その後、安土桃山時代に裸でお湯に浸かるようになると、湯帷子は火照った体を冷まし水分を吸い取らせるために着るものと役割が変化しました。江戸時代に木綿が普及し始めると麻織物からより吸湿性の高い木綿の着物が用いられるようになり現代の浴衣の原型となります(参考:Wikipedia)。

元々お風呂の中で着用するものが次第にバスローブの役割に変化していき、江戸時代中期には様々な趣向を凝らした色、柄が見られるようになります。この辺りは時代も洋の東西も問わず、人間のおしゃれに対する欲求は同じでして、おそらく江戸時代でも「こんな色、柄いいやろ?」という感じで浴衣を染める業者が提案して次第に普及していったのではないか、と勝手に想像しています。そりゃ江戸時代といえど、自分の作った商品を買ってもらって儲けたいのは当然ですからユーザーの目を引くものを提案しようとしますし、ユーザー側も他人よりもちょっとおしゃれなものを着たい、と言う欲求があるでしょう。

まあそんなこんなで現代に色柄豊富な夏の定番として着られている浴衣は元々は湯浴み着、またはバスローブから派生したものだったんですよ。当店では和風の寝間着も扱っているのですが、年配の方でその寝間着を「浴衣」という方は結構多いんですよ。おそらく昔は寝間着と浴衣とがあまり区別がついていなかったのではないか、と思うのです。

私がこの業界に入ったおよそ30年前は浴衣を着て電車やバスに乗ってお出かけするなんてとんでもない、あれは色柄は着物みたいだけど湯浴み着、湯上り着で外にお出かけするものじゃない、なんて認識だったと思います。先ほど書いたような湯上り着の寝間着なのか浴衣なのかいまいち区別がついていない時代の年配の方からするとその認識は当然と言えるでしょう。しかしながら近年では花火大会に行くと色とりどりのカラフルな浴衣姿の方を多く見かけますし、そのほとんどが電車やバスでお出かけしておられることでしょう。昔の湯上り着の延長線上のものとは全く違っていてもう浴衣で遠出をしてはいけない、なんて遠い昔の話ですね。

このメルマガで何度も書いておりますように、服飾文化なんてものは右に行ったり左に行ったり振り子のようにゆらゆら動きながら少しずつ進んでいくものであり、常に進化していると言っていいと思います。元々は湯浴み着であったものなのでおそらく下着に近いような役割だったものからバスローブに進化し、夕涼み着に進化してきました。夕涼み着となると人目に触れるので、当時の浴衣を作ってる業者も、より人目についても自然なように、よりおしゃれなように趣向を凝らして作るのは当然で、現代の着物と同じような色柄になりました…ってこの辺りは3週間ほど前の「木綿着物と浴衣の違い」に書いてますのでよろしければnoteをご覧ください。

で、ここからが今週のお題。浴衣でどこまでお出かけできるか、ですね。

もう今は電車に乗って花火大会は100%の方がOKと判断するでしょう。真昼間の祇園祭はどうでしょうか。浴衣がTシャツにジーンズ程度の装いならば、最近は授業参観でもTシャツにジーンズのカジュアルな方もおられるらしいので、それなら授業参観もOK…ってこれは多分否定的な方も多いでしょうね。X(旧ツイッター)でホテルのアフタヌーンティにも出かけるという方がおられましたが肯定的な意見が多い一方で否定的な意見も多少見られました。ホテルという、いわば非日常の空間となると否定的な意見は多くなるようです。

これ、今メルマガをお読みの方はどう思われますでしょうか。おそらく十人十色でほんとに様々な意見があると思うんですよ。浴衣という、たかだか20年から30年前になんとなく遠出してもOKになった程度の着物(あえて着物と書きます)はどういう場まで着用していけるか、知らない人から見たら浴衣も着物も同じやん、ホテルでもどこでもいって大丈夫という方もおられるでしょうし、やっぱり浴衣は浴衣で一般的な着物とは違うと考えるからもおられるでしょう。長襦袢を着たり、嘘つき衿をつけることで一般的な小紋や紬を着て行ける場所はどこにでもいけると考える方もおられるでしょう。本当に人それぞれの感覚があると思います。

そりゃそうです。だって今は過渡期だから。

いや、過渡期というのはちょっと違うかな。先ほど書いたように服飾文化は右に行ったり左に行ったり振り子のようにゆらゆら動きながら少しずつ進んでいき、その歩みは止まるものではないと思うのです。いうなればずっと過渡期であり時代とともに少しずつ常に動いていると考えております。なので先進的な感覚を持つ方は浴衣でどこにでも行っちゃえ、と言うでしょうしどちらかといえば保守的な考えの方はあまり遠出をするのは…と言うでしょう。そういった感覚は人それぞれでグラデーションになっているのでどれが正しい、どれが間違っていると言うわけではないと思うのです。

まだ着物に興味を持ち始めて自分で着るようになって「夏は暑いから浴衣でいいかな」なんて思って周りの人に聞いてみたらそれぞれ言うことが違ってて余計に迷ってしまった、という経験のある方もおられると思います。多分専門家であるはずの呉服店に聞いても十店十色の答えが返ってくるので参考にならないと思います。

これから先、ある程度改まったホテルランチにまでいけると言う方が多くなれば次第にホテルランチに浴衣も市民権を得るようになると思いますし、そうやって着る方がどんどん多くなれば日本の夏の定番衣装は浴衣になるかもしれません。沖縄のかりゆしウェア、ハワイのアロハシャツのように日本人の夏の定番衣装になるかもしれませんし結婚式にだっていけるようになるかもしれません。

そんなアホな、って思うでしょ?でも私が子供の頃は浴衣で電車に乗って花火大会なんて考えられなかったんですよ。ところが今や花火大会には浴衣は定番の装いとなっています。時代によって感覚はどんどん変わっていくのでその時代感覚に従って自分もアップデートしていけばいいのです。着物なんてそんなに堅苦しいものではないですし、浴衣なんて一番手軽に始められる着物ですからね、楽に考えていきましょうよ。もちろんある程度周囲に気を配って配慮しての話ですけどね。

ただし、このメルマガを読んで「そっか、自由でいいんだ」なんてどこでも出かけていただけるととても嬉しいのですが、その一方で「あれ、あの人こんなところに浴衣で来てる」なんて声が聞こえてくる場合もあるかもしれません。だって過渡期だからいろんな人がいるし否定的な方も当然おられるでしょう。先ほど書いた「配慮して」と言うのはある程度人によって差があるので難しいところではあります。

私はこのメルマガの中ではどこまで着ていくのは有り無しというようなことは言いません。だってただの一個人の感覚ですから別に参考にならないから言ってもしょうがないです笑。昔は寝間着のようなものだった浴衣が電車に乗ってお出かけできるようになったように、少しずつ時代が変化してそれが多くの人に受け入れられていくのが服飾文化ですのでその変化を楽しみたいと思っております。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022
https://www.kikuya.shop/

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