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統率者戦を始めたい方へ -デッキ構築編・その1- ~デッキの枠組みとは?~

※本記事は全編無料でご覧になれます。

こんばんは、Lapisです。
今回は統率者戦初心者応援記事、第7回となります。
前回から大分期間が空いてしまいましたが、第6回ではデッキパワーレベルについての記事を書かせて頂きました。皆さま読んで頂けたでしょうか?

今回からはいよいよデッキ構築について。
統率者戦の楽しみは半分がデッキ構築と言っても過言ではありません。膨大なカードプールから自分の選んだ統率者のためのカードを1枚1枚選ぶワクワク感は他のフォーマットとは違う楽しみがあります。

色々伝えたいことがあって記事が長くなりすぎてしまうので、今回もテーマを分けて分割で記事を投稿することにします。

今回はデッキの骨格、というか全体像についておおまかにお話していければと思います。私も構築について専門家と呼べるほどではありませんが、知っている限りの知識で初心者の方に役立つような内容を提供できればと思います。

では、始めていきましょう。

1.基本的な構築ルールのおさらい

改めて、統率者戦におけるデッキ構築のルールを確認してみましょう。

①そのデッキにおける統率者を指定し、指定した統率者と同じ”固有色”のカードのみ使用可能。
②デッキは100枚ちょうど。(統率者含む)
③基本土地以外のカードは1種類につき1枚しか使えない。
④使えるカードは銀枠(いわゆるジョークカード)と使用禁止に指定されているカードを除く、すべてのカード。

統率者は基本的に「伝説のクリーチャー1体」を指定する必要がありますが、いくつかの例外があります(統率者にできるクリーチャー以外のカード、2体を統率者に選べる”共闘”能力など)。また統率者戦独自の”固有色”というルールも頭に入れておかなければなりません。

構築ルールについて以前詳しく書いた記事があるので、そちらを併せて読んで頂けると理解度が増すと思います。(宣伝)

今回の記事では上記の基本的なルールは知っていることを前提に進めていきます。では次へゴー。

2.いざ構築…?

「構築ルールは理解したし、デッキを組んでみるか!」…と意気込むのはいいのですが、正直最初は100枚もカードを選ぶなんて大変です。使用できるカードプールはヴィンテージに近いため膨大で、ハイランダー構築のため多くの種類のカードを選ぶ必要があるため、初心者には1からデッキを組むなんてほぼ無理でしょう。

私も各記事で話していることですが、統率者戦を始めたいだけなら公式から発売されている構築済みデッキを購入するのが手っ取り早くおススメです。統率者戦というゲームに触れ、統率者戦のためのデッキのひな型に触れることができるからです。

今回の記事は「構築済デッキを触ってみて、今度は自分のオリジナルデッキを組んでみたい!」「この統率者を使ったデッキを組んでみたい!」という人に向けた記事になります。前置きが長くなりましたが、次項から本題に入っていきます。

3.マナベース(土地+α)について考える

ここからはどんなカードを何枚入れればいいのかということについて解説していきましょう。
一応断っておくと、本記事の内容はあくまで「私の主観」であり多くのプレイヤーが認識するセオリーというワケではありませんのでご了承ください。

今回は以前紹介した《眠れぬ亡霊、ミレシント/Millicent, Restless Revenant》のデッキをサンプルとして解説していきましょう。

まずMtGにおいて何より大切な土地について。
土地の枚数は通常の構築線においては一般的に「デッキの40%程度が適正」と言われています。60枚のデッキならば24枚前後、40枚のデッキなら16枚前後となりますね。
統率者戦でこのセオリーを当てはめるなら土地の枚数は40枚前後…と言うのは嘘で、実はこれだとマナフラッド(土地の引き過ぎ)になりやすくなってしまいます。
実際のところ「統率者戦での土地の枚数はデッキの30%程度が適正」と言われています。100枚デッキの1/3となると33~34枚となりますね。上記のミレシントのデッキでも土地枚数は34枚にしています。ここからデッキに採用するカードのマナコストに応じて微調整していくのが良いかと思います。

ただ「土地の枚数は決まった!ヨシ!」とならないのが統率者戦です。
統率者戦は通常のフォーマットでは使用できない強力なカードを使えるのが魅力の一つですが、それを象徴していると言えるのがこの1枚。

《太陽の指輪/Sol Ring》です。ほぼ全ての統率者戦用構築済デッキにも収録されており、このフォーマットを支えているカードと言っても過言ではありません。これ以外にも、統率者戦では《魔力の墓所/Mana Crypt》《魔力の櫃/Mana Vault》《秘儀の印鑑/Arcane Signet》など強力なマナアーティファクトが多く存在するので、これを使わない手はありません。

先ほどは「他のフォーマットに倣って土地をデッキの40%も採用したらマナフラッドになる」と言いましたが、マナアーティファクトはマナクリーチャーと違い召喚酔いの影響を受けず、土地と違い1ターンに1枚しかプレイできないという制限もないため、多くのデッキで複数のマナアーティファクトが採用されています。
マナアーティファクトの枚数については、デッキにもよりますがだいたい5~10枚程度採用する場合が多いように思います。サンプルのデッキでもマナアーティファクトを追加分合わせて以下の4枚を採用していますが、ここはもう少し増量してもいいかもしれませんね。

4.どんなカードが何枚必要なのか?

マナベースは決まりましたが、他にどんなカードを入れればいいのか。
次はその辺について考えていきます。

①手札補充のためのカード

《Ancestral Recall》? 禁止に決まってる。

MtGにおいてマナ同じくらい手札は重要です。
使えるマナが潤沢にあっても、それでプレイできるカードがなければ意味がありません。手札が多ければ選択肢も広がるため、手札を増やすためのカードはある程度入れておきたいところ。そのためドロー手段はある程度採用しておくと良いでしょう。
ドローは青のカラーパイ(色ごとの役割)というのが一般的ですが実は各色に色の特性に沿ったドロー手段があるため、青が使えないデッキでもドロー手段をかさ増しすることは可能です。

簡単に説明するとこんな感じ。
白:相手の行動に反応してドローなど
黒:ライフを支払いドロー
赤:衝動的ドロー(1ターン限り使えるカードを増やす)
緑:クリーチャー召喚などに反応してドローなど

サンプルのデッキでもドロー手段は追加分合わせて以下の10枚を採用しています。

《恩寵の宮廷/Court of Grace》は一見するとドローカードには見えませんが「統治者」になることで毎ターンドローできるようになります。毎ターントークンを生成する能力もあるので便利な1枚です。

②使えるマナを増やすためのカード

マナさえあればなんでもできる。

前の項で土地とマナアーティファクトについては触れましたが、それ以外にも使えるマナを増やす手段はあります。当然多くのマナを使えた方が1ターンに取れるアクション数が増えますし、コストの重い呪文を唱えるためには多くのマナが必要なため、追加のマナ確保の手段を用意することは全然アリです。

代表例として挙げられるのは《極楽鳥/Birds of Paradise》を筆頭としたマナクリーチャーでしょうか。土地と違い場合によってはアタックやブロックにも参加できるため、マナ加速以外の用途もあるのが特徴です。

同じく代表的なものとして《不屈の自然/Rampant Growth》などのデッキから土地を場に出す系の呪文(通称「ランパン」)も候補に上がります。クリーチャーやアーティファクトと違い除去されにくいので安定したマナ源として利用できます。

他にも毎ターンマナを自動で出してくれる《開拓地の包囲/Frontier Siege》、土地にエンチャントすることで追加のマナを出す《繁茂/Wild Growth》などもあります。また最近では各色に宝物トークン(生贄にすることでマナを出すトークン)を生成するカードも多いため、自分のデッキに合ったものを探してみるといいでしょう。

ただ前の項でも書いたように、統率者戦は多くの土地カードとマナアーティファクトを採用している場合が多いため、これらのマナ増加手段の採用はデッキの構造によっては不要な場合もあります。採用する際はご注意を。

③妨害のためのカード

悪意のない妨害なんてあるのだろうか。

自分のデッキの動きをよくするためのカードも大事ですが、同じくらい相手の戦略を妨害するためのカードも重要です。ここで言う妨害とは、主に「除去」と「打消し」のカードを指します。

以前の記事で色ごとに得意とする妨害の種類について書いていますので、良ければそちらもご覧になってみてください。

通常の構築戦では「除去」といえばクリーチャー除去をメインに考えます。統率者戦においても、統率者は(プレインズウォーカーのような例外はあるとはいえ)大半が伝説の”クリーチャー”であるためクリーチャーに対する除去手段は当然必要ですが、統率者戦の場合は”アーティファクト”と”エンチャント”に対する除去も十分に考慮する必要があります。
前述したようにアーティファクトはほとんどのプレイヤーが《太陽の指輪》を筆頭としたマナアーティファクトを採用するため、その除去として採用はほぼ必須となります。エンチャントはマナ加速の用途で採用されるものは少ないですが、影響力や拘束力が高いカードが多いためこちらも対策必須となります。これが統率者戦でアーティファクト、エンチャントの除去が重要な理由です。
ただし採用し過ぎると自分のデッキの動きを阻害してしまうため、除去カードの採用は5~10枚程度の採用が良いと思います。その中でも複数のカードを除去できるカード、アーティファクトやエンチャントを除去できるカードもそれぞれ1枚以上は採用したところです。
サンプルのデッキでは以下の7枚を採用しています。
その内、複数のカードを除去できるカードとして《強者破り/Fell the Mighty》、アーティファクト・エンチャント除去として《浄化の印章/Seal of Cleansing》を採用しています。

《ダークスティールの突然変異/Darksteel Mutation》《月への封印/Imprisoned in the Moon》は直接的な除去ではないものの、相手の統率者へ使用すると無力化したうえで再キャストを封じることができるため、コントロールプレイヤーからすれば単に除去されるより面倒な状態に持ち込むことができます。緑の《木化/Lignify》や黒の《土牢/Oubliette》も同様の感覚で使用可能なので、使ったことや使われたことがない方は試してみては。

「打消し」呪文は除去では対処できないソーサリーやインスタントを無効化したり、クリーチャーであっても場に出た際の能力の誘発を許さないなど相手への強力な干渉手段となります。カラーパイ的には青が打消し呪文を多く擁していますが《マナの税収/Mana Tithe》《運命の回避/Avoid Fate》といった他の色の打消しも少数ながら存在するため、調べてみるといいかもしれません。
青ならば打消し呪文の種類も質も整っているため採用の可否についてあまり悩む必要はないと思います。しかし、それ以外の打消しが苦手な色の場合は種類が少ない上に性能も低めな打消し呪文しかない場合が多いため、無理に採用しない方が良いかもしれません。
また打消しは基本的に受け身の対処法であるため、多く採用し過ぎると自分のデッキの動きを阻害してしまいます。なので採用枚数は多くても10枚以下に抑えた方がいいでしょう。サンプルのデッキで採用しているのは以下の6枚になります。

④デッキのコンセプトに合ったカード

やりたいことを思いっきり詰め込んだ方が楽しい。

ここが統率者戦のデッキを組む上で一番大切なところです。デッキの「コンセプト=やりたいこと」に合ったカードを可能な限り搭載しましょう。ドローや除去などを最低限積んだら残りの枠は全部つぎ込んでもいいくらいです。

ではコンセプトに合ったカードとは何なのか?考えてみましょう。

サンプルのデッキの場合で考えると、統率者である《眠れぬ亡霊、ミレシント/Millicent, Restless Revenant》
①場のスピリットの数ぶん、コストが減る。
②攻撃するか除去される場合にスピリット・トークンを生む。
という特徴があります。
これを活かすならば、ミレシントの早期着地を狙いスピリットを自分の場に大量に並べるのが良いでしょうか。そしてミレシントや他のスピリットの攻撃の度にトークンが生成され、スピリットの数が更に増えます。この盤面に大量に並んだスピリットを全体強化してやれば他のプレイヤー3人のライフを全て削りきれるかもしれません。
こんな感じで統率者が取れるゲームプランから生まれるデッキの方向性がコンセプトとなります。あとはそれを実現するためのカードを考え、採用していきましょう。

サンプルのデッキの場合のコンセプトに合ったカードは当該記事をご覧ください。量が多く長くなるためここでは割愛。

⑤デッキサーチのカード

勝利への道を探そう

デッキサーチはその時々に必要なカードを手札に加えられるため非常に便利です。相手のカードを場から取り除きたい時には除去を、コンボがあと1枚で完成する場合はキーカードを…というように任意のカードを手札に加えて使用できるため、デッキ内のカードを追加コストを支払うことで好きなタイミングで使えるようなものです。

デッキサーチは確かに便利ですが、便利だからといって多投は禁物です。サーチカードはサーチ先のカードを手札に加えることができる確率を上げることができますが、マナを消費し手札1枚をデッキ内のカード1枚に変換するだけなのでリソースを増やしているわけではありません。決まれば勝ちのコンボを決めるためにパーツをかき集めることができるとはいえ、サーチカードばかり引いて欲しいカードをサーチするためにいたずらにマナを使うのは得策ではありません。それならば手札に加えられる可能性はランダムながら、ドロー手段を増やしてリソースを増やしつつコンボパーツを探すというのが優先すべきだと、個人的には考えています。

またデッキサーチはあくまで補助的な立ち位置の役割であるため、構築の際に必須となるワケではありません。あくまで枠に余裕がある場合、または決まれば勝ちというコンボを決めるために、5枚前後採用するのが良いでしょう。
サンプルのデッキは構築済デッキの改造ということで採用はゼロです。

5.まとめ

これまでの言ってきたことをまとめてみましょう。

・土地は33~34枚くらい。
・マナアーティファクトは5~10枚くらい。
・手札補充の手段は5~10枚くらい。
・マナ加速手段はお好みで追加しよう。
・除去を10枚前後、アーティファクト。エンチャント除去も数枚入れたい。
・打消しはあると便利だがお好みで。採用の場合も10枚以下に。
・残りの枠は統率者と相性の良いカードを投入していく。
・サーチは枠に余裕があるなら採用。

繰り返しになりますが、上記の内容は私個人の意見なのでご注意ください。
また、当然ですがこの基準は統率者によって大きく異なる場合も多々ありデッキパワーレベルによっても変動することをご了承ください。
あくまで参考程度に留めて頂ければと思います。

6.最後に

今回はここまでとなりますが、いかがだったでしょうか。
今回の記事を書くにあたり、記事を何度も見直して書き直してというのを繰り返していたせいで公開まで随分時間がかかってしまいました。
そのせいか文章が随分長くなってしまいましたが、ここまで読んで頂き本当にありがとうございます。

冒頭でも書きましたが、統率者戦のデッキ構築はとても楽しいけれど初心者は右も左もわからないと思うので、この記事を参考にして構築の楽しさに気づいて頂けると嬉しいですね。
次回は採用する土地について、もう少し突っ込んだ話をできればと思います。

では今回はこれまで。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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