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【統率者/EDH】《世界を溶かすもの、アタルカ/Atarka, World Render》デッキリスト+解説 ~お前も統率者戦をやらないか?~

始めたはいいが書くこともない…と思ったので
とりあえずMTGのデッキ紹介でもしようと考えた所存。

私がマジック:ザ・ギャザリングで一番熱心に遊んでいるのは
「統率者戦」(「EDH」とも)と呼ばれるフォーマットです。
簡単に説明すると、統率者戦とは100枚のハイランダーデッキを用いて3人以上(4人が最適とされる)で対戦するフォーマットであり複数人でテーブルゲームのように戦う、どちらかというとカジュアルな遊び方になります。

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このフォーマットの魅力は多くのカードプールから使いたいカードを選ぶことができ、普段他のフォーマットでも見ないようなマイナーカードを見る機会が多く…と、色々あるのですがここで書くと長くなるのでまた今度。

そんな統率者ですが、前述の通り3人以上で遊ぶのが奨励されているので「プレイヤーを増やすために貸し出し用のデッキを考えてみよう」ということで初心者向けに制作したのが今回のデッキとなります。
早速デッキを紹介していきましょう。

1.デッキリスト

まずはデッキリストの紹介。

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<統率者 x 1>
《世界を溶かすもの、アタルカ/Atarka, World Render》

<クリーチャー x 32>
《極楽鳥/Birds of Paradise》
《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
《フィンドホーンのエルフ/Fyndhorn Elves》
《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
《根の壁/Wall of Roots》
《龍王の召使い/Dragonlord's Servant》
《ドラゴン語りのシャーマン/Dragonspeaker Shaman》
《永遠の証人/Eternal Witness》
《再利用の賢者/Reclamation Sage》
《日和見ドラゴン/Opportunistic Dragon》
《雷破の執政/Thunderbreak Regent》
《刃の翼ヴェリックス/Verix Bladewing》
《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》
《ヴァルカスの災い魔/Scourge of Valkas》
《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》
《栄光をもたらすもの/Glorybringer》
《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite》
《厄介なドラゴン/Demanding Dragon》
《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》
《ヘルカイトの突撃者/Hellkite Charger》
《ヘルカイトの狩猟者/Hellkite Courser》
《ドラゴンの女王、ラスリス/Lathliss, Dragon Queen》
《凶暴な熱口/Savage Ventmaw》
《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》
《ドラゴン魔道士/Dragon Mage》
《暴君の使い魔/Tyrant's Familiar》
《天空の独裁者/Skyline Despot》
《災火のドラゴン/Balefire Dragon》
《炎の大口、ドラクセス/Drakuseth, Maw of Flames》
《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》
《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》
《ウトヴァラのヘルカイト/Utvara Hellkite》

<プレインズウォーカー x 1>
《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》

<インスタント x 8>
《俗世の教示者/Worldly Tutor》
《自然の要求/Nature's Claim》
《古えの遺恨/Ancient Grudge》
《ドラゴンの火/Dragon's Fire》
《吐炎/Spit Flame》
《混沌のねじれ/Chaos Warp 》
《内にいる獣/Beast Within》
《紅蓮操作/Pyrokinesis》

<ソーサリー x 11>
《新たな芽吹き/Regrowth》
《緊急時/Time of Need》
《遥か見/Farseek》
《自然の知識/Nature's Lore》
《三顧の礼/Three Visits》
《外殻貫通/Hull Breach》
《耕作/Cultivate》
《木霊の手の内/Kodama's Reach》
《調和/Harmonize》
《スカイシュラウドの要求/Skyshroud Claim》
《リシュカーの巧技/Rishkar's Expertise》

<エンチャント x 7>
《繁茂/Wild Growth》
《龍の大嵐/Dragon Tempest》
《精霊の絆/Elemental Bond 》
《ガラクの蜂起/Garruk's Uprising》
《野生の律動/Rhythm of the Wild》
《炎影の妖術/Flameshadow Conjuring》
《開拓地の包囲/Frontier Siege》

<アーティファクト x 7>
《太陽の指輪/Sol Ring》
《秘儀の印鑑/Arcane Signet》
《グルールの印鑑/Gruul Signet》
《衝動のタリスマン/Talisman of Impulse》
《造命師の動物記/Lifecrafter's Bestiary》
《ドラゴンの財宝/Dragon's Hoard》
《統率者の宝球/Commander's Sphere》

<土地 x 33>
《山/Mountain》x 6
《森/Forest》x 8
《統率の塔/Command Tower》
《オパールの宮殿/Opal Palace》
《祖先の道/Path of Ancestry》
《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
《燃えがらの林間地/Cinder Glade》
《隠れた茂み/Sheltered Thicket》
《高地の森/Highland Forest》
《モスファイアの谷/Mossfire Valley》
《カープルーザンの森/Karplusan Forest》
《火の灯る茂み/Fire-Lit Thicket》
《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
《奔放の神殿/Temple of Abandon》
《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》
《ギャレンブリグ城/Castle Garenbrig》
《ハンウィアーの要塞/Hanweir Battlements》
《幽霊街/Ghost Quarter》
《邪神の寺院/Temple of the False God》
《無限地帯/Myriad Landscape》
《眷者の居留地/Bonders' Enclave》

※2021/10/16「イニストラード:真夜中の狩り」までのカードプールで作成。

2.デッキ作成の経緯

デッキリストを見て、統率者戦にある程度詳しい人ならば「あれ?」と思うかもしれません。
《世界を溶かすもの、アタルカ》はドラゴンに二段攻撃を付与する。つまり自分も二段攻撃を持つので、アタルカが統率者ならば本人のパワーを11以上にして攻撃するのが勝ち筋とされます。
これは「いずれかのプレイヤーが同一の統率者から21点以上の統率者ダメージを与えられた場合、そのプレイヤーはゲームに敗北する」という統率者戦独自のルールを前提とした戦い方となります。
しかし、このデッキにはアタルカのパワーを上げるカードはほとんど入っていません。何故か?
これには色々と経緯がありまして…。

統率者戦について調べたことがある人なら、以下の記事を読んだことがあるのではないでしょうか。

”Getting Friends To Play Commander” by Erik Tierman(翻訳版)

簡単に言うと「友達と統率者戦をしたいから、布教用に使いやすく面白いデッキを考えて作ってみたよ!」という内容です。
複雑なギミックがなく、勝ち筋が明確ということで選ばれたのがアタルカだったのでしょう。

同様の理由で、人に貸すことを前提に私もアタルカを統率者としてデッキを組み、他の人と遊んでみたりしました。
しかし、プレイしていて問題がいくつか発生したのです。

アタルカが殴れないのです。

理由は簡単。単純にアタルカが除去の対象になりやすいからでした。

このデッキを貸す際に説明として「パワーを上げたアタルカで殴れば一発KOさ!」みたいなことを言うのですが(実際はもう少し詳しく説明するけど…)。
当然、それを聞いた他のプレイヤーはアタルカが出た瞬間「殴られたら死ぬ!」と考え除去を打ってきます。
アタルカ自身は除去に対する耐性がないので、除去耐性や速攻を付与してやらなければ自分にターンが返ってきてアタルカが殴るまでに除去されてしまいます。つまり、出したところで殴るまでのハードルが意外と高いのです。

自分でもプレイしてみたのですが、他にも問題はありました。
アタルカのパワーを11以上にするためにはパワーを5以上上げる手段が必要になりますが、1枚のカードでパワーを5以上上げるのはなかなか難しく2枚以上のカードを使うのはどうしても効率が悪くなります。
2回殴れば24点ダメージでそのプレイヤーは倒せますが、統率者戦は4人対戦だと仮定すると次の自分のターンが来るまでにまたアタルカが除去されてしまう可能性は高いでしょう。加えて、1人倒しても残りの2人を倒すまでにもう4回殴らなければ勝てないとなるとそれはかなり険しい道となるでしょう。

また、アタルカの一発KOのみに注力し過ぎると他の問題が出てきます。
それは「他の勝ち筋がほぼない」ということです。
統率者戦独自のルールとして「統率者は手元に置いていつでも唱えられる。除去されても手元に置き2回目以降は2マナ追加で払えばまた唱えられる」というのがあるため、統率者に頼りきった戦法をとること自体は悪くありません。
しかし、アタルカは7コストのクリーチャーです。
1回目出すだけでもそれなりに準備が必要ですし、除去されても2回目があるとは言えその時はコスト9、3回目は11、4回目は13…となります。正直1ゲームでは4回唱えるのが限度でしょう。
しかし、飛んでくる除去は1~3コストで更に3人のプレイヤーから飛んできます。そうしてアタルカが複数回除去され、5回目にアタルカを唱えようとしても要求されるのは15マナ。もうアタルカを出すのは絶望的…となると、勝ち筋がアタルカの一発KOオンリーのデッキならばその時点でほぼゲームオーバーです。

ではどうすればいいのか?
答えは対戦の中にありました。

ある対戦中のこと。
先に出した《世界を溶かすもの、アタルカ》が除去された後、こちらも除去のために《龍王アタルカ》を出しました。

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その後、《龍王アタルカ》でちくちく殴っていたのですが
除去がなく飛行をブロックできるクリーチャーもなかったそのプレイヤーはライフを0にし敗退していきました。

…普通に殴って勝っただけ。結果だけ見ればそうですが、ここで基本的なことを振り返ってみましょう。この《龍王アタルカ》

8/8、飛行、トランプル

強い。ただただ強い。
8/8のサイズで飛んでるからブロックできない。できてもトランプル持ちなので貫通ダメージを受ける。
普通のことです。

そう、普通に殴って勝てばいいのです。

3.デッキ解説

つまりこのデッキは「アタルカに頼らなくても勝てるデッキ」なのです。
そもそもドラゴンは恵まれたサイズと飛行を併せ持つためそれだけで盤面を制圧することもできます。そんなドラゴンをずらずらと並べ、最終的にアタルカを出して2段攻撃付与して攻撃!というデッキになりました。

ではデッキのキーカードについて紹介しましょう。

《世界を溶かすもの、アタルカ/Atarka, World Render》

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当デッキの統率者。
既に述べた通りこいつでの一発KOは無理に狙わず、ドラゴンをどんどん並べ最終的に二段攻撃付与のために出す…くらいで良いでしょう。
このカード自体が一度出せば警戒されるので、除去札の避雷針として先出ししてもいいかもしれません。

《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》

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アタルカでの一発KOは狙わずとも良い、と言いましたがコイツがいれば話は別。
ゼナゴスがいれば出てきたアタルカのパワーを倍にして速攻付与。
6x2x2=24点、一発KO成立で勝利です。
破壊不能を持ち条件次第ではクリーチャーではなくなるので《剣を鋤に》等でも除去されないため場持ちが非常に良く、適当に出したドラゴンをパワー倍化+速攻付与でガンガン前線に送りこむだけでも十分強いです。
このデッキの一番のキーカードなので、《俗世の教示者》や《緊急時》のサーチから早めに出したい1枚です。

余談ですがゼナゴスを統率者に入れ替えて遊ぶこともできます。
ゼナゴスが統率者なら他に専用デッキを作ればまた違った勝ち筋がありますが…あくまで気分転換として。

《精霊の絆/Elemental Bond》
《ガラクの蜂起/Garruk's Uprising》

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継続的なドローソース。このデッキのドラゴンはすべてパワー4以上なのでドローも容易。《ガラクの蜂起》はトランプル付与もあるので優先して出したいですね。

《龍の大嵐/Dragon Tempest》
《野生の律動/Rhythm of the Wild》

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速攻付与エンチャント。《龍の大嵐》は火力、《野生の律動》は打消し無効のオマケ付き。特に《野生の律動》は速攻付与と+1/+1カウンター付与を選べるので場合によって選べるのが便利なところ。

《開拓地の包囲/Frontier Siege》

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出す際に2つの能力から1つを選ぶエンチャント。基本的には「カン」を選んでマナ源にします。”各メインフェイズ”とあるので戦闘前・戦闘後の2回のメインフェイズでマナをもらえます。毎ターン4マナ貰えるのは結構でかい。
序盤に引けば間違いなく「カン」、終盤に引いても基本的には「カン」を選んで問題ありませんが、「龍」の能力は除去になるので中盤以降に引いたら自分の手札と相談して能力を決めましょう。

4.デッキの動かし方

あくまで貸し出し用デッキとして組んだので、難しい動きはありません。
既に述べた通り、ドラゴンを並べて盤面を押していくだけ。
ただ大雑把ながら序盤・中盤・終盤の動かし方を解説しておきます。

<序盤>
当然ながらドラゴンは高コスト域のカードが多いので、序盤はその下準備となります。マナ能力を持つ《極楽鳥》等の生物や《秘儀の印鑑》等のアーティファクト、ドラゴンのコストを軽減する《竜王の召使い》等を場にだしつつ、《遥か見》や《耕作》で土地を伸ばしていきましょう。
《遥か見》《自然の知識》《三顧の礼》は基本じゃない土地も出せるので、2色土地である《踏み鳴らされる地》《高地の森》を持ってくるのが良いでしょう。

<中盤>
リソース源となる《精霊の絆》《開拓地の包囲》などを配置しつつ、ドラゴンを順次投下していきましょう。《歓楽の神、ゼナゴス》を出しておくと相手によりプレッシャーをかけられるので、サーチ可能なら持ってきておきたいところ。《混沌のねじれ》や《内にいる獣》などの除去が手札にあるなら、相手の怪しいコンボに対応して打っていきましょう。

<終盤>
ドラゴンを並べ相手にプレッシャーをかけているところへ《世界を溶かすもの、アタルカ》を投下し勝負を決めにいきましょう。ドラゴンのトークンを増やす《ドラゴンの女王、ラスリス》や《ウトヴァラのヘルカイト》がいれば更に盤石でしょう。

5.注意点

何度も言いましたが、このデッキは未プレイの友人に貸しても使えるように組んだデッキです。そのためいくつか構築に制限をかけています。内容としては以下の通り。

①理解し難い能力のカード・複雑な動きをするコンボは入れない。
初心者に貸すという前提を考えると、これは妥当でしょう。
最初の英語記事にもありましたが、初心者に貸すならば選択肢の多すぎるデッキは厳禁。シンプルに勝てるデッキであるということが大事です。

②2,000円以上の値段のカードは使わない。
これはデッキ制作時の WisdomGuild での平均額を参照した金額の話です。
(カードデータや国内各通販サイトでの販売価格を調べられる便利サイト)

「統率者をはじめたい!」という人にとって気になるのは、やはりデッキ制作にかかる値段でしょう。特にマジックは近年テレビやネットでも高額カードの話が取り上げられることもあり、値段の面で多くの人にとって心理的ハードルは高いと言えるでしょう。
実はこのデッキ、レシピのカード総額で20,000円程度になります。(※2021/10/16現在の価格)
10,000円以下に抑えることもできたでしょうし実際に試したこともありますが、それだととにかく勝てない
土地をすべて基本土地で賄ったとしても10,000円以内に収めようとすれば残り70枚前後のカードを1枚当たり150円程度の値段の中から選ばなければならないため、デッキパワーは大幅に下がります。
初心者に貸すデッキなのであまりに何もできないデッキは避けたいのですが、「これ組んでみたい!」と言われた際に「これだけかかるよ」と提示する金額が5万も6万もするのではやる気も萎えてしまうと考えて、結果この制限をかけるに至りました。


2,000円以内としたのは所謂”ショックランド”(場に出す際に2点のライフを払わなければタップインする土地。このデッキでは《踏み鳴らされる地》)が入れられるラインだからです。
ちなみに、この制限をかけることで入れられないカードの例ですが
《峰の恐怖/Terror of the Peaks》(2,030円)
《黄金架のドラゴン/Goldspan Dragon》(5,587円)
《古えの墳墓/Ancient Tomb》(5,088円)
《マナの合流点/Mana Confluence》(4,754円)
などなど。予算に余裕があるならば入れておきたいですね。

6.このデッキの長所・短所

<長所>統率者に依存しない
統率者は常時手札にあるような状態のため基本的にマナさえあればいつでも唱えられるのが利点であり、統率者と特定のカード1枚で成立するコンボを「1枚コンボ」と呼んだりします。実際、強いと言われる統率者の特徴として「統率者の能力を最大限生かしたコンボ」をデッキ内に内蔵していることがほとんどです。
とするならばこの長所は統率者戦のセオリーから外れているような気もしますが、何度も述べている通りアタルカは見てわかる通りの一発KO系コンボ搭載型統率者として有名です。よって場に出れば除去が集中しやすいものの、アタルカ自体には除去耐性は一切なし。ならば逆転の発想として「最悪統率者がいなくても戦える構築にしよう」という点に行きつきました。

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実際、大型の飛行クリーチャーが複数体並べば多くの相手は殴ってこれなくなるし、こちらが殴っても防ぎきれない場合が多いです。
なので当デッキは大型クリーチャーを複数体並べて面制圧するというコンセプトのデッキとして成立しました。

<短所>相手に対する妨害手段が少ない

赤・緑のカラーリングの欠点ですが、相手に対する妨害手段が少ないです。
万能除去である《混沌のねじれ》《内にいる獣》はあるものの、クリーチャー除去は火力のみで不確定除去、打消し系の呪文や能力を持つカードはありません。色的にエンチャント、アーティファクトの除去は豊富なため、相手のリソース源を潰して足を遅らせるのが良いでしょう。

7.最後に

いかがだったでしょうか。
思ったより長文になってしまいましたが「これから統率者戦をはじめたい!」と考えている人や「統率者戦を広めたい!」という人のためになれば幸いです。

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今後ちょくちょく統率者戦用のデッキレシピを上げていきたいと思います。
良ければまた見てやってください。

お付き合い頂きありがとうございました。

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