Kemper Liquid Profileをどう活用するのか
この記事では、2023年5月に発表されたKemperの新機能Liquid Profileを実際に作ってみて、ユーザーがどのような恩恵を得られるのか、Kemperが推奨する使い方、ViViXとしてのスタンスを解説していきます。Liquid Profileについては下記の記事をご参照下さい。
今回制作したリグはTOKYO RIG PACK Vol.6としてGumroadやSONICWIREにて販売中です。これはFriedman IR-Xを使って作られたものですが、音を聴いた感じほぼBE-100と遜色無い(無いわけではない)と判断したためBE-100/50のLiquid Profileとして制作しました。
これまでとどう変わったのか
ノブを触った時の挙動が従来のKemperプロファイルと全く違います。これまではEQノブを2も動かすと原型を留めないほど音が変わってしまっていましたが、Liquid Profileではそうした違和感は生じません。
ただ、実機のノブと同じような感覚が得られるかというとそうでもありませんでした。FBEに関しては結構大胆にノブを回してもさほど音が変わらないため、やはりプロファイリングをする時点でちゃんと意図通りの音を作り込めている方が使い勝手の良いリグになることは間違いないと考えています。
なので、Kemperリグを自作する人にとっては現場でのちょっとした微調整が可能になること、他人のKemperリグを入手して使う人にとっては自分のギターやスタイルに合わせた微調整の幅が広がることが大きなメリットでしょう。
Kemperが推奨する使い方
ではKemperはこのLiquid Profileをどのように作成することを勧めているかというと
アンプのEQノブをすべて12時に合わせる
歪みを時計回りにフルアップ
合致するAmp Modelを選択してプロファイリング
といった手順で行った時に最も正確な結果が得られるとしていますが、これにはメリットとデメリットがあります。
メリット
作れる音の幅が広いこと
誰がプロファイリングしてもある程度使い勝手の良いものになること
デメリット
音作りがエンドユーザーに委ねられること
Liquid Profileで音作りすると、実機で作った音と全く同じとは言えないこと
自分で作って自分で使うだけのリグであればベストなセッティングでプロファイリングした方がEQフラットの状態のLiquid Profileを後で調整するより楽ですが、他人からリグを入手する場合はEQが12時フラットの状態で作ったLiquid Profileの方が不安感は少ないでしょう。
また、他人にLiquid Profileを共有する場合も12時フラットで作っておいた方が相手にとって使いやすいリグになるかもしれません。
ViViXとしてのスタンス
これらを踏まえてViViXとしてどのようなLiquid Profileを作るかについて2点考えていることがあります。
まず実機でしっかり音作りをしてからプロファイリングするか12時フラットでプロファイリングするかについてですが、ViViXのKemperリグは「アーティストが培ってきた音作りの経験値をデータ化し、色んなギタリストが直ぐにそれを体験出来るようにすること」を目標としているためこれまで通りEQもGainも最適な値になるように作り込んだものをプロファイリングして販売していく予定です。TOKYO RIG PACK Vol.6もそうなっています。
次にリグパックの元ネタのアンプのトーンスタックがKemperによってモデル化されていないケースについてですが、これは一番近い感触になるものを暫定的に選んで適用していこうと考えています。
例えば現時点でMesa Boogie Triple CrownのAmp ModelはKemperにはありませんが、Dual Rectifierを指定してLiquid Profile化した場合「もしこの音色がDual Rectifierで作られたものだったとしたらEQやGAINを調整したらこう変わっていくはず」といった変化が得られるはずです。これは少なくともKemper Genericを指定するよりもユーザーにとって有益なデータになると考えています。
他にも、ViViXではプロファイリング時にオーバードライブペダルやコンプレッサーをアンプの手間に挟むことがありますが、これらをLiquid Profileすることはできません。なので、コンセプトとしては「厳密さを追求せず、ユーザーの利益を考えたものを作る」となります。
これからもプロファイリングしたいアンプは山積みなので引き続きご期待下さい。
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