確定申告だん

 昨年夏から個人営業で始めたパン屋から収入を得始めたため、今年から確定申告の対象になった。えっへん。シャドーワーク卒業しました。

 子育てが一段落してから何かを始めたいと思いながら数年、これといったものが決まらず、随分悩んだ。やることがないという意味ではなく、私の場合、気持ちでやりたいことが多く、その中で、実現可能な条件やその可能性などの調整で決断できず、なかなか決まらなかった。パン屋と決めてからはあっという間だった。自宅の改装は建築家に任せず、土木業者から大工、電気、厨房機器に至るまで全て自分で手配した。まあ、現場監督兼、設計、管理の全てだった。

 さて、昨日、友人の会計士に来てもらって確定申告を手伝ってもらって二時間で終わった。というのは、彼女はPCにプロが使用する会計ソフトを持っていて、それに打ち込んで簡単にやっちまおうということになり、手を貸してくれた。見返りに、当店のタルトタタン一切れ。これでさくさく仕事が終わった。

 私が準備したことは、PC打ち込み作業を速やかに進めるために総売上と支出した領収証など、費用を科目別に仕分けだった。金額を打ち込むだけの状態にしたが、今の時代はPCに打ち込むが、昔はこれを帳簿に記帳したものだが、私には財務経理の経験があり、夫の会社もそれを手伝っているため、こういった準備はお茶の子さいさい。

 とまあ、ここまでは確定申告をやりましたという話だが、ちょっと忌々しい思いをすることがあったので、そのことをメインに書いておきたい。

 パン屋の営業開始届けを税務署に提出してあったため、早々に確定申告の案内が届いた。内容は、「青色申告」をするように手順が記載してあった。直ぐに、あ、税務署の手だな!とピンときた。というのも「白色申告」が表記されていないし、その存在も書いていないため、新営業主がこの案内を見れば、自分は青色申告者なのだと誤解する仕組みになっている。また、経理事務などの経験が全くない人にとって確定申告や日計などは、税理士か会計士に見てもらわないとできないと思い込んでいるフシもあるため、青とか白とか関係なく、自分のすることじゃないと思い込んでいるのかもしれない。だからか、税務署の案内に青色申告の手順しかなくても不思議でもないのかもしれない。でも、知っている者にしてみたら、情報を意図的に操作(白色申告の存在を伏せて)して青色申告にしてしまおうという意図が見え見えでげんなりした。税務署のWebページをあちこち探してやっと、AとBに分けてある中のBのところに白色申告のことが書いてあったが、「白色申告」という表記ではなかった。因みに国税庁のHPだが、記載されている(参照)。市民の選択の自由を奪うような情報を提供をする税務署って何だ!というわけで、私の脳内でカチッと音がした。

 この話を昨日の会計士の友人に話すと、私とは逆のケースで実話を知った。経理に関して素人でエステの営業を始め、申告案内の通り、青色申告の説明会に行ってきたところ、何を聞いてもちんぷんかんぷんだったと。そのため税務署員に相談したら、市内の会計士や税理士のリストを渡されたということ。

 何が言いたいかというと、正しく納税するためには経理の知識も多少は必要だが、白色申告なら素人でもできる点を省いた上で、青色申告という少しハードルの高い知識を必要とする申告手続きを税務署は好むということ。私はこれに反対しているわけではない。その理由は、売上や経費の確実な把握によって納税額に確実性をもたせるからだ。しかし、日々の事務が膨大になってしまうのが難点。というか、個人営業でぼちぼちやっている私のパン屋などの売上や仕入れは知れていて、月まとめか年間のまとめで一括計算できる程度である。それを税理士に頼むとしたら、確定申告手続きまで依頼すると年間管理費込みで最低でも40~50万くらい報酬料を支払うことになる。これは、手元に残る全収入とトントンじゃないかと唸ってしまう金額だ。

 経理の専門知識がない個人営業主でも、電卓と申請書の書き方だけで白色申告はできると思う。市町村役場の申告相談窓口で領収書や売上が分かる書類を持参して相談することもできる。市民の暮らしを助けるのが役所の仕事なので、何でも相談してみると良いと思う。

 受け身になる前に、自ら動くことは自立につながると思う。

 ところで、2015年からマイナンバー制(社会保障・税番号制度)が施行される。来年には国民に番号が配付され、再来年には国や地方公共団体で利用が始まる。社会保障と税の一体化が具体化するということだ。

 「税額控除」の仕組みでは低所得者は、税から全額控除することができないなどの不公平があるという意見があるのと、日本では、国税と地方税がバラバラに管理されているため、これを一連につなげるような仕組みにするためだ。国民一人一人の所得を正確に把握するのは、公平な社会保障給付をするためだという説明になっている。

 この導入もあるからか、給与以外の所得を申告するにも、正確性を期するために、今までのどんぶり勘定をやめたいのだろうかなど思うが、白色申告でもきちんとしていればそれはそれで良い。

 

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