READ➕ vol.24「人生は攻略できる」 橘玲
お久しぶり(約1ヶ月ぶりくらいでしょうか)の書評です。
只今北京に滞在して活動していたため、なかなか本を読めませんでした。
帰国まであと1週間をきりました。
帰国したあと読書の習慣がなくならないよう、北京滞在のうちから読書を段々と再開していきたいと思います。
それでは、書評を書いていきます。
目次
[1]本日の1冊
「人生は攻略できる」 橘玲著
[2]はじめに
数日前、何気なくtwitterを見ていたら橘さんが新刊の紹介をしているのを見、主に私達の世代(10~20代)向けに書かれていることを知りました。
これまで橘さんの本は結構読んできた私ですが、これまでこういった若者向けに書かれた本を読んだことはありませんでした。出版されたのもこれが初めてではないでしょうか?
興味を持ったので、発売されてすぐkindleでポチって読んでみました。
[3]内容
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これからの時代に必要なのは、新しいお金に関する考え方と成功哲学。本書は、大切だけど、学校や大人は誰も教えてくれない「橘流・これからの時代のお金との付き合い方&働き方」を述べた一冊。中高生から若手社会人、その親御さんまで、幅広い世代に読まれるべき、橘氏の決定版!
(amazon紹介ページより)
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今回の橘さんの本の役割は大きく分けて2つあるといえます。
①これまでの橘氏の振り返り
②学生への訴求
まず1つ目です。
①これまでの橘氏の振り返り
「あれ...? これどこかで読んだことあるぞ... ...あれ、ここも....」
といった感想を持つ箇所がたくさんありました。
そうなのです。この本は
橘玲氏のこれまで論じてきたことをわかりやすく、コンパクトにまとめている
のです。
言うなれば、橘さんの発言のエッセンスが抽出されてまとめられているダイジェスト版。
橘さんのこれまでの主張がわかりやすくまとめられておりますので、初めて読む方の「橘玲入門」としては最適だと思います。
ですが、その一方でこれまで橘さんの本を一通り読んできて、この本で橘さんの新たな着眼点を学びたいという方は、がっかりしてしまうかもしれません。
ネット上に、本書のまえがきとあとがきが掲載されていますので、こちらを読んでから読むかどうか決めるのも良いかと思います。
↓↓まえがき
↓↓あとがき
②学生への訴求
これまで橘さんの本をいろいろと読んできましたが、読んでいて毎回思うことがあります。それは
「よくある自己啓発本のような一発逆転系とは真反対の、至極まっとうな努力の方法が書かれている」
ということ。
ただ、至極まっとうだからこそ、そこに魔法はありません。
ここでいう「至極まっとう」とは、
「年単位でコツコツとやるべきことをやり、そして20年後、30年後を振り返ったとき、何も考えずにすごしてきた人と果てしない差がついている」
ということです。
「複利」の考えなど、まさにこれに当てはまるでしょう。
ここから考えると、橘さんがこれまで提唱してきた考え方を最も大きく享受できるのは若年層です。なぜなら、彼らには複利を最大限に活かせる時間があるから。
ですが、それに反して橘さんの読者は大部分が40~50代のサラリーマン層に多いように思います。(あくまで完全なる主観ですが)
私が考える、若者が橘さんの本を読まない理由は、橘さんの主張が固くて、ムズカシイから。
それに加え、そもそも若者の読書離れが急速に進行していると言われる昨今。そんな現在において若者から支持されているのは、幻冬舎の箕輪さん、SHOWROOMの前田さん、NewsPicks Bookなどでしょうか。
これら編集者、著者、書籍に共通していることを1つだけあげるとしたら、
「内容が簡潔でわかりやすい」
と言えると思います。
若者から支持されるには、もう少し内容を簡単にすべきだと思います。
私が橘さんの本とはじめて出会ったのは中学校の頃。
中学生は、子供と大人の狭間の間に置かれなんとなくいろいろなことに背伸びしたくなる年頃です。(わかってくれる人はいるはず...!)
私はまさにこのタイプでした。
具体的に何をやったかと言うと、親の本棚からあえて難しそうな本を選んでペラペラとめくっておりました。(当然、ほとんど何が書いてあるかはわかりませんでしたが。)
ただ、その私の行為を、「内容を理解している」と勘違いした父親に勧められたのが、橘さんの「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」でした。
読んでみても、何のことを言っているのかさっぱりわからない。
でも、親にわからなかったと言って本を返すのもなんとなく癪に障る。
とりあえず最後まで読んでみたものの、当時は何もわからないまま親に返しました。
大学生の今読み返してみて、分かるところはだいぶ増えましたが、それでもところどころわからないところはあります。
あくまで独断の感想ですが、橘さんの本はそもそもまともに働いたことがない若者が読んでもなかなか理解しづらかったり、イメージし辛いところがあります。
今回の本は、そんな私のような若者にとってもかなりわかりやすい本になっています。
20代前半のサラリーマン、大学生だけではなく、高校生などでも結構わかりやすいのではないかと思います。
本書の最後の方には過去の橘さんが書いた本が何冊か紹介されていますので、記になった方は是非読んでみてはいかがでしょうか??
[4]独断ポイント
本書を読んだ後、amazonのレビューを読んでみたところ、
「過去の作品と内容が重複し過ぎてさすがに辛い」
みたいな感想が散見されましたが、個人的には忘れていたものも結構あったのでありがたかったです。
その中でも、
「伽藍とバザール」、「ポジティブゲーム、ネガティブゲーム」については完全に忘れていたので、とても助かりました。
私は現在大学三年次であり、本来だったら就活をしなければならない時期です。
ですが、まだいわゆる就活をしていません。
今中国に来ている他の学生は大体大学1,2年か、卒業を控えた4年生、就活が終わった3年生くらいで、私が知る限り、私みたいな人に会ったことがありませんでした。
こちらのnoteでも書きましたが、私は今年の四月から自分の力で稼ぐ力をつけるため、休学します。
それは、就活や、大学卒業後の社会人生活に言いようもない違和感を持っているからです。
私は、昨年約一年間弱、大学に籍をおきながら渋谷の会社で働いていたのですが、ほぼ毎日、満員電車に揺られておりました。(辛かった...)
身動きが取れない満員電車に揺られながら、いろいろなことを考えていたのですが、ふと
「満員電車がサラリーマンとしての一生(伽藍)」
のように感じられたことがありました。
電車に乗る駅が22歳、職場の最寄り駅が定年だと考えます。
電車の中(サラリーマン生活)の中で、みんな(私も含めて)顔をひきつらせて、辛そうにして、イライラしてその場をやり過ごしていました。
私が電車の中で考えていたのは、
・早くつかないかな
・前に座ってる人降りないかな
・少しでも立ちやすい場所を確保したい
・次の駅で誰も乗ってきてほしくない
くらいでしょうか。
そしてこれはそのままサラリーマン生活にも当てはまります。
・早くつかないかな → 定年までリストラなく逃げ切りたい
・前に座ってる人降りないかな →自分の出世のため、上司の退職を願う
・少しでも立ちやすい場所を確保したい → 変な部署に飛ばされたくない
・次の駅でなるべく誰も乗ってきてほしくない→ 今の自分の立場を誰にも渡したくない
過去を振り返ると、私達は小学校から始まる「クラス」という名の伽藍の中で、しっかりとサラリーマン生活に適応できるだけの人間関係の対処方法を教えられます。
高校まで1つのクラスに押しこまめられ、逃げ場がなく、その中でネガティブゲームを行うことを覚えます。
大学でクラスがなくなり、つかの間のバザールを満喫できますが、猶予期間は4年だけ。大学を卒業したら、大部分の大学生には長い長いサラリーマン生活が待っています。
会社という伽藍の中で、みんながネガティブゲームをする。
そのいわば「前哨戦」が就活のような気がするのです。
ただ、これはみんなわかっていることですが、満員電車は降りたければいつでも降りられます。
でも誰も降りません。むしろもう乗れないだろうというところから身体をねじ込ませて電車に乗ろうとする人がたくさんいます。
じゃあ、なぜ降りないのか。
それは、みんなにおいていかれるのが不安だから。一度電車を降りた後、次の電車が来ないことが不安だから。
そして、何よりも、自分で他の方法を探すことに比べたら、満員電車に乗っている方が楽だから。
ですが、これからは「人生100年時代」と言われ、いざ目的地(定年)に到着し、やっと満員電車(サラリーマン)から解放されたと思ったら、そこが本当の最終目的地ではなかった、という人が世間に溢れはじめています。
そこからあと2~40年の長い長い暇地獄が待っているのです。
構造を考えたら当たり前ですが、もらえると思って払っていた年金の給付支給開始年度はどんどん上昇し、定年後も自分で稼ぐ力が必須になりつつあります。
ですが、日本のサラリーマンの戦後からの歴史の中で、老後のことは計算に入っていませんでした。こんなに長寿ではなかったからです。
長生きは素晴らしいことです。人生は「長い長い暇つぶし」であり、定年した後もたくさんの暇つぶしに時間を使うことができるのですから。
これからさらに医療が発達すれば、80歳で海外旅行や、新しいパートナーを見つけることも全然考えられる世の中になるでしょう。
ですが、「暇つぶし」はタダではありません。(当たり前ですが)
みんなが羨む暇つぶしはそれだけ値段が高いです。年金だけでは足りないでしょう。
そんな時、年金だけに頼らざるをえない高齢の方が取れる選択は2つです。
①自分で稼ぐ方法を身に着けておく
②何もせず、ただじっとしている
ただ、定年を過ぎてから①の方法を考えるのは非常にムズカシイです。なぜなら、年齢が上になればなるほど取れる選択肢は少なくなるから。
結果的に②の人が大量に生まれているのが現在です。
会社を1つの電車だと考えた時、わたしたちが生きるこれからの社会でその多くは目的地までたどり着かず、途中で人身事故が起きたり、満員で降りざるを得なくなると、よく言われます。
その時、自分でタクシーを呼ぶ方法があったらどうでしょうか。
電車が目的地までたどり着かずとも、その捉え方は全く違います。
こんな偉そうなことを書いておきながら、休学する一年間で私自身どれくらいのことができるか未知数ですが、少なくとも、自分でタクシーを呼べるくらいには成長しておきたいなと思います。
そして、このことに気づかせてくれたのが橘さんでした。
ただ、橘さんは気づかせてくれただけで、それから後は自分次第です。
60歳までいろいろなことがあり、失敗もたくさんするかと思いますが、
「何もせずじっとしている老後」を送らないように自分のできることをしていきたいなと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
3/14 北京にて
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