本当の便秘治療はウンチを出すことではない!腸を良くする事だ!

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私は「漢方薬」&「サプリメント」を活用して、人に備わる「治ろうとする力」をサポートし、健康維持増進や病からの回復をサポートする事を専門としております。

そんな私ですが、薬剤師としてのキャリアのスタートは保険調剤薬局でした。

医師が作成した「処方箋」に基づき、薬を用意するという業務でした。

大卒すぐの薬剤師が、医師の作成した処方箋の内容に、適切に根拠を示して疑義紹介する能力あるはずもなく、特に薬剤師の国家試験に受かったばかりのペーパー薬剤師だった私は、患者さんたちの苦しみに耳を傾けることができませんでした。

ペーパー薬剤師だった私にできた精一杯のことは、記載の内容を間違えないように調剤すること、できるだけ待ち時間を短くできるように迅速に調剤する事、記載内容に併用禁忌や併用注意がないのかを確認する事、でした。

考える仕事と言うよりは、ミスを無くす事が主な仕事だったのです。

しばらく保険調剤に携わり、想像や工夫、発展の少ない業務である事に気がついたので、現在は保険調剤ではない薬剤師の職能を開発する事を主に生業としています。

近頃ようやく考える薬剤師像が求められるようになってきました。

処方箋調剤をしていて便秘でお悩みの方がこんなにも多いのかと愕きました。

特に高齢者、および多剤併用の患者さんに下剤の処方が多く、90年代は特にマグネシウム剤とセンノシド系の処方が多かったのを記憶しています。

これは現代になってもさほど変わらないのではないでしょう。

便秘だから便秘薬。

何の疑問も持たずに、薬を処方箋に記されるがままにお渡ししていました。

その当時の私は、便秘薬をお渡しした患者さんに、
いつから便秘したのか?
便秘が悪化していったその当時の体調はどうだったのか?
便秘薬を服用するとどんな便がでるのか?
お腹は痛くならないのか?
便秘薬を飲まなかったらどうなるのか?
など尋ねたこともないし、
そもそもなぜ便秘するのか、について深く考えようともしなかった。

便が出ないのは、腸で便が詰まっている、ぐらいの認識だったのです。

順天堂大学病院・総合診療科便秘外来の小林先生を、所属する研究会でご公演いただいたことがあるのですが、「巨大結腸症」なる緊張性便秘によって、何日も便がたまり、それでもでなくなり、お腹の中に巨大な大便が充満してしまう、という患者さんのレントゲン写真を見せていただいた事があります。

便が詰まってしまうと「こんなにひどくなる場合もあるんだ!」と、度肝を抜かれました。

高齢者の場合はむしろその逆で、浣腸しても何も出ないような、直腸にはまだ大して便はたまっていない人が多いように思います。

腹は張るけど対して便をしたくないとか、そもそも便意がほぼないとか、便意はあっても出るものがほとんど無いとかです。

実家の漢方薬局に戻ったのは25歳の頃だった。

今までは医師の処方箋に記されている薬を渡せばよかった。

ところが、漢方薬局という所は、薬剤師である私自らが、患者さんの体調の現状を確認して、原因を探り、治療方針を立てて、各々に応じた薬剤なりサプリメントなどを駆使して、回復を目指す所なのです。

良いご提案ができなければ、便秘は良くなりません。

ありとあらゆる便秘薬を試し、サプリメントも有効活用をしたつもりでしたが、便秘や下痢の状態が良くならない人もたくさんいました。

便秘という症状を呈していますが、どうやら便秘薬という治療手段が最適ではないという事がうすうす分かってきたのです。

これは私にとってはショッキングな出来事でした。

便秘と便秘薬の関係が、原因と結果の法則とは違うようなのです。

この関係は非常に曖昧だったのです。

便秘という概念から、もう一度考え直す事が必要だと、強く感じたのです。


便秘をしたらさまざまな「下剤」のうち、どれかが当たればよい、というような当てずっぽうの治療ではなく、そもそもそ目の前の患者さんはなぜ便がでないのだろうか?という事に、もっと想像を働かせる事が必要があると数年経ってようやく分かったのです。

胃腸という臓器の仕組みや構造、神経系や循環器系との関連、ホルモン、疾患との関連など、様々な事がつながっている事に気がつきました。

しばらくして私は腸活研究会https://choukatsu.jp/という腸に関する研究会を立ち上げる事になりました。

便秘薬というカテゴリーの薬にはいろいろな薬があります。

大腸を刺激して蠕動運動を促したり、水分の吸収を抑えて大腸や小腸の管腔内の水分量を増加させるもの、水分を吸着して膨張するポリマーや、油分で便を滑らせて出すもの、胆汁酸の再吸収を抑えるもの、など様々なです。

それはあくまで、腸に停滞している便を一時的に出すという、応急処置にすぎません。

急性の便秘治療を慢性治療に流用したにすぎません。

本当に必要なのは「腸自体」を良くする事。

ひいては、腸へ影響する要素の改善という、根本的な問題の解決策を考える能力が必要なのが分かったのです!

今日のお話はここまでとします。

次は、便が出なくなる原因にはどんな事が考えられるのかをお話したいと思います。

多くの赤ちゃんは、母乳しか飲んで無いので、ブリブリと大きなウンチをします。

それが普通ですが、食物繊維も、運動も、ありませんが快便です。

しかし、赤ちゃんの中でも何日もウンチがでなくて困っている子もいます。

そこには何が考えられるのか、という事を次にお話したいと思います。


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