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#PR Bogren Digital MLC Subzero 100レビュー

Bogren Digital MLC Subzero 100商品ページはこちら

https://sonicwire.com/product/C1578

プラグインのギターアンプシミュレーターを使わなくなって早10年が経過しようとしている僕ですが、Bogren Digital MLC Subzero 100がどうやら新しい技術を導入して従来のIRによるキャビネットシミュレーションの問題を解決したという話を聞いたのでライセンスを頂いてレビューさせて頂きます。

何と言っても注目すべきはIRDX

MLC Subzero 100がその他のアンプシミュレーターと決定的に異なるのはキャビネットシミュレーションで採用されているIRDXという技術です。

IR(インパルスレスポンス、インパルス応答)を用いたスピーカーユニット、キャビネットの特性の再現には技術的に回避できない問題がありました。それはIRが静的なデータであるということです。KemperやQuad Cortex、TONEX、Head Rush、Zoom等様々なプロセッサーがその解決に取り組んでこれまでに一定の成果を挙げてきました。

IRがスピーカーの特性を再現出来ない理由についてはこちらをご覧下さい。

ZoomのG2 FOURでは「複数段階のレベルでIRを収録しておき、入力のレベルに応じて切り替えながら畳み込む」という手法でこの問題を解決してきましたが、これには既存のIRデータの資産を活かすことが出来ないという問題がありました。

Bogren DigitalのIRDXでは既存のIRに対して追加の信号処理を加えることで、本来スピーカーユニットやキャビネットが持っている非線形な特性を後から再現するという手法をとっているため、手持ちのお気に入りのIRをダイナミックに動作させることができます。

これはアンプシミュレーター界にとって間違いなく革命的進化と言えます。

弾いていてなんとなくグッと来る感じが得られるようになったことも重要なのですが、問題がIRにあると断じてそこに後方互換性のある解決策を提示したという事実もまた重要です。

元々プラグインに収録されているModern、VintageキャビネットのIRも非常に扱いやすい音でこんな音が出るキャビネットが実在するなら売ってくれという感じです(恐らく結構なEQ処理が入っています)が、手元にあるCAEやBognerのIRを読み込ませても非常に有機的なレスポンスを得ることが出来ました。

仮にMLC Subzero 100自体のアンプのサウンドにそこまで興味がなかったとしてもIRローダーとして使うだけでも多大なる恩恵を得られることは間違いないでしょう。言い方を変えると、それほどまでに単純なIRの畳み込みによるキャビネットシミュレーションには音質面での問題が大きいということです。

圧倒的音のハリ

アンプヘッド部の話に移りましょう。アンプ部分のコントロールは非常にシンプルな3ch構成でクリーン/ドライブ/ハイゲインといった使い分けが出来ます。見かけによらず(?)元ネタになっているのはPlexiマーシャルの改造版とのことですが、とにかく驚かされるのがその圧倒的な音のハリです。どんなギター、キャビネット、マイクと組み合わせてもグイグイと前に張り出してくるハイミッドが特徴的で、アンサンブルの中でも強烈な存在感を放ちます。

正直こんなアンプが実在するなら売ってくれと言いたいです。一般的にアナログアンプはもっと雑味があるので、こうした非現実的な音が出てくるのがプラグインによるアンプシミュレーションの強みでもあり、良くないところだとも言えます。

アンプ自体でこの押し出しとタイトさが実現出来ているとは思えないというか、内部的にプリEQで中域を目一杯プッシュしたような音の出方だなと感じます。いわゆるメタルコア/Djent用のオーバードライブ、フィルターが強制的にオンになっているような音です。

ここで1つ注意したいのが、ハリはあってもツヤはさほど無いということです。そういった「現実的な」色っぽさが欲しい場合はそういった音色に特化したシミュレーターを使った方が良いと思います。「ツヤってなんやねん」と思った方はUAFXペダルのFenderモデル等を触ってみていただければ感覚的に理解出来ると思います。

必要十分なエフェクト群

例えばNeural DSPのArchetypeシリーズのような特徴的なエフェクトが入っているわけではありませんが、2種類のオーバードライブと1種類のグライコ(ポスト)、ディレイ、リバーブが入っておりベーシックな音作りで迷うことは無いと思います。

アンプ自体をかなりハイゲインにセッティングすることも出来ますが、アンプのゲインを控えめにして手前でオーバードライブでプッシュした方がまとまりの良い音に仕上げやすいでしょう。

ギターにもよりますがオーディオインターフェースの入力ゲインはピークに達しない範囲で高めに設定しておいてあげた方が弾きやすい音になると思います。MLCのアンプを日本で入手する方法は無いので実物の音は分からないわけですが、一般論として実際の真空管アンプを弾いている時のレスポンスから逸脱しない範囲で設定してみて下さい。

スタンドアローン版もある安心感

プラグインのシミュレーターではありますがスタンドアローン版が存在するのもとてもありがたいポイントです。スタンドアローン版を使えばレイテンシーの不安が無いですし、なにより音を出すために毎回DAWを起動する必要が無いのは気が楽です。

まとめ

ハリのある元気なロック/メタルサウンドを出すアンプシミュレーターとして使うだけでも非常に役に立つ本プラグインですが、次世代のキャビネットシミュレーターとして導入するだけでもほとんどのギタリストに恩恵があると思います。

幸い日本円でも手が届きやすい価格なので、普段ロックやメタルをやらないギタリストの方も見た目で敬遠せずに試してもらいたいと思いました。


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