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パン

力まずに、粉の力を信じてゆっくり熟成したパン。
そこには特別の味わいがある。
可愛くてしかたがない。
オーブンに投じる直前まで時々、眺めては話しかける。


「もう少しだから待っててよ。」
そう聞くと、今朝の室温は何度かなと温度計に目をやる。

「少し乾いてきたかも」
と喉の渇きを知ると、コップにお湯を注してそばに置いてみる。

水分を含むと急に元気が出たのか、ぷっくりと膨らんで天板から少し腰を持ち上げる。
クープを入れると元気いっぱいオーブンの中で膨らむ。

今日はどこの家のテープルに乗るんだろう。
誰かに見つめられるのを想像するだけで恥ずかしい感じが伝わってくる。

パンの耳が美味しかったと、女の子から聞いた。

良かったね。

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