高高度ミサイル防衛(THAAD)を巡る諸問題の背景

 中国主導の世界融資銀行(AIIB)に日米を除く多くの欧州やアジア諸国が参加を表明し始めたのを私は、腹立たしい思いで見ている。その理由は私の正義のような理由なので個人的な問題として表に出さないように努めてはいるが、米国との同盟国である韓国が米国に配備を勧められている地上型迎撃システム(THAAD)導入の是非の背景(参照)に触れて、そこに中国が進めるAIIB設立が厄介な問題に見えてきた。一見、中国の米国が韓国に進めるTHAAD配備への報復措置のようにも思え、韓国の決断によっては米中が激しくぶつかり合うかも知れず、そのぶつかり合いを頭越しに日本は傍観できるのか、または、何らかの形で中国からいじめられるような立場ともなるのか、なんとも無関心ではいられなくなりそうな問題になっている。

 この問題が後々、尾を引くことになる気もするため、備忘的に書き留めておくことにした。リンク先のコラムでわかりやすく問題が抽出されているため、その部分の抜粋から並べてみたい。

つまり……韓国政府は、これまでも北朝鮮からの攻撃に備えるために地上配備型迎撃システム(THAAD)を配備するよう米国からせっつかれていたが、このことを韓国国内には知らせないでいた。ところが米国側がなんらかの理由でこれを暴露したところ、そうなのかよ、うりうり、と中国が韓国に脅しをかけてきた。つまり、中国としては、韓国が北朝鮮からの攻撃に対する地上配備型迎撃の整備はやめろというわけである……と。 
現実のところ、AIIBについては韓国は参加する以外に飯を食う道はない。それ以外にあるとすれば、経済面でも日本と連携するということだが、AIIBでは米国とともに窮地にある日本としても、好ましいかというと微妙なところだろう。日本としては、韓国は「我が国にとって最も重要な隣国」ではあるものの、「我が国と、自由と民主主義、市場経済等の基本的価値観を共有する」国ではない。むしろインドネシアなど東南アジアの経済と連携したほうがよい。さらにいえば、経済はしょせん経済なので、公正な仕組みがでればいいのだから、TPPを推進することが好ましいとなるだろうし、中国としてはなんとしてもそこを阻止したいだろう。
 THAADについてはどうか。ここは難しいところで、韓国も、国家の存立を考えるなら、日本と同様、米国側の押しを飲む他はないように思える。しかし、これに逆らって中国と一体化するのか……だが、そういう動向もありえるだろう。
 日本としては、THAADは米側としては日米軍事同盟に整合するものであり、その方向にゆっくり向かっているし、中国からの経済的な脅しからはまだ少し余裕がある,と思いたい。
 韓国はどうなるんでしょうね。他人事のように見るのもなんだが、以上のような内情を考えると、他人事のように見たいなあという感じがしてくる。なんだか、いっそうやっかないなことになりそうな感じもするし。

 読んだそのままの解釈で何ら難しいことはない筆致だと思う。これがまっすぐに入って来ないとしたら、それは、日米安保で安倍政権に難癖をつけたいか、嫌韓などの特別な思いがあるかではないだろうか。また、報道もまともじゃないところを見ると、記事が売れるためには日本人が好む煽りの文脈や政府から睨まれない内容に整理する他ないからか、事実関係が拾い難く感じる。

 韓国が抱えている問題として見ると、韓国が米国との同盟関係を維持し、北朝鮮からの威嚇に怯えずとも良い日常を得るには、米国が勧めるTHAADを導入するのが真っ当な判断だが、THAADの探査能力の点で、米国は中国の動きを監視したい向きが顕で、韓国がこれを導入すれば、中国は韓国を敵国とみなす。または、関係悪化は間違いない。それで韓国が困らないならいいとは思うが、経済的に米国よりも中国に依存的な現状、中国とは良好な関係を構築したいだろう。この状況で何が打開策なんだろうか。韓国は何か上手い嘘でも用意するのか?誤魔化しなどできるだろうか。

 今までも韓国は米国と同盟国でありながら、隣国の中国の顔色を伺ってきたし、日本には慰安婦問題で賠償を要求するなど、政治的には解決済みのこの問題まで引っ張りだして求心力に当ててきた。私個人はこれを韓国の哀れさと、流してきたつもりで、むしろ、それで朴政権はよくやってきたとも思っている。が、哀れんでいては済まされない問題がここで浮き上がった。

 朴政権の任期の後半に当たって、この問題をどちらに振るのかによっては次政権まで尾を引きそうだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?