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READ+ vol.20 「奪取」 真保 裕一

みなさん、こんにちは。

佐々木です。

大学のテストが大詰めであまり投稿できておりませんでした。

すみません。

ただ本は継続して平均300ページは読んでたので、これからきちんとアウトプットしていきたいと思います。

...突然ですが、上記のこちらを見つめる肖像画、誰かわかりますか?

そう、日本人なら誰もがおなじみの1000円札の野口英世です。

この写真みてなにか思うことありませんか??

私は、

「えっ、目の下だけで10本もの線が入っている...? 紙幣ってこんな精密にできてるんだ」

という感想を持ちました。
皆さんはどう感じましたか?

その他にも...

肉眼では全く読めませんが、拡大してみると「NIPPONGINKO」の文字が...!

こちらはびっしりと「1000」の文字が...!

                                 (↑こちらの方のブログから引用させていただきました)

「...いや、こんな精密に作らなくても...」
「こんなに細かく作られてると逆に感動する」

と思った方、

その気持ちわかります。私も同じ気持ちでした。

では、ここでもう一度質問なのですが、皆さんは偽札が年間どれくらい出回っているかご存知ですか??

....


「え...? 偽札なんてマンガとか空想の世界の話じゃないの?」

これまた私も全く同じことを考えました。

ただ、どうやら過去の話ではないようなのです。

カラーコピーで作ったり、 

こちらは、なんと他人を騙すために偽札を作成した事件...。

どちらもここ最近発生した事件のようです。

まさかと思って調べた結果...。

直近5年間でも毎年平均して1000枚ほどの偽札が発見されているそうです。

発見されてるだけでもこれだけなのですから、潜在的に流通してる偽札は果たして何枚になるのでしょうか?

                           (出典はこちら)

造幣局がここまで紙幣づくりに心血注ぐ理由もわかります。

ここでまたまた質問ですが、

あなたの財布の中には紙幣が入ってますか?


もし入っている方、

その紙幣は本当に本物と言い切れますでしょうか?


...前置きが長くなりました。

本日紹介する本はそんな偽札づくりに文字通り命をかけた男たちの物語です。

〜目次〜
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[1]本日の1冊
[2]はじめに
[3]内容
[4]独断ポイント
[5]終わりに
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[1]本日の1冊 

       「奪取」 真保裕一 著

[2]はじめに

私がこの本を知ったきっかけは、大学の試験で頭が疲れ、
「なんかおもしろい小説読みたいな」と思い、ネットで何気なく面白そうな本がないか調べていた時でした。

上下の2冊セットでページ数は1000ページほど。

かなり長いなと思いましたが、商品紹介を読んでいくうちに面白そうだと思って大学の図書館から引っ張り出してきました。

いまから 20年ほど前に出版された本で、20世紀末に書かれたようです。

大学のテスト期間中に本を読んだのがいけなかったのですが、あまりの面白さに没頭して読みすすめたために大学のテストの出来はあまり芳しくはありませんでした。

それでは内容紹介です。

[3]内容
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偽札をつくりあげた者が勝利者となる!傑作長編
1260万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札作りを2人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス!
                             (amazon紹介ページより引用)
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これまで偽札を作ろうと思ったこともなければ、聞いたこともなかったので、まず内容自体が非常に斬新で面白いなと感じました。

[4]独断ポイント

内容自体もさることながら、読んでいて1番印象に残っていたことは、

「偽札を作るまでの手順が非常に緻密である」

ということでした。

「もしかして著者がもともとそういう分野で働いてたのかな」と思い、気になったのでいろいろと調べてみたところ、著者はもともと脚本、演出を生業としている方。

金融業界等の出身ではないようです。

なので、この小説はひとえに著者の取材力、調査力の賜なのだと思います。異常なまでの熱量を感じました。

偽札の作り方の取材力もさることながら、ストーリーの展開、構成もさすがでした。最後の10ページになっても

「え、この状況終わりじゃん...」

みたいな絶体絶命の状況だったおかげで、ただでさえひどい手汗が止まりませんでした。

ここはやはり本業で脚本を作っていた方だけあって、まさに映画を見ているように、いや下手な海外映画なんかより何倍も引き込まれていきました。


私のこの本を読む際のおすすめは、本を読み進める途中で、定期的に手持ちの紙幣をじっくりと観察することです。

偽札づくりの工程は、おそらく専門家にもたくさん聞いたであろうゆえに、専門的な用語や製作工程がたくさん出てきます。

小説なので文章からの想像に頼るほかないのですが、やはりイメージだけでは限界があると思います。
そんなときに手持ちに紙幣があれば、理解の一助になるかと思います。

ただ、20年前に書かれた本なので、今みたいな3Dプリンターがあるわけもなく、偽札づくりのほぼ全ての工程をこちらがもどかしくなるほど手作業で行います。

一瞬、
「手作業でこれだけ精緻な紙幣が作れるんだったら、3Dプリンターを駆使すれば簡単に作れちゃうんじゃないか」

と思いましたがそれは杞憂なようです。

先程日本で流通している偽札を紹介しましたが、それでも世界でも、また先進国のなかでも日本は突出して偽札関連の犯罪は少ないそうです。

その1番の理由は、
「偽造製造があまりにも難しく、偽札づくりのコストが割に合わない、不可能だから」

だそう。

日本で偽札を掴まされる心配より、海外に渡航した際のほうが、そのリスクはかなり高いので、海外旅行に行く際はなるべく気をつけたいものですね。(中国やフィリピンはさることながら、アメリカやカナダなど、先進国でも偽札のチェックは当たりまえのように行われているようです。)

「偽札流通リスクを抑える1番の方法は、紙幣そのものの価値と偽札作成の費用をなるべく同じかそれ以上にする」

というのは、いわれてみれば当たり前なのですが、どこか哲学的なものを感じます。


すこし話が変わるのですが、登場人物たちは「偽札づくり」という犯罪行為に手を染めているわけなので、彼らに良い印象は抱かないはずなのですが、割とライトな描写で文章が書かれているため、むしろ応援したくなってしまうのです。
また、私の中に

「巨大組織の頑丈なセキュリティの盲点を突いて、劣勢からあっという間に形成を逆転するところに、ある種快感を覚える」からだと思います。

例えるなら、ルパン三世でルパンがあの手この手で財宝を盗んだとき、見てるこっちまで興奮してくる、あの感じに近いと思います。

世間一般のイメージとしてある、「英雄、ヒーロー」より、私達それぞれの心の深いところで作られている英雄像は、より広義的なのかもしれませんね。

[5]終わりに
最近は幸運なことにおもしろい本ばかりを読めてます。

今はインフルエンザがかなり流行っているとのことなので、かかってしまって自宅で暇を持て余してる方は、面白くて簡単な本をペラペラめくってみると気が紛れるかもしれませんね。

本日も読んでくださりありがとうございました。


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