クレーム対応 感情ケアと事実確認で苦情は“未来の宝”になる
クレームは苦情ではなく、「期待と違った」というお客からの報告である。クレームは店側が想定していないことを、お客があえて伝えてくれるありがたい行為。クレームを上手に活用して、“未来の宝”に変える方法を伝授する。
なぜ、お客さまはクレームを言うのでしょうか。その背景には2つの理由があります。
①期待と違った
②期待と違ったと伝えることで、この困り事が解決すると店に期待をする
「自分がクレームを言う立場だったら?」と考えてみてください。心がわくわくと踊りますか。思わず笑顔があふれてきますか。そうではありませんね。多くの人は、どこかに怒りや困惑を感じながらクレームを言うのです。
商品や店側の対応が期待と違っていたときに、安堵や喜びや便利さが手に入るはずだという期待が外れます。この時、お客さまには2つの選択肢があります。黙って諦める、もしくは店に報告する。
喜んで苦情を言う人はいません。クレームを言うにはパワーが必要です。「店側にどう扱われるのだろうか?」「困った状態を解決できるだろうか?」という心の不安があるからです。
さらに、手間とお金を再び使ってまで自分が陥った状況を説明する大変さを乗り越えないとクレームは言えません。だから、クレームを言うよりも二度と店を利用しないことで、店を見捨てる人も多いのです。
でも、クレームを言ったら店は何とかしてくれるかもしれないと期待する人もいます。こう思った人がクレームを言います。クレームは苦情ではなく「期待」なのです。こんな背景を乗り越えてクレームはやってきてくれるのです。
クレームの構造「事実+感情」を理解する
クレームは「事実+感情」でつくられています(図表①)。商品の不具合やサービスの行き違いといった“事実”と、期待が外れたという“感情”です。全てのクレームがこの構造で成り立っています。事実とは誰もが「そうだ」と認めることで、感情とは人によって違いがあることです。
例えば「買ったばかりのかばんなのに、ファスナーが壊れた」というクレームで考えてみましょう。「かばんのファスナーが壊れた」は誰が見ても同じ事なので、事実です。一方「買ったばかりなのに」と感じる基準は人によって違いがあるので、感情になります。
このようにクレームには「事実+感情」という構造があります。この構造を理解した上でクレーム対応に当たれば、お客さまの最終満足という成果を得られるのです。
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