鏡割り型ブルームーン 〜モダンでパーミッションは戦えるのか〜
対抗呪文を撃つ、最近著者が最もハマっていることである。
このカードは打ち消し呪文の始祖にして頂点とも言えるカードで、モダンホライゾン2にて再録されたことでモダンでも使用できるようになった。
その影響もあり、モダンでは【カウンターモンキー】や【青白コントロール】などの青を主体としたデッキが隆盛を見せることとなった。
前述したデッキは邪悪な熱気や虹色の終焉などの強力な除去を多く採用しており基本的にこれらで盤面を捌き、対処が難しいもののみカウンターするという戦術を用いる。
モダン環境を定義する最強の除去達
しかし、青赤カラー(以下UR)が好きな私は除去よりカウンターを主要な妨害手段とする【パーミッション】寄りのURコントロールを作成したい!というモチベーションに駆られた。
長い調整の果て、安定して勝ち越せるようになりついに目標にしていたモダンリーグ5-0を達成することができたので、これを機に今回作成したリストについて解説していこうと思う。
1.デッキリスト
【パーミッション】らしくカウンターを主要なコントロール手段としつつ、血染めの月を採用することで多色デッキや土地コンボに強く出れるようになっている。
一般的に【ブルームーン】と呼ばれるアーキタイプだ。基本的なブルームーンの概要や強みに関しては別の記事で述べているのでそちらを参考にしていただきたい。
このデッキには16枚もの打ち消し呪文と4枚の瞬唱の魔道士が搭載されており、構え続ける動きを可能としている。このおかげでソーサリータイミングで動くことが多いデッキや大振りなデッキに対しては圧倒することが可能だ。
また、URの最高のアドバンテージ源である表現の反復や最強のクロック、濁浪の執政は今回不採用としている。反復は構え続けるデッキコンセプト的に扱うのが難しく、濁浪は能動的に動くことが少ない為、探査コストの支払いが難しい。
何よりこれらのカードを強く使う為に最適化されたデッキこそが【カウンターモンキー】であり、差別化したかったので採用を見送った。
採用している多くのカードはブルームーンによく見られるものだが、デッキコンセプトにもなっている鏡割りの寓話については以下で掘り下げて解説していく。
2.鏡割りの寓話/キキジキの鏡像
このデッキの核。
全てのフォーマットでその名を見ない日は少なくなってきたぶっ壊れエンチャントであるが、このデッキでは全ての章がデッキと噛み合っており最高のバリューを誇る。ここでは自分が特に強いと思う点を以下で述べさせていただく。
①.非青+完全な対処が難しい脅威
青を含むデッキと戦っている時、最も強いサイドカードは神秘の論争だ。
このカードは恐ろしくテンポの良い呪文で、お互いこの呪文をケアし合って3マナを余分に払える段階になるまで動かない、ということもよく起こる。
この点から非青であるだけで呪文を通しやすくなると考えている。
しかし、非青の脅威というだけでは他の赤生物や赤PWなども当てはまる。
ここで思い出していただきたいのが、冒頭でも述べた優秀な除去の存在だ。ほとんどの脅威はこれらの前で生き残ることはできない。
しかし、鏡割りの寓話は一味違う。
このカードは英雄譚という特徴から完全に対処することがとても難しい。除去であれば、トークンと裏面の2枚が必要であり、エンチャント自体を除去されてもトークンが残る。
つまり、通すことができれば絶対に1:2交換を強いることができるのだ。
このトークン自身もダブルアクションを行いやすくしたり、血染めの月でスムーズに動けない状況を脱させることができたりと非常に有用だ。
②.ルーター能力
URコントロールは除去枠がプレイヤーにも撃てる火力になっている為、除去を撃つ対象がおらず手札に不要牌が貯まることがない、という特徴を持つ。
しかし、唯一不要牌ができる瞬間がある。それは血染めの月が刺さらない時、もしくはダブってしまった時だ。
ケアしている相手にも腐りがち
このデッキにおいて1枚でも手札に不要牌が貯まることは非常によろしくない。
何せ丸いカードというのは全ての状況に対応することができるが、代わりに劇的な役割を果たすことができない。1:1交換を果たした末になんとか勝つデッキが不要牌を持つことは敗北に直結する。
2章のルーター能力を使うことでこのような状況を抜け出し、不要牌を有効牌に変えてくれる。
また、今回のリストはこの能力のおかげで、序盤にのみ極めて効果的な呪文貫きや、本体には飛ばせない代わりにタフネス5まで処理することができる四肢切断など、状況を選ぶカードを多めに採用することに成功している。
③.他生物とのシナジー
このデッキのほとんどの生物は戦場に出た時の能力を持ち、3章のキキジキの鏡像と強烈なシナジーを形成する。
特に緻密との組み合わせは目を見張る。この2枚が揃った時点でほとんどロック状態になり、相手はダブルアクションをしない限り抜け出せない。
また、打ち消しではないことは夏の帳や魂の洞窟経由の生物にも通じることを意味する。この点と除去をあまり採用していない点から【アミュレットタイタン】や【トロン】には積極的にこのコンボを狙っていくことになる。
もちろんこのコンボは除去が飛んできた時点で崩壊するが、鏡像に対して除去を撃ったとしても前述のように1:2交換しており、緻密に除去を撃っても能力は誘発しているのでテンポ面で得をしている。
また、それぞれのカードがコンボに特化せずとも単体で強いので狙えるシチュエーションだけ狙うことができる。
3.パーミッションから見る現在のモダン環境
現在のモダンでは【カウンターモンキー】、【ハンマータイム】、【土地コンボ】、【続唱】が頭一つ抜けており、個人的に遭遇率も高く感じる。
より多くのモダンのデッキに対しても書きたい限りではあるが、この場ではこの主要な4デッキに対しての主観的な相性を解説する。
(※注、これらのデッキは乗り手によるプレイングやブン回りなどにより多少の有利不利をひっくり返すデッキ強度があるため、あくまでも、こいつはそう思ってるだ、程度に留めてくださると幸いです。)
①.【カウンターモンキー】
通算17戦9勝
ほぼミラーな為、実力が出やすく難しいマッチになる。脅威の数と妨害の数からこちらが相手の攻撃を捌き、アドバンテージ差を付けるのが勝ち筋となる。
ゲームの焦点は濁浪ではなく、ラガバンと帳簿裂きになることが多い。濁浪を出すターンになるとこちらもカウンターを構える余裕があり、相手も相応のバックアップが必要なのでおいそれと唱えることができない。
一方、ラガバンは1ターン目に出、返しで除去できないと敗色濃厚。ラガバンを除去しても返しのターンの帳簿裂きに回答がないとそのまま負ける。
付け入る隙は確定カウンターの少なさにある。
一般的なリストの確定カウンターの枚数は6〜8枚であり、サイド後投入されるほとんどが不確定カウンターだ。
サイド後のようにゲームが長引いた際、不確定カウンターは腐りやすく、打ち消しとアドバンテージ獲得能力で勝ちに行きやすい。
除去を大量に積み、序盤の攻防を制そう。
②.【ハンマータイム】
通算12戦9勝
細かい除去や月がよく効くことから有利にゲームを進めることができるマッチだ。
こちらも相手の攻めを受け切り勝利を目指す。
ゲームの焦点はエスパーの歩哨にかかっており、負け方のほとんどは1ターン目の歩哨を軽量妨害で守られる展開となる。
個人的にはアドバンテージを付けて相手を捌ききるのが勝ち筋なので、シガルダの助けが置かれてない場合はしっかり追加のマナを払って動くことを心掛けている。
また、このマッチはシガルダの助けが置かれている時、裏目が非常に大きい判断を頻繁に迫られる。
そんな中で頼りになるのは大魔導師の魔除けだ。手のつけられないサイズになった構築物トークンやハンマーの着いた0.1マナ生物を奪える。
特に後者は狙う価値があり、相手のエンドに除去を撃ちハンマーを誘って返しのターンでコントロールを奪うのはよく行うプレイだ。(純鋼だけには気をつけよう)
③.【土地コンボ】
vsアミュレットタイタン 通算6戦5勝
vs各種トロン 通算12戦11勝
打ち消し、月全てが有利に働く絶対に勝ちたいマッチ。
長引くとどれだけ縛っていても負けるので、早めにクロックを置いて殴り始め早期決着を目指す。
負け筋はアミュレットならブン回りタイタン早期着地、もしくはハイドロイド混成体連打、トロンならウラモグ連打。
月に依存しているわけでなく、魂の洞窟経由でも緻密があるためクロックが間に合うことが多い。
厳し目にマリガンするのではなく受けが広いキープを心がけることが重要。
④.【続唱】
vsリビングエンド 通算6戦2勝
vsカスケードクラッシュ 通算6戦4勝
鬼門、通したら負けに直結するスペルが多い為構え続けないといけないが、否定の力もあり受け切れるわけでもない非常に難しいマッチ。
特にメインは緻密があまり刺さらず押し切られる展開になりやすく、実際12戦中メインを取れたのは1回のみだった。
カスケードクラッシュにおいては大魔導師の魔除けが非常に有効に働くので、通すことができれば悪くない戦いができる。
勝負はサイド後からとなる。
お互いに大量の打ち消しと対策をいれることで、ゲームの流れは隙なく土地を伸ばし神秘の論争をケアできるか否かが重要になってくる。
相手は最速で続唱呪文を唱えてくることは少なく手札を集める猶予があるが、相手側も追加の脅威として忍耐を投入してくることが多い。
除去を薄めすぎず、相手の引きが強すぎないことを祈ろう。
4.最後に...
モダンのメタは広大かつ変化に富み、その全てに対応することは難しい。
しかし、だからこそ、全てのカードを1:1交換できる打ち消しを主体としたデッキ【パーミッション】が再び注目される日が来ても良いのではないだろうか?
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