乳がんが増えている 臨床家的な視点

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古代の人は、天体・台地の動きや、季節の移ろい、植物の栄枯盛衰をみて、この世界の成り立ちを思索し、さまざな思想や哲学、宗教がうまれました。
自然科学とて然りです。

私たちの体の中で起こっていることの全容はまだわかっていません。
それでも、おおよそ感覚的に分かる、あるいはつかめると感じるのは、天人合一という古代人の感覚や思想が参考になります。

天人合一とは、この宇宙で起きている事が、体の中でもおきている、というマクロとミクロの相関的思考法であり、東洋思想や東洋医学の根底にある法則です。

先人たちの視点や思考の鋭さに感動します。
どのような理論よりも辻褄が合うからです。

なので東洋思想によって治療プランを組み立てるような思考をするように私は努めております。

かのユングも、ユング派の心理学は易経を参考にしたと言われています。


さて、人口の集中するところと過疎化してしまうところも、自然と差が生じてしまいます。

モノ・ヒト・カネなんてよく言われていますが、選択と集中が状況に応じて行われています。

集まる所は、便利な所、人が多い所、消費が多い所、要(政治や経済、学業の中枢)となる所などが思い浮かびます。

都市においてもそうであるように、人の体においても、選択と集中が行われています。

第一に心臓機能や血液循環は、止めてしまったら生きていく事ができないので、最優先事項の一つです。

自発呼吸も、止まったら生きていく事ができませんので、最優先事項の一つです。

体温調節も、自律調整されていることで、それができなくなったら生きていく事はできませんし、免疫、ホルモンなどなど、意識の及ばない生命活動へエネルギーを十分に供給する事が、健康的な体を保つ第一歩なのです。

乳がんが増えているという現状を考察する時に、
乳房の機能的な必要性から考えてみると、母乳を与える時期は産後の一時期なので、普段は機能的な必要度が低いという事があると考えられます。

エネルギー供給の優先度が低い部位なのです。

しかしながら、乳房という組織は、左右合わせるとかなり大きな臓器である事がわかります。


平均寿命が40歳代だった時代は、乳がんは希少疾患でした。

極端な話、心臓や血管、胃腸など、他の臓器が先に朽ちていたのです。

ところが、栄養が良くなり、環境衛生がよくなり、便利になって、体の負担が減ると、生命維持の基幹システム(自動調節能)が長持ちするようになってきました。

すると長い年月、働かないのに育てていかなければならない部位に、病気が生じてきたのです。

女性にとってのその代表が「乳房」の疾患です。

ストレスがかかったり、忙しかったり、食べる事をおざなりにして無理をし続けたことなどが影響して、乳房という組織を常に良い状態に保つようにできなくなってしまった事で「がん化」したのです。


体力があって、人手があれば、集落は栄えますが、高齢化などで一人一人の体力が落ち、人口が減少してきたら、集落は廃れてしまいます。

一度、廃れてしまった集落の、インフラや田畑の再興は容易ではありません。

がけ崩れがおこってもなかなか修復ができません。

人口が集中しているところは、どんどんと新しいビルができ、街が常に変化し躍動します。

福岡駅付近で地盤が崩落陥没したニュースを見て仰天しましたが、もっと驚いたのはたった1週間で復旧していたことです。

さて、乳がんの東洋医学的な治療や予防には、乳房組織への栄養や酸素の供給と、老廃物の排泄の、大きな循環を改善することが必要だと考えています。

80〜90年の平均寿命に耐えうる「乳房」のコンディショニングに、漢方の知恵を役に立ていただけたら幸いです。


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