見出し画像

リレーブログ(平林和樹)

─『轟音トラッシュ』リレーブログ②───

良く散歩をします。

例えば、出先での用事は終わったけどまだ家に帰るには早いなという時。
もしくは次の用事までしばらく時間がある時。

目的地は決めません。
従ってグーグルマップを開いて、矢印の方向が自分の正面と本当に合っているのかぐるぐる回ってみるなんて事も必要ありません。

散歩をするにあたって、時期は5、6月頃、春と夏の境目がベストです。気怠いくらいの暖かさが良いです。初夏の夕方。じめっぽさを感じられるくらいが一番いいです。

服装は上下共にゆとりがあり、軽くて質感が良いもの、靴はサンダルがベストです。

風が自分の少しだけ汗ばんだ体や足の指の隙間を通りすぎた時の涼しさ。
Tシャツが揺れて、その生地が自分の体を撫でていく感触。
安いゴムサンダルとアスファルトが擦れる音。

すみません、興奮してきました。

道中にコンビニがあったら必ず立ち寄ります。
そしてしばらく店内をうろついて、買いたい物が何も無いことに気付いたら、「買いたい物はあったんだけど残念な事にこのコンビニには見当たりませんでした」みたいな雰囲気で小首を傾げながらそそくさと出て行きます。
これで店員さんに「この人何しにきたんだろうか」と思われる事はありません。

分かれ道に出会った時は、なるべくわくわくする方を選びます。
なるべく土や草や岩が多い方を選びます。
なるべく寂れた方を選びます。
なるべく建物の高さが低い方を選びます。

ダンゴムシには右に曲がった後は左へ、左へ曲がったあとは右へ曲がるという習性、というか傾向があるみたいですね。

僕はダンゴムシのような最下級生物とは一線を画しているので、普通に自分が進みたい道を選びます。

ここで一番大事なことですが、大抵の場合、散歩の終わりには何もありません。特別な事は何もありません。

歩き回る事に疲れたら、おとなしく家に帰ります。もしくは、次の用事がある場所へと向かいます。

しかし困ったことに、これまで気ままに選んできたものだから、帰りの道筋なんてわかりません。

そんな時に役立つのがグーグルマップです。
青い矢印の向きがどこを向いているのかを確認するために、その場で無様にぐるぐると回ります。

最寄りの駅が確認できたら、スマホのグーグルマップを食い入るように見ながら歩いて行きます。

そして電車に乗りながら、車窓を流れていく家々を眺めながら、カレー食いてえなとか帰ったら洗濯しなきゃなとか考えながら。等々。

僕にとってはこの上なく素晴らしく、価値のあることです。

以上「価値」についてのお話でした。

次回の人(川合 凜)へのトークテーマは「コムドットと私」でお願いします。

ではでは!


画像1

(撮影: 藤田恭輔 様)

『轟音トラッシュ』ご予約はコチラ(平林和樹扱い)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?