「北匈奴の軌跡 草原の疾風」第一章(2)
四
探検隊の一行は、荷物満載の大きな車に乗って進んだ。ジュアルとリンは交代で二頭引きの馬車を馭した。替え馬四頭が後ろに続いた。緊急事態の際、各人が馬で移動できるようにするためである。
道中、ジュアルらは時に先導し、時に殿軍を務めた。旅は順調に進んだ。
男三人は、ジュアルらに対して冷たくもなければ、温かくもなかった。要するにいかなる関心も示さなかった。
女の隊員エリーだけが、何かとジュアルとリンに気を使った。ジュアルらに一行の言葉を教えたのもエリーである。ジュアルら