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悩ましいけど、甘酸っぱくて懐かしい焼きリンゴ
毎年、諏訪の秋が訪れると待ち遠しいのが紅玉というりんごが店先に並ぶ時。今か今かとわくわくしてくる。気をつけていないとあっという間に売り切れになるが、それは、農家が限定的に育てているためと、他のりんごに比べて足が短く、収穫後一ヶ月もたせるのに冷蔵保存してもボケやすいのはあると思う。だからというのも手伝って、出回ると、ざっとひと通り紅玉をご馳走になる。これが季節の楽しみ方だ。
私の場合は、タルトタタンに始まり、アップルクラウンパン、紅玉ジャム、そして極めつけが焼きりんごと、こういう順番だろうか。今年は残すところ、焼きりんごだけとなった。嗚呼。この紅玉を焼こうとする度に切ない思いがこみ上げてくる。
あの頃は楽しかったと、その当時の私の心情を振り返りながらその頃の扉を開けると気分も楽しくなるが、勝手に思い違いをして泣くしかなかった時の思いでその扉を開けると悲惨な回顧となり、傷つくのが嫌でそれを覆い被して誤魔化していたことにズキンと来る。
いつまでこんなことを抱えているんだろうかと、自分でも呆れる。
だけど、この思いが焼きりんごの思い出と一緒に毎年やってくるのが今年は、楽しい。一つも色褪せず、鮮明に蘇る。
さて、そろそろ焼ける頃かな。りんご。
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