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【統率者/EDH】《アーボーグのラタドラビック/Ratadrabik of Urborg》デッキリスト+解説 ~伝説って?~

「伝説って?」

「ああ!」

…すみません、ついやりたくなりました。
ここから本編です。

※本記事は全編無料でご覧になれます。

こんばんは。Lapisです。
今回は第16回の統率者デッキレシピ+解説となります。
前回は重量級スペルを撃ちまくる《暁冠の日向/Hinata, Dawn-Crowned》のデッキを紹介しましたが、ご覧頂けましたでしょうか。

今回はスペルメインの前回とうって変わって、ゴリゴリのクリーチャーメインのデッキである《アーボーグのラタドラビック/Ratadrabik of Urborg》のデッキをご紹介します。

アーボーグの主人、的な人(?)らしい

実はこのデッキ、今年の4月あたりから組んでいてイベントに持ち込んだりもしていました。

動きも結構ユニークで気に入っていたので、そのうち記事で取り上げようかなーと思っていたのですが…。
最近になってあるシステムの影響でデッキの挙動が大きく変わり、無限ループのルートが多数構築されましたので、これは紹介せねば!ということで今回記事にしました。

それでは今回も始めていきましょう。


1.デッキリスト

今回も「晴れる屋」のデッキ構築機能を使用してのデッキ公開となります。
※想定デッキパワーレベル:Lv.5~6

※2023/8/1時点『指輪物語:中つ国の伝承』までのカードプールで作成。

2.デッキ解説

ショーケース版。ステンドグラス風のイラストが良き

改めてラタドラピックの能力を確認しましょう。
警戒、護法(2)を持ち、他のゾンビ全てにも警戒を付与。また他の伝説のクリーチャーが死亡した際、そのが伝説性を失い2/2のゾンビとなったコピートークンを生成します。英雄を蘇生して使役…穢土転生かな?

ただでさえ強力な伝説のクリーチャーに疑似除去耐性を付与するかのような能力であり、自身が護法を持つことも相まって強固な盤面を維持することが得意なデッキになります。

ただ、実際はそんな程度で済むはずもなく。このトークン生成能力を悪用し様々なコンボ成立を目指すのがこのデッキの基本戦術となります。

サクり台の利用

コンボ御用達の(ry

ラタドラピックの能力を能動的に使用するためにはどうすべきか。
まず思い浮かぶのは「(クリーチャーを)生け贄にするカード」でしょう。通称「サクり台」と呼ばれるカード群ですが、以前に紹介した《トラブルメーカー、ジャクシス/Jaxis, the Troublemaker》のデッキでも紹介したように統率者戦では様々なコンボにも組み込まれることが多いです。

このデッキに採用されているクリーチャーはほぼ全てが伝説のクリーチャーであるため、サクり台で生け贄にしたクリーチャーのコピーをラタドラピックで生成し「ETB能力」「PIG能力」「サクり台の能力」を複数回使用することが出来ます。これによるアドバンテージでリソース差を付け試合を有利に進めましょう。

レジェンド・ルールとコピー

本来伝説のクリーチャーと相性の悪いカードだが…

クリーチャーを死亡させる手段として「生け贄にする」というのは分かりやすいでしょう。もう一つは「レジェンド・ルール」を使ったやり方です。
ご存知の通り、伝説のパーマネントは同名のパーマネントが複数場にある場合は一つを残して他を生け贄に捧げる必要があります。通常、ハイランダー構築となる統率者戦では起き得ない状況ですが《我々の刃/Blade of Selves》《先祖の鏡/Mirror of the Forebears》といったクリーチャーをコピーする能力を使用→レジェンド・ルールでコピーを生け贄に捧げることで元のクリーチャーを場に残しつつコピートークンを生成することができます。これにより元々強力な能力を持つ伝説のクリーチャーの能力を2倍、3倍の出力で使用できるので、戦力を大幅に強化することが可能。

特に強力なのがラタドラピックと《我々の刃》の組み合わせで、対戦相手が3人いる時は以下のような動きができます。

手順
①:ラタドラピックに我々の刃を装備し、プレイヤーAに攻撃。
②:無尽でプレイヤーB、Cに向かって攻撃するラタドラピックのコピーa、bを生成。しかしレジェンド・ルールでコピーa、bは生け贄に。
③:ラタドラピック本体とコピーa、bの能力が誘発。本体はコピーa、bの死亡を、コピーa、bはそれぞれお互いの死亡をトリガーに能力が誘発するため、伝説ではないラタドラピックのコピーが4体生成。

これでラタドラピックの能力で生成されるトークンが5倍となり、戦場をコピートークンで埋め尽くすことができます。この状態なら死亡時にデッキトップからパーマネントをタダで出せる《夜明けの空、猗旺/Ao, the Dawn Sky》や、死亡時に全員からライフを奪う《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》の能力を5倍使いそのまま勝利に繋がります。

『指輪物語:中つ国の伝承』がもたらしたもの

このデッキの独自の動きについて説明したところで、冒頭のこのデッキの強化された点について触れていきましょう。
このデッキを強化したシステム、それは「指輪」の紋章です。

『指輪物語:中つ国の伝承』で登場したこの紋章は「指輪があなたを誘惑する」というキーワード処理で生まれる紋章であり、様々なカードで生成することが可能。そしてこのデッキにおいてのこの紋章のもたらす一番のメリットは”指輪所持者(として指定したクリーチャー)は伝説である”というルール処理です。

これにより本来は伝説でないクリーチャーも伝説のクリーチャーとして扱うため、ラタドラピックがいる状態で死亡した時にそのコピーであるトークンが生成されます。特に強力な点が、ラタドラピックが生成した伝説性を持たないトークンも指輪所持者である間は伝説であるという点。

例えばラタドラピックが場にいる状態で自分の《塔の長官、ボロミア/Boromir, Warden of the Tower》の起動能力を使用したとします。

踏み倒しメタに全体破壊不能付与だけでも強いが…

「自身を生け贄に自軍全体にターン中の破壊不能を付与した後、指輪があなたを誘惑する」という能力ですが、起動時に自身を生け贄にするため先にラタドラピックの能力が解決されボロミアのコピーを生成します。その後ボロミアの能力を解決する際に指輪所持者にボロミアのコピーを選択することでボロミアのコピーが伝説のクリーチャーとなり、同じ能力を起動する際にラタドラピックの能力が誘発することになり無限ループが成立します。
このコンボは単純かつ強力で、本来4回誘惑されなければ最大の能力を発揮しない指輪の紋章を一瞬で最大レベルまで上げる他、常に自軍へ破壊不能を付与できる能力を構え続けながら「マナを払わず唱えられた呪文を打ち消す」という常在型能力で踏み倒し系のコンボを咎め続けることができます。

このように組み合わせによってはループが発生するなどラタドラピックと指輪の紋章は親和性がとても高く、結果的にこれまで不可能だったコンボが大量に生まれ、このデッキは強さのランクが一段と上がりました。以前はコンボ成立が遅いゆっくりめなデッキ、かつループが成立するようなコンボは1パターンしかなく必要なパーツも遅かったためデッキパワーレベルは4~5くらいのデッキでした。が、指輪の影響により早い段階からコンボが成立し、かつ比較的早い段階から成立するコンボが数パターン生まれたため、デッキパワーレベルの設定を5~6に修正しました。

3.勝利手段

次はこのデッキの勝利手段について。
前の項でお話したように、以前はラタドラピックのトークンを生成してコピートークンの生産量を倍々にし、《夜明けの空、猗旺》等の能力を数倍にして物量で押し潰す、《夜の星、黒瘴》能力を数倍にしてライフを吸いつくして勝利する、などの手段を取っていました。今でもこれらの方法は可能…というか指輪によってこれらの勝ち手段も強化されました。トークンを指輪所持者にすれば更に能力を使い回せますからね。

更に指輪によってもたらされた勝利手段を紹介。キーカードは《剛毅なるサムワイズ/Samwise the Stouthearted》《忍耐強く企む者、ゴラム/Gollum, Patient Plotter》の2枚です。

指輪物語の主要人物(なお主人公は)

この2枚はETBとPIGの違いこそあるものの、指輪の誘惑を誘発させることができる伝説のクリーチャーです。このどちらかと何らかのサクり台が揃えば無限ループが成立。手順は以下の通り。

無限ループ《剛毅なるサムワイズ》の場合

例:《ファイレクシアの供犠台》+《剛毅なるサムワイズ》
手順
①:《ファイレクシアの供犠台》で《剛毅なるサムワイズ》を生け贄に好きな色のマナを生成。
②:ラタドラピックの能力が誘発し、サムワイズのトークンを生成。
③:サムワイズのトークンのETB能力により指輪があなたを誘惑する。この時サムワイズのトークンを指輪所持者に指定することで、トークンは伝説のクリーチャーとなる。
④:以降、伝説となったサムワイズのトークンを生け贄にし無限ループ。

無限ループ《忍耐強く企む者、ゴラム》の場合

例:《ファイレクシアの供犠台》+《忍耐強く企む者、ゴラム》
手順
①:《ファイレクシアの供犠台》で《忍耐強く企む者、ゴラム》を生け贄に好きな色のマナを生成。
②:ゴラムのPIG能力が誘発。それに重ねてラタドラピックの誘発能力をスタックに乗せます。
③:ラタドラピックの能力でゴラムのトークンを生成。その後ゴラムのPIG能力により指輪があなたを誘惑する。この時ゴラムのトークンを指輪所持者に指定することで、トークンは伝説のクリーチャーとなる。
④:以降、伝説となったゴラムのトークンを生け贄にし無限ループ。

このようにサムワイズかゴラムがあれば、サクり台の能力を無限に使うことができます。《スランの医師、ヨーグモス/Yawgmoth, Thran Physician》がいれば(ライフが払える限り)-1/-1カウンターをばら撒きながらドロー、《臓物の予見者/Viscera Seer》なら無限に占術が可能。

デッキをゴリゴリ削る

特に強力な組み合わせなのは《狂気の祭壇/Altar of Dementia》。序盤は自分のクリーチャーを生け贄にして自分のデッキを削って墓地肥やしをしつつラタドラピックの能力でコピーを作るという動きをしながら、ラタドラピック+サムワイズorゴラムがいれば相手のデッキを無限に削るループに入るため、これ自体が序盤の潤滑油になりながら後半はフィニッシャーを兼ねるという役割を多く持つ1枚になります。

4.デッキの動かし方

<序盤>
序盤はとにかくマナと手札を確保し以降の動きに繋げます。初手は可能ならマナファクトを確保しつつ、手札増加のための《大衆扇動者、ブリーナ》《ヨーグモスの法務官、ギックス》などのカードをプレイしていきます。この2枚は序盤に自分への攻撃を逸らす副次的な効果もあるため特に強力。

<中盤>
ラタドラピックを場に出し、伝説のクリーチャーに疑似除去耐性を与えながら展開していきます。除去兼ドロー加速装置となる《甦りし悪夢、ブレイズ》でアドバンテージを伸ばす動きもいいでしょう。
また《栄光のドミヌス、モンドラク》のようなトークン倍化、《テイサ・カルロフ》のような死亡時誘発倍化でトークン生成速度を上げればよりボードアドバンテージを伸ばせるので積極的に展開していきます。

<終盤>
隙を見てサクり台をくり出し、上述のコンボを決めて勝負を決めましょう。中盤以降でトークン生成を2倍、3倍にできていれば《大修道士、エリシュ・ノーン》《白の木に花開く》自軍全体を強化し数で押し切る戦術も取れます。

5.このデッキの長所・短所

<長所>クリーチャー主体でありながら除去に強い。
クリーチャー主体のデッキならば《神の怒り》のような全体除去に弱いのが常ですが、このデッキの場合はラタドラピックが場にいればラタドラピック以外の伝説のクリーチャーは2/2のコピートークンが場に残るため自分だけクリーチャーを残すことができます。先にラタドラピックを除去しようとしても、ラタドラピックは自分で護法を持つので相手の動きを鈍化させることができます。総じて対クリーチャー除去に対しては高い耐性があるデッキと言えます。

<短所>追放除去、墓地対策カードに弱い。
ラタドラピックの能力はクリーチャーの死亡時に誘発するため《剣を鍬に》のような追放系の除去を受けると誘発しません。《流刑への道》も合わせて白絡みのデッキでは多く採用されているカードのため、採用率の高い除去に弱いという一面があります。
またリアニメイト用のカードを多く採用しているため《安らかなる眠り》のような墓地に落ちるカードを追放するカードも苦手。
上記の2つの要素を併せ持つ《告別》は天敵と言っても良いカードでしょう。

6.最後に

今回はここまでとなりますが、いかがだったでしょうか。
指輪の紋章はシステムとして煩雑で面倒かと思っていたんですが、手持ちのデッキにここまで影響があるとは思わず、気付いた瞬間は驚きました。新しいシステム一つで既存のデッキが大幅に強化されることもある、というのもカードゲームの醍醐味ですよね。

今後もMTGには新しいシステムはどんどん追加されていくはずなので、情報が出る度に自分のデッキとの相性を考えるのは楽しそうです。9月に発売される『エルドレインの森』で追加される新要素も今から楽しみですね。

では今回はこれまで。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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