処方される薬は腸の健康と免疫力を脅かす

　胃食道逆流症を患っているアメリカ人は推定 6,000 万人おり、制酸剤の需要は多くなっています。しかし、この酸阻害作用は腸の健康に大きな問題を引き起こす可能性があります。例えば、Pharmacological Reportsに掲載された新しい研究によると、プロトンポンプ阻害剤を定期的に服用している人は、腸内細菌叢の異常や腸内感染症のリスクが高まることがわかっています。腸の健康が損なわれると、自己免疫疾患、肺炎、そして多くの種類のがんなど、免疫関連の健康問題のリスクが高まることを覚えておいてください。

　 さらに、腸内多様性の低下はビタミン B12 やマグネシウムなどの主要なビタミンやミネラルの欠乏症にもつながり、骨粗鬆症のリスクも高まるという、私たちがすでに知っている事実が複数の研究で確認されています。高齢になっても制酸剤を服用している人がいることを考えると、転倒による骨折が一般的であることは驚くことではありません。
 
●エピジェネティックな状況は腸の健康にどのように影響するのか？
　健康な消化器系は、私たちが何に接するかによって形成されます。食材、飲み物、汚染物質、医薬品、栄養補助食品などはすべて、腸内細菌叢の多様性、ひいてはエピジェネティックな環境に影響を与えます。食生活を調整するのではなく、酸をブロックするためにプロトンポンプ阻害剤を服用することを選択した人は、潜在的な食物アレルギーや広範囲にわたる環境ストレスのリスクにさらされることになります。これにより、小腸内で有害細菌が過剰に増殖するリスクが高まります。

　制酸剤、過剰なグルテン、グリアジンタンパク質は、消化器系の問題を抱える多くの人々にとって好ましい組み合わせではありません。知らないうちにグルテンに対する過敏症を経験している場合、小腸の繊毛がこれらの炎症を引き起こすことが多いタンパク質にさらされると、消化機能の変化、腸内細菌叢の健康の悪化、免疫システムの機能低下につながる可能性があります。健康な消化器系は、最適な免疫力を支えるために強力な粘膜内層に依存しているため、炎症を引き起こすタンパク質にさらされると、この内層が弱まり、一般に「リーキーガット」として知られる組織透過性を引き起こす可能性があります。粘膜内層が弱っている人に制酸剤が処方されると、既存の組織透過性のために感染症を発症するリスクが大幅に増加します。

●今後の展望
　International Human Microbiome Project は、 食事療法とプロバイオティクス療法が腸全体の健康を改善する上でどのようなプラスの影響を及ぼし、それが人間の日常的な健康にどのような影響を与えるかを研究することを目的としています。このプロジェクトの目標は、医療従事者の焦点を制酸剤やその他の医薬品による対症療法から、個々の微生物学的要因を識別して治療する方法に移すことです。私たちが決して忘れてはならないのは、食材が大切だということです。さらに、ゆっくり食べることの重要性も忘れないでください。